ナイフエッジ |
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金属の細長い板を削って鋭角三角形にし、正面から見たときに金属が線のようにしか見えないようにする技法。 | |
金属の存在感を極限まで消すことで、前後にセットした宝石がまるで宙に浮いているかのように際立たせることができる。その繊細な見た目とは裏腹に、後ろ側は金属に厚みがあるため、100年以上の使用にも耐えられる強度を持つ。 |
繊細な美しさと十分な強度を両立させた素晴らしい技法だが、強度を出すには金属の板自体を鍛造で作る必要があり、また鋭角三角形の形に整えるには削って磨く丹念な作業が必要となる。技術に加えてかなりの手間が必要なため、現代では見ることのない、手作りのハイクラスのアンティークジュエリーならではの技法となっている。 |
【参考1】 ナイフエッジを駆使したバーブローチ |
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正面からはゴールドの土台が線のように見える。 宝石自身の魅力がより強調されている。 |
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裏側はブローチとして十分に強度が出せる厚みがある。 | ||
横側はかなり厚みがある。 先端に向かって徐々に細くなっており、かなり鋭角な三角形であることが分かる。 |
【参考2】 ナイフエッジを駆使したトレンブランのブローチ |
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花のモチーフでは茎の部分の表現によく使用される。 茎を細くして存在感を小さくすることによって、メインとなる花や葉の印象がより強調されている。 |
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繊細な正面からの印象とは裏腹に、ブローチとしての耐久性が十分に出るよう、裏側は十分に茎の部分にも厚みがある。 |
【参考3】 ナイフエッジを駆使したネックレス |
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ナイフエッジは比較的新しい年代だと、ネックレスに使用される場合が多い。 その場合、ブローチよりも使用する際に力がかからないため、より細いナイフエッジが施される。 |
着けると繊細に見えるが、十分に金属に強度を持たせた構造であることが分かる。 たたいて鍛えた鍛造の板だからこそ、この厚さでも100年以上の使用に耐える強度が保てるのである。 |
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正面 | 裏 | 横 | |
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