ロスチャイルドのお城(4) 〜豪華な南国の鳥の楽園〜

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ロスチャイルド邸宅の広い敷地は花と緑でいっぱい、散策するだけでもとっても楽しいです♪♪

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普通の人よりは植物の名前に詳しい私ですが、さすがに国が違うと見たことがない花もたくさん!♪
左はライラックです。バルカン半島からクリミア半島にかけてが原産と言われており、日本では札幌市や長沼町で市の木、町の花に指定されています。北海道の方だと比較的馴染み深いのでしょうか。サラリーマン時代は異動などで引っ越ししまくった私ですが、降雪地域には住んだことがありません。今まで住んだ中での最北地はつくば市です。研究学園都市ですね〜、研究者っぽいです。研究者でしたが(笑)
出身地の福岡から住んだことがある岡山、首都圏まで、緯度は大して変わらないので草花の種類はあまり変わらない印象です。東北以北だと緯度が上がっていくので、草花の種類もグッと変化していくようですね。

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高台なので、木々の隙間から遠景を眺めることもできます。広い空、お庭以外にも咲き乱れる草花たち。さすがは社交の季節、「The SEASON」。たくさんの綺麗な花々に囲まれ、気持ちの良い空気と爽やかな青空の元、貴族のロマンティックな社交が繰り広げられていたのでしょう。本当にこの季節は社交には最適な時期です。

ロスチャイルドの邸宅ワデズドン・マナーにあるバードケージと春の花々
敷地を散策していると、何やら一層と華やかな建物があります。

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建物の中心には南国の楽園を思わせる植物と像、そして池。かなりお金がかかっていそうです。

ロスチャイルドの邸宅ワデズドンマナーの巨大なバードケージ

実は、この建物は全体が鳥籠、バードケージになっています。

そこで暮らすのは南国の珍しい貴重な鳥たちです。



ロスチャイルドの邸宅ワデスドンマナーのバードケージで飼われている珍しい鳥の種類
『パイナップル』のフォブでもお話した通り、当時のヨーロッパの人たちにとって見たことのない遠い南国の楽園は憧れの対象であり、南国特有の美しい動植物は羨望の的だったのです。パイナップルも、栽培技術と温室の保有は貴族のステータスでした。それより時代は下りますが、わざわざ南国から連れて来た鳥たちの飼育に成功すること、そして豪華なバードケージは、誰も真似することができない桁違いのステータスだったはずです。さすがロスチャイルド家と皆がうなったことでしょう。

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極めつけはこの鳥で、なんとロスチャイルドの名が付いています。ロスチャイルドの九官鳥、和名はカンムリシロムクと言いバリ島の固有種です。1911年にイギリス人鳥類学者バロン・ストレスマン博士が「発見した」という記録が残れされていますが、同時代の動物学者だったウォルター・ロスチャイルドの名を学名に与えられたようです。
私が見ている時に、ちょうど囀っていて鳴き声を聞くことができました♪全体が白い羽に覆われる中で目の周りだけが青く、とても高貴な雰囲気の鳥でした。

ワデスドンマナー イギリス ロンドン 貴族 シマウマの馬車 ウォルター・ロスチャイルド ワデスドンマナー イギリス ロンドン 貴族 ガラパゴスゾウガメ ウォルター・ロスチャイルド ロトゥマ
じゃ〜ん!!♪
左はシマウマの馬車、右はガラパゴスゾウガメの『ロトゥマ』ちゃん(御年150歳以上)のお車です(笑)

どちらも乗車しているのは第2代ロスチャイルド男爵ウォルター・ロスチャイルドです。英国ロスチャイルド家の第3代当主であり初代ロスチャイルド男爵ナサニエル・ロスチャイルドの長男として1868年にロンドンで生まれましたが、銀行業には関心を持たず動物学に傾倒した人物です。7歳の時すでに将来は博物館を作ると両親に宣言していたそうです。本来は嫡男なので父の銀行業を継がなければならないのですが、大人になってからも銀行業そっちのけで動物に傾倒していました。父からの手当は巨額でしたが、それでも数万匹の動物は養いきれず絶えず借金を繰り返し、果ては父ナサニエルに無断で保険金をかけて逆鱗に触れたこともあったそうです。所謂奇人変人の類だったようです。本人は至って本気なのでしょうけれど、笑ってしまうエピソードには事欠きません。

それにしてもシマウマの馬車は人々を仰天させたことでしょう。いくら動物が好きだからと言っても、相当な財力がなければこんなことは実現不可能です。ロスチャイルド家の桁違いの財力を実感しますね。私もシマウマの馬車やゾウガメさんに乗ってみたいです。大変羨ましいです!!(笑)

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バードケージを見に行って、お城の中に下げられていた驚くほど豪華な鳥籠の謎も解けました。中の鳥は生きた鳥ではありません。時計が付いており、構造の特徴などから『シンギングバード』という鳥かご型のオルゴールの可能性が高そうです。GENも一度だけ扱ったことがあるそうですが、アンティークのオルゴールはそれはそれは美しい音色なのだそうです。残念ながらその音色を聞くことはできませんでしたが、当時は来客にこの超豪華なシンギングバードの音色でおもてなしして驚かせたのでしょう。驚く客をさらに驚かせるべく、「それでは次は本物の南国の鳥を外へ見に行きましょうか」とでもお誘いしたのでしょうか。貴族らしい、優雅で贅沢な遊び心に触れた気がしました。それにしても、桁外れの財力を持つ貴族の生き物を愛でる籠はいずれも贅沢です(笑)

次回につづく

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