現代のコンピュータによる計算と機械研磨による「工業製品」としか言えない無個性のダイヤモンドには、感覚的に魅力を感じられない方も多いと思います。アンティークのダイヤモンドは実に個性に富んでいます。上に3種類のカットを並べてみました。オールドヨーロピアンカットはブリリアンカットに比べてテーブルが小さく、ダイヤモンド自体に厚みがあることがお解りいただけると思います。見た目よりカラット数が多い贅沢なカットと言われる所以です。テーブルの大きさ、クラウンの高さ、パビリオンの深さ、キューレットのカットの面積。カットによって煌めきや印象が大きく変わります。
オールドヨーロピアンカットの輝きは、現代のブリリアンカットと全く異なります。テーブルの厚みがあるためファイアが出やすく、ダイナミックなシンチレーションも発生しやすいのです。対してブリリアンカットはチラチラ輝く、おとなしい輝き方です。この辺りは好みもあるかもしれません。
採掘したダイヤモンド原石の全てが宝石にできるわけではありません。深さのあるオールドヨーロピアンカットが取れる上質な石は、極めて稀少です。厚みのあるオールドヨーロピアンカット・ダイヤモンドは、八面体の結晶から1粒だけを取ります。一方で現代のブリリアンカット・ダイヤモンドは八面体の原石から2粒得ます。石に厚みのない、薄っぺらいカットだからできることです。そうして歩留まりを上げ、利益率を上げているのです。 |