No.00090 春陽のシトリン |
柔らかで暖かい春の陽射しを感じさせる石・・。 |
アンティークジュエリーの良し悪しは裏を見れば解るもの!! |
『春陽のシトリン』 |
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裏からの画像をご覧頂ければ、現代のシトリン・トパーズやアメジストなどの安い石とはまるで違う、別格の美しいカットが施されているのに気づかれたのではないでしょうか!!!♪ カットの面数が多い複雑なカットが施されています。この美しい石が、光を反射してより綺麗に輝くよう、裏のカットも素晴らしいのです!!! |
石の縁の面数が多く優れたカットなので、斜めから見た時の石の輝きと色が実に美しいのです!!♪ |
表 | 裏 |
もちろんフレームも、美しいシトリンに相応しい細工が施されています。縒り線と粒金、そして細かなミル打ちという手間のかかる仕事です。それを何と表だけでなく、どちらが表か分からないくらい丁寧に、裏にも細工してあるのです!まるでアンティークジュエリーの見本と言える仕事なのです!!♪ |
【参考】シトリンについて
シトリン ネックレス フランス 19世紀初期 シトリン、18ctゴールド SOLD |
これは以前に販売したシトリンのネックレスです。19世紀初期の最高水準のカンティーユのフレームが付いた、当時の最高級品です。現代ではあまり高価なイメージがないシトリンですが、天然のままのシトリンは本来非常に希少な宝石なので、これだけの素晴らしい金細工のフレームを付けているのです!!!これがシトリンが如何に希少価値のある美しい石であるかの証しなのです!!! |
シトリン(黄水晶)は古い時代でも稀少な石でしたが、今では枯渇してほとんど採れなくなっています。シトリンは「太陽と深い関係を持つ石」と言われ、パワーストーン業界でも「金運」「財運」、「商売繁盛」「繁栄と富」をもたらす石として知られています。このためシトリンは一般的に人気があり、高い値段で売ることができるため、人工的に手を加えられた天然石とは言い難いものが数多く出回っています。 人工溶練水晶(練り水晶)に着色しただけの、結晶構造がない水晶ですらないものは論外として、無色透明の水晶にコバルト69という放射線を当てて黄変させたもの、アメジスト(黄水晶)を加熱して黄変させたものなどがあります。 |
【参考】天然アメジストのビーズ | 【参考】アメジストを加熱した「シトリン」ビーズ |
アメジストはシトリンに比べると手に入れやすい石です。どちらも基本的には結晶構造を持つ水晶(SiO2)ですが、ケイ素(Si)の一部が鉄(Fe)に置換されており、結晶の歪み具合によって紫色や黄色に見えます。アメジストを加熱すると、結晶の歪みが緩和されて黄色くなります。少し赤みがかった、非常に見栄えする鮮やかな黄色を呈するため、業界内で良く使われる方法になっています。ただし水晶は熱膨張率が高く、短時間で加熱されると水晶自身が膨張に耐えられなくなりヒビ割れが発生します。自然界で熱により色が変わったシトリンの場合は、ゆっくりと地熱が加わるため、ヒビ割れすることは少ないのです。 上記に各種画像を並べてみました。加熱アメジストのシトリンも、「天然の石を使っているから」という理由で天然石で売られる類のものです。嘘を付いているとは言えないのですが、受け手は違ったとらえ方をしてしまいそうですね。詐欺とはそういうものなのでしょうけれど・・。もちろん現代でも天然で美しい石が一定量でも手に入るなら、こういう商売は発生しないでしょう。 天然シトリンは今でも販売されてはいますが、殆ど色が感じられないほど色が薄いか、黒ずんだ美しくない色の場合が殆どです。それでも天然石としてある程度の値段で販売されています。現代では余程の幸運やお金がない限り、上質な天然シトリンは手に入りません。 |
僕はこのシトリンを見ていると思わず「わ〜、美しい!♪」と、無意識に声が出てしまいました。普段だとフレームの金細工ばかりに目がいってしまうのですが、それぐらい優れたカットのカラーストーンは魅力があるのです!!♪ |
この石の自然のままならではの美しい色、そして人の手による美しいカットがなせる美しい宝石。この美しい宝石を見て、今まで石の貴重さや美しさは軽く見ていたことを深く反省しています!!アンティークジュエリーって本当に魅力あるなとより強く思いましたし、こういう美しさはアンティークジュエリーにしかない世界なのだろうなと感じました。 アンティークジュエリーでは非加熱&無処理の天然のままの石なんて当然かつ至極の当たり前なことなのに、現代では非加熱の石は珍しい物で、しかもそれが100%非加熱かどうか鑑別することさえ出来ないと言われているんですから笑うしかありません(爆笑)。一般的に知られちゃってアンティークジュエリーが高騰しても困りますし(価値を理解して本当に大切にして下さる方が買えなくなる)、石だけ外されてしまっても困ります(文化継承が途絶える)。分かる人たちだけ理解して大切にし、後世に残していければ良いのです。 |
石の美しさを伝えたくて超拡大画像ばかり掲載しましたが、実物は可愛らしい印象の、程良く使いやすいサイズです♪ |