No.00118 幻惑の宝石

ジルコン ブローチ アンティークジュエリー

『幻惑の宝石』
知られざる美しい宝石:ジルコン(風信子鉱)

イギリス 1880年頃
ジルコン、ローズカットダイヤモンド、ジュリアーノスタイル・エナメル、18ctゴールド
ジルコンの大きさ 1,0cm×1,3cm 
フレームを含む全体の大きさ 2,2cm×2,6cm
重量 7,1g
オリジナル革ケース付
SOLD

←↑実物大
ブラウザによって大きさが違いますが、1円玉(直径2cm)を置いてみれば実物との大小の比率が分かります。

このブローチのメインストーンはジルコンです。アンティークジュエリーがお好きな方でも、馴染みがある方はほとんどいないと思います。

非金属の光沢にはいくつか種類がありますが、透明無機物だとガラス光沢と金剛光沢が主です。金剛光沢とは、金剛石とも言われるダイヤモンドに見られるような強く鋭い光沢です。1.9を超える高屈折率の透明もしくは半透明な鉱物で認められますが、金剛光沢を持つ鉱物は非常に稀です。

ジルコンは稀少な金剛光沢を有する石です。加えて、ファセットカットすることでファイアと呼ばれる虹色の輝きが出る石であり、ファイアの強さはダイヤモンドの次に高いと言われています!!この石のようにカラーストーンではファイアは目立たないのですが、金剛光沢があるからこその素晴らしい照りがあります!!!♪

ジルコンは加熱処理により、様々な色が出せる石です。現在は、特に人気が高いブルージルコンが、当たり前のように加熱処理品されて市場にたくさん出回っています。

このジルコンですが、ダイヤモンドよりは産出量が多いことと、ファイアと金剛光沢というダイヤモンドに並ぶ特徴から、無色透明の石の場合はダイヤモンドの代わりとして用いられたりもしてきました。見た目には余程の専門家で無ければ区別できず、問題になったこともあったようです。

ジルコン ブローチ アンティークジュエリー ジルコン ブローチ アンティークジュエリー

小さすぎたり、クローズドセッティングされてしまうと難しいのですが、無色透明ジルコンとダイヤモンドを見分ける方法があります。ジルコンには複屈折という特性があります。
上の画像で解るように、ジルコンの下にあるブローチのピンやバックファセット(石の裏のカット)のエッジが、複屈折の性質によってダブって見えることです。

ジルコンは屈折率が高い上に複屈折なので、シンチレーション(閃光)までダブると言って良い状態です。こんなに大きくて美しい色のダイヤモンドは普通は手に入りませんが、それがさらにダブって輝くのと同じようなものなのですから、明るい照明で見た時のこの宝石の輝きは感動としか言いようがありません!!♪

ジルコンについて

現代ではダイヤモンドの代替品としてのキュービック・ジルコニアが存在するので、ジルコンと聞くと良くないイメージを抱く方も多いかもしれません。しかしこれらは全く別物です。

キュービック・ジルコニアは人工物で、自然界には存在しません。一方、実はジルコンは地球最古の鉱物とされています。西オーストラリアのジャックヒルズ礫岩から、44億年前のジルコン粒子が発見されています。地球の誕生はおよそ46億年前です。

日本最古の鉱物もジルコンです。2010年に国立局地研究所・広島大学及び国立科学博物館を中心とする研究グループが、富山県黒部市宇奈月地域の花崗岩から37億5千万年の「日本最古の砂粒」を発見しています。

地球最古の鉱物を含む礫岩
Jack Hills Conglomerate 
始生代/西オーストラリア・ナリヤー地域
オーストラリアのジルコン砂

実はジルコンはあらゆる岩石に少量ながら普遍的に含まれる鉱石で、世界中の至る所に算出します。顕微鏡サイズのジルコンであれば、日本でもどこにでもあります。しかし、宝石になるような美しく大きな結晶は、限られたところにしか産出しません。

美しいジルコンは大変稀少です。通常、ブルーやグリーンの石は10カラット、イエローやオレンジはおよそ5カラットまでと言われています。

ジルコン鉱物微粒子

カラットとは宝石の質量を表す単位で、1カラット=0.2gと定義されています。ダイヤモンドは比重3.5、ジルコンは比重4.7なので、同じカラット数だった場合はダイヤモンドの方が約1.34倍の体積があるということです。

今回のジルコンは1,0×1,3cmあり、オーバルカットに近いとすると5カラットのダイヤモンドに近い大きさがあります。低めに見て4カラット相当サイズとしても、1.34倍すると5.36カラットの重量があります。つまり、オレンジ系天然ジルコンとしては異例の大きさなのです!!

ダイヤモンドのカラット数と大きさの目安

 

デマントイドガーネット リング アンティークジュエリー ウラル産

アンティークジュエリーで知名度・人気度ともにナンバーワンと言える石として、デマントイド・ガーネットがあります。ダイヤモンドをも凌ぐ強いファイアが魅力の1つです。グリーンなのでファイア自体は目立ちませんが、強いファイアの影響で他のグリーンの石には感じられない強い照りがあるため、独特の蛍光色と相まってコレクターが存在するほど人気があります。
ただ、強いファイアが特徴のこの石も、今回のジルコンのような、インクリュージョンが感じられないクリアでしかも大きな石は見たことがありません。


デマントイド・ガーネット リング

イギリス 1900年頃
デマントイド・ガーネット(ウラル産)、オールドヨーロピアンカット・ダイヤモンド、18ctゴールド
Sold

ジルコン ブローチ アンティークジュエリー
ジュエリー自身の細工の良さと、驚くような石の煌めきを見れば、この石がいかに価値あるものかは明らかですが、私は宝石の専門家ではないので経験ある宝石鑑別士に鑑定してもらいました。天然シトリンでも素晴らしいのですが、シトリンより評価されているトパーズよりも、ジルコンはさらに格上とのことでした。色も美しく、とても良質のジルコンであるとの鑑別結果でした!♪
ジルコン ブローチ アンティークジュエリー

このブローチは加熱処理が始まるよりも前の1880年代の物なので、もちろん非加熱で天然のままの貴重なジルコンです。現代で堂々と加熱処理したジルコンですと表記して販売されていたりして、驚くばかりです。「加熱処理しているので安定せず、太陽光に当てると色褪せますが、暗いところに静地しておけば、ある程度色は戻ります」と表記し販売しているものまである始末です。質の良いジルコンであれば、ご覧の通り100年以上の時を経ても美しい色合いです♪

ジルコン ブローチ アンティークジュエリー

ロンドンの大ベテランのアンティークジュエリー・ディーラーにも聞いてみましたが、メインストーンとしてジルコンをセットしたアンティークジュエリーは扱ったことがないそうです。

推測するに、これほどの上質の石はジルコンではほぼ存在しないのだと思います。宝石は稀少価値が高いからこそ人気が出て高値が付くのですが、稀少とは言っても一定量は供給できないとそもそも価格が付きません。デマントイド・ガーネットは欲しい人はいるけど供給量は少ない、それでもたくさんお金を払いさえすれば手に入るという良い供給バランスなのです。 その点で、美しい天然ジルコンは知られざる名宝石と言えるのです。

稀少過ぎて知られていない、気付かれていないからこそ高値が付いていない。だからこそ、この大変稀少価値ある魅力的なブローチを、このような価格で販売出来るのだと思うのです。

ジルコン ブローチ アンティークジュエリー
実物大


ローズカットダイヤモンド ジルコンの周囲に留められている8個のローズカット・ダイヤモンドをよ〜くご覧下さい!!
たった2mmの極小の石ですが、上質でカットも優れた石を、一個一個独立して大変丁寧に留めてあるのが解ります!!

このような極小ローズカット・ダイヤモンドの価格は決して高くないので、これほど手間の掛かる作りとセッティングをしてあるのは極めて異例なのです!!
ジルコン ブローチ アンティークジュエリー

ジュリアーノスタイルのエナメルワークも独特のものです。通常は白い下地に黒のドットですが、これは黒ではなく藍色というか、濃いブルーです。オレンジ色の美しいジルコンを惹き立たせるため、意図的にこういう色のエナメルを使ったに違いありません。しかも単純なドットではなく躍動感ある面白い模様にしてあります♪エナメルのゴールドフレームには、ミル打ちにも見えるような精緻な点が打ってあります。

散々石の魅力をお伝えしましたが、間違いなく細工も素晴らしいブローチなのです!!当時の人が特別な石を手に入れて、その魅力と価値が分かっていたからこそ、特別にオーダーし、石に見合う細工を施してジュエリーを作らせたに違いないのです!♪

ジルコン ブローチ アンティークジュエリー

このバックファセット(石の裏のカット)と輝きをご覧ください♪ダイヤモンド同様、金剛光沢を持つジルコンは、ファセットカットすることでファイアと素晴らしい照りが際立つのです♪美しい色とファイアと照り、そして複屈折という面白い特性、それが十分に堪能できる大きさ、アンティークジュエリーならではの素晴らしい細工、全てを兼ね備えたものは他には絶対にありません!!

オリジナルケース オリジナルケース
オリジナルケース 内張

何とおまけに、このブローチはオリジナル革ケースまで付いています。当時、このブローチが如何に貴重で美しい石を使ったジュエリーとして、特別にオーダーされた物かが解ります!!♪

以前、こういうオリジナルケース付きのアンティークジュエリーを購入された方で、観光でロンドンを訪れた際、ケースに書かれていた住所に行ってみたけどそんな宝石店は無くてがっかりしたと仰っていたのを思い出しました。店や会社が同じ場所に100年以上も存在していることは日本なら結構あるけど、海外ではとても少ないケースのようですからね・・・。

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