No.00147 情愛の鳥 |
鳥モチーフ・ジュエリーの最高傑作!!!♪
『情愛の鳥』 |
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鳥モチーフはいつの世も人気があり、他の生き物と比べて優れた作品がいくつも生み出されています。今までも優れたデザインと細工の作品を扱ってはいますが、この作品が今までで最も優れた作品だと確信しています。 |
このバード・ブローチの8大見所
1. 天然真珠としては完璧な卵型の珠を三つも使っている 2. リアリティーに溢れる、360度完全立体的に黄金の線を編んで作られた鳥の巣の作りが素晴らしい 3. プラチナが本格的に市場に現れる1905年以前の1870年頃にプラチナが使われているのは極めて珍しい 4. すべてのダイヤモンドが、厚みのある最上質のクッションシェイプカット・ダイヤモンドを使っていること 5. プラチナとスリーカラー・ゴールドに施した、19世紀最高水準の彫金 6. 立体感のある素晴らしいデザイン 7. 手に持った時に、心地よい重みを感じる贅沢な金の使い方 8. パーフェクトコンディション |
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見所1. 3つの揃った卵形の天然真珠
これが天然の真珠とは到底思えないような三つとも完璧な卵型で、大きさも色も、美しい照り艶まで完璧に揃っているのですから開いた口が塞がりません!! |
見所2. 黄金の線で編まれた360度立体的な鳥の巣
奇跡のように美しい天然真珠の卵達が収められているのは、実にリアルに表現された黄金の巣です。 金線を立体的に編み上げ、本物の巣のような形にしています。 巣には小さな黄金の木の葉が三枚さりげなく混じっており、細部に至るまでの緻密な表現には本当に感動するばかりです。 |
横から見ても素晴らしい表現です。金線はいかにも人工的な規則正しい編み方ではなく、如何にも鳥が小枝を集めて一生懸命に作ったというイメージにしてあります。このバード・ブローチの作者は単なる職人ではないのです。独創的なデザインを創造できるアーティストでもある、「人の技、それとも神の技・・?」のスーパー職人なのです!♪ |
見所3. プラチナが使用された古い時代の作品
鳥の胴体と羽の一部に、白い金属が使われています。19世紀のジュエリーでは余程の高価なハイクラスの作品にしか使われることの無かったプラチナと推測されます。 これは、このブローチが驚くほどお金をかけて作られた特別オーダーの作品か、作者がコンクール出品の為に精魂込めて作ったかのどちらかだと思います。 そうでなければ、これだけ全ての条件を備えた素晴らしい作品は存在し得ないのです!! |
これはルネサンスで販売した、1850年代頃にオランダの貴族ジュブリー家が作らせたブレスレットです。この特別な作品にも、部分的にプラチナが使われています。 |
これだけ拡大すると、如何に繊細な彫金なのか分かります。プラチナは金よりずっと粘り気があるので、金のような繊細な彫金は絶対に不可能と言われています。それにも関わらずこの繊細な彫りは、正に超絶技法と言えます!!! このような神懸かり的な彫金がプラチナに施せるようになるには、相当な時間をかけて猛練習をしたに違いありません。普通はプラチナは20世紀初頭、エドワーディアンにならないとジュエリーの一般市場に出てきませんし、エドワーディアンでもプラチナは今の数十倍は高価だったので、裏側をゴールドバックにしているのです。このバード・ブローチが作られた時代のプラチナは、それこそ天文学的な価格だったに違いありません。超高価な素材を使い、それに見合う職人が技の全てを注ぎ込んで作り出したのがこのバード・ブローチなのです。如何に高価で芸術的にも価値ある作品だったかがご想像頂けると思います!!♪ |
羽の一部にもプラチナが使われており、そこにも周囲のカラーゴールドと同様の彫金が施されています!!♪ この細かな彫金が、実物を肉眼で見た時に、実に柔らかく手触り良さそうな羽毛らしい輝きを放つのです。 |
仰天することに、大きく羽ばたいた羽の裏側にもプラチナが使われており、緻密な彫金が施されています。鳥の頭から胴に至るまでの側面の彫金も見事です!! |
裏側の死角になる部分までプラチナとカラーゴールドが施され、彫金されています。いかに作者が自分の持てる才能と力を全て使って、良いものを作ろうとしたのかが伝わってきますね。 |
見所4. 全てが最上質のクッションシェイプ・ダイヤモンド
このブローチには9個のダイヤモンドが使われています。このバード・ブローチにおいては主役ではないダイヤモンドですが、驚くことにその全てが最上質の厚みあるクッションシェイプカット・ダイヤモンドなのです。 |
1つ1つが、脇石ではなく主役になれるクラスのダイヤモンドです。 |
普通のヨーロピアンカット・ダイヤモンドとは違う、ソファー・クッションのような形状がクッションシェイプカット・ダイヤモンドの特徴です。ハイグレードのジュエリーにしか見られない、魅力的なカットです!!♪ |
かなり高さがある爪で留められています。ダイヤモンドと花の間に十分に空間があるため、より一層ダイヤモンドが強く煌めくのです。横から見ても、斜めから見てもその輝きは凄まじく、思わず圧倒されてしまいます♪ |
見所5. 19世紀最高水準の彫金
迫力あるダイヤモンドについ目が行ってしまいますが、ピンクゴールドの美しい花びらの造形と彫金にもご注目下さい。こうして少し斜めからだと分かりやすいのですが、花びらは高低差が付けられた、かなり立体的な形になっています。表面には日本の金工の技法における魚子仕上げという、タガネで極小の点を無数に打って美しいつや消しがなされています。 |
効果的に筋を入れた花びらの表現も素晴らしいです。さらに花びらの各ポイントに大小の孔を施した、独特の表現はこれまでに見たことがありません。ちょっとしたことですが、この表現がよりリアルな花の雰囲気を作り出しています。十分な厚みの金を使っているからこそ、立体感溢れるこの見事な彫金を施せるのです。ジョージアンの金細工とはまた違う、独特の魅力がありますね♪ |
彫金が素晴らしいのは、鳥や花だけではありません。鳥の巣が置かれている二枚の長い葉をよ〜くご覧下さい。この素晴らしい造形と巧みな彫金も、19世紀の最高峰の技に違いありません!! |
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下部の葉にご注目ください。長い葉に途中で捻りを加えた造形は、作者の類い稀なデザインセンスを感じさせるものです。 |
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この葉の部分の彫金も、これまでに見たことがない見事な彫金です!!♪ |
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巣の左上の葉の、大胆な捻りにもご注目ください。 葉の色は、メインはグリーンゴールドですが、どうやらグラデーションにゴールドの色を変えているようなのです。のっぺりした印象ではなく、生きた葉のように見えるのは彫金技術だけでなく、ゴールドの色までも巧みに表現してしまう、最高峰の技を施されているからなのです! |
見所6. 立体感ある素晴らしいデザイン
翼を広げた鳥と捻りを加えた長い葉、それに大きな花から小さな花までのクッションシェイプカット・ダイヤモンドのグラデーションなど、どの角度から見ても美しいのです! |
鳥の羽の形を見てもとても立体的な美しい造形であることが分かります!!♪ |
この全体的な立体的な造形と、360度手抜きのない鳥と巣の作りを実現するために、フレームへの留め方も特別な方法がとられています。いずれも個別に作製し、フレームに蝋付けするのではなく棒を付け、パイプに入れてかしめて留めているのです。このため、鳥は少し回転させて好みの向きに調整することが出来るのです。 |
見所7. 贅沢な金の使い方
側面から見るとお分かりいただける通り、いずれの箇所も贅沢に金を使った非常に贅沢な作りです。ずっしりと心地よい重さが感じられます。これにより、金に厚みがないとできない彫金も施すことができるのです。金が非常に高価だった時代のジョージアンの彫金技術もとても素晴らしいですが、それに勝るとも劣らない技術を以て、金を贅沢に使って表現した芸術作品だからこその特別な魅力がこのバード・ブローチには存在するのです♪ |
見所8. パーフェクト・コンディション
このバードブローチがこれだけ立体的な造形、且つネックレスなど他のジュエリーより力がかかりやすいブローチであるにも関わらず、パーフェクトコンディションで残っているのは、すべての部分が金を贅沢に使ったしっかりした作りだからです♪ |
余談
『フープー』Naumann's Natural History of the Birds of Central Europe, 3rd ed(1905年) | フープーの卵 "Huppe fasciée MHNT ZOO 2010 11 161 Ouzouer-sur-Trézée " ©Didier Descouens(13 March 2015)/Adapted/CC BY-SA 4.0 |
バード・ブローチで表現された鳥の特徴的なトサカと羽の模様から、モチーフはフープーではないかと考えています。 ヨーロッパを含め世界に広く生息する鳥で、日本に飛来することもあります。 日本ではヤツガシラと呼ばれています。 |
"Wiedehopf beim Fütterungsanflug im Naturschutzgebiet Glockenbuckel von Viernheim " ©Hwbund(4 June 2015, 10:33:39)/Adapted/CC BY-SA 4.0 |
フープーは雄雌ともに同じような美しい模様を持ち、協力して子供を産み育てます。巣ではなく主に木の洞などで巣作りするようなので、特徴が完全に一致するわけではないのですが、この鳥に作者がインスピレーションを受け、子供への愛情溢れる美しい理想の鳥の姿を作品に昇華させたのではないかと感じます。 ありのままの自然を愛し大切にするイギリス。都会ロンドンであっても緑があふれ、街中の公園ではリスすらも人間になついて寄ってきます。感性豊かな作者が、自然の営みを身近に見て感じることができる土地だったからこそ生み出すことができた作品なのだと思います・・。 |