『六本木ヒルズの彼岸花』

六本木ヒルズの屋上庭園の稲穂と彼岸花と東京タワー 2012/9 

天日干しされた稲穂。
普通の秋の景色に見えますが、違和感を感じた方もいらっしゃるでしょうか。左奥に見えるのは東京タワーです。

9年も前のガラケーの写真なので画質が悪いですが、六本木ヒルズの屋上庭園で稲刈りに参加した時です。

メディアにも取り上げられる話題性の高いイベントですが、屋上庭園自体が通常非公開で、私のような部外者は特殊なコネがないと参加できないのでラッキーでした。

 
六本木ヒルズの屋上庭園で脱穀するくまモン

毎年、異なる地域のお米を栽培しているそうです。
参加した2012年度は熊本でした。

くまモンが脱穀しています(笑)
足踏み式の脱穀機で、手前のお兄さんが踏板を踏んでこぎ胴を回転させていました。

自然や日本文化の体験、食育などを目的としているので、電動ではなく昔ながらの方法です。

この足踏式脱穀機が発明されたのは1910(明治43)年で、大正年間を通じて全国的に普及しました。

私は小学校の教科書で見た『千歯扱き』に興味があったのですが、さすがに効率が悪すぎですかね(笑)

 
六本木ヒルズの屋上庭園のメダカが住む池と蓮

六本木ヒルズは2003年開業で、取り組みは2006年度から行っており、草木や生き物たちが環境に根付いていました。

泥や水ごと持ってくると、割とすぐ生態系が順応するようです。

普段は自治会の方などがお世話されているようで、メダカやカエルも住んでいます。

 
六本木ヒルズの屋上庭園で収穫した稲穂

当時はまだヨーロッパの王侯貴族に興味を持っておらず、アンティークジュエリーという言葉すら知らない普通の理系サラリーマンでした。

子育て中の六本木ヒルズ居住者などのために、食育も想定した、なかなか贅沢で面白い取り組みだと感心したものでした。

でも、これなんか比較にならぬほど贅沢なやり方で、18世紀後期に王妃マリー・アントワネットが子どもたちのために既にこういうことをやっていたんですよね。

庭園の一画に造った菜園や温室で野菜や果物を栽培し、それを専門の料理人に調理させて邸宅で食すのも、王侯貴族にとっては当たり前だったことをこの仕事を始めてから知りました。

邸宅の敷地内で狩りを楽しみ、獲物のお肉を晩餐で戴いたりもします。必ずしも狩りのために遠出する必要はなく、ハイドパークを含めたロンドンの8つの公園は元々イギリス王室の狩猟のための場所でした。今は庶民も入ることが可能ですが、一般公開されているだけです。

六本木ヒルズは一般にはお金持ちが住むイメージを持たれていますが、屋上庭園での取組みは共用スペースに大勢が集まって軽い体験をする程度です。古の王侯貴族のラグジュアリー具合が、いかに桁違いなのかが想像できますね。贅沢さも発想力も桁違いです。至極残念ですが、現代の"ラグジュアリー"なんて所詮は古の王侯貴族の劣化版に過ぎないものばかりです。

 
六本木ヒルズの屋上庭園の稲穂と彼岸花と東京タワー

今、こうしてそれを感じる上では、屋上庭園での稲刈りは物凄く良い体験だったと思います。

一番印象的だったのは真紅の彼岸花でした。

好きな花は甲乙付け難く何種類もあるのですが、 私の琴線に触れる、本能的に好きな花が彼岸花です。

彼岸の時期だけ、田舎のロードサイドにポツン、ポツンと咲く姿を見ることができます。

それが地上45mで、真っ赤な東京タワーと共に見られるなんて驚きました。

 
六本木ヒルズの屋上庭園の稲穂と彼岸花と東京タワー 2020/9/30

そんな特別な花だったのですが、市ヶ谷のアトリエのご近所は至る所に咲くことが判明しました。

これは去年、東京理科大の敷地に咲いていたものです。

8年も経つと、モバイル付属のカメラも進化が著しいですね。デジカメが不要なほど高解像度の画像が撮れます。

 
東京理科大の裏に咲く真紅の彼岸花

彼岸花の造形には大いに魅了されます。

葉も分岐もない、潔いほどシンプルな茎。
その先端には強烈な真紅。360度を向いた花。類を見ないほど細長い花芯が描く、優美な赤い曲線には力強さと華やかさがあります。
それでいて儚さも感じます。色、造形、その立ち姿の全てが印象的です。

持って帰りたい〜、、、(笑)

 
東京理科大の裏に咲く真紅の彼岸花

これだけ美しいのに、美術品などのモチーフにならないのが不思議です。

彼岸花のイメージもあるでしょうけれど、それだけではないと思います。彼岸花は360度の複雑な造形です。この立体造形こそが美しさの根源です。デフォルメすると何だかダメですし、二次元で同じくらい印象的に表現するのは不可能だったのだと思います。アンティークの着物の柄などでも見ません。

手に入らないからこそ思慕の情はますます強くなり、夢の中で恋い焦がれる理想の花と化していきます。

 
市ヶ谷の赤いポストと車と彼岸花
2021/9/12

今年も彼岸花の季節になりました。私の行動範囲では滅多に見ない花でしたが、市ヶ谷にはやたら多くて私の中での稀少価値が下がります。外堀通り沿いにも咲いていました(笑)

赤い車と、赤いポストと、赤い彼岸花。人工的な赤の色が何だか邪魔です(笑)

彼岸花だけはこんな都会ではなく、人けがない静かな場所で見たいなぁ・・。

 

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