No.00087 廃墟の鹿 |
僕はカーブドアイボリー、それもドイツの物が大好きでずいぶん扱って来ましたが、これは久しぶりに見る超ユニークな作品です!!♪中央の大きな木の構図と彫り方がとても珍しいですし、しかも表裏に染め加工が施されているのにはビックリです!!特に裏が印象的ですね〜!!♪ |
異色のカーブドアイボリー『廃墟の鹿』 |
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牡鹿のドーンと構えた姿勢と雄々しい表情、そしてバックの大木のイメージのコントラストが実に面白い!! |
←裏 ↑表 | |
大木の彫りとペインティングが、裏と表で違えているのも凝っていますね!! |
この牝鹿の頭部の、実に立体的な彫りが素晴らしい!!前足の間の狭い空間に、草を透かしにして彫ってあるにも驚きます!!ただでさえ透かし彫りは集中力が必要な難しい技術なのに、まさに圧巻です! |
煉瓦塀の前で葉を食む子鹿の立体的造形も印象的です!!上にある葉を食べるための首の角度、そして、前足と後ろ足の奥に草を彫ってあるので、強く立体感を感じるのです!! |
大木の荒々しさと、葉の部分の繊細さの大胆な表現のコントラストも実に印象的です!!♪ |
牡鹿の表情が見る角度で変わって見えるのは、立体的な彫りの証しなのです!! |
牡鹿の首元の表現や、子鹿の足の奥に彫ってある雑草の彫りも、作者の手抜きのない仕事ぶりを感じて嬉しくなります!!♪ |
左右の煉瓦に蔦がはっているような表現を見ると、これはやはり森の中の廃墟なのかも知れません。 戦いがあり人が住まなくなり、廃墟となった城や街があった当時。人が住まなくなった廃墟には草が生い茂り、そこには動物がやってきて大自然の中の営みは続く・・。人も動物もみな自然の一部。 自然へと還っていく廃墟を見て、心に何かを感じるのは西洋の人も日本人も共通する気がします。この『廃墟の鹿』を見て、思わず松尾芭蕉の「夏草や 兵どもが 夢の跡」という俳句を思い出しました。僕はこういうファンタジックなイメージの作品は好きですね〜!!♪ 過去に扱ったカーブドアイボリーはこちらをご参照下さい |