No.00025 OPEN THE DOORS |
家族の写真を入れるにもピッタリの、4枚も写真が入るマルチロケット・ペンダントです♪ |
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『OPEN THE DOORS』 |
REGISTERED
ペンダントのサイドに解読可能な文字が彫金されています。 |
イギリスのアンティークジュエリーは金位を表す刻印がないことも少なくなく、最初に見たこともないこのマークを見て好奇心が湧きました。
「REGISTERED」ということで、特許なのか、商標登録や意匠登録のような物なのか調べてみたところ、どうやら商標登録のレジスターマークであることが分かりました。 この向きだと逆さになっていますが、文字の下に彫金されているマークが商標だと推測されます。 |
産業財産権制度の歴史
特許庁のHP | 現代では様々な権利が細分化され、広く認められています。 最近では2015年に日本でもようやく法改正で音商標(サウンドロゴやパソコンの起動音などの聴覚で認識される商標)が商標の対象になりましたね。 有史以前、人類の歴史が始まった時から発明の歴史は始まっていますが、せっかくのアイデアと権利を守りたい思いは当然です。少しその歴史について見ていきましょう。 |
世界初の特許
フィリッポ・ブルネレスキ(1377-1446年) "Brunelleschi" ©Hiro-o(2005年1月1日)/Adapted/CC BY-SA 3.0 |
近代特許制度の歴史を見てみると、現在知られる限りの世界で最初に特許が与えられた人物は、イタリアの金細工師、彫刻家、そしてルネサンス最初の建築家であるブルネレスキです。1421年にイタリアのヴェネツィア共和国から与えられました。 ブルネレスキは発想が鋭く、聡明で機智に富んでいたと言われており、遠近法の発明やオーダーの発見も彼のものとされています。 一番名声を大きな物としたのはサンタ・マリーア・デル・フィオーレ大聖堂のクーポラ建設でした。 |
サンタ・マリーア・デル・フィオーレ大聖堂(着工1296年、完成1436年) "II Duomo Florence Italy" ©MarcusObal(25 May 2008)/Adapted/CC BY-SA 3.0 |
サンタ・マリーア・デル・フィオーレはイタリアにおける晩期ゴシック建築および初期ルネサンス建築を代表する、巨大なドームが特徴の大聖堂です。フィレンツェのシンボルで、現在も見ることができます。1296年から建設が始まり、ようやく1418年にクーポラ(ドーム部分)を残すのみとなりました。ご覧の通り、他の箇所が全て完成した時点でかなり大きくて高さもあるクーポラが必要となってしまったため、当時建設が不可能なのではという状況に陥ってしまいました。 |
サンタ・マリーア・デル・フィオーレ大聖堂のクーポラ(1436年) "View of the Duomo's dome, Florence" ©Frank( K. 15 August 2008, 19:59:14)/Adapted/CC BY 2.0 | クーポラの模型公募が布告され、当時の有名建築家4名からの応募がありました。 当時の建築技術ではドームを築くには巨大な足場と仮枠が必要で、非常な困難を伴うことが予想されていましたが、何とブルネレスキは独立した2重の構造を持つドームを仮枠なしで築く案を提出したのです。 危険ではないかなどの批判はあったものの、最終的にブルネレスキ案が採用されました。1436年に見事完成し、このクーポラは木の仮枠を組まずに作られた世界最初のドーム、かつ建設当時世界最大のドームとなりました。 このクーポラの建設に使用する大理石運搬のため、ブルネレスキはアルノ川を渡る資材運搬船も発明しています。この資材運搬船による全ての利益を確保することが保証された権利を、ブルネレスキは共和国政府から与えられており、これが世界最初の特許とされています。 |
イギリスにおける産業財産権制度の発達
中世イタリアで誕生した近代特許制度ですが、発展したのは産業革命に沸くイギリスでした。 イギリスでは1624年に「専売条例」が成文特許法として制定され、これによって今日に至る特許制度の基本的な考え方が明確化されたとされています。実はイギリス人は大の発明好きで、日本人の感覚からすると笑っちゃったり意味不明なものまでとりあえず作ってみたりします。 貴族の発明家も結構いました。試作品を作るにもお金と時間が要りますし、発明するにも様々な知識を必要としますから、一定以上の教育を受けられないと無理です。江戸時代の日本は寺子屋などで庶民にまである程度教育が行き渡っていましたが、ヨーロッパでは上流階級が富だけでなく知識も独占していました。 意匠制度は1711年にフランスのリヨンで始まりました。イギリスでは1787年に条例が制定されています。ただ、織物の意匠が対象で今回のロケットペンダントとは関係ないので割愛します。 さて商標について、当初イギリスやアメリカで普通法により、詐欺に対して保護されていましたが、1857年にフランスで「製造標及び商業標に関する法律」が制定されたのが最初です。イギリスでは1862年に虚偽表示を禁止する商品標法が制定された後、1875年に先使用主義を明らかにした商標登録法が成立しました。 |
商標登録マーク
商標とは、簡単に言うとどのメーカー(誰)がその商品を提供しているのか、消費者に分かりやすく知らせるためのマーク(標識)です。 何と、このロケットに記されている商標マークは、イギリスで商品標法が制定された1862年当時に登録された物ということですね。 |
マルチロケット機構
特許庁のHP | ちょっと堅い話が続いて分かりにくかったかもしれませんが、商標とは結局ブランドを守るためのものです。 商品に「HERITAGE」と付いていたら、「HERITAGEが提供している物なのだから、品質もセンスも全て、まず間違いない」と思ってもらうためのものです。 |
ロケットの商標がどういうメーカーの物だったのかは分かりませんでしたが、当時プライドと自信をもって品物を作っていたブランド品というのは間違いないでしょう。 看板を背負ったお品物なだけあって、やはり機構も細工も納得の素晴らしさです。 |
こちらは一見同じ画像に見えるかもしれませんが、これはペンダントの表裏の画像です。ドアノブや右側の蝶番の位置などは同じですが、よく見ると彫金のデザインが全く異なります。 |
このように、両面のドアが開いてそれぞれに2枚づつ、合計4枚も写真入れることができます!♪ さすが、ブランド登録するメーカーの作品だけありますね〜。 |
威厳のあるイギリス紳士の写真が入っていますが、もちろん取ることは可能です。4人家族の写真でも、4人兄弟の写真でも、愛する1人の人の4種類の笑顔を入れても良いと思います。 |
『マジック・ボール』 過去には何と写真が6枚入れることができるマルチロケットを販売したこともあります。こちらはオーストリアの物ですが、欧米人は本当に家族や恋人などの写真を持ち歩くのが好きですよね。 愛する人たちを大切に想う心が伝わってきます♪ |
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素晴らしい彫金細工
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一円玉とサイズを比較すれば、このロケットがいかに小さいものかお解り頂けると思います。 このロケットの最も細い線は、肉眼では見えないほどの超繊細な、脅威の彫金が施されています。 |
表裏で模様を変えて彫金してあるのが、ハンドメイドの高級なゴールドロケット・ペンダントの証です。 現代の量産品だとマスターとなる型を作って、鋳造で同じ形をいくつも作ることになるのですが、マスター作成には手仕事が必要で、かなりのコストがかかるため同じものをたくさん製造しないとペイしないのです。気づかれないかもしれないのに、倍のコストをかけて両面異なるデザインにするわけがないのです。 |
両開きにして写真を4枚入れるため、多少厚みがあります。両サイドにまで手抜きなく細密な彫金が施されています。よくぞこれだけの手間をかけて作ったものです。現代では、コストを考えたら絶対に作りたくないでしょう。 |
両面に扉があって、実際に開くことができるというデザイン自体とても気が利いていますよね。 |
「私の心の扉を開いて・・・」 それとも、
愛が詰まった小さなロケットです♪ |
もちろん写真を入れなくても楽しむことができます。どの角度から見ても素晴らしい彫金を施してあるのは、見ていて心が豊かになるものですし、これこそアンティーク・ジュエリーの魅力です♪ |
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360度が見所なので、ペンダントだけでなくチャームとして使っても楽しいと思います。ブレスレットなどに付ける時、現代物だと裏側は本当にちゃちで、みっともなかったりするんですよね。このロケットならどれだけひっくり返って裏側が見えても大丈夫です!♪裏側をどちらなのか定義することすらできません(笑) 作りが良いアンティークのゴールドチェーンをご希望の方には、別売でお付け致します。いくつかご用意がございますので、ご希望の方には価格等をお知らせ致します(チェーンのみの販売はしておりません)。現代の18ctゴールドチェーンをご希望の方には実費でお付け致します。高級シルクコードをご希望の方にはサービスでお付け致します。 |