No.00136 永遠の愛 |
『永遠の愛』 エドワーディアン ダイヤモンド ペンダント&ブローチ フランス? 1910年頃 オールドヨーロピアンカット・ダイヤモンド、天然真珠、ローズカットダイヤモンド、カリブレカット・ルビー、プラチナ&ゴールド(18ctゴールド) 3,7cm×2,8cm プラチナチェーン 40cm(モダン、引き輪はアンティーク) 重量 8,9g(本体のみ) ¥1,220,000-(税込10%) 革命的な新素材プラチナが大人気の時代に、プラチナあってこそのカリブレカット・ルビーをアクセントにした、グッドデザインのペンダント&ブローチです。エドワーディアンらしい作りの良さ、エレガントな曲線を描くリボンも魅力です♪ |
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月桂樹のモチーフ
月桂樹 "Laurus nobilis g1" ©Giancarlo Dessi(August 2006)/Adapted/CC BY-SA 3.0 | このペンダント&ブローチにあしらわれている植物モチーフは月桂樹です。地中海沿岸が原産で、乾燥させた葉は、料理の香り付けに使用するローリエまたはローレルという名前で日本でもおなじみですね。 ギリシャ神話のアポロンとダフネの物語に由来して、ギリシャやローマ時代からアポロンの聖樹として神聖視された樹木でもあります。 |
神々の住むオリンポスの山にて・・。 ある日、弓の名手アポロンが、小さな弓を手にするエロスを見て「そんな弓で何を射れるというのだい?」とバカにしました。怒ったエロスはアポロンを金の矢、河の神の娘でこの辺りで最も美しく純粋なダフネを鉛の矢で射貫きました。 エロスの金の矢で射られた者は、その後で初めて目にした者に恋し、鉛の矢で射られた物は初めて見た者を拒絶します。 |
『アポロンとダフネ』(バロックを代表するイタリアの彫刻・建築・画家ベルニーニ 1625年)国立ボルゲーゼ美術館 "Apollo and Daphne (Bernini)"©Archtas(1 June 2018)/Adapted/CC BY-SA 4.0 |
見目麗しく、動物からさえももてるアポロンですが、いくら求愛してもダフネから激しく拒絶されます。 激しい恋心に気が狂いそうになるアポロンは、待ち伏せして美しいダフネに近づこうとしますが、気づかれ逃げられてしまいます。 追いかけてくるアポロンから逃れるため、ダフネは必死で涙ながらに叫びました。「お父様、助けてください!例えどんな姿になっても、この男のものにならないよう逃げさせて下さい!!!」 父である河の神ペーネイオスは、娘の悲痛な叫びを聞き入れました。 たちまちダフネの白く柔らかな肌は樹皮に覆われ、たなびく美しい髪は緑色の葉となり、天に向けて差し伸べていた手は木の枝と化しました。 ダフネは自らの身体を月桂樹の木に変えてまで、アポロンの手から一生逃れる方を選んだのです。 |
あれほど焦がれたダフネは一瞬にして地に根を深く張った月桂樹に変わり、もはや一寸たりとも動きません。アポロンは三日三晩、月桂樹のもとで泣き続けました。 立ち去る際、「せめて私の聖樹になって欲しい」と頼むと、ダフネは枝を揺らしてうなづき、月桂樹の葉をアポロンの頭に落としました。 アポロンは「愛するダフネよ、私はあなたのことを決して忘れない」と、ダフネへの永遠の愛の証として月桂樹の冠を生涯かぶり続けたということです。 |
円形のシンプルなフレームの三カ所に、カリブレカット・ルビーをセットしてあります。カリブレカットは石と石の間に爪がない留め方なので、ルビーの濃いピンクのラインがスッキリ見えて、デザイン状の重要なポイントになっているのです!♪ カリブレカットについては |
直線のみならず曲線部分すら、ルビーを精密にカットして隙間なくセットしてあります。 |
ヘリテイジはお求めやすい価格の宝物は扱いますが、コンディションが悪かったり低レベルのジュエリーは、アンティークであっても一切扱わないのでジャンク品をご覧になったことがない方も多いと思います。 左の画像は委託販売をお断りしたブローチの、カリブレカット・ルビーの拡大画像です。元々の作りも悪いのですが、踏みつけたか何かで破損した物を、接着剤で修理したとみられます。紛失した石の一部は、色もサイズも合っていないものを無理矢理突っ込んだらしく、側面から見るとかなり飛び出していました。 |
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【参考】ジャンク品 カリブレカット・ルビー&ダイヤモンド ブローチを一部拡大 |
別の部分の拡大画像です。明らかに隙間がありますし、宝石らしいカットもなされていません。海外の露店で覚悟の上、ダメ元の安値で買ったならば納得もできるのですが、国内有名店で正規価格でご購入されたそうで、開いた口が塞がりませんでした。 これがアンティークジュエリー業界の実情の一部でもあり、委託販売をお断りする場合の理由の1つでもあるのです。このような悪意を感じる品物を、大切なヘリテイジのお客様に販売するわけにはいきません!! |
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拡大 |
今ではもう、カリブレカットのような高度なセッティングはできません。でも、それだけ難しい技術でも、主役ではなくデザインの一部であり脇役なのです。これこそが、このペンダント&ブローチが作られた時代の美意識なのです。 ヴァンクリーフ&アーペルのミステリーセッティングなんかと同じにしてはいけません。セットする石の大きさが違います。イコール難易度は桁違いです。 |
私から見れば、ミステリーセッティングはセッティング自体が主役となっていて、「手段が目的」状態です。美しいジュエリーを作るための技術ではなく、小さい石を寄せ集めて高く販売する理由付けのための技術です。画素数の少ない、初期のインベーダー・ゲームやスーパーマリオのようにしか見えません。 ちなみに高額になる理由の1つは、あまりにも難しい技術でセッティング時に欠けたりして使えない石が多いからと聞きます。工業製品的に言うなら、歩留まりが悪いということでしょうか。そんなことにお金を払うのは私は嫌だなぁと思ってしまいます。まあ、個人の美意識や価値観なので、他の方に押しつけたりはしませんが・・。 |
側面から見ると、エドワーディアンならではのプラチナにゴールドバックなのが良く分かります。 一般のジュエリー市場にプラチナが出始めたばかりで、非常に高価だった時代に作られた証です。 |
裏側も美しい、完成度の高い作りです。 |
本来は取り外し可能のネジ式のペンダント用金具があった筈なので、ご要望があれば復元致します(別途見積もりをお出し致します)。 |
チェーンに付いている2つの引輪はアンティークですが、チェーンはアンティークではありません。 |
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その他のカリブレカット・ルビーが魅力の宝物