『薔薇とワインと・・』
アメジストの深い紫色の色彩を見ていると、古代ギリシャ神話を思い出します。アメジストという名の妖精だった透明な石に、葡萄酒の神ディオニュソスがワインを注いで生まれた宝石という神話があります。 教養を増やすと人生を楽める幅が広がりますね。今回は麗しき、薔薇とワインの夜の想い出をご紹介します♪ |
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2023/5/26 |
類は友を呼ぶ。Genも私もお酒好きで、HERITAGEのお客様もお酒を楽しまれる方が結構いらっしゃいます。好奇心旺盛で、知的でセンスも良い方ばかりなので、まつわるエピソードや知識を聞くだけでも勉強になったり楽しかったりしますが、薔薇が美しい5月、薔薇とワインを楽しむ夜会にご招待いただき出かけてきました♪
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1927(昭和2年)に開業した横浜のホテル・ニューグランドにて、格調高いレインボーボールルームでの夜会でした。アンティークの時代の上流階級の社交の場として、贅を尽くした内装が印象的でした。随所にフェニックスの装飾があります。この日はさらに、たった一夜限りの夜会のために薔薇の装飾で埋め尽くされていました!♪
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少し暗めにされたボールルームの中で、蝋燭の光に照らし出された薔薇がなんとも美しいです。鮮やかな赤とピンクという、王道の色合わせにも心踊ります♪ 花瓶の薔薇は水中花で、遠目には上の蝋燭が宙に浮いているように見えます。装飾のセンスの良さも目を惹きました。稼ごう、なるべくコストカットしようと言う催しでは絶対に見ることができない、贅沢で美しい空間です。「とにかくゲストに喜んでもらいたい!」という真摯な気持ちが伝わってきて、居心地の良さにもなっています。
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Gen作の赤カブのポタージュ (2020.12.13) |
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ピンクの薔薇に合わせたビーツの冷製ポタージュは、Genが私のリクエストで作ってくれた赤カブのポタージュを思い出しました。人工的な着色剤を使わなくても、お野菜の色素で鮮やかに発色できるものですね。ビーツ(beet)は、ケルト語で赤を意味するbetteが語源です。美しい色彩が、昔から特別視されていたのでしょう♪ 見た目のみならず、素材を生かす丁寧な作り方がされており、野菜本来の風味と深いコクが堪能できました。見た目と合わせて、五感で楽しめるディナーです♪
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メダイヨンビーフのソテーには、薔薇のポテトが添えてありました。作った方のサービス精神が嬉しいです。たくさんは作れない贅沢な薔薇のメニューは、まさに一夜限りの夜会ならではかもしれません。古の社交界の宴もこのようだったのかしらと、心のやり取りに想いを巡らせます。 素材の良さと、惜しみない手間が伝わってくる美味しさで、まさにお腹だけでなく心から満たされるお料理でした。日本人はこういうものが大好きですよね!♪ 日本だと特に、このような料理を作りたいと思う料理人さんも多い気がします。でも、メディアが安さばかりを賞賛し、コスパ至上主義の洗脳を受けた人が大半となった現代、腕や気持ちがあっても作れない状況かもしれません。誰かを買い叩けば、巡り巡って自身の時給の安さにつながることを想像できる人は多くないのでしょう。
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『無限の飲酒を可能にするアメジストのワイン杯』 (古代ローマ 1世紀) |
ちなみに古代ヨーロッパ世界では、アメジストを身につけているといくら飲んでも酔わない、悪酔いしないとされていたそうです。 熟成して美味しく変化できるワイン。ポンパドゥール夫人が葡萄畑を手に入れるエピソードなどもあり、アンティークジュエリーとは切り離せません。 広く奥深く、楽しい世界ですね♪ |