『癒やしの金魚』
「心の癒やしに。」と、お客様がお持ちくださった涼やかな金魚の水菓子です♪ 日本人は贈り物が大好きな民族でした。喜ぶ姿を見るのが大好きな、世界一優しい心を持つ民族だからなのだと思います。元々は贈進文化だったものが戦後に贈答文化へ変容し、御中元や御歳暮の文化も形骸化が進みました。そんな環境にあっても、真心のこもった特別なアンティークの宝物の魅力を鋭敏に感じ取る人は、本来の日本人の心をしっかり持っていらっしゃるのだろうなと感じます。 皆様から頂戴するものは私たちのことを本当に良く考えて下さっていることが伝わってくる、真心のこもったものばかりです。こういう心の遣り取りの循環が、美しい日本文化を醸成していったのでしょうね。 贈答文化は百貨店がビジネス戦略の一環で作ったこともあり、百貨店の宣伝文句を鵜呑みにする多くの日本人がどこのデパートの包装紙なのか、どのブランド店の物なのか、あるいは値段ばかりを気にするようになっていきました。同じ"物を贈る"という行為であっても相手を思い遣るものではなく、お互いにもの凄〜く自分本位です。これに疲れて御中元や御歳暮も最終的に市場が縮小してしまったのでしょう。 |
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2020/7/5(生後2ヶ月半) | |
「綺麗なものは見ていて心が癒やされる♪」 「可愛いと思うだけで心が癒やされる♪」 |
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Genは小学生の頃、おばあちゃんにテストで高得点を取ったら犬を飼っても良いと言われ、頑張って『コロ』を家族に迎えました。日本屈指の豪雪地帯、冬の米沢でコロと二人っきりで夜の真っ白で美しい雪景色を眺めたり、カマクラで遊んだりしたそうです。 私は金魚を飼っていました。金魚すくいで2匹持ち帰ったのですが、数年後に1匹が28cmまで巨大化しました。もはや『魚』という感じでした(笑) |
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グランドツアーで日本を訪れた際のロシア皇太子ニコライ2世(1891年)長崎にて人力車に乗車 | |
ところでロシア皇太子だったニコライ2世は1891(明治24)年にグランドツアーで日本を訪れた際、警官に突如サーベルで斬撃されて頭部に9cm近くの傷を負いました(大津事件)。命に別状は無かったそうですが、精神的なショックが大きそうですよね。明治天皇が国宝クラスの傑作『綴錦犬追物壁掛』を贈っただけでなく、お召船アゾフ号の甲板が埋まるほどの大量のお見舞いが日本全国から届いたそうです。 |
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『あつまけんしみたて五節句』(歌川国貞)【引用】国立国会図書館 | |
山程の焼き菓子、酒樽や果実酒、糖菓や饅頭、中には鳥や金魚もあったそうです。甘いものやお酒も精神が安らぎますが、可愛らしく美しい生き物は静かに眺めているだけで心が癒やされますものね。金魚を選んだ贈り主の真心・・。きっと繊細で豊かな美意識を持つ、心優しい人だったのでしょうね。 | |
戦前ほど豊かな感性を磨きにくくなってしまった現代・・。 ちなみに金魚の水菓子を入れた器は現代の職人さんが作った吹きガラスですが、戦前から続く骨董屋だったGenの家には江戸時代の吹きガラスによる超巨大な金魚鉢があったそうです。1mほどの大きさで、数名がかりの職人で作り上げた大作だったようです。凄い! |
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2021/5/23 | |
これは近所をお散歩中に見かけた金魚鉢です。入ったことはありませんが、オシャレな飲食店の軒先にありました。さすが神楽坂!♪ 水草と朱色の金魚が良い雰囲気です♪ |
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金魚好きなので思わず覗き込んでしまいました(笑) すかさず金魚たちが浮かび上がってきて、一斉にごはんをおねだり。ごめんなさい、何も持ってないよ〜。可愛がられているんだね♪♪ |
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2021/6/28 | |
約1ヶ月後。
また癒やされようと再訪したら、水草が生い茂っていました(笑) |