リュミエール・ジュエリー

ジョージアン モスアゲート(苔瑪瑙) ブローチ ヨーロッパの知的階層を中心に流行した啓蒙思想を背景に、上流階級の知的階層の間でジョージアンに流行した知的な雰囲気のジュエリー。

 

【誕生背景】

 古代ローマにキリスト教が普及し、中世以降キリスト教に支配されてきたヨーロッパだが、17世紀後半のイングランドに於いて、宗教的な偏見を取り払い理性(悟性)で物事を見ようという啓蒙思想が興りヨーロッパに広がった(啓蒙時代)。方法論としては、ヨーロッパの王侯貴族や知的階層のバイブルと位置付けられていたプリニウスの『博物誌』を始め、キリスト教以前の古代世界における博物学が参考にされた結果、自然科学的なアプローチが試行された。それまで興味を持たれていなかった自然界の様々な動植物、鉱物などが研究対象となり、網羅的に収集され、体系的に纏められ、近代の科学技術の発展にもつながっていった。それは富や繁栄をもたらす物ともなった。知的な物に対する上流階級の関心が最大限に高まった結果、啓蒙思想や博物学的な話題を興じる社交の場で身に着けるジュエリーとして誕生した。

 

【特徴】

 絶対王政期には王権は神に与られたもの(王権神授説)とされ、生まれながらに特別な人間とそうでない人間が存在した。一方で、啓蒙思想では人は生まれながらに皆平等であると考えられた。鉱物に関しても同様の考え方が適用された結果、それまで宝石として珍重されてきた鉱物以外の種類の石が注目され使用された。 持ち主がそれぞれの美的センスで選んだ、面白い半貴石が使用されているのが特徴である。従来の煌びやかな宝石のジュエリーとは異なり、深い思考を促すような知的な雰囲気を醸し出す要因となっている。

 

【名称の由来】

 キリスト教に支配され、文化や学術などの面で停滞した中世ヨーロッパの時代を暗黒時代(Dark ages)と呼ぶ。ルネサンス初期の人文主義者ペトラルカが"tenebrae"(ラテン語で闇)と呼んだのが、概念的な始まりとされる。"Lumen naturales"(ラテン語で自然の光)を用いて自ら超自然的な偏見を取り払い、人間本来の理性の自立を促すと意味で啓蒙思想は"Enlightenment"(英語)、"Lumières"(フランス語)、"Aufklärung"(ドイツ語)と呼ばれている。本場ヨーロッパでも"啓蒙思想のジュエリー"は明確な定義や名称がなかったため、HERITAGEで新たに定義し命名した。英語のEnlightenmentは日本語だとゴロが良くないこと、フランス語は古のヨーロッパの上流階級の共通語であり、英語圏でも外来語としてフランス語の単語が使用されることもあることから、リュミエール・ジュエリーとした。

 

 

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