モダンスタイル

ダイヤモンド ゴールド ブローチ アンティーク・ジュエリー  19世紀末にスコットランドのグラスゴー派に生み出された、それまでのヨーロッパの美術様式にはなかった、日本独特の美術様式を取り込んで昇華した新しいヨーロッパの美術様式。ヨーロッパの旧時代の美術様式から、現代社会に浸透するモダンデザインへの革命的な変化をもたらすきっかけとなった。

 アールヌーヴォーが世界中を席巻した時代に生み出され、 一見しただけでは様式自体が分かりにくく、美術史に於ける知名度も低いため、アンティークジュエリーの世界では本場ヨーロッパですらその存在を認知すらされていない。流行の最先端をいく各時代ごとのアンティークのハイジュエリーを系統的に研究した結果、明らかに1つのカテゴリーとして存在することが判明したため、ヘリテイジで新たに『モダンスタイルのジュエリー』を定義した。

 

【誕生背景】

 1854年に日本開国後、欧米の特に上流階級や知識階層の間で日本美術が大ブームとなった。大半は単純に日本モチーフを取り入れて楽しむに過ぎなかったが、大英帝国の貿易の窓口にして造船業の中心地でもあったグラスゴーに於いて、輸入された日本美術を研究したり当時グラスゴーに訪れていた日本人エリート層や職人らとの交流などを通じて、日本独特の美術様式を高度に理解し、西洋美術と融合させる天才的な美的感覚を持つ者が現れ誕生した。
 

【中心人物】

 グラスゴー派の中心として活躍していたマッキントッシュ夫妻とみられる。夫婦で活躍する2人の天才の相互作用により、男性的なデザインと女性的なデザインが高次で融合した、他にはない魅力を放つ独特のデザイン様式となっている。
 
チャールズ・レニー・マッキントッシュ(1868-1928年)

マーガレット・マクドナルド・マッキントッシュ(1864-1933年)
 

【モダンスタイルの特徴】

 それまでの西洋の美術様式にはなかった、以下のいくつかの特徴が組み合わさっている。
・非対称デザイン
・透かしの美
・独特の"間"の取り方(空間使い)
・それまでの西洋美術にはない色使い
 
エドワーディアン サファイヤ&ダイヤモンド ブローチ

サファイヤ ネックレス アンティークジュエリー
ピンクトルマリン ペンダント アンティークジュエリー 親鳥から蛇が卵を奪う野生を表現したイギリスのアーツ&クラフツのゴールドペンダント
 

【発展】

 装飾過多とも言える、従来のヨーロッパの美術様式とはあまりにも違いが大き過ぎたため、変化に適応できない旧態依然の美術評論家などからは当初酷評を受けたものの、ヨーロッパ各地の才能ある芸術家らに高い評価を受け、様式が取り入れられ、オーストリアのウィーン分離派(セセッション)、ドイツのユーゲントシュティールやバウハウス、ロシアン・アヴァンギャルドへと発展し、アールデコからモダニズム、インターナショナル・スタイルへと進化し今に至る。グラスゴーで生まれたモダンスタイルは、現代に浸透するモダンデザイン誕生のきっかけとなった、美術史に於いて非常に重要な美術様式と言える。
 
アーツ&クラフツ
初期アーツ&クラフツのフラワーステッキ型ダイヤモンド・ブローチ
  アールヌーヴォー
(同時期頃にモダンスタイルが誕生)
アールヌーヴォーのグリフィンのゴールド・ブローチ
ウィーン分離派 ユーゲント・
シュティール
ロシアン・
アヴァンギャルド
セセッション(ウィーン分離派)の天然真珠&ダイヤモンドのアンティーク・ゴールドネックレス ユーゲントシュティールのプリカジュールエナメル&フェザー・パールのブローチ

ロシアン・アヴァンギャルドの非加熱サファイア&ルビーのリング アンティーク

 
エドワーディアン〜アールデコ
のトランジション
アールデコ モダニズム(インターナショナル)        
エドワーディアンの天然真珠&ダイヤモンドを使ったスタイリッシュなアンティーク・ネックレス メアンダー模様のアールデコのダイヤモンド・ネックレス アールデコのアーキテクチャのようなロッククリスタル&ダイヤモンドの芸術的ブローチ →以降の時代はデザインに関してはネタ切れ状態で、リバイバルが流行するなどにとどまり、新規性のあるデザインは出てきていない(ヴィンテージ〜中古、現代ジュエリー市場がデザイン的にも魅力がない一因)

 

 

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