No.00107 美しき軍神アテナ

軍神アテナの巨大シェルカメオのヴィクトリアンのブローチ

これは僕が扱ったカメオの中で最も大きな作品です。そして、彫りは一二を争う素晴らしい彫りです!!♪

 

 

シェルカメオ ブローチ
『アテナ』 アンティーク

『美しき軍神アテナ』
シェルカメオ ブローチ

イタリア 19世紀中期
フレームは19世紀後期ぐらいの9ctゴールド
9,3cm×7,5cm
重量 39,1g
SOLD

これほどまでに見る者を圧倒する、美しく迫力ある作品だと、わざわざ説明する必要もないかもしれませんね。
本来、芸術作品とは誰かに解説を受けて、他人の感性を元に理解するものではなく、それぞれの心で感じるものなのですから・・。

そうは言っても心で感じた後に、知識を増やして理解を深め、作品をより好きになるのはとても楽しいことです。どうぞお付き合い下さい♪♪

←↑実物大
ブラウザによって大きさが違いますが、1円玉(直径2cm)を置いてみれば実物との大小比が分かります

まずこの作品の特筆すべき特徴は、かつてない大きさです。他のカメオとの比較画像をご覧になれば、その巨大さを感じ取っていただけると思います!!♪
ある程度はご想像いただけると思いますが、それでも実物をご覧になったら驚かれると思います。軽いので着用は可能ですが、これは芸術作品として額装して楽しまれるのが良いと思います(額装の費用は約2万円から3万円ぐらいです)。

シェルカメオ ブローチ『アテナ』 アンティーク
『???』


Coming Soon
カメオ 実物大
『真珠の女神』
ストーンカメオ
イギリス 19世紀後期
SOLD
カメオ 実物大
『西洋美人画』
ストーンカメオ
イギリス 1880年頃
SOLD
←↑実物大
ブラウザによって大きさが違いますが、1円玉(直径2cm)を置いてみれば実物との大小比が分かります

 

シェルカメオ ブローチ『アテナ』 アンティーク PD『銹絵山水図水指』野々村仁清作(17世紀)、関東大震災での破損を六角紫水が金継ぎ修復

お気づきの方もいらっしゃると思いますが、このシェルカメオは、金のフレームの一部にだけ彫金が施されています。
実はこのシェルカメオは、この彫金部分が割れて無くなっています。「完璧な商品が当然」という現代日本人の感覚だと、なぜ破損したカメオまで販売しているのかと???に思われるかも知れません。しかし、19世紀当時のカメオ愛好家にとって、このシェルカメオは一部破損していても、わざわざ金で、しかも彫金まで施したフレームを作るだけの美術的な価値があったということなのです!!!♪

日本の金継ぎとも共通する感覚があるかもしれませんね。壊れたら即価値が無くなるつまらない物と、美術的価値がある作品は全く別物なのです。修復にまで美意識を配る。西洋と日本に共通する素晴らしい文化ではありませんか♪

古代ギリシャ カメオ断片『パン(牧神)』
カメオ断片
ホワイトアゲート
古代ギリシャ 紀元前450年〜紀元前400年
フレームは19世紀 約22ctゴールド
2,7cm×4cm
SOLD

 

古代ローマのカメオでも極めて珍しいのに、このカメオは何と古代ギリシャの紀元前450年から紀元前400年という年代ですからね〜!!!

例え半分の断片でも大変な美術的希少価値がある作品なのです!!

これは数年前に僕が販売した、古代ギリシャのストーンカメオです。これは何と、割れて半分しかない状態だったのですが、その状態で19世紀に金でフレームが作られていたのです!!

ヨーロッパの有名な美術館蔵のカメオや、世界的に有名なコレクションの中にも、このカメオのように破損した部分を金のフレームでカバーした作品が数多く存在します。価値がないものに、そんなお金や手間をかけるわけはありません。破損部を金でカバーするということは、そのカメオが並外れた美術的希少価値のある作品と見なされた証なのです!!!!!♪

このアテナのシェルカメオがもし破損しておらず、元のフレームが付いていたら、軽く100万円オーバーの名品なのです!!


シェルカメオ ブローチ
『アテナ』 アンティーク
シェルカメオ ブローチ
『アテナ』 アンティーク このシェルカメオの彫りは19世紀の最高水準と自信を持って言える素晴らしいもので、僕が41年間で扱ったシェルカメオの中でも一二を争う素晴らしい彫りです!!!!!

アテナは気品に満ちた気高い表情を余すことなく表現してあります。一方で、ヘルメットに彫られたゼウスの顔は、対照的な怒りに狂ったような形相です!!!
アテナが知恵、芸術、工芸、戦略を司るギリシア神話の女神であるだけに、作者が意図的に、アテナとは好対照のイメージの神の顔を彫ったような気がするのです。
シェルカメオ ブローチ
『アテナ』 アンティーク ゼウスの顔も、迫力ある見事な彫りです!!♪

このカメオはアテナとゼウスという二つの好対照の顔を彫ってあるのが特徴ですが、顔を彫って内面まで表現するというのはとても難しいことです。それなのに、これほどまでに違う印象の顔を彫ってあるのですから、素晴らしいの一語に尽きますね!!
シェルカメオ ブローチ
『アテナ』 アンティーク
アイギスの盾に彫られた顔がユーモラスで面白いですね。ペルセウスに献上された石化の魔女、メデューサの首でしょうか(笑)。

シェルカメオ ブローチ
『アテナ』 アンティーク

シェルカメオは、ストーンカメオでは不可能な大きな作品も作られているのが特徴です!!
ストーンカメオでは、カメオを彫れるような美しい層を持った大きな石がないことと、仮に制作しても重すぎて服に付けられないからです。

シェルカメオ ブローチ
『アテナ』 アンティーク

シェルカメオは名前の通り、貝殻を彫って作ります。

材料は海からいくらでも採れるタダのようなものというイメージですが、そこまで簡単なものではありません。

採ってきた貝殻は、1年ほどかけて天日干しして乾燥させなければなりません。

その後、実際に割ってみて状態の良い部分だけを使うのです。

材料の調達だけでも想像以上に時間も手間もかかることなのです。

貝殻は薄いので、ストーンカメオのように厚く切り出して、フラットにして彫ることは出来ません。1つとして同じ形はない、貝殻自身の凹凸の個性に合わせてデザインし、彫刻していくのです。ベースの部分にたくさんの凸凹があることが、ストーンカメオとの大きな違いなのです!

シェルカメオ ブローチ
『アテナ』 アンティーク

シェルカメオの優れた作品ほど、貝殻特有の凸凹を上手く生かして彫ってあるので、ストーンカメオにはない立体感を感じるのです!!!♪ストーカメオのようにモチーフ部分に厚みが無くても、ベース含め全体として立体感があるので、それらを上手く計算されて作られた優れたシェルカメオは、ストーンカメオでは出来ない表現が出来るのです!!!♪

シェルカメオ ブローチ
『アテナ』 バックライトの画像

シェルカメオは貝殻が薄くて半透明なので、バックライトを当てて撮るとシルエットの美しさが際立ちます!♪手に持って、太陽光にかざして見たりするのも楽しいですよ♪

ヘルメット上部に蛇がいますが、その胴体はアテナの美しい髪の毛と一体化しているようにも見えます。蛇は知恵の象徴として存在するのか、元々蛇神だったという説に纏わるものなのか・・。美少女だったメデューサは、アテナより自分の方が髪が美しいと言って怒りを買い、自慢の髪を醜い蛇にされてしまったとか。最期はアテナの加護を受けたペルセウスに首を落とされ、献上された首はアテナのアイギスの盾に嵌められたと言います。アテナの容赦のなさ、恐ろしさはメデューサの比ではありませんね。そこが神々しさでもあり、美しさでもあるのです。このシェルカメオで作者はそういう所を表現しているのか、いずれにしても、見る者の想像を掻き立てる摩訶不思議な作品です♪!!

裏

ブローチの金具はストッパー付です。

セーフティーチェーンは後で付けられた物です。