No.00187 忘れな草

マイクロ彫刻画 18世紀 シャトレーン 懐中時計 シャトレーン 18世紀 懐中時計 マイクルパール リング アンティーク カーブド マザーオブパール扇 アンティーク
繊細美の極致

18世紀後期(1770年頃から1800年頃)はマイクロ彫刻画を始め、マイクロパールなどHERITAGEが最も高く評価する、『繊細美の極致』と言える歴史上最も細密な細工を施した作品が集中して作られた時代です。

ヨーロッパ各国の王妃の為に作られたマイクロ彫刻画の重要な作品(トップ画像の右下)は、現代の貨幣価値に換算すると20億円以上もの価格だったと言われるほど超高額な物で、このことからも絵画と工芸品の評価が逆転していた異例の年代であることが分かります。

歯車一個からすべて手作りの1770年代の懐中時計(左上)、こんな小さな天然真珠があったとはと驚くばかりのマイクロパールの指輪(左下)、マザーオブパールに超繊細な透かしを彫った扇なども、すべてGenが扱ったこれらのミュージアムピースと言える貴重な作品もこの年代に作られた宝物です(それぞれの画像をクリックすると詳細がご覧いただけます)。

そして今日このページでご紹介するブルーギロッシュエナメルの『忘れな草』のペンダントも、18世紀後期の最高水準のギロッシュエナメル施した、この年代の特徴が詰め込まれた素晴らしいジュエリーなのです!!!♪

 

18世紀のロッククリスタル シールフォブ
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ブルー ギロッシュエナメル ペンダント 忘れな草 18世紀 オールドヨーロピアンカットダイヤモンド シャンルベエナメル 最高級
ブルー ギロッシュエナメル ペンダント
『忘れな草』

『忘れな草』
ブルー・ギロッシュエナメル ペンダント

フランス? 18世紀後期
(1780年〜1800年頃)
オールドヨーロピアンカット・ダイヤモンド、ブルー ギロッシュエナメル、ホワイト・シャンルベエナメル、シルバー&ゴールド、吹きガラスの風防付き
¥1,380,000-(税込8%)


史上最高に美しい18世紀のギロッシュエナメル、超難度のガラスの風防、異例とも言える最高級のダイヤモンドの贅沢な使い方
18世紀後期の作品ならではの、様々な素晴らしい要素をいくつも兼ね備えた、逸品中の逸品の最高級のペンダントです♪

 

このペンダントの4大見所
ブルー ギロッシュエナメル ペンダント『忘れな草』

1.史上最も美しく高度なエナメルの技術があったとされる18世紀のエナメル
 1-1.ギロッシュエナメル(忘れな草の背景)
 1-2.シャンルベエナメル(ギロッシュエナメル外周)
 1-3.ドットエナメル(シャンルベエナメル外周)

2.ガラスの風防

3.時代を超えた美しいデザイン

4.贅沢なダイヤモンド

見所1.史上最も美しく高度なエナメルの技術があったとされる18世紀のエナメル

ブルー ギロッシュエナメル ペンダント
『忘れな草』

このペンダントには3つのエナメルの技法が用いられています。
・ギロッシュエナメル(忘れな草の背景)
・シャンルベエナメル(ギロッシュエナメル外周)
・ドットエナメル(シャンルベエナメル外周)

歴史上の中で、18世紀は最も美しく高度なエナメルの技術があったとされていますが、その歴史について少し見ていきましょう。

ルネサンス期のエナメル

アンティークジュエリー ルネサンス イギリス王室コレクション ペンダント スコットランド
『ダンリーもしくはレノックスの宝石』(スコットランド? 1571-1578年頃)英国王室蔵
コバルトブルーガラス、ビルマ産ルビー、インド産エメラルド、エナメル、ゴールド

このハート型ロケット(タブレット)は、英国王室コレクションの中でも最も重要な初期のジュエリーの1つとされています。ルネサンス期以前の中世ヨーロッパは『暗黒時代』とも言われ、経済や文化的にそれまでの古代ローマと比べて大きく後退し、停滞していた時代です。

14世紀のイタリアに始まり、16世紀まで続いたヨーロッパの文化・芸術上の動きをルネサンスと言います。ルネサンスはラテン語で『再生』や『復活』を意味するのですが、中世の封建社会と神中心の世界観の束縛から、人間性の自由・解放を求め、ヒューマニズムと個性を尊重するという思想と相まって、ジュエリーも色彩の鮮やかなものが好まれたのが特徴です。

色彩鮮やかで美しいジュエリーを実現するために、このルネサンス期に大きく発展したのがエナメルの技術でした。この時代はガラスに鮮やかな色を付けるのも至難の業です。メインストーンコバルトブルーのガラスですね。現代のように加熱や着色処理などされていないルビーやエメラルドなどの鮮やかな宝石とともに、400年以上の時を経過しても色褪せることないエナメルは永遠の芸術なのです。

ルネサンス時代のエナメルで制作されたエリザベス女王のアルマダ・ジュエリー

『The Heneage Jewel(The Armada Jewel)』(イギリス 1595年頃)V&A美術館蔵
テーブルカット・ダイヤモンド、ビルマ産ルビー、ロッククリスタル、エナメル、ゴールド

現代では猫も杓子も(笑)望めばジュエリーを身につけることができる時代ですが、ルネサンス期は特に絶対的権力と財力を持つごく限られた王侯貴族しかジュエリーは持てない時代でした。作られた絶対数自体が少ないですし、デザインが古くさくなったジュエリーは宝石だけ取り外されてリメイクされたり、400年以上の時の経過の中で壊れて失われるなどしており、今ではほぼ美術館などで見ることしかできません。

こちらのロケットもスペインの無敵艦隊アルマダを破った数年後に作られた、偉大なるイギリス女王エリザベス1世を描いたロケットです。裏側には嵐の中を安全に運行する船が描かれています。イギリスの教会を意味する船が、エリザベス女王の舵取りの元、宗教的な混乱の中を無事に航行する様子を表すそうです。

この時代は宝石の産出量的な制限に加えて、カットする技術も未熟でした。宝石の価値だけがジュエリーの価値となるような現代と違い、他では表現できない色彩鮮やかなエナメルは王族のジュエリーの主役級になるほど価値がありました。高度な技術がないとできない上、大変な手間と時間もかかるのですから当然のことなのです。

18世紀後期の美しいギロッシュエナメル

18世紀 ギロッシュエナメル エナメルボックス ヴィクトリア&アルバート美術館

エナメルで金属に色を付ける場合、薄いエナメルの層で色鮮やかに発色させるのは大変難しいことであり、技術の見せ場でもあります。

ルネサンス期のエナメルでは、過剰とも言える量の着色料が添加されることも多々ありました。

ルネサンス期でジュエリーの主役となったエナメルは、18世紀に技術的に大きく発展します。あのロシアの天才プロデューサーも18世紀の特にフランスのギロッシュエナメルに魅了され、再現しようと切磋琢磨し、各国の王侯貴族に愛された有名なファベルジェのエナメルにつながっていきます。

『プロイセン王フリードリヒ2世』
フランス(パリ) 1776-1777年頃
V&A美術館蔵

18世紀 ギロッシュエナメル エナメルボックス ヴィクトリア&アルバート美術館 18世紀 ギロッシュエナメル エナメルボックス ヴィクトリア&アルバート美術館
『エナメルボックス』 スイス 1790年頃(V&A美術館蔵)

このページに掲載している18世紀末のエナメルボックスは全てヴィクトリア&アルバート美術館で所蔵しているものです。5月にロンドンで実物を心ゆくまで堪能してきました。優れたギロッシュエナメルは、光の加減で変化する美しさが魅力なので、ぜひロンドンに行かれることがあったら見に行っていただきたいです。

18世紀 ギロッシュエナメル エナメルボックス ヴィクトリア&アルバート美術館 18世紀 ギロッシュエナメル エナメルボックス ヴィクトリア&アルバート美術館
『エナメルボックス』 ドイツ(ハナウ) 1780-1790年(V&A美術館蔵)

いずれのエナメルボックスも、その豪華な作りには圧倒されてしまいました。想像いただければ分かると思いますが、身につけるジュエリーにまではお金をかけることができても、自分だけが楽しむための小物にお金をかけられる人は殆どいません。言わば究極の贅沢品なのです。

18世紀 ギロッシュエナメル エナメルボックス ヴィクトリア&アルバート美術館 エカチェリーナ2世 ロシア皇帝 18世紀 ギロッシュエナメル エナメルボックス ヴィクトリア&アルバート美術館
『ロシア皇帝エカチェリーナ2世』 フランス(パリ) 1780-1781年(V&A美術館蔵)

元々は理系サラリーマンで世界の歴史や文化には全然精通しておらず、この女性の顔を見ても一見では誰か分からなかったのですが、とても美しく豪華な細工に興味を持って説明書きを見たらエカチェリーナ2世でした。こういうエナメル細密画はさらに特権階級しかオーダーし得ない高価なものです。右の画像を見ると、細密画はエナメルであるにも関わらず風防でさらに防護してあり、いかに貴重であったのかが感じられます。

18世紀 ギロッシュエナメル エナメルボックス ヴィクトリア&アルバート美術館

こちらはエナメル細密画にガラスの風防まではありませんが、その作りからかなりの高級品であることが分かります。

この年代、このクラスの物が市場に現れることはほぼなく、美術館に見に行くしかありません。代々伝わる出元がしっかりしている物ばかりで、現代ではほぼ美術館蔵か名家のプライベートコレクションです。

ルネサンス期と18世紀の一級品のエナメルはヨーロッパの美術館でしか見ることができないから、私の初ロンドンは買付けでなく美術館巡りに集中すべきとGENが助言したのもこういう理由からです。

『シュリー公爵夫人』
フランス(パリ) 1783-1784年
V&A美術館蔵
18世紀 ギロッシュエナメル エナメルボックス ヴィクトリア&アルバート美術館
18世紀 ギロッシュエナメル エナメルボックス ヴィクトリア&アルバート美術館

17世紀までのエナメルと18世紀以降のエナメルは着色する材料の組成が異なるため、100%ではありませんが科学的な組成分析で判別することが可能です。18世紀以降のエナメルは、着色に用いられる材料の不純物が取り除かれ、より透明度が高く鮮やかな色となるのが特徴です。

何度も塗り重ねられて厚みを出したエナメルからの、奥深い所からの発色とそこから垣間見えるギロッシュエナメルの地模様の輝きには、この時代特有の人を魅了して離さない美しさがあります。これがまさにファベルジェも虜になった美しさなのです。

ちなみにこれらのエナメルボックスはV&A美術館に行けば無料で見ることができますが、ジュエリーコーナーではなくこういう小物のコーナーにあります。ディスプレイされたガラス越しに見られるのはごく一部で、収蔵品の大半は「ご自由に引き出しを開けてご覧ください」との説明書き通り、自分で重い引き出しを引っ張り出さないと見られません。ほとんどの人は気づかないか興味がないかでその場をスルーしていたので、見に行かれる際はご注意ください。

皇帝から愛されたファベルジェやロシアのエナメル

ロシアン クラウン・ジュエリー ファベルジェ ギロッシュエナメル

『永久に美しいファベルジェのエナメル』

ロシアン クラウン・ジュエリー(ブローチ&ペンダント)
ロシア 1900年頃
ファベルジェ作(マークはありません)
サーモンピンク・ギロッシュエナメル、ローズカットダイヤモンド、シルバー&ゴールド
3,2cm×3.2cm 重量18,5g
Sold

ファベルジェは職人ではなくプロデューサーなので、工房には最大2,000人くらい職人がいて、たくさんの作品が作れました。そこそこ数があって市場に一定量供給でき、『ファベルジェ』の名前だけで感性がない人にも売りやすいので、プレミアが付いて現代も高額で取引されています。ギロッシュエナメルと言えばファベルジェを連想する人も多いのではないでしょうか。

 

ロシア ギロッシュエナメル ミントグリーン サイベリアンアメジスト ベルプル 召使いの呼び出し

ファベルジェのお陰で当時ロシア全体のレベルが向上し、ファベルジェ商会以外でも多数の美しい品々が制作されています。

上のアレクサンドラのブローチも、このベル・プルもギロッシュエナメルの地模様がはっきり見えますね。

ファベルジェの時代のエナメルには、18世紀の深い所から発色するような奥深さはありません。誰にでも分かりやすい、パッと見て全て理解できてしまう美しさ、それがファベルジェの時代のエナメルです。

研究を重ねても、18世紀のエナメルにまでは到達することができなかったのです。まあでもロシアンジュエリーにはまた別のたくさんの魅力がありますが♪

『Bell Pull』
ロシア 1900年頃
ペパーミントグリーン・ギロッシュエナメル、ホワイトエナメル
サイベリアン・アメシスト、14K
6,2cm(本体のみ) 直径2cm(最大)
重量16,3g


ファベルジェ 傘の柄 白鳥
傘の柄
ファベルジェ ロシア 1890〜1900年頃
ロッククリスタル(水晶)、ルビー、ローズカット・ダイヤモンド、ギロッシュエナメル、ゴールド
オリジナルバックスキンケース付
18世紀のエナメルほどの厚みは感じられないファベルジェのエナメルですら、通常は6回釉薬を塗って炉で焼いていたそうです。18世紀のエナメルはその奥深い色合いを出すために、一体何回その作業を繰り返していたのでしょうね。

現代の最高級時計に残るエナメルワーク

現代では本来のエナメルの良さを知る人は殆ど存在せず、超高級時計を超高額で売るための言い訳のような物に成り果てています。

「エナメルは難しい技術です。だからエナメル文字盤を採用した時計は最高級品で高いんです。」

エナメルはガラスを粉末状に砕き、水と混ぜた『釉薬』で作ります。

ファベルジェは130色くらいの色を出すことができたと言われています。

釉薬を文字盤に塗ったり、粉末の状態のままふるいにかけてガラス質を乗せます。

均一に乗せないとガラスにムラが出ますし、酷いと凹凸になってしまいます。泡が入ってもいけません。

釉薬を塗ったら数百度の熱で炉に入れて焼きます。

釉薬を塗っては焼くという行程を何度も繰り返すことで、エナメル文字盤が完成します。

少しでも気を抜いてミスをすると割れやムラに繋がる、技術と忍耐力と経験値を要する大変難しい技術なのです。

エナメル技術の難しさは何度も同じ工程を繰り返すこととされており、お尻の痛みとの戦いとも言われています。塗って焼くのを繰り返すだけなら簡単そうと思われるかもしれませんが、経験値を持つ超一流の職人が作っても75%くらいは不良品となってしまうそうです。歩留り25%だから高くなるというのが言い訳ですが、だったらもっと高度なことをやっていたアンティークの時代はどうだったのだろうと思ってしまいます。

優れた職人や感性を持っている人ならばアンティークの仕事の良さを理解することは可能なはずです。でも、それを一般人に知られてしまうと商売が成り立たなくなってしまうのです。自分たちが生活していけなくなることを承知で、敢えて昔の優れた物を周知させるのは不可能なことでしょう。

技術は進化し続けるのが当たり前。現代の物の方が昔より優れているはずなのだから、昔の作品なんて見る必要はない、一般的にはそういう思い込みもあり、真に優れた昔の良いものは「知られざる良いもの」になってしまっているのです。そういう良いものを知らない人は、この文字盤を見て尤もらしく「深く鮮やかなブルーの偽ロッシュエナメルは、他には類を見ない美しさ」とコメントしてしまうのです。

こういう文字盤ですら現代では作るのが難しく、その姿を見ることが少なくなっており、現代でもエナメル文字盤を採用するのはごく限られた一部のメーカーになっています。

見所1-1.18世紀後期のギロッシュエナメル

ブルー ギロッシュエナメル ペンダント
『忘れな草』
現代や19世紀以降のギロッシュエナメルとは明らかに違う、深い海の深淵から発色するような18世紀独特のエナメルの美しさには息を飲むばかりです。
ブルー ギロッシュエナメル ペンダント
『忘れな草』

通常の光の下では地模様が見えにくいため、撮影ではライトを強く当てていますが、それでもこれだけ深い発色があります。

エナメルは時が経っても色あせることなく美しさを保つのが魅力ですが、このエナメルも200年経っていても美しいままです。

そして今後もずっと美しいままでしょう。

大量消費に慣れ、古くなれば捨てて買い換えれば良いという感覚が当たり前の現代社会に生きる私たちにとっては分かりにくいものですが、永遠に変わらない美しさというのは本来とても価値あるものだったのです。

見所1-2.18世紀後期のシャンルベエナメル

ブルー ギロッシュエナメル ペンダント
『忘れな草』

ギロッシュエナメルの周囲には、白いシャンルベエナメルが施されています。深い鮮やかなブルーと白のコントラストが清楚で、印象深さを増すのに効果的な役割を果たしています。

このシャンルベエナメルに文字らしきものが見えますが、これは金エナメルで描いているのではなく、エナメルを施すための金の地金の文字部分は彫り残してあるのです。これがシャンルベエナメルの特徴で、このような手間を掛けているからこそ、筆で描いた文字のように消えることはないのです。

18世紀のジョージアンのペンダントにシャンルベ・エナメルで施された文字

白のシャンルベエナメルのゴールドのフレームには、上下ともにミルのような細かい模様が打たれています。

地金を彫ってつくるシャンルベエナメルだからこそできる細工です。

V&A美術館所蔵の18世紀のギロッシュエナメル&シャンルベ・エナメルによる薔薇モチーフのモーニングリング

左も同じ年代のモーニングリングですが、白いシャンルベエナメルの金のフレームには同様のミルが施されています。

美しいギロッシュエナメルや、本来は必要ないエナメル質の細密画にガラスの風防を付けるという特徴も共通しています。

この時代らしさ溢れる美しい作品です。

『モーニングリング』
イギリス 1792年
V&A美術館蔵
ブルー ギロッシュエナメル ペンダント
『忘れな草』

このペンダントのシャンルベエナメルには文字らしきものがあります。

買付け時にベテランのイギリス人ディーラーに解読を要請しましたが、ラテン語なのか古語なのか何語なのか、経験を積んだイギリス人でも分からないとのことでした。

実際のところ肉眼では気づかないくらい細かいため、最初尋ねてみたら「文字なんてあったっけ?え、どこ?」と驚かれたくらいでした。

「視力良いね、いくつ?」なんて聞かれてしまいました。私はまだ老眼が出ていないだけだと思いますが、老眼を英語で何と言うか分からないのでスルーしました(笑)

見所1-3.18世紀後期のドットエナメル

ブルー ギロッシュエナメル ペンダント
『忘れな草』

エナメルの最外周には、ブルーのエナメルに白いドットが施されています。言われないとおそらくほとんどの人は気づかない細工です。ここまでやるのかと思ってしまいますが、それがこの異例の年代、1770-1800年の18世紀末の時代の美術工芸品の特徴なのです。

ブルー ギロッシュエナメル ペンダント
『忘れな草』 こういう細工は職人が手間や時間関係なく、とにかく持てる技術全てを使って美しいものを作ろうとする心が伝わってきて嬉しくなります♪
スイベルリング 回転式リング 18世紀 フランス ドットエナメル ガラスの風防 エナメルミニアチュール アンティークジュエリー

スイベルリング(回転式指輪)

フランス 1780年頃
18K、エナメル・ミニアチュール(七宝細密画)、ギロッシュエナメル、 ガラス、象牙又はマザーオブパール
SOLD

上のリングも過去に販売した、異例の年代に作られたリングです。このスイベルリングも、フレームのエナメルに白いドットが施されています。

また、エナメルミニアチュールや金細工にまで、本来ならば必要としないガラスの風防がセットされています。

18世紀末のこの時代は本当に19世紀初期と比べても圧倒的にジュエリーを身に着けられる人は少ない時代でした。現代人の感覚で見るとエナメルは一見地味ですが、限られた人のための最高級品として作られたからこそ、これだけ手間がかかった素晴らしい細工が施されているのです。

鮮やかで色あせることのないエナメルは高級品の証だったのです。

カルロ・ジュリアーノ ペンダント アンティークジュエリー ルネサンス

ドットを使ったエナメルはジュリアーノスタイルとして有名ですが、ジュリアーノが師事したカステラーニは古代の作品にインスピレーションを受けていますし、ジュリアーノがルネサンス期のエナメルにインスピレーションを受けたことも有名です。

優れた作品のクリエーションのために、18世紀のエナメルも当然見ていることでしょう。きっとインスピレーションを受けたはずです。

ジュリアーノもアンティークジュエリーの世界ではブランドのような扱いを受け、ジュリアーノでさえあれば出来不出来は関係なく高値で取引されるようになっていますが、有名作家がいなかった時代にも優れた作品はいくらでも制作されているのです。

それらを愛でるのは、感性がある人だけの贅沢な世界なのかもしれませんね。左のジュリアーノの作品はもちろんGENが自信を持って扱ったジュリアーノによる素晴らしい作品です。

カルロ・ジュリアーノ作 クロス・ペンダント
制作年代 1880年頃
天然真珠、オールドヨーロピアンカット・ダイヤモンド、エナメル、18ctゴールド
SOLD

見所2.ガラスの風防

ブルー ギロッシュエナメル ペンダント
ガラスの風防の内部にあるのは、エナメルやシルバーにセットされたダイヤモンドです。
エカチェリーナ2世 エナメルボックス
『ロシア皇帝エカチェリーナ2世』 フランス(パリ) 1780-1781年(V&A美術館蔵)
エナメルボックス

エカチェリーナ2世のエナメルミニアチュールに風防がセットされていることからも想像できる通り、本来ならば必要としない風防は高級品の中でも最高級であることの証です。

『シュリーの公爵夫人』
フランス(パリ) 1783-1784年
V&A美術館蔵

ブルー ギロッシュエナメル ペンダント

風防に使われている吹きガラスはかなり厚みのある堅牢な物です。中のダイヤモンドの忘れな草も結構な厚みがある立体物である上、その上に十分な空間を持たせるため、カバーするガラスにもかなりの曲率が必要とされます。

小さな半球状で均一の厚さの風防を吹きガラスで作るには、高度な技術を持った職人でも非常に難しい作業です。
小さな泡が入ったり、厚さが均一でなかったりする筈なので、おそらくこの風防一つを作るために何個も作り、その中から良い出来の物を選んで使っている筈なのです。この風貌だけでも、どれだけの歩留まりだったのだろうと思います。

ブルー ギロッシュエナメル ペンダント
『忘れな草』

ガラスは形さえできていれば良いわけではありません。少しでも歪みがあれば、レンズ効果により忘れな草も歪んで見えてしまっていたことでしょう。

マイクロパール ペンダント

イギリス 1800年頃
マイクロパール(極小真珠)、ブルーギロッシュエナメル、ホワイトエナメル、スプリットパール(天然真珠)
※吹きガラスのカバー付き
4,6cm×3,7cm(本体のみ)
Sold

マイクロパールは滅多に見ることがない、繊細で美しい芸術品ですね。

パールが取れないよう、風防で守る必要があります。

ギロッシュエナメルの外周のエナメルは、ガラスの風防の外側にあることで、中のマイクロパールで描かれた花束の大切さが強調されています。

このペンダントも、18世紀後期ならではの最高水準のギロッシュエナメルが施されており、改めてこの異例な年代の素晴らしさを感じます。

ブルー ギロッシュエナメル ペンダント
『忘れな草』

このペンダントの場合は、エナメルで書かれた文字も含めて風防の内側にあります。

中央の忘れな草と、おそらく持ち主にしか読めなかったシャンルベエナメルの文字に、どれだけ大切な意味があったのかが伝わってくるではありませんか。

GENはガラスの風防がついたジュエリーは感覚的にとても好きだと言うのですが、最高級品なので作りは間違いないことに加えて、当時の人の「愛」の気持ちが何となく伝わっているからかもしれませんね。

見所3.時代を超えた美しいデザイン

ブルー ギロッシュエナメル ペンダント
『忘れな草』

色あせないエナメルを使っていることに加えて、このペンダントから古くささが一切感じられないのにはいくつか理由があります。

その1つがペンダントの本体上部にあしらわれたリボンのデザインセンスの良さです。

立体的に交差しているよう見える作りにしているのがお分かりいただけるでしょうか。

まるで本物の1本の紐でリボンを結んだかのようです。

ブルー ギロッシュエナメル ペンダント
『忘れな草』
ブルー ギロッシュエナメル ペンダント
『忘れな草』

見所4.贅沢なダイヤモンド

ブルー・ギロッシュエナメルとシャンルベ・エナメルが美しいジョージアンの勿忘草モチーフのアンティークのダイヤモンド・ペンダント

このペンダントのダイヤモンドにもご注目ください。

18世紀のものとは思えないくらいクリアな色で、しかもいずれの石も美しく光り輝いているのがお分かりいただけるでしょうか。

驚くべきことに、使われているダイヤモンドは小さな石も含めてすべてオールドヨーロピアンカット・ダイヤモンドなのです。

通常、小さな脇石はローズカットが使われるため、特筆すべき極めて珍しい特徴と言えます。

ローズカットダイヤモンドではないこと、石がクリアな色だからこそ、このペンダントには古くささが感じられないのです。

ブルー ギロッシュエナメル ペンダント
『忘れな草』 煌めきすぎて画像では分かりにくいですが、全てが厚みのある上質なオールドヨーロピアンカット・ダイヤモンドです。

ローズカットの方がカットの面数が少ないのと、原石の無駄になる部分が少ないため、普通はコストの関係からもローズカットを使うことがほとんどなのです。

当然ながらカットの面数が多く、石に厚みがあるオールドヨーロピアンカット・ダイヤモンドの方が魅力的な輝きがあります。

石の留め方も爪留と覆輪留による丈夫な留め方だからこそ、200年以上の時を経ても石が落ちていないのです。覆輪のシルバーのミルも丁寧かつ見事に磨かれており、完璧です。

裏

一番上のダイヤモンドのみ、オープンセッティングになっています。ダイヤモンド1つとってみても、このペンダントがいかに当時としても異例の最高級品として作られたのかが分かります。

裏も丁寧に彫金を施してあり、ヘア・コンパートメントには愛する人の髪の毛が入っています。



ブルー ギロッシュエナメル ペンダント リボンに下げた画像
実物大
←実物大
ブラウザによって大きさが違いますが、1円玉(直径2cm)を置いてみれば実物との大小の比率が分かります。

クラシックな雰囲気で着けるのも素敵だと思います。ご希望の場合はベルベットのリボンはサービスでお付け致します。

現代のシルバーのチェーンをご希望の方には実費でおつけします。長さにもよりますので、別途見積もりをお出し致します。


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