No.00096 古からの贈り物

19世紀初期のフランスのアンティークジュエリーのオリジナル革ケース

ケースが最初に出てきたので、皆さんは???でしょうかね(笑)
久しぶりにオリジナルの素晴らしい革ケースに入った宝物なので、丁度良い機会だからオリジナルケースの重要性をお話しようと思ったからです。

 

アンティークジュエリーのオリジナルケースについて

アンティークジュエリーのオリジナルケース まずはこのケースをよ〜くご覧ください。美しい赤に染められた革に、極めて繊細で美しい金箔を押してあるのがお解り頂けると思います。中の宝物同様19世紀初期に作られた古い時代の物で、19世紀中期以降のケースに比べて箔押しも一段と繊細で美しいのです!!♪

形状も珍しい五角形ですし、全体に絶妙な立体感を出してあります。さらに革の裏から非常に繊細な地模様を打ち出してあるので、光の当たり方でほんのり輝くと、古の何とも良い雰囲気を醸し出されます!!♪
革は金属より経年変化が大きいので、約200年を経た革の良い味が出ています。これは革のケースとしては大変コンディションが良い状態なのです!!このぐらい古い皮ケースは保管状態が悪くて、ボロボロになっている物も多いですから、ラッキーなことなんですよ!♪
開閉するための金具も年代によって変わります。このケースに付いているのは、19世紀初期以前のものに見られる形状の金具です。19世紀中期以降は、右に掲載したケースのようにボタン式に変わります。

イニシャルSが箔押しされていることからも、オーダーで特別に作られたものということが解りますね!♪

昔の中級以上のジュエリーは、必ずそれに合わせてハンドメイドのケースを作って保管されていました。しかし、その殆どは長い年月の間に失われています。

例えアンティークのケースに入っていても、アンティークのケースを使って中身をセッティングし直した、オリジナルケースではない物(フィッティングケース)が大半なのです!!フィッティングケースは布が新しいだけでなく、フィッティングの具合がオリジナルケースほど良くないので解るのですが、素人の方には判断が難しいと思います(それでも貴重なんですけどね)。

オリジナルケースに入っていれば、革の経年変化の状態、形状や作り方で制作年代が判断出来ます。品物にも傷が付きにくく、良いことづくめなのです!♪

貴族をはじめ、上流階級の没落が始まると知識や教養を持った使用人が雇えなくなっていきます。そうすると所蔵品の管理も充分に出来なくなるため、オリジナルのケースが無くなっている場合が圧倒的に多いのです。だからオリジナルケース付きは宝くじに当たったようなラッキーなことだと思ってください。
現代はどんなに高級な有名ブランドのジュエリーでも、専用にハンドメイドで作られた1点もののケースには入っておらず、全てマシンメイドのつまらないガラクタばかりなのです!!まあ、革を染める技術や箔押しの技術も途切れてしまっていますから、今ではどんなにお金を掛けたとしても、この美しい革ケースのような物は絶対に作れなくなってしまっているのです!

こんなに美しいケースに入っているアンティークジュエリーっていったいどんなに素晴らしい物なんだろいと思いませんか? 僕たちもこういうケースを開ける時はいつもワクワクしちゃうんです(笑)

では中の素晴らしい宝物をご覧下さい。