No.00163 ダイヤモンド・アート |
ダイヤモンドのカットを巧みに使い分け、輝きの違いによってこれだけの芸術性を表現しています!! |

カットの素晴らしさのみならず、19世紀初期のクローズドセッティングのダイヤモンドの中では超異例と言える、透明感あるクリーンで美しい輝きに驚くばかりです!!♪ |
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『ダイヤモンド・アート』 |
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百花繚乱の多彩なダイヤモンド・カット!!♪ |
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ステップカット | ダッチローズカット | 変形ローズカット |
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変形ローズカット | ローズカット | オールドマインカット | |
このダイヤモンド・ブローチはカットの違いを巧みに使い分けることで、アートを表現しようとしたに違いありません!♪これだけ多彩なカットのダイヤモンドをセットしたジュエリーは、アンティーク・ジュエリーであっても滅多にあるものではないのです!! 魅力的なダイヤモンドが使われたアンティークジュエリーはたまにありますが、特に驚くこのブローチならではの魅力はエメラルドカットダイヤモンドの美しさです。 |
<知られざるエメラルドカット・ダイヤモンドの魅力>
ルネサンス期のダイヤモンドのカット
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ローマ帝国崩壊後の長い暗黒時代を経て、ヨーロッパでダイヤモンドのカットが始まったのは14世紀末でした。硬いダイヤモンドをカットするのは容易ではなく、何世紀にも渡り革新と改良が積み重ねられます。 15世紀末にかけて、現在の「エメラルドカット」や「スクエアカット」などにつながるステップカットの一種、「テーブルカット」の技術が発展したと言われています。 今でこそ世界中でいくつも鉱山が発見されて貴重な物ではなくなったダイヤモンドですが、以前はインドでしか採掘されず今では想像できないくらい貴重な石でした。このため、16世紀ルネサンス期のダイヤモンドは殆どがリカットされて別のジュエリーに作り替えられています。 左はハンズ・ミリッチと言う画家によって描かれた、オーストリアの公爵夫人アンナ(1528-1590年)の宝石コレクションの一部です。幸いなことにルネサンス期はジュエリーが細密に描かれた絵画が多く残っており、ジュエリーの細部や身につけ方が分かる資料となっています。 |
17世紀のステップカット・ダイヤモンド
18世紀初期のステップカット・ダイヤモンド
アールデコに復活したステップカット・ダイヤモンド
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アールデコ ダイヤモンド ブローチ イギリス 1920年頃 SOLD |
一度忘れ去られていたステップカット・ダイヤモンドが再注目されたのは約200年後のアールデコになってからでした。 |
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19世紀後半に南アフリカの鉱山が発見され、上質なダイヤモンドが多く手に入るようになりました。 また、デザインを重視するアールデコの様式にフィットしたことも一因です。 |
ご紹介のブローチのステップカット・ダイヤモンド
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アンティークジュエリーがお好きな方でも、ジョージアンの美しいステップカット・ダイヤモンドは見たことがない方が殆どだと思います。 |
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この時代はまだダイヤモンド・ソウ(電動のダイヤモンド・カッター)も、電動の研磨機もありませんでした。『ともづり』と言われる、ダイヤモンドでダイヤモンドをカットしてダイヤモンドで磨くという、大変な手間をかけないとカットできない時代でした。 ステップカットは、カットの面数を少なくしてカットの手間をはぶく目的で作られたので、縁のカットがもっと単純でラフなカットなのです。でも、このダイヤモンドはまるでもっと後の、アールデコ後期頃に再び登場する完成度の高いステップカットと同じレベルのカットが施されていることに驚いてしまいます!! |
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ローズカットやオールドヨーロピアンカットのような小さなファセットから無数の煌めきが放たれるカットとは違い、ステップカットはダイヤモンドの透明感が楽しめたり、大きなファセットから時折面で反射するダイナミックな煌めきが楽しめる特徴があります。ステップカット・ダイヤモンドには"凛"という言葉が似合う、透明感を感じる孤高の魅力があります。 でもこういう考え方は通常はアールデコ後期(1930年代)から始まるので、この『ダイヤモンド・アート』が作られた1830年代では異例中の異例のことなのです!! |
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驚くのはダイヤモンドのカットだけではありません。この時代はインドのダイヤモンドが枯渇し、ブラジルでそれほど多くない量が産出されていただけで、1870年代からの南アフリカのダイヤモンドラッシュの前という時代にあたります。需要が高まっていたにも関わらず流通量が非常に制限され、ダイヤモンドが非常に高価だった時代なのです。 南アフリカのダイヤモンドラッシュ以前はインクルージョン(内包物)が少なく無色の透明で奇麗な石はとても少なかったので、出来るだけ美しく輝かせるために石の裏に穴を開けず、反射率の高い金属箔を敷いてクローズドセッティングにしてあるのです。それだけに、この『ダイヤモンド・アート』のような驚くほどの透明感があって素晴らしい輝きのダイヤモンドは、ダイヤモンドラッシュ以前の古い年代の石としては極めて異例のことなのです!!!!! |
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ブローチの左端をご覧下さい。 銀の板と金の板を蝋付けして、板をタガネでカットしてヤスリで丁寧に磨いて仕上げた、キリッとした完成度の高い作りであることが分かります。これは現代のジュエリーのようなワックスを使った鋳造とは異なる、職人による完璧なハンドメイドの証なのです。 だから180年もの長い年月に耐え、今でも全く問題なく使える驚異的な耐久力があるのです。現代のジュエリーで100年後に満足な形で残っている物は一つもないでしょうけれど、もとから消耗品として作られたものしょうがないですね。消耗品だから一度中古になると、余程特殊な物を除いて市場価値は10分の1以下となるのでしょう。 |
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フレームだけでなく、ダイヤモンドまで花びら1枚1枚の形にあわせて立体的にカットされている表現方法には感動するばかりです!♪アンティークジュエリーの中でも別格の作品です。 |
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スズラン1つ1つにも、異なるカットのダイヤモンドがあしらわれています。作者が楽しんで作っている姿が目に浮かびますね。このブローチを贈られた女性も大感動だったに違いありません♪ |
【参考】フラワーモチーフの現代ダイヤモンドジュエリー
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現代のハイブランドのダイヤモンド・ジュエリー |
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ヘリテイジのHPを見て下さる方は元から現代ジュエリーには興味がない方の方が多いと思いますが、参考までにご紹介致します。 これらはいずれも違うブランドのフラワーモチーフのダイヤモンドジュエリーです。誰もが知っている有名なハイブランドの相当な値段がするジュエリーですらこの程度です。 規格化された無個性の工業製品ダイヤモンドを配列しただけのジュエリーに芸術性は欠片もなく、むしろゴチャゴチャ気持ち悪いですね。タダでプレゼントされても着けたくないので即換金したい所ですがまともな値段がつきません。現代ジュエリーに何千万円も注ぎ込んでしまい、失敗したというお客様に教えていただきました(TT) |
現代のハイブランドのダイヤモンド・ジュエリー |
ブローチの裏側
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本体の形に合わせたピンの美しい曲線と、先端まで完璧に仕上げた完成度の高い仕事は実に見事です。 |
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裏を見れば良いものかどうかがすぐに分かる物ですが、この完璧な仕上げは、正にこの時代の最高級のジュエリーとして作られた証なのです。それに、このブローチは完璧なクリーニングをしてあるので、まるで今作った物であるかのようにすべてが輝いているのです!! |
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『ダイヤモンド・アート』の不思議なほどの透明感を感じる凛とした輝きは、現代のダイヤモンドの基準である4Cなんて如何に無意味なものかをお分かり頂けると思います。つまらないダイヤモンドしか見たことがない方はダイヤモンドジュエリーに興味が湧かなかったかもしれませんが、これこそがダイヤモンドの真の美しさであり、魅力なのです。この美しさを知ったら、きっと虜になってしまうことでしょう♪♪ |