No.00099 勿忘草をくわえる鳩 |
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『勿忘草をくわえる鳩』 鳩 ゴールド ブローチ イギリス 1830年〜1840年頃 ルビー、トルコ石、2カラー・ハイキャラットゴールド(15〜18ct) 5,1cm×3,9cm 重量7,9g SOLD 躍動感あふれる素晴らしい造形と、2カラーゴールドと繊細な彫金による黄金の鳩は、ジョージアン末期からヴィクトリア時代初期ならではの出来映えです!!♪ |
このブローチのモチーフは勿忘草を加える鳩です。ワスレナグサの英名は、Forget-me-notです。戦地に赴く兵士が「私を忘れないで」というメッセージを込めて、こういうモチーフのジュエリーを愛する人に贈っていたと言われています。 |
【引用】Brirish Museum © British Museum/Adapted |
みなさん???と思われたでしょうか?4羽の同じモチーフを並べてみました。戦争下のイギリスでは定番だったので、勿忘草をくわえる鳩のモチーフ自体はたまに見かけることがあります。4羽並べた内の上の2羽は作りが悪く、鳩の顔が気持ち悪いし、いかにも飛べなそうな不格好なボディですね。これらはヘリテイジでは扱わないレベルなので、ヘリテイジの宝物を見慣れている方は驚かれたかもしれません。こういうものは置いておくとして、下の2羽は類似性にまた???と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか? |
金と銀では輝き具合が全く違います。銀は元々渋さを感じる輝きで、経時変化を楽しむ金属でもあります。一方、金はそのままだと眩しいほどの輝きがあるので、特にマット仕上げが美しさの最重要な技術なのです!!! |
左は鳩の羽毛部分の拡大画像です。羽1枚1枚が、画像右側にあるような深い溝をいくつも彫って表現されています。この線ですら、実物は目を凝らさないとよく見えません。 金表面のマット仕上げは、日本の金工に於ける魚子仕上げと同じように、無数の極小の点をタガネの打ってあるのですが、この鳩の表面は鋭利な道具で作ったようには見えません。この工房独自の技術、もしかしたら普通の魚子仕上げとは違うパターンの点の打ち方をしているのではないかとも考えています!!この表面仕上げのおかげで、この鳩独特のねっとりとして柔らかそうな輝きが生まれているのだと思います。 |
尻尾は美しいグリーンゴールドが使われています。グリーンゴールドは合金の配合が難しいらしく、アンティークジュエリーでも可なりの高級なジュエリーでなければ、見ることのない物です!♪ |
鳩の表情までもが表現されているように感じるのは、如何にこれを作った職人の腕と感性が素晴らしいかの証しなのです!!♪ |
ふと気がついたのですが、今まで扱って来た19世紀の動物のブローチの中では、鳥モチーフの作品の中に特に優れた物が多かったような気がするのです。 それは何故なのだろうと、時空を超えて想いをはせてみました。いつの時代も、大空を自由に飛べる鳥に人間は憧れを感じます。空を飛ぶ鳥の躍動感に溢れる姿は、ジュエリーを作る人たちにとって、飛べない動物以上に造作意欲が出て来るような気がするのです!!♪ 分かりやすい宝石のジュエリーではなく、アンティークの中でも金細工を好む方に、鳥モチーフが好きな方が多いのも何となく納得出来ることですね! |
尾と羽の一部、そして植物の部分が美しいグリーンゴールドなのも、19世紀初期から中期にかけての優れた金細工ならではの魅力なのです!!♪ |
胴体部分は裏まで表と同じレベルの彫金が施されています。 |
金がまだ高価だった時代のものならではの軽い作りなので、ブローチとしても使いやすいと思います。本物の鳥は空を飛ぶために骨が中空構造になっており、実際の見た目より軽いです。この鳩も勿忘草をくわえて、今にも愛らしい恋人の元へ飛び立ちそうです♪♪ |