No.00258 ホワイト・レディ |
『ホワイト・レディ』 |
プラチナのスーパー・ロング・チェーン。 シンプルでスタイリッシュな印象ですが、ラグジュアリー感も満載です。 |
このようなハンドメイドによる天然真珠&プラチナのスーパーロング・チェーンは、この時代ならではの魅力あるジュエリーです。 |
富と権力と美しさの象徴としてのスーパーロング・チェーン
アンティークジュエリーの中でも、ヘリテイジが扱う王侯貴族が使っていたレベルのハイクラスのジュエリーには、その時代の最先端技術、上流階級の文化、経済活動など、歴史的背景がたくさん詰まっています。 ジュエリーには様々なアイテムがありますが、面白いのがいつの時代も、ロングチェーンにはそれぞれの時代の富と権力を象徴する材料が使われることです。 |
『4 FACES』 フォーウェイ ウォッチキィ・ペンダント イギリス 1830年〜1840年頃 ¥255,000-(税込10%) |
本人が満足するためだけに作られたような、教養と遊び心あふれる宝物の場合はどれだけお金をかけて作られていたとしても、見た目には主張しない場合が多いものです。 むしろ一目見ただけではその別格の価値を分かりにくくすることで、成金や教養のない人たちを寄せ付けないようにしているようでもあります。 |
ノルウェー王妃モード(1869-1938年)37歳頃 | でも、ロングチェーンは身体の正面で一番目立つアイテムです。 教養ある高貴な人たちには、成金を寄せ付けないようにすることも時には必要でしょう。 でも、王侯貴族クラスの身分の高さの人物ともなれば、好まない相手や利害が一致しない人間をすべて避けるわけにはいきません。 政治的やビジネス的に、教養がある相手、無い相手関係なくあらゆる人種に対して富と権力を象徴しなければならない機会がこのような身分の人たちには存在します。 ロングチェーンはただ虚栄心を満たすための成金アイテムではなく、高い身分の女性だからこそ必要となる特別なアイテムだったのです。 |
-通常の時代の定番 天然真珠ネックレス-
長いヨーロッパの歴史で、大抵の時代において富と権力の象徴は天然真珠です。 ルネサンス時代の偉大なるイングランド女王エリザベス1世も、「ちょっと多すぎやしませんか?」とツッコミたくなるくらい着けていますし、その一番のメインが3連のロングネックレスと結び目を作ってアレンジしたロングネックレスです。 |
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イングランド女王エリザベス1世 (1533-1603年) |
イングランド王ヘンリー8世のロイヤル・ファミリー(左:エドワード王子、中央:ヘンリー8世、右:3番目の王妃ジェーン・シーモア)1545年頃 |
人間に永遠の命はありません。だからこそ自分の亡き後、血や意志を継ぐ"子"やその子を成すための"配偶者"はとても大切な存在です。エリザベス女王の父、ヘンリー8世のロイヤルファミリーの肖像画からも分かる通り、王室の富と権力の象徴たる天然真珠は一家で身に着け、ロイヤルファミリー全体を権威付けします。 |
国王の次女として生まれながら、エリザベス女王の人生は決して楽なものではありませんでした。 女性ならではの苦難もありました。 恋愛話がなかったわけでもないのですが、国のために結婚も子を成すこともしませんでした。 複数名のロイヤルファミリーで天然真珠を分け合うことがなかったので、これだけ大量の天然真珠が着用できたわけです。 |
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イングランド女王エリザベス1世 (1533-1603年) |
そうは言ってもエリザベス女王が成金的な女性であったわけではありません。 古代ギリシャや古代ローマの時代はもちろん、19世紀でもヨーロッパは男尊女卑が強くありました。 政治の表舞台に出る女性自体が殆ど存在しなかったため、女王を傀儡しようと目論む国内の勢力や、外交交渉でも王という立場にあっても女性というだけで舐めて強気で来る外国大使もたくさんいたのです。 女王は孤高であり完全無欠、隙のない存在である必要がありました。 そんな時、見てすぐにその財力と権力の凄さが分かる天然真珠のロングネックレスが役立ったのです。 |
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イングランド女王エリザベス1世 (1533-1603年) |
植民地を求めて制海権を我がものにしようとスペイン、オランダ、フランスなどの列強が虎視眈々とひしめく中、外交交渉の際もその全ての才能を女王はいかんなく発揮しました。 英国王室最高のインテリと言われるヘンリー8世譲りの明晰な頭脳に加え、教養、美しさすべて備えていたエリザベス女王は外国大使がやってきた際、わざと相手が集中できないように胸元が大きく開いたドレスや奇抜で華やかな出で立ちで臨みました。 その状態でいくつもの言語を使い分け、あるいは古典や文学、芸術や宗教などから引用するなどしてはぐらかし、絶えず相手が主導権を握れないよう誘導したそうです。 自らのインテリジェンスだけを使う正攻法ではなく、女性だからこそできる自身の美しさも使う外交・政治戦略。 ただテストで点を取るだけならばインテリジェンスだけでOKですが、利害が一致しない相手と、人と人との交渉事をする場合は見た目をコントロールし、うまく活用することは必須です。 |
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『虹の肖像』老いを知らないエリザベス女王を寓意画的に表現した肖像画(67歳頃) |
イングランド女王エリザベス1世 (13歳頃) | 17歳で正式な教育を終えた際、同時代における最も教養ある女性になっていたとも言われるエリザベス女王ですが、常人では想像もできないくらいの天才ぶりです。 テストで点数を取れるだけの秀才ならば現代でも1クラスに1人くらいの割合でゴロゴロいる印象ですが、これほど傑出した人物はそうはいません。 そんな女性が国王となり、礎を作ったのは大英帝国の繁栄にとって相当なラッキーというか、大きなことだったと言えますね。 |
フランス皇后ウジェニー・ド・モンティジョ(1826-1920年)27歳頃 | 国のトップとして政治が外交を司る国王でなくとも、ヨーロッパの王妃は富と権力、そして美しさの象徴として天然真珠のロングネックレスをいつの時代も選んできました。 時代ごとの流行などもあるので長さや連の数など、着け方には多少バリエーションはあるものの、権威を示すために特にロング・ネックレスは重要アイテムだったのです。 |
古代エジプトのファラオ クレオパトラ7世(紀元前69-紀元前30年) | クレオパトラと天然真珠についての豪華すぎるエピソードはエピソード集でご紹介していますが、この時代はまだ偉大な権力を持つファラオといえども、ネックレスを作ることができるほど量の天然真珠を人類全体として持っていなかったものと推測します。 宝石品質の美しい天然真珠は、もの凄く入手困難な稀少な宝物ですから・・。 |
『マーメイドの涙』 天然真珠&ダイヤモンド ペンダント&ブローチ イギリス 1880年頃 SOLD |
天然真珠が富と権力の象徴となったのは『マーメイドの涙』でもご説明している通り、稀少価値が高いからです。 ネックレスを作ることができるほどの質・量を揃えた美しい天然真珠を得るには、想像を絶する莫大な財力と権力を必要とするからです。 真珠ダイバーが潜水して母貝を採取し、ごくわずかな確率で偶然育まれていたものを得るしかない天然真珠は、どんな時代でも入手が非常に困難な宝石です。 |
母貝に無理矢理核を挿入して作らせ、安価で確実に得ることができる"養殖真珠"という工業生産品のようなものとは違うのです。 だからこそ養殖真珠に駆逐される以前、いつの時代も天然真珠こそが宝石の最高峰として君臨していたのです。 |
1920年代にココ・シャネルが提案した、高価な宝石が買えない女性のための資産的には全く価値がないコスチュームジュエリーがフェイクパールだったことにもそれは現れています。 現代こそ"真珠"はあまりにも品質が低い悪意の養殖真珠によって安物の宝石のイメージとなっていますが、ほんの少し前までは王侯貴族だけが身に着けることのできる憧れの象徴だったのです。 |
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ココ・シャネル(1883-1971年) |
-ジョージアンのゴールド・チェーン-
『ジョージアンの女王』 ジョージアン ロング ゴールドチェーン イギリス 1820〜1830年頃 SOLD |
そんなヨーロッパの歴史において、イギリスにおいて一瞬だけゴールドのロングチェーンが富と権力の象徴となった時代があります。 詳細は『ジョージアンの女王』でご説明していますが、フランス革命に端を発した金融パニックが引き金となり、イギリスにおいて史上最も金が高い時代が到来したからです。 |
ヴィクトリア女王の母ヴィクトリア・オブ・サクス=コバーグ=ザールフィールド(1786-1861年)1832年制作 | 美しいから富と権力の象徴となるのではなく、庶民どころか並の上流階級でも入手が難しいくらい高価だったり稀少価値が高いから富と権力の象徴となるのです。 |
イギリス政府によって対策が講じられ、金相場が落ち着くと再び稀少性の高い天然真珠が富と権力の象徴となり、ジョーアンのロング・ゴールドチェーンは作られなくなります。 |
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1832年のヴィクトリア(後のヴィクトリア女王)、ロイヤル・コレクション蔵 |
薄くても丸みを持たせ、チェーンとしての耐久性を持たせてあります。さらに細かな彫金を施すことによって、独特の高級感あふれる黄金の輝きを表現しています。明らかに手抜きの安物ジュエリーとは異なるどころか、金が想像できないほど高かった時代だからこそ作ることができた、恐ろしいまでの根気や手間、そして高度な技術が詰め込まれた、まさに王族クラスの富と権力の象徴に相応しいジュエリーとなっているのです。 |
イギリス王妃アデレード・オブ・サクス=マイニンゲン(1792-1849年)1831年頃 | ||
2連にして使える長さがありますが、当時は富と権力の象徴としてその存在感をいかんなく発揮するため、どの女性の肖像画を見ても1連で使っていたようです。 |
-プラチナが高価だった時代のロングチェーン-
このプラチナを使ったスーパー・ロング・チェーンは、プラチナが非常に高価だった時代だからこそ生まれた富と権力の象徴としての重要なネックレスです。 |
それは少ないプラチナでいかに華やかで存在感あるネックレスにしようとしているか、手間を惜しまぬ作りからも感じ取ることができます。 |
天然真珠&プラチナのロングチェーンが作られた時代の特徴
このスーパー・ロング・チェーンが作られた時代は、宝石として天然真珠が史上最も高く評価され、かつプラチナが金属として圧倒的に高価だった時代です。 |
-最高級の宝石 天然真珠-
『Flower』 天然真珠 クラスターリング イギリス 1880年頃 SOLD |
なぜこの時代に天然真珠の価値が高まったのかと言うと、1869年頃から起きた南アフリカのダイヤモンドラッシュによってダイヤモンドの供給量が激増し、相対的にダイヤモンドの価値が低下したのが原因です。 唯一の、絶対的な魅力と稀少価値ある宝石が天然真珠のみとなったのです。詳細は『Flower』をご参照ください。 |
-最高級の貴金属 プラチナ-
13万人以上の身元不明のフランス人兵士が眠るドゥオモン墓地 "VERDUN-OSSUAIRE DE DOUAUMONT5" ©Ketounette(Feburary 2008)/Adapted/CC BY-SA 3.0 |
プラチナが高価だった理由は元々の供給量の少なさに加えて、『SUKASHI』でご説明した通り1914-1918年までの第一次世界大戦と1917年のロシア革命が原因です。 |
ガスマスクを着用し塹壕に隠れるオーストラリア兵(イーペル 1917年)Public Domain | 1914年に勃発した第一次世界大戦は西欧の列強諸国がこぞって参戦し、人員や経済力、工業技術を大規模に動員する国家総力戦でした。 参戦国数は、2018年時点の国家に当てはめると約50カ国に達します。 |
爆撃を受けたイーペル付近の森(1917年)Public Domain | 航空機や化学兵器(毒ガス)、潜水艦や戦車などの新兵器が大規模、または史上初めて投入され、4年3ヶ月で1,600万人以上が死亡した史上最悪の戦争の1つです。 |
東部戦線のガス攻撃。右側は後続攻撃を準備する歩兵(1916年) "Bundesarvhiv Bild 183-F0313-0208-007, Gaskrieg (Luftbild)" ©Bundesarchiv, Bild 183-F0313-0208-007 /Adapted/CC-BY-SA 3.0 |
人類がかつて経験したことのない最悪の戦争では、化学兵器やそれまでの戦争とは比較にならないほどの大量の弾薬が消費されました。乗り物だけでなく、兵器も当時最先端の科学技術力を駆使したテクノロジーによる戦いでもあったのです。 |
ドイツの塹壕に毒ガスと炎で攻撃するフランス兵(フランドルの戦場)Public Domain |
日本が第二次世界大戦に参戦するきっかけの1つとして石油資源の話は有名ですが、帝国主義渦巻く世界情勢の中で、戦争に関連する鉱物資源は国家の存亡を左右する超重要な戦略物資でした。
化学兵器や爆薬の材料となる硝酸、硫酸を合成するために必須不可欠だったプラチナも、この時代において超重要な戦略物資でした。結婚指輪がたった1つで、爆薬を作るための硝酸が100ポンド(約45kg)も合成できるそうです。 |
アメリカ化学会事務局長チャールズ・L・パーソンズ博士(1867-1954年)69歳頃 | 左は24歳でニューハンプシャー大学の教授となり、アメリカ鉱山局の化学および鉱物学者を務め、さらに約40年間もアメリカ化学会(ACS)で事務局長を務めて"ミスターACS"として知られるパーソンズ博士です。 アメリカは1917年に参戦しますが、1918年1月にパーソンズ博士は化学雑誌ではなく主婦向けの雑誌の中で「プラチナなくして戦争には勝てない。」と寄稿しています。 |
プラチナ・ジュエリーへの憧れと渇望
『Bewitched』 ウィッチズハート ペンダント&ブローチ イギリス 1880年頃 SOLD |
『SUKASHI』 アーリー・アールデコ ダイヤモンド リング オーストリア 1910年代 SOLD |
技術的・産出量的な問題がクリアされ、プラチナがジュエリーの一般市場に出始めたのが1905年で、それまではダイヤモンドを留める白い金属はシルバーしかありませんでした。粘り毛があり、かつ強靱なプラチナはより存在感を消すことができる繊細な爪でダイヤモンドを留めることができました。シルバーでは不可能だった繊細な透かし細工やミル・ワークも楽しむことができます。しかもシルバーのように黒ずむことなく、硬質感ある白い輝きを放ち続けることができます。 |
それまでにない魅力を持つプラチナに、当時の女性たちが虜になったのは当然のことでしょう。 本来ならばエドワーディアンの時代に一気に普及してもおかしくなかったはずです。 でも、先述した理由によって例え莫大な財力を持っていたとしても使いたくても使えない状況にあったのです。 だからこそ、その状況が終わってアールデコが花開くとプラチナ・ジュエリーやホワイト・ゴールドのジュエリーが市場を独占したのです。 特にプラチナ・ジュエリーが解禁した戦後すぐは、プラチナ相場も高騰した状態からまだ十分に価格が落ちていないので莫大な財力を持つ特別な身分の人しか持てない状態にありました。 だからこそ、プラチナの存在感あるスーパー・ロング・チェーンが特に富と権力の象徴となったのです。 |
スーパー・ロングチェーンの魅力
今回の天然真珠&プラチナ・チェーンはこれまでにお取り扱いした中でも最も長いチェーンです。 1年ほど前にご紹介した同系のスーパー・ロング・チェーン、『DECO LUXURY』でご説明した通り、ルネサンスでお取り扱いした天然真珠&プラチナのロングチェーンは60cmから長くても84cmの長さしかなかったのです。 |
『ホワイト・レディ』 今回の天然真珠&プラチナ・チェーン イギリス 1920年代 長さ 150cm |
『DECO LUXURY』 天然真珠&プラチナ スーパー・ロングチェーン イギリス 1920年代 長さ 150cm SOLD |
ヘリテイジで初めてお取り扱いすることになった天然真珠&プラチナ・チェーン『DECO LUXURY』は、Genの44年間のアンティークジュエリー歴の中で過去最高の長さ150cmでした。44年間で1本だけだったので、もう出てくることはないだろうと思っていたのですが、まさかビックリまた出てきました。私自身の宝物運の強さにニヤニヤしつつ、Genも「Wakaちゃんはもってる。」と驚いていました。 |
元々作られた数自体が多くない上に、年月の経過と共にオリジナルの状態を保てなかったものの割合も増えるため、およそ100年後の今、オリジナルでこれだけの長さを保ったまま存在することは奇跡と言って良いくらい幸運なことなのです。 |
天然真珠プラチナ・ソートワール イギリス 1910年前後 チェーンの長さ84cm SOLD |
この作品は十分に長いので、150cmという圧倒的な長さはありませんがオリジナルの可能性は十分あります。 素晴らしいオリジナルのクラスプが付いているからです。 |
このスーパー・ロング・チェーンにはシンプルな引輪が付いており、そのお陰で様々なコーディネートを楽しむことができます。 |
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被っては無理ですが、グルグル巻きつけることで細身の方であれば最大4連にしてお使いいただくことも可能です。 |
スペイン王妃ヴィクトリア・エウヘニア(1887-1969年)38歳頃 | これは1925年のスペイン王妃ヴィクトリア・エウヘニアの写真です。 ヴィクトリア女王の孫です。 チョーカーと短めのネックレスに重ね着けで、1連でスーパー・ロングチェーンを着用しています。 |
イギリス国王エドワード7世と王妃アレクサンドラの末子で、ノルウェー王妃モードも1連の長い状態でスーパー・ロング・チェーンを着用しています。 アレクサンドラ王妃譲りの美貌とスタイルの良さが際立っていますが、幼少の頃から高い知性で評判の王女だったようです。 この時代のエレガントでスタイリッシュなファッション、そしてこのように線の細い王妃には、ジョージアンのロング・ゴールド・チェーンのような太めなチェーンではなくこれくらい細いチェーンが似合いますね。 細くても強い煌めきを放つことができるプラチナだからこその、王妃の富と権力を象徴する存在感あるチェーンです。 |
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ノルウェー王妃モード(1869-1938年)37歳頃 |
左:ヴィクトリア・アレクサンドラ王女(38歳)、中:母アレクサンドラ王妃(62歳頃)、右:叔母でロシア皇太后マリア(ダウマー、56歳)1906年 |
同じくアレクサンドラ王妃の娘、ヴィクトリア・アレクサンドラ王女もスーパーロング・プラチナ・チェーンを着けています。モード王妃もヴィクトリア・アレクサンドラ王女も共に写真では30代後半です。62歳のアレクサンドラ王妃と56歳のロシアのマリア皇太后は天然真珠のロング・ネックレスを着けていることから、もしかすると王族の中でも孫がいる世代の女性は迫力と威厳に満ちた天然真珠、それより若い世代の女性は若々しくスタイリッシュなプラチナのチェーンという使い分けやイメージがあったのかもしれませんね。 |
イギリス王女ヴィクトリア・アレクサンドラ(1868-1935年)1880年頃 "Pss Victoria of UK colour" ©Peter symonds(1880; created 13 Jan 2008)/Adapted/CC BY-SA 4.0 | このタイプのチェーンは他のジュエリーと比較して細すぎるため、残された写真や肖像画ではいまいち詳細までは分かりません。 でも、基本的にこの時代はチョーカーなどと組み合わせてコーディネートしていたようです。 左のコーディネートでは、スーパー・ロング・チェーンは1連ではなくチョーカー付近にもう1巻きして長さを調節しているように見えます。 |
この写真だと、そこまで長くないチェーンを胸元のポイントで留めてアレンジしているようです。 スーパー・ロング・チェーン全てが150cmくらいの長さがあるわけではなく、これくらいの長さもあったようです。 重ね着けはオシャレ上級者のイメージがありますが、当時は特に重ね着けが流行していたようですね。 |
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イギリス王女ヴィクトリア・アレクサンドラ(1868-1935年)1900年代初頭 |
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現代のカジュアルなシーンでは2連くらいにして使うと長さ自体を楽しめますし、このチェーン1本だけでも地味になりすぎずコーディネートを完成させられると思います。 |
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3連にしてお使いいただくと華やかさが増します。天然真珠とプラチナという組み合わせだからこそ、フォーマルなお席でも品の良さを保ちながら華やかさを演出できます。他のアイテムと組み合わせたりすることで、本格的なパーティでも十分に栄えると思います。 |
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2、3連でお使いいただく場合はそれぞれの連の長さを調節することで雰囲気が変えられるのも楽しいですね♪ |
パーツの面白さとプラチナの煌めき
『ホワイト・レディ』 今回の天然真珠&プラチナ・チェーン イギリス 1920年代 長さ 150cm |
『DECO LUXURY』 天然真珠&プラチナ スーパー・ロングチェーン イギリス 1920年代 長さ 150cm SOLD |
同じ長さのスーパー・ロング・チェーンでも、パーツの形状が異なることでプラチナの煌めき方が全く違うことがとても面白いです。 |
『DECO LUXURY』はカタログ制作前にSOLDとなったため残念ながら重さが分からないのですが、今回のチェーンと同じ長さでもより重く、持った時にズシッと心地よい重さを感じる作りでした。超贅沢に使ったプラチナを厚くフラットなパーツにすることで、着用者の細かな動きに合わせて面で強い煌めきを放つ設計です。面の輝きなので輝くのは一瞬だけですが、面積が広い分輝きは強いですし、とにかくパーツの数が多いのでいつ見てもどこかがキラキラと輝いています。 |
一方で今回のチェーンはプラチナをワイヤー状にし、お料理に使う泡立て器をちょっと連想させるような、非常に面白い形状に組み上げています。 |
キラキラとした煌めきは静止画像では表現できませんが、着用すると泡立て器のような丸まった形状のパーツがコロコロと転がり角度を変化させることで、プラチナ・ワイヤーがキラキラと輝きます。ワイヤーすべてから光を放つことができるため、『DECO LUXURY』のように鋭い煌めきを突如放つのではなく、繊細な輝きがいつも放たれるチェーンです。 |
『DECO LUXURY』は特に素材が贅沢な作品でしたが、今回のチェーンは手仕事が贅沢なチェーンです。何しろ全体で150cmもあるので、1つ1つ手作りのこれだけ小さなパーツを連結してその長さにするなんて恐ろしく根気のいる作業です。天然真珠も小さいとは言えサイズや色、照り艶などを揃えなければなりませんし、トータルすると62粒というかなりの数になります。 |
このような形状にプラチナ・ワイヤーを組むことで、少ないプラチナで体積を大きく華やかに見せる作りになっているので、見た目よりも軽いです。 だからこそ身体にご負担なく、長時間でも楽しんでいただきやすいと思います。 ロンドンのディーラーはこういうタイプのジュエリーは重さでしか判断しないせいか、重さのあった『DECO LUXURY』より安価で買付できたのもラッキーでした。 細工物はディーラーでも価値を理解できない場合が多いので割安感があるし、結構掘り出し物があるとGenもいつも言っているのですが、全くその通りだな〜と思います。 材料費を想像する人は多いのですが、製造コスト(人件費・技術料)は想像できない人が多いのはどの国も同じなのかもしれません。 Genは米沢箪笥の企画・製造・販売、私は大企業で様々な工業製品を企画・製造・販売した経験があったからこそ、実感としてよく分かります。 そして同じように、心を込めた手作りの芸術品の良さを分かってくださる方が、日本全国で見れば少なからず存在します。 そのような方たちの元へ宝物をお届けできれば、これほど嬉しいことはないのです。 |
ロンドンの天然真珠の鑑別証
海水産の天然真珠であることを示す、ロンドンの鑑別証をお付けします。 こんなに小さな真珠を当時養殖で作る意味はないのでX線で調べなくても天然だと分かるのですが、ヘリテイジが天然真珠でなければ買い付けないことを分かっているロンドンのディーラーが、予め取っておいてくれました。 |
軽やかな雰囲気のチェーンなので、1連でお使いいただいてもオシャレだと思います。1連使いは身長が高い方だとしやすそうですが、日本人女性の平均身長である159cmの私でも1連で違和感がない感じでした。ぜひ、このチェーンにしかできない特別なコーディネートも楽しんでいただきたいです♪ |
室内光ですが、天然真珠には小さいながらも上質な天然真珠ならではの照り艶の良さが感じられます。 強靱なプラチナで作られているからこそ、作られてから100年ほど経った今でも糸換えの心配なく、これからも長く安心してお使いいただけます。 左の着用イメージでは9連でブレスレットにしていますが、引輪があるので手首のサイズに合わせて巻き数を変えることで、如何ようにも調整できます。 スーパー・ロング・チェーンはオシャレで、しかもとても実用的なジュエリーなのです♪ |