『秘密のバラ園』
HERITAGEには守護女神さまが何柱もいらっしゃいます♪インスピレーションを与えてくださるミューズであったり、新しい道へ具体的に導いてくださったり・・。一人の人生で経験できる範囲はたかが知れています。Genや私にはない、優れた天才たちの感性や視点を外から取り込むことで、HERIAGEは私には想像できない進化ができると確信しています。皆で創り上げるアンティーク世界の深淵。HERITAGEはそのハブに過ぎません。 |
2026/6/11 |
薔薇の貴婦人にお誘いいただき、秘密のバラ園を堪能して参りました。公開されているバラの施設は各地にありますが、バラ園オーナーの貴婦人がご厚意で『真のバラ好き』のためだけに催したものなので、空間を贅沢に独占です。奥にはせせらぎもあります。沢音を聴きながら芳しいバラの香りに包まれ、早朝のバラを摘みました。 各地でそれぞれの水神さまがいらっしゃると思うのですが、せせらぎにはいつもご縁があるようです。父方の実家は母屋の裏にある、祠を祀った水場は苔むした静謐の『岩清水』ですが、敷地を少し降ると小さなせせらぎがあります。沢音を聴きながら冷たい水の中から綺麗な丸石を探したり、大きな石をひっくり返して沢蟹を探したり・・。敷地内なので親族以外に会うことはありません。イタチや狸など野生の生き物は気配があっても姿を見せることはありません。そのような感覚が当たり前のものとして根付いているせいか、大勢が集まることによる雑多な気配のない、大いなる自然に包まれた空間は心から安らぎます。
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開花する早朝の最も芳しい時間帯に合わせ、麗しい香りに心満たされながらバラを摘みます。 豊かな大地に根差したバラから漂うフレッシュで生き生きとした香りは、抽出したローズ・オイルとは別の魅力があります。 高い山々に囲まれた土地。朝霧も出るような早朝ということで、オーナーは朝露に濡れた美しい姿も堪能して欲しいとのことでした。 |
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花も葉もしっとりと朝露で濡れており、朝日を受けて生き生きと輝いていました。すぐに蒸発してこの姿は消えてしまいます。早朝だけの一瞬の『儚き美』です。
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大企業の研究所務めで岡山に住んでいた頃、後楽園の『観蓮節』に出かけたことがあります。 開花する蓮を観て欲しいということで午前4時に開園する、毎年1日だけの行事です。大勢が楽しみにしています。 最高の瞬間のバラを愛でるため、今回は泊まりがけで出かけました。 ホストは大変です。大勢ではなく、心から分かる人たちのための、たった1日だけの特別なバラ摘み。これこそ無上の贅沢です♪ |
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バラをテーマにしたアフタヌーンティーも戴きました。 バラ園は上から眺めた方が美しいことに気づき、高台へのテーブル・セッティングを閃かれたそうです。 軽食もスイーツも、お茶も全てバラ尽くしです。ティーサンドイッチの食パンも含めてです。 何とバラ園で開花したダマスク・ローズの酵母を使ったパン作りに成功したそうで、オーナーがその才能を信頼するパン職人さんに依頼して具現化しました。 |
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これが『ダマスク・ローズ』です。高貴で優雅な香りから『バラの女王』とも呼ばれます。この旅で、バラの花は宝石の原石にも似ていると感じました。人の手を加えることで、より一層魅力を増し得るのです。
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左はバラの手毬寿司です。それぞれの香りだけでなく自然の色彩の個性が美しく、五感で楽しませてくれます。花びら1枚1枚が愛おしく感じます。愛らしい手毬寿司を乗せているのは、敷地内の朴の木から採ってきた朴葉です。朴葉焼きや朴葉味噌は有名ですが、アイデアとセンス、バラも朴葉も摘みたてという贅沢さに心躍ります♪ 左はオーナーとご家族の手作りですが、右は天才と名高いフレンチ・シェフ製です。飛騨の地鶏、モツァレラとお野菜に、3種のバラのソースを合わせた第2前菜です。手毬寿司のバラからご想像いただける通り、ソースも色彩や風味が異なります。オーナーとシェフの入念な打ち合わせで生まれた、一夜限りの超贅沢メニューです。
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バラをありのままの状態で愛でるのも楽しいですが、人の手が加わることで一層魅力が増すことに感動しました。 秘めたポテンシャルは、人が上手に惹き出す必要があります。 アンティークジュエリーと同じです。 |
原石やルースだけ集めるコレクターもいて、それも1つの趣味と思います。しかし私は人間の真心や才能、愛情が加わるからこそ、アンティークジュエリーが好きなのだと改めて気づきました。
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主催者が全て自作するのではなく、最高を求め、才能を見出した各分野のアーティスト兼職人と議論や試作を重ね、『理想』を具現化します。主催者のアイデア力とセンス、専門家と協働するための豊富な知識、ゲストを喜ばせようとする人柄。その全てが空間全体に反映されます。
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アフタヌーンティー始祖ベッドフォード公爵夫人アンナ・ラッセル(1783-1857年) |
ヴィクトリア女王の寝室女官も務めたベッドフォード公爵夫人アンナ・ラッセルが、イギリスのアフタヌーンティーの始まりとされます。 『Lady of the Bedchamber(寝室女官)』は王族を除く、貴婦人の最高位と見做される名誉ある職です。 血統次第の王族と違い、実力を必要とするからこそ、貴婦人としてのその地位には特別な響きがあります。 教養とセンス、知性、気配りや人間性など全てをトップクラスで備える必要があり、女王や王妃を影で支える真の実力者として、流行や文化の出元だったりします。 |
ベッドフォード公爵家のウォバーン・アビー(1593-1641年建設) |
ベッドフォード公爵夫人が邸宅を訪れる貴婦人たちをドローイング・ルーム(応接室)で軽食やお菓子、お茶を出してもてなすようになり、それが評判となって『アフタヌーンティー』が貴婦人の午後の社交として定着していきました。ただお茶とお菓子を出すというのではなく、ベッドフォード公爵夫人の傑出したアイデア、教養とセンス、人柄と気配りなどに裏打ちされた、"心を豊かにするおもてなし"こそが貴婦人たちの心を捉えたのでしょう。
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![]() ロスチャイルドの邸宅ワデスドン・マナー『グレーのドローイング・ルーム(応接室)』 "Grey Drawind Room at Waddesdon Manor" ©National Trust, Waddesdon Manor / Jphn Bigelow Taylor/Adapted/CC BY-SA 4.0 |
これはフォト日記・初投稿でもご紹介したロスチャイルドの邸宅『ワデスドン・マナー』のドローイング・ルームの1つです。貴族にとって邸宅のドローイング・ルームは最も重要な社交スペースの1つであり、ミュージアム・ピースと言える調度品や装飾でデザインされます。ゲストは美術鑑賞もしながら談笑できます。 アフタヌーンティーを主催する貴婦人は茶器やお茶の種類、お菓子や軽食を考えるだけでなく、毎回テーマを決めたり、部屋の装飾や配置など考える箇所はたくさんあります。
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ストリックランド・ハウスでのアフタヌーンティー(シドニー 1898年) |
臨機応変、気候の良い季節はガーデンパーティのように外で開催するのも素敵です。必要以上にTPOを崩してしまった現代と異なり、当時はアフタヌーンティーも相応しい身なりに整えて臨みます。ファッションは相手に礼を尽くすためのものであり、言葉でのやりとりなしに心を伝えることができます。敷地内でのプライベートなアフタヌーンティーは、現代の商業的なアフタヌーンティーとは違う趣があります。ゲストとホストに上下などなく、皆で心地よい空間を創り上げます。
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【王妃の村里】調理場とリネン室"Ferme1" ©Urban(september 2004)/CC BY-SA 3.0 |
【王妃の村里】マルボロ塔と酪農場 |
文化の面でも重要な『食』は、王侯貴族にとって社交の上でも切り離せないものでした。ヴェルサイユ宮殿を創造した太陽王ルイ14世は食にこだわり、併設した『王の菜園』を熱心に視察していました。 ルイ16世妃マリー・アントワネットも『ル・アモー・ドゥ・ラ・レーヌ(王妃の村里)』を創り、新鮮なお野菜や乳製品などを親しい人たちと楽しみました。子供たちには良い『食育』となったようです、建物やお庭の隅々までデザインが行き届いているのも貴族らしい贅沢を感じます。
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【王妃の村里】ビリヤード・ルームを備えた王妃の家"Pano - Maison de la Reine" ©Trizek(17 June 2011)/Adapted/CC BY-SA 3.0 |
機能さえあれば良いという一般庶民の農村集落と異なり、王妃の理想とする村里なので、邸宅はビリヤード・ルームなども備えていました。家族の他、気が置けない本当に親しい友人だけを呼んでいたそうです。王妃が才能と愛情を詰め込んだ小さな農村集落が、王侯貴族を招待する社交場としても機能していたわけです。
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『王妃の村里』で農婦姿のフランス王妃マリー・アントワネット(1755-1793年)1791年、36歳頃 |
緑色のゴム長靴を着用した伝統的なイギリス貴族らしいハディントン伯爵【引用】『英国貴族の暮らし』(田中亮三著 2009年)河出書房新社 p.59 |
産業革命より前の時代は、食物を生み出す土地を所有することが財産につながりました。伝統的にイギリス貴族は大地主でした。右は緑色のゴム長靴を履いたハディントン伯爵です。所領の牧草地や農地の視察なども、貴族にとっては大切な仕事でした。この姿は、いかにも伝統的なイギリス貴族らしい佇まいとされます。
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ウィロー・ティールームズ『豪奢の間』再現(マッキントッシュのモダンスタイル・デザイン 1903年)"Room de Luxe" ©Dave souza(10 March 2006)/Adapted/CC BY-SA 2.5 |
モダンスタイル空間に映えるアフタヌーンティ用ネックレス(1905年頃) |
スコットランドの20ポンド紙幣にもデザインされている偉大な女性パトロン、ミス・クランストンが19世紀末に『アート・ティールームズ』を閃き大都市グラスゴーで具現化しました。貴婦人が紳士の同伴なく外出してアフタヌーンティーを楽しむ新たなスタイルが生まれ、やがて一般庶民にも浸透し、今では誇りあるイギリス文化として根付いています。今では一般庶民にも気軽なものとなっていますが、当時は貴婦人が相応しい装いで出かけ、ティールームのアートも含めて楽しむものでした。
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作業の際はゴム長靴を履き、それでいて服装やヘアスタイルまで美意識の行き届いた素敵な装いのバラ園オーナーが印象的でした。「ワンピースでバラ摘みを・・♪」と願ってくださり、お誘いいただいた貴婦人と共にアンティークジュエリーでオシャレして参加しました。とっておきの宝物を選ぶのも楽しかったです。頭の中で想像はできても、在りし日の貴族の世界を体験できるなんて思いもしませんでした。 『社交界の花』として人気者だった貴婦人のイメージがバラ園オーナーに重なり、勉強になりました。HERITAGEの守護女神さまがお誘いくださったことも納得です。現代においても口コミ的に情報が伝わる、知られざる世界。感性が開き、感謝の心にも満ち・・。一生記憶に輝き続ける幸せな旅でした♪
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2026/6/11 7:27 神々しい朝日を受け朝露が輝く真紅の薔薇 |
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2026/6/11









アフタヌーンティー始祖ベッドフォード公爵夫人アンナ・ラッセル(1783-1857年)
ベッドフォード公爵家のウォバーン・アビー(1593-1641年建設)
ストリックランド・ハウスでのアフタヌーンティー(シドニー 1898年)
【王妃の村里】調理場とリネン室
【王妃の村里】ビリヤード・ルームを備えた王妃の家
『王妃の村里』で農婦姿のフランス王妃マリー・アントワネット(1755-1793年)1791年、36歳頃
緑色のゴム長靴を着用した伝統的なイギリス貴族らしいハディントン伯爵
ウィロー・ティールームズ『豪奢の間』再現(マッキントッシュのモダンスタイル・デザイン 1903年)
モダンスタイル空間に映えるアフタヌーンティ用ネックレス(1905年頃)
2026/6/11 7:27 神々しい朝日を受け朝露が輝く真紅の薔薇