No.00122 マーメイドの涙 |
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『マーメイドの涙』 天然真珠&ダイヤモンド ペンダント&ブローチ イギリス 1880年頃 天然真珠 (センターの真珠直径0,8cm、下がっている真珠0,8cm×1cm)、オールドヨーロピアンカット・ダイヤモンド、ローズカットダイヤモンド、シルバー&ゴールド 重量7,2g アンティークケース付き SOLD 素材、作り、デザインが全て揃った、ヘリテイジの中でもハイクラスの特別な宝物に相応しいペンダント&ブローチです!ヘリテイジが得意とする"玄人好みの細かい細工物"とはまた一味違う、宝石を惹き立たせるための圧巻の細工にも、きっと新たなる感動を感じていただけると思います♪ |
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程よい大きさで、大変上品な雰囲気のペンダント&ブローチです。 このペンダント&ブローチの一番の魅力は、やはり美しい天然真珠です。 一方で、このペンダント&ブローチの主役の2つの大珠真珠は、真円真珠が直径8mm、下のドロップ型は8×10mmもあります。外周の小さな真珠は全て球形で、しかも全ての天然真珠の色味が揃っています。これは驚異的なことなのです!! |
人類の真珠への憧れの歴史
少し前まで、世界最古の天然真珠は福井県三方郡三方町の鳥浜貝塚から出土した紀元前3000年頃の縄文真珠(鳥浜貝塚真珠、The Jomon Pearl)であると宝石学者からは考えられてきました。 この発見により、当時既に危険な海に潜って真珠を採取していたことが示唆されました。 |
天然真珠を得ることの難しさ
1.母貝の採取
インド洋の入り江Manaar湾における真珠採取の様子(2500年の歴史がありました) 【引用】『宝石学GEMS 宝石の起源・特性・鑑別』ROBERT WEBSTER, F.G.A. 著、砂川一郎 監訳(1980年) ©全国宝石学協会、p.449 |
ペルシア湾におけるアラビア式真珠採取船(潜水法は過去2000年間ほぼ変わっていません) 【引用】『宝石学GEMS 宝石の起源・特性・鑑別』ROBERT WEBSTER, F.G.A. 著、砂川一郎 監訳(1980年) ©全国宝石学協会、p.448 |
美しい天然真珠はいつの時代も、どの地域でも人々を魅了し、各地で天然真珠が採取されてきました。すでに紀元前から、集団的な真珠採取が行われています。真珠貝の採取は、潜水夫が海に潜って直接採取するという方法で行われます。真珠貝の生息深度限界があるため、潜水深度は9〜27mの範囲です。建物の高さにすると9mだと3階建て、27mだと9階建てに相当します。もちろん酸素ボンベなんて便利なものはありません。息が続く時間には限界がありますから、潜るためだけに使う時間などありません。 |
天然真珠ダイバー | ||
塩水は淡水より比重が重いので、プールより海の方が浮かびやすいのはご存じの通りです。つまり、海で潜水するのは結構大変なのです。潜水夫は痩せた筋肉質で、20歳から70歳くらいまでの人が適するとされていました。洗濯ばさみのような革製のクリップで鼻をつまみ、深呼吸をしたらロープが付いた23kg程度の重り石に乗り、一気に海底に潜行するのです。海底に着くと重り石から降り、付近からできる限り多くの貝を採取して網袋に入れます。浮上準備ができると網袋が付いたロープを強く引いて船上員に合図し、一気に引き揚げられて浮上するのです。1分30秒ほどの潜水を日に約30回行っていたそうです。 海はいつも穏やかとは限らず、暗い危険な海に潜っての作業はまさに命がけでした。上は、既に写真がある時代の真珠ダイバー達です。生活のためもあるでしょうけれど、母なる海からの大自然の恵みをいただくため、誇りを持って命がけの仕事をする男たちは皆カッコ良いですね! |
2.稀少性
採取するだけでも大変な真珠貝ですが、当然全ての貝に真珠が入っているわけではありません。 1935年のフランス人冒険家Henry de Monfreidが、紅海で伝統的な真珠採りをしている4人の男達に関する記録を残しています。それによると、彼らは終日働き、1000匹の真珠貝から27粒の真珠しか見つかりませんでした。27粒の内20粒がバロック、5粒が丸みを帯びた形状だったそうです。 |
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天然真珠を採取した後の廃棄された真珠貝の貝殻(1914年頃) | |
その他、数十人のダイバーが一週間で35,000個の貝を採取し、天然真珠が出てきたのが21個。そのうち商品価値があったものは僅か3個だったという記録があるほど稀少な宝石です。 残念ながらこれらの記録に色味や照り艶、滑らかさやサイズなどの言及はなかったのですが、1つの美しい天然真珠のジュエリーを作ることがいかに大変だったか、ご想像いただけるのではないでしょうか。 |
『柳と羊』 フランス 1792年 マイクロパール・ミニアチュール リング SOLD |
『フラワー・バスケット』 イギリス 1830〜1840年頃 マイクロパールブローチ SOLD |
『フラワー・バスケット』 イギリス 1910年頃 マイクロパールブローチ SOLD |
いつの時代も、天然真珠を手に入れるのは極めて困難なことでした。だからこそ人々は採取された真珠貝から、どんなに小さな真珠でも見逃さないよう必死に集めたのです。今回のペンダント&ブローチのような大珠はもちろん、シードパール、果てはマイクロパール(極小天然真珠)と言われる1mm以下の真珠までもが集められたのです。上の3点はマイクロパールで描かれた絵ですが、その仕事ぶりには圧倒されます。人類の素晴らしすぎる芸術作品だと思います!!♪ 天然真珠と比べたら、現代の金儲けのためだけに作られた質の悪い養殖真珠に価値などありません(昔ながらのやり方を踏襲して頑張っている業者も、極々一部は存在します)。 国内だと業者だけでなく、中立もしくは専門家を装って「天然だから優れているとは限らない。養殖真珠の方が真球でエクボも無く、むしろ天然真珠より優れており、価値がある。」と述べるサイトまで存在します。専門家が言っているから、中立の人が言っているからと鵜呑みにするのは、「先生が仰っているから」と疑うことなく無条件に信じる劇場のイドラ(権威による思い込み)と同じことです。英語で調べれば、「天然真珠は養殖真珠より価値があり、模造真珠には価値なし」ということはwikipediaのpearlの項目にも記載されているくらい、国外では当然のことなのです。 大体、何かのオマケで「本真珠プレゼント」と1珠を無料配布していたりすることがありますが、これ自体、養殖真珠には価値がないことを自分で証明しているようなものなのです。 母なる海がはぐくんだ天然の貝から、偶然とも言える確率でいただくことができる美しい天然真珠・・・ 「この美しい奇跡の宝物は、どうやってできるんだろう?」 愛しい人を想って流した喜びの涙は、とても美しい真珠になったというお話もありますね。 |
素晴らしい天然真珠自体の価値もさることながら、このペンダント&ブローチのエレガントで美しいデザインには思わず惹き込まれます!!♪ |
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さらに注目すべきはダイヤモンドの使い方です。 素晴らしい天然真珠に相応しい見事なダイヤモンドと、ダイヤモンドの使い方には圧巻です!!
まず、一番大きなダイヤモンドにご注目下さい。 |
このクッションシェイプカット・ダイヤモンドは、オールドカットのダイヤモンドでもなかなか見ない綺麗な四角形です。ダイヤモンドをセットしたシルバーのフレームは、葉のような独特の形状をしていますフレームの角形の部分に、ダイヤモンドを目一杯の大きさでセットするために、わざわざクッションシェイプのダイヤモンドを使っているのです。石自体クリアで上質な物が使われているため、大きて美しい天然真珠に相応しい、上質な煌めきを放って、このペンダント&ブローチをさらに魅力あるものに高めています!!!♪ |
圧巻なのは、天然真珠をセットしたナイフエッジの中間に留められた小さいダイヤモンドまで、オールドヨーロピアンカット・ダイヤモンドが使われていることです。普通だったら、おまけのようなローズカットダイヤモンドが使われているはずなのです。 フレームも凝っていて、まるで花の蕾のような形です。このあしらいのダイヤモンドも、上の全体像を見れば解る通り、大きい球形真珠には大きいダイヤモンドを、珠が小さくなるにつれてダイヤモンドも小さいものをあしらっています。 |
このペンダント&ブローチで唯一ローズカットされているのが、下がり真珠のトップにあしらわれた小さいダイヤモンドです。 煌めきもあって、肉眼ではよく分からないくらい小さいのですが、何と多面体の美しいローズカットダイヤモンドなのです!!これを見つけたときは仰天しました! まあ、アンティークジュエリーの超高級品とは、石に関してもこういうものということなのでしょう。 |
左画像のように正面から見ると、球形真珠がセットされたゴールドの線は、とても繊細で頼りなく見えるかもしれません。しかし右の裏から画像と比較すれば解る通り、この線の土台は十分な太さがあります。これはナイフエッジという技法で、金の板をヤスリで削り、正面からは細い線に見えつつも十分な耐久力を持てるよう仕上げてあるのです。もし、この線全体が細かったら、100年以上も使える耐久力は到底出ません。代々、家の宝物として受け継がれることを想定して作られる優れたアンティークジュエリーは、長く使うことをきちんと考えて作ってあるということなのです!コストを最重要視し、使い捨ての消耗品同然として作られた現代ジュエリーとは同じ訳がないのです!! |
ダイヤモンドのフレーム7つと、球形真珠がセットされたゴールドのナイフエッジは、中央の真円真珠から外側に向かって凸にカーブさせた作りです。一番深い位置に真円真珠がセットされた、立体感の美しい作りであることが解ります!!♪ |
下に下がった雫型の大きな真珠も、センターの真円真珠と同じ色と照りですし、まさに美しいマーメイドの涙を彷彿とさせるような上質な大型ドロップ真珠を選んであるところが、ハイクラスの天然真珠のジュエリーと言える証しなのです!!!♪ |
雫型の真珠の形は天然らしい少し歪なものですが、中央の真珠は真円で、外周の真珠は綺麗な球形で、色や照りもよく似たタイプです。これは、相当なお金をかけて作られた天然真珠ジュエリーだからこそのことなのです!!! |
このブローチ&ペンダントに使われている天然真珠が如何に価値ある物かは、この裏の画像を見て頂ければ一目瞭然です。 正面から見るとダイヤモンドのフレームはシルバーなのに、ゴールドバックなので不思議に思われた方もいらっしゃるでしょうか。シルバーバックにしてそのまま使っていると、服が黒く汚れてしまいます。そうならないよう、わざわざ手間をかけてでも、見えない裏側には高価なゴールドを使っているのです。フレームにシルバーを使用するのは、無色のダイヤモンドの色を邪魔せず美しく見せるためです。
こうして裏をじっと見ていると、昔の本当の一点物の作りと仕上げの美しさに感服するばかりです!!♪ |
オリジナルケースではありませんが、アンティークのケースを使って作られたフィッティング・ケースが付いています。 どうしてもオリジナルケースほどの完璧な収まり具合は出ませんが、アンティークケースでも今では大変貴重なものなのです。 |
作られた時代から想像すると、ペンダントとして使う時は、リボンを使ってチョーカーのようにしていたかもしれません。下がった雫型の真珠が美しく揺れます。この揺れに合わせて、雫型の真珠の上にあしらわれた2石のダイヤモンドも美しく煌めくので、ご希望の方にはベルベットのリボンは差し上げます。 |
チェーンで下げる場合は、シルバーのフレームに合わせてシルバーのチェーンでも、プラチナやホワイトゴールドのチェーンでも合うと思います。現代のチェーンは実費でご用意致します。撮影に使っているのはアンティークのハンドメイドのプラチナチェーンですが、ペンダント&ブローチとセットで購入されたい場合は価格をお知らせしますので、お問い合わせ下さい(アンティークのプラチナチェーンの単品販売は行っておりません)。 |