グレインワーク

土台金属を粒状に彫り出し、鑢(やすり)で磨き上げて粒金細工のように整える細工。

 高い技術とかなりの手間がかかりながら宝石のような見た目の分かりやすさはないため、ハイクラスのジュエリーにしか見ることができない。制作したジュエリーを単なる宝石の価値ではなく高い技術と芸術性で評価されたい職人によって作られたジュエリーには、グレインワークを駆使したアーティスティックな第一級品が稀に存在する。その数は非常に少なく、本場ヨーロッパでもこの細工を指す言葉自体が定義されていない、知られざる優れた技法と言える。定義の必要があったため、ヘリテイジにてグレインワークと命名。

 

エドワーディアンのホワイトゴールドを使った最高水準のミルワークのアンティーク・リボン・ブローチ 【参考】グレインワークを駆使したエドワーディアンの一級品

ダイヤモンドでは不可能な極小サイズのグレインワークによる繊細な輝きが見事な作品。これほどまでに多くのグレインワークを多用した作品は他にはなく、才能ある人物がどれだけの時間と手間をかけて作ったのか想像を絶する。


 

エドワーディアンの透かし細工とミルグレインとグレインワーク
画像左側の連続する半円で表現したリボンレース部分は、半円の内側に1つ1つグレインワークが施されており、芸術性の高い要素となっている。画像中央付近、蝶々結びのリボンレース裏側を表現した箇所には、サイズがグラデーションでセットされたダイヤモンドからさらに連続するようにグレインワークが配置されている。一般的なグレインワークはこのようにサイズがグラデーションとなったダイヤモンドの延長として施される場合が多い。それでも2、3粒が通常で、グレインワークがここまで長く連ねられたものは稀。

 

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