リュミエール・ジュエリー |
|
ヨーロッパの知的階層を中心に流行した啓蒙思想を背景に、啓蒙専制君主の元、上流階級の特に知的階層の間で18世紀半ばから19世紀初期に流行した知的な雰囲気のジュエリーです。 | |
【誕生背景】古代ローマにキリスト教が普及し、中世以降ヨーロッパはキリスト教に政教一致の形で支配されてきました。しかしながら17世紀後半のイングランドで、「宗教的な偏見を取り払い、理性(悟性)で物事を見よう。」という啓蒙思想が興り、ヨーロッパに広がりました(啓蒙時代)。その方法として、古代ローマの博物学者プリニウスの著書『博物誌』を始め、キリスト教以前の古代世界に於ける博物学が参考とされ、自然科学的なアプローチが試行されました。それまで興味を持たれていなかった自然界の様々な動植物、鉱物などが研究対象となりました。あらゆる資料が網羅的に収集され、体系的に纏められ、近代の科学技術の発展にもつながっていきました。それらは知識のみならず、富や繁栄をもたらす物ともなりました。 このように"知的なもの"に対する上流階級の関心が最大限に高まった結果、啓蒙思想や博物学などを興じる社交の場で着けるジュエリーとして、知性が漂うリュミエール・ジュエリーが誕生しました。
【特徴】絶対王政期、王権は神に与られたものとされ(王権神授説)、生まれながらに特別な人間とそうでない人間が存在しました。一方、啓蒙思想では人は生まれながらに皆平等であると考えられました。鉱物に関しても同様の考え方が適用された結果、それまで宝石として珍重されてきた鉱物以外の石に光が当たり、好んで使用されました。適当に選ぶわけではなく、持ち主が独自の教養とセンスで選んだ面白い半貴石を使用しており、深い思考を促すような知的な雰囲気を醸し出します。選定の根拠となった知識やセンスを読み解けるか、見る者を試す社交界的なジュエリーでもあります。従来の煌びやかな宝石のジュエリーとは一線を画す、強い魅力があります。
【名称の由来】キリスト教に支配され、文化や学術などの面で停滞した中世ヨーロッパの時代は『暗黒時代(Dark ages)』と呼ばれます。ルネサンス初期の人文主義者ペトラルカが"tenebrae"(ラテン語で『闇』)と呼んだのが、概念的な始まりとされます。"Lumen naturales"(ラテン語で『自然の光』)を用いて自ら超自然的な偏見すなわち"闇"を取り払い、人間本来の理性の自立を促すという意味で啓蒙思想は"Enlightenment"(英語)、"Lumières"(フランス語)、"Aufklärung"(ドイツ語)と呼ばれています。 本場ヨーロッパでも『啓蒙思想のジュエリー』は一般認識やカテゴライズされておらず、明確な定義や名称がなかったため、HERITAGEで新たに定義し命名しました。Enlightenmentは日本語だと語呂が良くないこと、フランス語は古のヨーロッパ上流階級の共通語であり、英語圏でも外来語としてフランス語の単語が多々使用されることから、『リュミエール・ジュエリー』としました。 |
|
・ リュミエール・ジュエリーについてもっと詳しく知りたい方はこちらもご参照ください
|
・ アンティークジュエリー用語集に戻る |