知られざる天然真珠の魅力

 "天然真珠"という存在をご存じですか?ヨーロッパのように長く続くジュエリー文化がなく、世界的な養殖真珠メーカーが真珠市場をコントロールする日本では、養殖真珠が本物の真珠と認識されている方も多いと思います。模造真珠と比べて、本物の真珠であるという言い方です。しかしながら世の中には、工業製品のように人工的に大量生産する養殖真珠ではなく、心地よい海の底で母貝が長い年月をかけて育て上げた貴重な宝石"天然真珠"が存在します。これこそが古の王侯貴族たちが富と権力、そして美しさの象徴として愛した真珠です。
 お金儲けのために生み出された現代の大衆向けの安物"養殖真珠"とは全く異なる、限られた身分の人たちのみが手にすることができた天然真珠の真の美しさと価値を知り、真珠の真の魅力を感じてみて下さい。


養殖真珠と天然真珠の違い

 

養殖真珠が生まれた背景

 

王族の富と権力の象徴

現代の真面目に取り組む養殖真珠業者の方からお話を聞き、アンティークジュエリーならではの天然真珠の真の価値に気づいたGenがまとめ上げたルネサンスのページです。   今では当たり前のように存在する養殖真珠ですが、なぜ生み出されることになったのかご存じですか?   どんな宝石よりも稀少性の高い天然真珠は、古い時代から王族の富と権力の象徴でした。それは肖像画からも伺い知ることができます。

史上最も天然真珠が高価な時代

 

真珠の輝きの違いの理由

 

採取の難しさと稀少性

19世紀後期から20世紀初期にかけて、史上最も天然真珠の価値が高く評価された時代がありました。ダイヤモンド以上に高値で取引されていた背景には、1869年頃からの南アフリカのダイヤモンドラッシュが深く関わっています。   無核の海水産の天然真珠、1mmにも満たない薄い真珠層しか持たない養殖真珠、無核でも母貝の種類が違う淡水産養殖真珠では真珠層から放たれる輝きに違いがあります。   養殖貝と異なり、潜水夫が危険な海の底を探して採取する以外に得られない天然真珠の母貝。その中に天然真珠が入っている確率は極めて低く、そこからさらにジュエリー品質の美しい真珠を得られるのは非常に稀なことです。

大きな真珠の真の価値

 

個性溢れる天然真珠の質感

 

美しきカラー天然真珠

真珠の大きさが母貝に挿入する核の大きさで決まる養殖真珠は、大きくても価値が上がるわけがありませんが、目に見えない極小の状態から長い年月をかけて育まれていく天然真珠は大きくなるほどに稀少価値が跳ね上がります。   採取される地域や環境、母貝などの違いによって天然真珠は質感にも様々な個性を持ちます。絹のようにきめ細かいマットな質感から、瑞々しい果実のように透明感あふれる質感まで、それぞれの個性に合わせてデザイン&制作される天然真珠のジュエリーは最高に贅沢な一点物です。   現代の養殖真珠は脱色した後、日本人好みの淡いピンク色などに染めており(調色)、人工処理の産物に過ぎず色の個性もありません。個性的かつ美しい色彩を持つ天然真珠は古のジュエラーたちに大いなるインスピレーションをもたらし、アーティスティックな作品が生み出されています。

驚異のカット技術ハーフパール

 

芸術家を刺激する天然の造形

 

マイクロパールの芸術

入手困難な天然真珠ならではの、半分にカットされたハーフパール。1つの珠から2つ得られますが、失敗したら一巻の終わり。無核の天然真珠と高い技術があるからこそできる、アンティークジュエリーならではの宝石です。   無核の天然真珠は、時に人間が想像もしない面白い造形を作り出します。それらは古の芸術家の心を刺激し、アーティスティックな作品へと昇華します。   どうやって集め、どうやって加工したのか。想像を絶する労力をかけて作られる極小天然真珠のジュエリーは、天然真珠がいかに貴重な宝石として扱われていたのかの証でもあります。

真球に見えるセッティングの妙

 

歴史も動かす天然真珠

 

天然マベパールのアート

真球の核から作る養殖真珠と違い、無核で成長する天然真珠は真球となることの方が稀です。それぞれが唯一無二の個性ある形を持つ天然真珠を、正面からは真球に見えるような、古の職人のセッティング・テクニックには驚きです。   ダイヤモンドなどの鉱物と違い、カットせずともそのままで美しい天然真珠は古代から富と権力の象徴として愛されてきました。だからこそ、歴史を動かしたエピソードも残っているのです。   人工的に核を入れて同じ形状で量産する、現代の養殖マベパールのジュエリーはつまらないデザインばかりです。偶然手に入ったものを使うしかない天然マベパールを使ったアンティークジュエリーは、その個性を最大限に活かしたデザインが魅力です。

 

 

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