No.00200 社交界の花 |
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『社交界の花』 明るく濃い色の美しいシトリンをメインストーンにした、華やかかつ清楚な雰囲気のペンダント&ブローチです。分かりやすいダイヤモンドではなく、天然シトリンと天然マベパールという貴重で個性的な宝石を主役にした、とてもセンスの良いデザインです。当然作りも非常に優れたもので、当時これを身につけていた女性も一目おかれる社交界の花だったに違いありません♪ |
様々な魅力が詰まったペンダント&ブローチ
現実には存在しない想像上のお花をデザインしたような、この愛らしく華やかなのペンダント&ブローチにはアンティークにしかない魅力がたくさん詰まっています♪ 1.非加熱の大きくて色の濃い天然シトリン 2.スプリットパールのセッティング 3.天然マベパール |
1. 非加熱の大きくて色の濃い天然シトリン
このペンダント&ブローチで一番目を引くのは、何といってもメインストーンのこの美しく大きなシトリンでしょう♪ |
シトリン イヤクリップ イギリスorフランス 19世紀初期 SOLD |
シトリン(黄水晶)は古い時代でも稀少な石でした。 このため、手に入った場合は大変貴重な宝石として、貴族のための最上級のジュエリーに使われてきました。 |
シトリン(黄水晶)は古い時代でも稀少な石でしたが、今では枯渇してほとんど採れなくなっています。 でも現代ジュエリー市場には安物から高級ブランドものまで、たくさんのシトリンのジュエリーが溢れかえっています。 現代ジュエリー、パワーストーン市場で見るシトリンはほとんどが元アメジストです。1883年にブラジルでたまたまアメジスト(紫水晶)を加熱したところ、鮮やかな黄色の石になりました。 |
加熱により得られた黄色い石は、最初は『ゴールデントパーズ』などと言われていましたが、鉱物学的な理解が進むと『シトリン』と呼ばれるようになりました。 現代ではアメジストを約450度で加熱処理してシトリンを生産しています。 「溶練水晶に色をつけた石は人工物だから価値が低いけれど、天然の石を使ってポテンシャルを引き出しただけなので天然の石である事に間違いはなく、価値あるもの」であり、天然石として販売して問題ないしパワーストーンとしてもパワーがあるのだそうです。
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天然アメジストのビーズ | |
アメジストを加熱した「シトリン」ビーズ |
BOUCHERON PARIS シトリンのセルパンボエムシリーズ(一部) | ||
ロングネックレス 16モチーフ シトリン8個(54.89カラット) ¥7,062,000-(2021.5現在) 【引用】BOUCHERON / SERPENT BOHEME LONG NECKLACE, 16 MOTIFS |
イヤリング シトリン4個(20.94カラット) ¥2,006,400-(2021.5現在) 【引用】BOUCHERON / SERPENT BOHEME PENDANT EARRINGS, XS AND L MOTIFS |
イヤリング ラージ シトリン2個(19.05カラット) ¥1,393,200- 【引用】BOUCHERON / SERPENT BOHEME SLLEPERS, L MOTIF |
ペンダント ミディアム シトリン1個(3.51カラット) ¥588,500-(2021.5現在) 【引用】BOUCHERON / SERPENT BOHEME PENDANT, M MOTIF |
ブレスレット スモール シトリン1個(1.81カラット) ¥271,700-(2021.5現在) 【引用】BOUCHERON / SERPENT BOHEME BRACELET S MOTIF |
リング スモール シトリン1個(1.47カラット) ¥258,500-(2021.5現在) 【引用】BOUCHERON / SERPENT BOHEME RING, S MOTIF |
この通り、世界的ブランドのジュエリーにもごろごろとシトリンが惜しげもなく使ってあります。ロングネックレスは675万円もして、一瞬桁を間違えたかと思ったくらいですが、「天然シトリン」「非加熱シトリン」の記載はないので元アメジストと断定して間違いないでしょう。天然シトリンは本当に貴重なので、天然を使っていれば天然の記載するはずです(そしてもっと高い値段で販売。価格は2018.11.2時点)。 |
王侯貴族のために作られたアンティークジュエリーは本当の1点物です。 シリーズ化して全世界で受注し、量産可能なジュエリーに本当に数十万円、数百万円の価値があるのか私には理解できません。 買う人はブランド名に価値を感じてお金を払うのでしょうけれど、ブランド名でしか自分を飾ることができないなんて、よほど他に誇れる所がないむしろ貧しい人だと思ってしまいます。 |
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シトリン ネックレス&イヤクリップ イギリスorフランス 19世紀初期 SOLD |
大きなサイズのシトリン
色の濃いシトリン
『春陽のシトリン』 シトリン ブローチ イギリス 1870年頃 SOLD |
その名の通り愛らしいレモンカラーが特徴で、左の大きなシトリンも、春の暖かい陽射しを思わせるような美しいレモンカラーでした。 |
【参考】ブラジル産の天然シトリン | 左はブラジルで採掘された天然シトリンです。 アンティークの貴重な天然シトリンや現代の加熱シトリンの濃い色に慣れていると、「これで色が付いていると言えるの?」と感じるものもありますが、これでも十分価値ある天然のままのシトリンなのだそうです。 |
マデイラ酒のような色を持つマデイラシトリンほど濃くはありませんが、シトリンとしてはかなり色の濃い印象の石です。 色みや色の濃さはもはや好みの領域なので、どの色だから価値があってお勧めということもありませんが、存在感ある美しい色にはやはり強い魅力を感じます。 |
厚みがあってカットも優れた石なので、どの角度から見ても美しいです。 この角度からだと、濃い色彩がより鮮明に分かりますね。 |
透明度の高さと優れたカットの魅力
大きくて厚みがあるにも関わらず、裏側まで良く見える非常にクリアなシトリンです。 |
石英の結晶(ブラジル産) "Quartz Bresil" ©Didier Descouens(23 January 2010)/Adapted/CC BY-SA 4.0 |
これは水晶の結晶です。 天然の水晶は、全体が均一かつ透明な形で得られるわけではありません。結晶の先端に行くほど、内包物のないクリアな部分が得られます。ジュエリーなどの高級品として使う場合、そのような部位だけを選んで使います。 水晶自体はそこまで珍しい鉱物ではありませんが、大きな結晶はやはり稀少です。さらに、その大きな結晶から採取してジュエリーとして使えるのはほんの一部に過ぎません。 黄水晶であるシトリンも同じことで、大きな結晶を得ても全体が使えるわけではありません。ただでさえ稀少な黄水晶のほんの一部だけを使う、大型シトリンのジュエリーとは本来そのようなとても贅沢なものなのです。 |
厚みのある石の裏側には、たくさんのファセットを設けた素晴らしいカットが施されています。 |
厚みのある石のサイドにもたくさんのファセットが施してあります。 素晴らしい石が手に入ったからこそ、最高の宝石に仕立て上げるため、最高のカットが施されているのです。 |
透明度が高く厚みがある石にたくさんのファセットがあるからこそ、表面からだけでなく裏側からの反射も含めたあらゆる光が感じられて美しいのです。照りも良い石なので、太陽光の元でも夜の人工の光の元でも関係なく魅惑の煌めきを放ちます。 |
2. スプリットパールのセッティング
素晴らしいメインストーンの額縁となるフレームには、シトリンの煌めきと黄色を引き立てる、照りのある白いシードパールが使われています。 |
貴重な天然のシードパールを半分にして使うスプリットパールも、アンティークジュエリーにしか見られない美しい技法です。天然真珠自体が貴重な宝石なので、小さいとは言えこれだけの数を手に入れるだけでも想像を絶することです。 真珠層0.4mmで花珠認定されてしまうような、ほぼ貝殻の玉(核)である現代の養殖真珠ではハーフパールを作ることはできません。 半分に割ると(あるいは削ると)、メッキのような薄い真珠層が簡単に剥がれてしまいます。 ちなみに天然真珠でハーフパールを作ることも決して簡単なことではありません。試しに知り合いの職人に聞いてみたところ、綺麗に割るのは無理なのでやるとすればやはり天然真珠の片面を削るということでした。真珠イコール安くていくらでも手に入るという発想だと、あえてリスクをとって2つに割るという発想にならないということですね。ハーフパールを作ること自体が、いかに高度な技術だったかが分かる瞬間でした。 |
このペンダント&ブローチのシードパールのフレームは、同じようなフレームと持つ作品の中でも特に素晴らしく、まるでお手本のような出来です。 肉眼では殆ど分かりませんが、拡大して見るとその凄さには驚かされます。 |
縁のミルは、まるでハイクラスのエドワーディアンのプラチナのジュエリーのように、極めて繊細精緻です。 金のフレームでは過去に見た記憶がないくらい、驚くほどハイレベルのミルです。 小さな粒金のような爪にもまるで乱れがありません。 |
【参考】BOUCHERON PARIS セルパンボエム トワエモア リング シトリン2個(3.47カラット) ¥660,000-(2021.5現在) 【引用】BOUCHERON / SERPENT BOHEME TWO-STONE RING, S MOTIF |
現代の高級ジュエリーのミル?か何かの装飾はこの程度です。 デザインがダサすぎて、本気でこれを販売しようとするセンスがよく分からないのですが、セルパンボエムシリーズというのは「1968年に誕生した世代を超えて愛されるタイムレスなジュエリー」なのだそうです。 パリのブランドですが、一般的な現代フランス人はこういうのが好きなのかと疑問に思ってコメントしたところ、Genは「世界中の田舎者がフランスブランドってだけで買うんじゃない」と笑っていました。 日本各地の田舎者の集まりである東京同様、パリも世界中の田舎者が集まるのは同じですしね。東京もパリも田舎者だらけなので、案外センス良い人は少ないのです。 |
ちなみに私も田舎者ですし、Genも田舎者です。「田舎者=ダサい」ではありません。でも、田舎者でセンスもダサかったらカッコ悪いので、左のような物はタダでプレゼントされたとしても絶対に付けません。 作りも、いかに鋳造で作りましたという感じののっぺりした作りです。まあ、高級ブランドのジュエリーと雖も全世界に販売する大量企画商品なので、量産できてなんぼです。私にはゴミにしか見えないリングでも、66万円を納得して消費者に買ってもらえるブランド力やPR力はやはり凄いと思いますし、素直に尊敬します。ゴミだと認識しながら高い値段で売る商売は、魂を売っているような気がして私は精神衛生上無理ですが・・(笑) 私は一応サラリーマンもやっていた女性なので、高い物、ブランド物イコール良い物と信じている人がたまにそういう品物を自慢してくることもありましたが、鋳造のダサいジュエリーを見せられて褒めることを強要されても困るのです。でも、見る目が無い人、感性が無い人は本気で良いと信じているようですね。それは生まれながらの能力に加えて、育った環境によって感性が育つかどうかも影響しているので、しょうがないのです。無礼な価値観の押しつけは品がないで絶対にやらず、自分が満足いくもの、心地よいものに囲まれて生きていけるようにできれば良いと思っています。 |
このペンダント&ブローチはフレームの下、本体側面にも、職人の手仕事ならではの見事な仕上げを見ることができます。 糸ノコで挽き、丁寧にヤスリで仕上げた透かしもハンドメイドならではのシャキっとした美しさです。 |
このバチカンもセンスが良く丁寧な作りです。 一番上には、丁寧な仕事でシードパールを留めてあります。やはり貴族の特別なオーダーで作られたハイジュエリーは、こういう細部に至るまでの拘りが凄いと改めて嬉しくなります♪ |
ブローチとして使う時は、このバチカンは外すことができます。こういう丁寧な作りも、優れたアンティークジュエリーの証です。 |
3. 天然マベパールの魅力
素晴らしいシトリンの本体に下がっているのは、天然マベパールが使われた印象的なフリンジです。 古代から珍重され、長い歴史の中で王侯貴族に愛されてきた天然真珠のジュエリーについてはこれまでにも何度かご説明してきました。 でも、天然マベパールを使ったアンティークジュエリーは滅多に見ることがありません。 |
【参考】現代の養殖マベパールのジュエリー | |
現代ジュエリーのマベパールでイメージするのはこういうジュエリーだと思います。真円真珠と異なり、巨大な核を挿入して大きな物を作りやすい養殖マベパールは大きなサイズが現代の成金にとっては魅力です。このため、マベパールを現代ジュエリーで見たことはあっても、なんだかオバサンくさく感じて魅力を感じられなかった方も多いのではないでしょうか。 養殖マベパールは真円真珠を作る場合と異なり、貝に負担が少ない軽くて丈夫な樹脂を貝殻の内側に貼り付けて養殖します。核次第で当然大きな物や変わった物も作ることが可能です。核を取り除いたら、空洞部分には耐久性に優れた樹脂を流し込みます。もちろん養殖真珠でノウハウが確立されている通り、脱色や染色などもバッチリ行います。 |
【参考】養殖マベパールのジュエリー | ||
中にはこのような、ちょっと目を疑うようなジュエリーまで販売されていたりします。稀少で高価な材料でこんなことするわけありませんから、マベパールに安っぽいイメージを持つ方がいてもおかしくない状況なのです。 |
『花瓶と花』 レイトヴィクトリアン マベ真珠ネックレス イギリス 1870年〜1880年頃 SOLD |
核を工夫することでいくらでも好きな形にし、色まで脱色・染色で好きにでき、いくつでも作ることのできる養殖真珠と、天然のマベパールでは希少性が全く異なります。 統計学的なデータは調べようもありませんが、粒状で得られる天然真珠以上に貝殻に張り付いた状態で得られるマベパールはできる数が少なかったに違いありません。 それを偶然に採ってきた貝から得るのです。それは一体どれだけの確率なのでしょう。 だからこそアンティークジュエリーでも、マベパールを使ったものは滅多に見ることがありません。 天然マベパールを使ったジュエリーは、アンティークジュエリーの中でもハイクラスのものばかりです。 |
アールデコ 天然マベ真珠ペンダント ヨーロッパ 1920年頃 SOLD |
左はアーティスティックなデザインとハイレベルの作りが施されたアールデコのペンダントです。 そのメインストーンが天然マベパールなのです。面白いマベパールを中心にして、魅力あるジュエリーを特別にデザインし、素晴らしい作品として完成させています。 |
本来は主役級であるはずのシルクのような質感と艶を持ち、そして脱色していないにも関わらず白く美しい天然マベパールが、フリンジとしてシトリンの引き立て役として使われているのがこのペンダント&ブローチの面白いところです。 この作品をオーダーした当時の貴族が、いかに破格の財力とセンスの良さを兼ね備えていたのか伝わってくるではありませんか♪ |
フリンジはナイフエッジになっているため、正面からだとマベパールと葉の形の装飾だけが存在するようなすっきりとした見た目です。裏側もすっきりとした綺麗な作りです。バチカンは右のように取り外すことができます。 |
現代のパーティにも普段にも使える気の利いたデザイン
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撮影に使っているような、作りが良いアンティークのゴールドチェーンをご希望の方には別売でお付け致します。いくつかご用意がございますので、ご希望の方には価格等をお知らせ致します(チェーンのみの販売はしておりません)。現代の18ctゴールドチェーンをご希望の方には実費でお付け致します。高級シルクコードをご希望の方にはサービスでお付け致します。 |
ペンダントとして使う場合、パーティでも十分に活躍する存在感があります。 もっと華やかにしたい場合は天然真珠のネックレスを重ね付けすれば、これ以上贅沢な装いはないでしょう。
ブローチとしても存在感があります。冬の寒い時期は、暗い色合いのコートに付ければそれだけで明るく華やかさが出ます。 白いコートなどに付ければ、清楚かつ華やかな装いにもなりますね。 何かと使い勝手の良いペンダント&ブローチなのです♪ |