No.00039 キューピッドのお礼参り

ロッククリスタル リバースインタリオ 金箔工芸 アンティーク

 

ロッククリスタル リバースインタリオ 金箔工芸 アンティーク 金箔工芸 リバースインタリオ アンティーク
←↑実物大
ブラウザによって大きさが違いますが、1円玉(直径2cm)を置いてみれば実物との大小比が分かります
『キューピッドのお礼参り』
リバースインタリオ+金箔工芸

イタリア 1600年代後期(後期ルネサンス)
水晶、金箔、シードパール、ハイキャラットゴールド
5,2cm×4,4cm×0,5cm(本体のみ)
重量21,8g
※フレームは1700年代後期
SOLD

400年〜500年も前(後期ルネサンス)に作られた、リバースインタリオと金箔工芸のコラボレーション!!
それはエセックス・クリスタルの原点なのです。これはミュージアムピースと言える逸品です。

モチーフの意味は、『恋の神様キュ−ピッドが恋愛成就の御礼に勝利の女神に貢ぎ物を贈っている』シーンです。『ギリシャ神話に出てくる神様達は、御礼を忘れられたりすると大抵怒って罰を与てしまうから』という意味なのです。南欧らしい植物や、蜂が飛んでいるのも面白いです。この『キューピッドのお礼参り』は、きっと恋が実った男性が女性にプレゼントするために作らせた物でしょう♪

 

ロッククリスタル リバースインタリオ 金箔工芸 後期ルネサンス 本作品は、リバースインタリオと金箔工芸の技術の融合による、ルネサンス後期の極めて希少価値のある傑作です!!
僕は41年間この仕事を続けていますが、今まで見たことも聞いたこともありません!!

リバースインタリオ(石の裏から彫ったインタリオ)は19世紀中期から20世紀初頭に人気があったエセックス・クリスタルが知られていますが、『キューピッドのお礼参り』はその原点と言える貴重な作品です!!

透明な水晶の裏にカメオとは逆の沈め彫りで彫るということは、当然ながら、眼で彫りを確認しながら彫っているわけではないのです!(彫りが見える訳が無い!)
ということは、頭に3D画像が浮かぶような人が、勘で彫っているのです!!

しかもこれだけ大きな水晶は貴重な材料なので、失敗は許されない仕事なのです!(今では天然の水晶は僅かしか採れなくなってしまったので、ほとんどが合成水晶です)
歴史上最初のダイヤモンドのカットの方法が開発されたのは1475年です。ダイヤモンド粉末を使った宝石カッターが使えるようになり、以前は石を丸く削ったカボッションカットしかなかったのが、多数の面をカットしたファセットカットが出来るようになったのです。

これは単なるジュエリーとは違います!
400年から500年も前に作られた立派な芸術作品です!!
絵画のように額装して飾っておき、そこから外してジュエリーとして使うのが良いと思います。もし、ルネサンス期の絵画を買うとしたら何十億円のお金が必要なのですから、これ以上のお買い得な物は無いでしょう。それに、この『キューピッドのお礼参り』は、数百万円もする宝石を使ったジュエリーに優る、身に付けて楽しめるアンティークジュエリーでもあるのです。
左の2点は、まだファセットカットが出来なかった、中世のカボッションカット・サファイヤを使った指輪です。

 

裏

19世紀のリバースインタリオは全面を彩色してあるか、マザーオブパールを敷いてあるので裏からは彫りが見えないのですが、これは裏から彫りが見えるのが特徴です。画像が黒バックなので目立ちませんが、女神の足とドレスそれにキューピッドの体の一部の金箔が剥がれています。

フレームが18世紀後期ぐらいに作り直しされたのは、金箔が長い年月の間に剥がれてきたためと推測されます。
裏にガラスのカバーがセットされています。フレームの、半分にカットされた真珠がオープンセッティングで裏から見えるのも珍しいことです。


19世紀のリバースインタリオ
(エセックスクリスタル)

16世紀になり、金箔技術は伝統工芸としてヨーロッパ、アジア諸国にて急速な発展を遂げました。特にフランス、イタリア、日本ではその発展は顕著でした。金箔は大変薄く(厚さ 約0,1ミクロン)、木、金属やガラスといったあらゆる表面を覆う事ができます。金箔を貼るための様々な技術が開発されていますが、棺や和屏風、ベルサイユ宮殿の装飾に見られる最も歴史ある水貼りは、現在でも最も堅固な方法です。

水貼りは、木、布、紙などの土台に数層の自然糊を塗り、乾いた後に水で湿らせ、筆を用いて箔を貼ります。土台が再度乾燥すると箔が貼り付きます。金箔工芸の技術を使ったアンティークジュエリーは過去に見たことがありません!しかも、インタリオの細密な彫りの中に金箔を貼ることは、普通の金箔工芸に見られない特別の仕事です!

金箔は貼る物に自然糊を塗って貼るようですが、このペンダントは貼った面が見えるので、糊は使えない筈なのです!では一体どうやって貼ったのか、全くの謎です!!謎の技法があったということになるのです!!それに、彫りが見えるように、非常に狭い部分(女神の頭部は約3mm×3mm)に綺麗に金箔を貼るのは人間技とは思えない超難度の技なのです!!

 

側面 側面

厚さ5mmと薄いので、見た目よりずっと軽い感じです♪

水晶をこのように薄い板にカットするのは至難の技なのです!水晶をこのように薄い板状にカット出来るようになったのは、ちょうどこのペンダントが作られた頃からなのです!

リバースインタリオは、石の裏からインタリオを彫って表から見る物なので、水晶のような透明な石だけが使われます。
このペンダントが作られるより前の時代のリバースインタリオは見つかっていないので、おそらくこれが歴史上最初のリバースインタリオと考えられます。



ロッククリスタル リバースインタリオ 金箔工芸 アンティーク
斜めからの拡大画像で見ると、リバースインタリオならではの立体感が出ているのがよく解ります。女神の頭部はたった3mmぐらいしかないのに表情まで彫刻で表現されています。これはカメオでは不可能な事で、インタリオならでは表現なのです。
透明な水晶は、目で確認しながら彫れる訳ではありません。脳に3D画像が浮かぶような人でないと、彫ることは出来ないのです!こうして金箔を入れて初めてまるで黄金のカメオのように見えるわけですから、これを作った作者には、独創的な作品を創り出すアーティストとしての才能があったのだと思います!

ルネサンス期は多くの素晴らしい芸術作品が制作されています。この時代はジュエリー製作が高く評価されていた時代で、建築家の卵はまず最初にジュエリー製作の勉強をしたと言われています。それは、宝石に頼ったジュエリーとは違う、この『キューピッドのお礼参り』のようなアーティスティックな作品が作られたいたからなのです!

このロッククリスタル・リバースインタリオ『キューピッドのお礼参り』は400年から500年も前の、芸術的に豊かなに作られた素晴らしいアートなのです!!
金箔工芸 リバースインタリオ アンティーク

 

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金箔が一部剥離していますが、400年から500年もの時を経た物なので問題になる事ではありません。これ以上剥離しないよう、裏にガラスを填めてありますしね。


キューピッドが踏んづけている頭はいったいどんな意味があるのでしょう?

 

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■『キューピッドのお礼参り』が作られた頃の西洋の出来事
1600年 シェークスピアの『ベニスの商人』が出版される
1609年 ガリレイが天体望遠鏡を発明
1682年 ベルサイユ宮殿が完成



■『キューピッドのお礼参り』が作られた頃の日本の出来事
1615年頃 桂離宮の建設
1617年 日光東照宮が創建される
1680 綱吉が将軍に 元禄文化(元禄時代(1688年 - 1707年)
1689年 「奥の細道」
1701 赤穂事件 「忠臣蔵」

←↑実物大
ブラウザによって大きさが違いますが、1円玉(直径2cm)を置いてみれば実物との大小の比率が分かります。
インタリオとリバースインタリオに付いては《知られざるインタリオ》でご覧下さい。

19世紀のエセックス・クリスタルの名品

エセックス・クリスタル 鳥 ブローチ

『キジ』
ブローチ
イギリス 1860年頃
SOLD

蟻が彫ったとしか思えない、絶対に不可能な彫りがサイン代わりのエセックスの絶品!!!♪

エセックス・クリスタル 大鹿 アンティークジュエリー

『大鹿』
ペンダント
イギリス 1870年頃
SOLD

エセックスクリスタルの絶品。大鹿の表現が素晴らしい!!

エセックス・クリスタル インコ アンティークジュエリー

『インコ』
ブローチ
イギリス 1860年頃
SOLD

エセックス・クリスタル 馬車 アンティークジュエリー

『近づく馬車』
クラバットピン
イギリス 1870年頃
SOLD

この独創性が面白い!