トランジション・ジュエリー

時代が移り変わる過渡期ならではの、旧時代と新時代の両方の要素を兼ね備えたジュエリー。

 時代は誕生期→発展期→成熟期→退廃期を繰り返す。時代が大きく移り変わる過渡期は旧時代の成熟した芸術・文化を基盤としながらも、新時代の新たなエネルギーや最新テクノロジーが新しい要素として加わるごく短期間のタイミングである。芸術家たちがインスピレーションに満ち溢れ、チャレンジングな作品がこぞって作られるタイミングにあるため、トランジション・ジュエリーには他にはない独特の強い魅力がある。ごく僅かな期間にしか作られてないため数が少なく、アンティークジュエリー自体が体系化しながらの研究が進んでいない分野でもあるため、本場ヨーロッパでもトランジション・ジュエリーという概念は存在せず、表す言葉もなかったためヘリテイジで定義して命名。

 

【参考1】ジョージアンからアーリー・ヴィクトリアンにかけてのトランジション・ジュエリー

アーリー・ヴィクトリアンの宝石の蝶のブローチ アンティーク・ジュエリー イギリスで史上最高に金が高かった時代に極限まで高められた金細工技術と、それまでイギリスで続いていた高齢の男性の王の時代が終わり、10代の若き女王ヴィクトリアが即位したことによる、フレッシュで愛あふれる新時代への期待に満ち溢れたデザインが組み合わさったブローチ。


【参考2】レイト・ヴィクトリアンからエドワーディアンにかけてのトランジション・ジュエリー

非加熱の天然アクアマリンのバー・ブローチ アンティーク・ジュエリー 金が最も高価な貴金属だった19世紀までに発達したゴールドの素晴らしい彫金技術と、20世紀に入り、画期的な新素材として登場したプラチナならではのデザイン及び細工が組み合わさったブローチ。


【参考3】エドワーディアンからアーリー・アールデコにかけてのトランジション・ジュエリー

アーリー・アールデコ Sukashi ダイヤモンド リング 幾何学的な模様や直線などデザインは明らかに次の時代のアールデコそのものだが、作りはプラチナにゴールドバックというエドワーディアンの作りをしたリング。
 

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