No.00060 『愛の松明を持つエンジェル』 |
Carlo Giuliano(カルロ・ジュリアーノ)作 『愛の松明を持つエンジェル』 |
『愛の松明を持つエンジェル』 |
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ジュリアーノは、古代のゴールド・ジュエリーにインスピレーションを得た作品で有名なカステラーニにローマで師事しました。1867年からはロンドンで独立して、ロバート・フィリップスを始めとするロンドンの著名なジュエラー向けに製作を行いました。 1874年に独自の店をオープンし、ルネサンス時代のジュエリーにインスピレーションを得た独創的な作品を製作し、独特の作風がラファエル前派のサークルや審美主義の上流階級の人たちからの絶賛を博しました。 ジュリアーノの作品は大きく分けて二つのタイプがあります。一つはよく知られている、ルネサンス風のエナメルを使った作品ですが、もう一つはこのエンジェルのブローチのような愛をテーマにしたネオ・ルネサンス様式の作品です! |
このブローチも天然真珠とルビーを使ってはいますが、決して主役ではなく、脇役として使われているのです。 宝石はあくまでも「脇役」として使うのが彼のポリシーなのです! |
このエンジェルのブローチも、ただ大きくて高価なだけの天然真珠やルビーを使っているのではありません。 六個の天然真珠はすべて卵型のとても上質な珠で、大きさもすべて揃っています。 天然真珠でこのような特殊な形、且つ色も照りも同じような珠を揃えるのは大変難しいことなのです!! |
ルビーも小さな石ですが、ファセットカットにするのではなく、ルネサンス時代と同じカボションカットにしています! |
才能豊かなジュエラーほど、高価な石を使っていることで評価されるようなジュエリーを作ることは好まないものです。 あのロシアのファベルジェも、名前さえ知られていないような珍しくて面白い石を使ったジュエリーを製作しています。それらの石は「オッドストーン」と言われており、「貴石」ではなく「希石」と言われている石です。 僕は有名作家の作品だからという理由で扱うことはしておりませんが、ジュリアーノのような独創的でアーティスティックな作家の作品で、且つ妥当な価格の作品のみを扱っています! |
このブローチのような、ジュリアーノのネオルネサンス・スタイルのジュエリーは、当時ロンドンで熱狂的な人気を博したのです!!彼のこのスタイルのジュエリーは、後に有名になるエナメル・ジュエリーよりも前の貴重な作風です! 二人のエンジェルが、ハート型の深紅のルビーを下げた金のロープを引っ張っています。愛し合う人たちの情熱的でかたい愛の絆を象徴するのでしょう!♪ エンジェル達がもう片方の腕に持つのは愛の松明で、卵形型の天然真珠で愛の灯を表現してあります。六本の愛の松明にエンジェル達が脚を絡ませながら愛のロープを引く、曲線の見事な構図は、正にジュリアーノならではの見事なデザインです!!♪ |
エンジェル達は後ろまで完全に立体的に作られています。これも、並のジュエリーでは考えられない見事な作りです!!♪エンジェル達のお尻が可愛いらしいでしょ♪(笑) このブローチは17,7gもあるので、手に持った時にずしりと心地良い重量感を感じます。これも並のジュエリーとは一線を画す、金を贅沢に使った素晴らしい作りだからです!!♪ |
Carlo Giulianoのマーク |
360度すべて仕上げは完璧で、コンディションもパーフェクトです。 |
カルロ・ジュリアーノの死後、2人の息子のカルロ・ジョセフ(生没年不詳)とアーサー・アルフォンス(c.1864-1914)が家業を継ぎます。しかしながら「天才の子は天才にあらず」で、ジュエリーの完成度は父親の時代よりも数段劣るものでした。2人の息子の作品はロンドンで時々見かけますが、カルロ・ジュリアーノの作品は今ではロンドンでも滅多に出会うことはないのです!! |
オリジナルではありませんが、箔押しされた高級革ケース付きです。現代ではきちんとした作りのケースすらも作ることはできません。状態の良い、アンティークのケースすらも大変貴重なのです。 |