No.00020 アヤメ |
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『アヤメ』 日本庭園でもよく見るアヤメは、日本人に馴染み深い花です。このアヤメは、アール・ヌーヴォーでよく用いられた、西洋でも好まれたモチーフでもあります。 |
ジャポニズム・アールヌーヴォー
実はアール・ヌーヴォーの作品には、日本美術の影響がみられる物が多く存在します。 日本の美術品を扱っていたパリの美術商サミュエル・ビングにより、日本美術を広く伝えるため、1888年から1891年まで『芸術の日本』(Le Japon ARTISTIQUE)という大判の美術月刊誌が40冊発行されました。 これらビングの影響もあり、アールヌーヴォー期はジャポニズムが大いに持て囃され、ヨーロッパの美術にも大きな影響を与えました(詳細はこちらを参照)。 |
アヤメが描かれた浮世絵
葛飾北斎『あやめにきりぎりす』 | 歌川広重『名所江戸百景 堀切の花菖蒲』 | 歌川広重『菖蒲に白鷺』 |
アヤメが描かれたジャポニズム・アール・ヌーヴォーの西洋作品
ルイ・ゴンスの著書『日本美術』の装丁(カミーユ・マルタン&ルネ・ウィーナー 1893年) |
絵画だけでなく、当然この時期のアール・ヌーヴォージュエリーにも日本文化はインスピレーションを与えました。 このような美しいアヤメのエナメル・ブローチが生み出されたのは至極当然の流れですね。 |
小さなブローチなのに、まるで絵画のような色彩とキメ細やかな美しさです。ゴールドとエナメルで表現しているとは思えないほどです! |
斜めから見ると、いかにふっくらとさせた立体的な作りなのかが解ります。 ふっくらとさせたゴールドのフレームに合わせて、プリカジュール・エナメルも立体的に施すという、とても技術のいる仕事がなされています!! 美しい色彩に加え、立体的な作りがあるからこそ、絵画以上の感動的な美しさを感じることができるのです♪ |
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バックライトをあてると半透明のグリーンのグラデーションが付いたプリカジュール・エナメルが何とも幻想的です!♪手に持って、光にかざせば同様の効果を得ることができます。持ち主ならではの楽しみでもありますね♪ |
裏側まで花脈が彫られいるのは、丹念に作られた良い物の証です。 ←とてもわかりづらいですが、フランスのホールマークが入っています。 |
日本らしい雰囲気と、アール・ヌーヴォー期のフランスのジュエリー文化が見事に融合し、美しいジュエリーへと昇華しています。 この時代ならではの貴重なジュエリーとも言えますが、全く古いイメージがならず、時代を超えたデザインである所にも魅力を感じますね♪ |