No.00179 山海の恵み

天然真珠 アンティークジュエリー 葡萄 ペンダント ホワイトゴールド アールデコ

母なる海からの贈り物「天然真珠」で作られた山の恵み、「撓わに実った葡萄」です♪

 

天然真珠 葡萄 ペンダント アンティーク
←実物大
ブラウザによって大きさが違いますが、1円玉(直径2cm)を置いてみれば実物との大小比が分かります

『山海の恵み』
葡萄 ペンダント

イギリス 1920年頃
天然真珠、18ctホワイトゴールド&イエローゴールド
3,5cm×2,5cm(本体のみ)
重量 5,5g
SOLD

今まで見たことがない、最高の照り艶を持つ天然真珠の実を撓わに実らせた葡萄のペンダントです。個性が異なる天然真珠をまるで本物の葡萄の房のように配置した作者のデザインセンスは圧巻で、葉の彫金のレベルの高さ、天然真珠へのお金のかけ方からも、このペンダントがいかにお金をかけて作られた特別なジュエリーだったかが分かります♪

 

HERITAGEの天然真珠のジュエリー

天然真珠&ダイヤモンド ペンダント&ブローチ アンティークジュエリー『マーメイドの涙』
天然真珠&ダイヤモンド ペンダント&ブローチ
イギリス 1880年頃
SOLD

価値のない養殖真珠が本真珠と命名されて、それが本物の価値ある真珠だと思い込まされている現代、真の意味での真珠を使ったハイジュエリーは存在しません。

貴重な天然真珠だけが真珠だった時代は、天然真珠の価値に見合う素晴らしい細工とデザインが施されたハイジュエリーが作られ、ごく一部のセンスある富裕層に愛されてきました。

ヘリテイジではごく一部の王侯貴族向けレベルのジュエリーのみを数多くのアンティークジュエリーの中から選別していますが、一時はダイヤモンドより高価だったと言われる天然真珠を使ったジュエリーはやはり上質な物が多いです。

天然真珠だから仕入れているわけではなく、上質なジュエリーだけを仕入れようとすると必然的に天然真珠のジュエリーが集まるわけなのです。

ヘリテイジがオープンしてまだ1年にも満たないですが、既にいくつもの天然真珠の宝物をご紹介してきました。現代の工業生産品同然の養殖真珠と異なり、母なる海が偶然に作り出した恵みを使う天然真珠のジュエリーは1つとして同じものがありません。

天然真珠を手に入れることだけでも相当困難な上(参照)、色や照り艶や形が様々な真珠の中から、さらにジュエリーに使える品質の物を選び出すことは難しいことなのです。

鳥の巣と卵

こういうジュエリーが作りたいからこういう天然真珠を手に入れるという順番は、確率的に相当困難なことです。

たまたま面白い形でしかも色も照り艶も美しい天然真珠が手に入ったから、それに合わせて最高のジュエリーを作ろう、そういう順番だったはずです。

だからこそ逆に、アーティスト魂に火を付けられた職人が、左の『情愛の鳥』のような見事な作品を作れたとも言えます。

鳥モチーフ ブローチ スリーカラー・ゴールド アンティークジュエリー 鳥モチーフの最高傑作
『情愛の鳥』

イギリス 1870年頃
卵形天然真珠、クッションシェイプ・ダイヤモンド、プラチナ?、スリーカラー・ゴールド
3cm×6,5cm
重量 17,9g
SOLD

驚異の照り艶を持つ天然真珠

これまでにルネサンスを含めていくつもの天然真珠のジュエリーを扱ってきましたが、この撓わに実った天然真珠の実は、今まで見たことがないくらい瑞々しい照り艶があります。

核のサイズで大きさが決まる養殖真珠と異なり、大きさを揃えるだけでも至難の業です。

さらに、過酸化水素で漂白した上に、染色して色を均一にしてしまい全ての個性を奪ってしまう養殖真珠と異なり、個性溢れる天然真珠から色みだけでなく、照りや艶まで揃った真珠を28粒も揃えるなんて、可能なのかと思えるほど難しいことです。

天然真珠 シングルストーン・リング  アンティーク・ジュエリー『神秘の光』
大珠天然真珠&ダイヤモンド リング
イギリス 1920年頃
SOLD

ここに、1粒石の天然真珠ジュエリーとはまた違った難しさと魅力があるのです。

天然真珠だからこそ出せる照りと艶

拡大画像 ボタンパール 天然真珠『Quadrangle』-四角形-
エドワーディアン 天然真珠 ネックレス
オーストリア? 1910年頃
SOLD
『山海の恵み』
葡萄 ペンダント
イギリス 1920年頃
SOLD
左はこれまでに扱った中で、最もマットな質感を持つ天然真珠です。シルキーマットと言う表現が一番フィットするきめ細かい美しさが魅力です。今回ご紹介している『山海の恵み』は驚異の照り艶が、葡萄の実の瑞々しさを見事に表現していますね。ひとくくりに「天然真珠」と言ってもこれだけ個性が違い、それぞれに一番相応しいデザインと細工を施してあるのがアンティークの天然真珠ジュエリーの魅力なのです。
CC0養殖真珠と天然真珠の断面

天然真珠は右のような構造です。

天然の貝が作るものなので、母貝によって真珠層自体の成分や巻き厚が少しずつ違いが出るのですが、その僅かな違いでこれだけ見た目に差が出るのが面白いですね。

天然真珠『山海の恵み』海水産の天然真珠

ちなみに海水産の真珠は真珠層の透明度が高く、光が真珠層の深い部分まで潜り込むことができます。このため、海水産の天然真珠は内側からにじみ出てくるような複雑な輝きが魅力です。

幾重にも積層された真珠層界面からの反射光が、複雑な干渉を起こすことで独特の美しさを生み出します。

【参考】最高級の花珠養殖真珠

最初期に十分な手間と時間をかけて作られた養殖真珠ならいざ知らず、現代の養殖真珠ではその美しさは絶対に出すことはできません。

「基準」なんてものは業界を支配する側に都合の良いように設定され、いとも簡単に変えられてしまうということは『エメラルド・グリーン』でも申し上げた通りです。

養殖真珠の場合、笑っちゃいそうなのですが花珠の認定基準は2つあります。業界一厳しい研究所Aは巻き厚0.4mm以上、研究所Bは0.25mm以上で花珠認定し鑑別証を発行します。衝撃の薄っぺらさです。でもアンティークの天然真珠より高いんですよね・・。

ちなみに研究所Bが0.25mm を最低ラインに設定しているのは、0.25mm以下になると「ウス巻き」になってしまうからだそうです。昔から業界ではハガキの厚さを限界の厚さとしており、そのハガキの厚さが0.25mmだからなのだそうです(※現在の官製ハガキの厚さは0.23mm)。

初期の養殖真珠 アンティークジュエリー ルネサンス 真珠のネックレス『初期の養殖真珠ネックレス』
1930年代?
天然真珠:直径8mm
長さ:41cm
SOLD

「花珠」は最高品質の真珠に与えられる名前のはずなのに、最低限レベルの物にまで与えられてしまうのが現状なのです。

どうりで巷に「花珠真珠」が氾濫しているわけですね。希少性が高いから価値があるはずなのに、この状況は酷すぎます。

現代でも一生懸命、真面目に昔ながらの製法で養殖真珠づくりに取り組む業者もいるのですが、低品質の物と同じレッテルしか与えてもらえない現状では真の価値を評価してもらえないと嘆いていました。

本来ならばしっかりとした基準を作って守り抜くことが業界全体の向上につながるのに、基準側がこれでは真面目にやるだけ損で、養殖真珠の質は悪化する一方です。

ちなみに業界一厳しい花珠認定基準を持つ研究所Aの所長曰く、長年の研究から真珠層が0.3mm以下の薄さになると、ある試験では光の透過率の関係で透けて見えるのだそうです。

私的に要約すると、「0.3mm以下だと透けて見えることがあるから、0.25mmで花珠認定しちゃう研究所Bはダメだよ、うち(研究所A)だけが素晴らしい。」ということでしょうかね。

養殖真珠の核は、一般的にはアメリカ産のドブ貝という淡水二枚貝を削って作られます。削って終わりではなく、塩酸を使って表面を滑らかにする艶出しが行われます。その後、一等核とシミ核というように選別されます。

最近ではさらなるコストダウンのために中国産の淡水産養殖真珠に使用されたヒレイケチョウガイの貝殻に変わりつつあるのですが、この貝で作った核は色つきが多いため、ロンガリットという還元剤による漂白や蛍光増白剤処理された物も市場に出ている状況です。

「あれれ?」と思われた方もいらっしゃるでしょうか。真珠層が透けないならば核にシミがあろうとなかろうと同じはずです。

養殖真珠の薄っぺらいペカペカ具合は、核の表面が透けて見えているからに他ならないのです。だから現代の養殖真珠では天然真珠の美しい輝きを表現することは不可能だと言えるのです。

「最高峰の花珠養殖真珠」

 

それでは「山海の恵み」に話を戻しましょう。

この見事なまでの照り艶の美しさは、神々しいとさえ感じます。

天然真珠
真円真珠ではありませんが、本物の葡萄の実のような形でサイズを揃えた天然真珠を、よくこれだけの数集められたなと思います。天然真珠業界が壊滅状態の現代と違い、史上最も天然真珠の価値が高かった時代の再末期だからこそある程度数が存在し、お金さえかければ選別して集めることができたのでしょう。

素晴らしい彫金

ホワイトゴールドの彫金

ホワイトゴールドで表現された葡萄の葉も、息をのむ美しさです。『山海の恵み』は、天然真珠がダイヤモンド以上に高価だった時代の作品です。天然真珠をこれだけ集められる予算があったのですから、もちろんこの作品も『至高のレースワーク』と同様に、コストダウンのためにプラチナではなくホワイトゴールドが使われたものではありません。

ホワイトゴールドの彫金

立体感ある葉の表面には、彫金で葉の質感と葉脈が表現されています。葉の質感は、日本の金工の技術である魚子打ち同様、表面に無数の点を鏨(タガネ)で打つことで作り出しています。均質なマット感を出すには高度な技術と手間が必要な、地味ながらも難しい細工です。

このような繊細緻密な彫金は、粘りけがあって柔らかいプラチナでは不可能で、硬さがあるホワイトゴールドだからできた細工なのです。

ホワイトゴールドの色の調整も、意図的に真っ白にはしていないのだと思います。葉がプラチナほど真っ白だったら、柔らかなピンクやクリーム色を帯びた主役の真珠を惹き立てるどころか、すごく違和感が出たはずです。

裏

葉の裏が綺麗に磨かれているのも、作者の心のこもった仕事の証なのです。

右上に文字が彫られていますが、作者のサインなのかどうかは分かりません。

個性の異なる天然真珠を使った葡萄らしい見事なセッティング

天然真珠 葡萄 ペンダント アンティーク

揃った物を集めたとは言っても、1つ1つ天然真珠には個性があります。

人間が見て無条件に「美しい!」と思えるようにこれらをセッティングするのは実は至難の業です。

高低差、角度、どこにどの真珠を配置するのか、一カ所バランスを間違っただけでも印象は大きく変わってしまいます。作者は相当頭を悩ませながら、計算に計算を重ねながら配置していったに違いありません。

天然真珠 葡萄 ペンダント アンティーク 裏

裏から見るとセッティング方法が分かります。葡萄の実をセッティングするそれぞれの箇所に、螺旋状にネジを切った金線を蝋付けし、専用の真珠セメントをかませて真珠を一個づつ固定します。固定する高さや向きを微妙に調整することで葡萄らしい自然の造形を表現するのです。それによって、光量やわずかな角度の違いで、もともと個性に富む真珠の輝きにさらに劇的な変化が生まれるのです。

天然真珠
本物の葡萄の実も、1つとして同じではありません。全部同じ形、色、艶の養殖真珠で作っても決して天然の葡萄の造形など表現することは不可能で、人工的な味気ないアクセサリーにしかならないでしょう。
天然真珠
天然真珠

撓わに実った実の隙間からも見える、実の配置が素晴らしいですね。これぞ、素晴らしい海の恵みで表現した山の恵みです。

天然真珠 葡萄 ペンダント アンティーク 裏 天然真珠 葡萄 ペンダント アンティーク

ちょっとしたことですが、イエローゴールドの蔓の表現も美しいですね。葡萄の房を収穫した断面も、わずかに凹ませた表現になっており、何から何まで本物の葡萄のようです♪だんだん美味しそうに見えてきて、思わず食べたくなってきました。まさに神の恵みのような葡萄なので、食べたら良いことがありそうですが我慢します(笑)

 

天然真珠 葡萄 ペンダント アンティーク

この画像のような、作りが良いアンティークのゴールドチェーンをご希望の方には別売でお付け致します。いくつかご用意がございますので、ご希望の方には価格等をお知らせ致します(チェーンのみの販売はしておりません)。現代の18ctゴールドチェーンをご希望の方には実費でお付け致します。高級シルクコードをご希望の方にはサービスでお付け致します。