『宮廷料理の食材』

スタイリッシュなパッケージの泡盛の古酒2021/9/15

これはお酒です。

モダンでスタイリッシュなパッケージに入っているのは泡盛の古酒で、8年以上は経っています。宮古島の先端、狩俣地区にあった千代泉酒造所で造られたものです。

なぜ「8年以上」と年数を特定していないのかと言うと、2013年に休業して生産がストップ、2018年に廃業した後、デッドストック的に発見されたものだからです。何と、海に廃棄処分されそうになっていたものを、価値が分かる人が救ったそうで・・。海に捨てたら、お魚さんたちが酔っ払っちゃうよ〜(><)

 
スタイリッシュなパッケージの泡盛の古酒

そんな超貴重&ラッキーなお酒は、HERITAGEの常連のお客様が、一緒に体験してみましょうとお持ちくださったものです。

千代泉酒造所の名前の由来は
「千代に枯れることなき泉のごとく平和を願う。」
とのこと。

1948年から2018年までの70年に渡る歴史は閉じられましたが、宮古島の隆起サンゴ礁からなる地層から染み出した湧き水を仕込み水に使用し、昔ながらの製法を守り造られ、巡り合うようにHERITAGEにやってきたお酒は何を語りかけてくれるのかしら・・。

 
泡盛の古酒と冬瓜漬

合わせるのは冬瓜漬です。
冬瓜にお菓子のイメージは全く無かったのですが、琉球王朝時代のお菓子で、300年ほど前に中国から琉球に伝わったとされるそうです。

冊封使をもてなす饗応料理、贅の限りを尽くしたと言われる豪華絢爛な御冠船料理のお菓子の1つとして提供された、由緒正しき宮廷菓子です。贅沢品としてのお砂糖の話でもよく聞きますが、このお菓子も一般人が口にできるようになったのは明治以降とのことです。

 
透き通った飴色が美しい謝花きっぱん店の冬瓜漬
お客様が泡盛のオマケで頂く際、お店の方から「くれぐれも薄〜く切って、召し上がって下さい。」と念押しされたそうです。

大変手間ひまがかかるとのことで、大変貴重なお菓子です。お客様に教えていただかなかったら、私は存在自体知らずに終わっていたでしょう。お砂糖の甘さがタップリと染み込んだ冬瓜は、透き通るような飴色がとても美しいです。

食べてみると、完璧にお菓子でした。冬瓜のクセのない風味、美しいビジュアルが宮廷菓子の原料として最適だったのだろうと想像するのですが、あることを思い出しました。

神楽坂に、宮廷料理の中華を出すお店があります。西太后の元料理人に師事した料理人さんがやっているお店で、「冬瓜は価格が高い訳ではないけれど、贅を尽くした宮廷料理の中でも格が高い料理に使われる、格が高い食材。でも、それがなぜなのかは分からない。」と仰っていました。

琉球王朝の最上級のおもてなしのお菓子の材料にも使われていると知り、共通項を面白く感じました。アンティークジュエリーを見ていても、文化の伝播を感じるタイミングはちょこちょこあります。王侯貴族が文化も政治・外交も全て司っていた時代。ハイジュエリーも宮廷料理も、あって当然ですね。

今回は冬瓜に対する印象がかなり変わりました。

 
足元に挟まるシルバーのトイプードル小元太

普段、度数の高いお酒もいろいろ飲むのですが、タイ米を原料とするこの泡盛は、日本酒にも通じる独特のふくよかな香りを漂わせていました。こういう系統は香りが重いこともありますが、仕込み水のせいかスッキリしていて爽やかな味わいでした。

お客様はお酒が強くないそうで(でも味わってみたいとのこと)、残った泡盛は置いていって下さりました。そのまま熟成が進むそうで、一度に飲み干すのは我慢して、また1年後くらいに味見してみようかな♪

HERITAGEのお客様の中には、HERITAGEの宝物の元々の持ち主もこういう方だったに違いないと思えるような、古の王侯貴族を彷彿とさせるような方がいらっしゃいます。王侯貴族はパトロン(守護者)として学芸の発展に寄与したりしていますが、こういう未知の経験をさせて下さるのも、まさにそういう活動の1つなんですよね。御恩に報いねば、御恩に報いたい!きっとこのような経験の1つ1つがじわじわと効いて、HERITAGEはこれからより良くなっていくのです♪♪私たちだけでなく、皆で良くしていくんです!♪

幸せな気分の私。その一方で、小元太Jr.も大変満足そうです。床には食い散らかした肉の骨が散らばり、お客様の足元に挟まって自慢気に私を見つめています(笑)

 
足元に挟まって眠るシルバーのトイプードル小元太

あぁっ!またそんな所で寝てしまいました。これはお客様が足を動かしづらい(笑)

先代の小元太は「お互いに依存症」と言われるくらいGen愛が凄かったですが、小元太Jr.はじぃじ(Gen)とばぁば(私)が2人で壮大に甘やかした結果、かなり甘えん坊さんになりました。私たち以外にも当然のように壮大に甘えます。みなさま、いらした際はどうぞよろしくお願いいたします(笑)

 

 

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