No.00354 オリオンのベルト |

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| 両面で使える、アンティークの魅力が詰まった小さな宝物です!♪ | |


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| 立体フォルムならではの豊かな表情!♪ | ||
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| 極上の宝石で表現した輝く三つ星♪ |
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| 第一級の彫金とマットゴールドまで楽しめる宝物です!♪ |
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『オリオンのベルト』 |
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立体フォルムが美しい黄金のハートに、光り輝く宝石と彫金の三つ星で『オリオンのベルト』が表現されたペンダントです。小さいながらも最高品質のサファイアとダイヤモンドは、カットもスペシャル・オーダー品で、その色彩と輝きの美しさに魅了されます。背景の宇宙を表現した、曲面への密集スパイラルは実にアーティスティックです。オリオンのベルトの境界を示す2本の点線は、肉眼で見ると信じがたいほど細かいです。星の彫金も人間技とは思えぬほどの精緻さですし、徹底的に磨き上げられた爪も星の輝きを一段と惹き立てています。オリオンのベルトから裏面まで、ひと続きとなったマットゴールドの質感も高級感あふれるものです。両面が使えるデザインで、中空構造ならではの軽やかな着け心地も魅力です。小さいながらもアンティークジュエリーの魅力がたくさん詰まった宝物です♪ |
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この宝物のポイント
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1. 9ctゴールド製の特別な宝物
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ハート型のゴールド・ペンダントは定番なので、市場でも本当にたくさん見かけます。ただ、99%以上はHERITAGE基準を満たしません。 この宝物は作りと宝石の質から、一目で只者ではないと分かったので買い付けました。 ゴールドの色が綺麗なのでそう見えませんが、実は9ctゴールド製です。 |
1-1. 高級小物の9ctゴールド
アンティークジュエリーの価値を見極める場合、資産や投資目的でインゴットを買うのと同じような視点では正確な判断は不可能です。"ゴールドそのものの価値"で見る場合は、金位と重さで判断すれば良いです。アンティークジュエリーや小物の場合、付加価値としての"芸術的価値"や"機能的価値"が最優先されます。 |
| コインパース | ウォッチチェーン |
『贅沢な小銭入れ』アメリカ? 1900年頃 SOLD |
『ステータス』イギリス 19世紀後期 SOLD |
高級小物のほとんどはシルバー製です。特に大型のものは最高級品でもシルバー製です。小型の小物の場合は、ゴールド製もあります。基本的には9ctゴールドです。18ctなどにしない理由はお金がないからではなく、実用品としての耐久性が必要だからです。 |
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| 万年カレンダー | ポマンダー | ||
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| 万年カレンダー ペンダント イギリス 1890年頃 カボション・サファイヤ、エナメル、9ctゴールド SOLD |
『美しきお守り』 ポマンダー ペンダント イギリス 19世紀後期 SOLD |
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この宝物も、9ctで必要な耐久性を出しています。どちらも質の良い綺麗な宝石を使っていますし、細工に手抜きがないのが、安物との明らかな違いです。万年カレンダーは手間をかけたエナメル、ポマンダーは手の込んだ透かし細工と彫金という、アンティークジュエリーならではの細工と共に動作機構も楽しめるので贅沢ですね♪ |
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| 【参考】金具がすり減ったジャンク品 | |
15ctゴールド・チェーン |
フォブシール |
消耗品同然となった現代ジュエリーの感覚だと、耐久性へのこだわりが分かりにくいかもしれません。100年以上使用されているアンティークの場合、 新品と違ってコンディションの確認は必須です。摩耗しやすい箇所は、そのまま使用するには危険な状態になっていることもあります。何十万、何百万円以上もするペンダントを下げることもありますから、チェーンのコンディション・チェックは欠かせません。大半のディーラーはそこまで意識が行かなかったり、気づかないのか、そのまま販売してしまうようです。チェーンの場合、ずらして確認しないと分かりません。 私自身も、15ctや18ctゴールドはかなり摩耗しやすいと実感しています。上流階級の家系ならば、代々受け継がれるジュエリーが身近なので、このようなことも常識だったでしょう。 |
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1-2. 9ctゴールドの特別な高級品
【英国王室御用達コーリンウッド製】ハート型 天然真珠ペンダント&チェーン イギリス 1890年頃 SOLD |
ジュエリーの場合も芸術性と共に、目的とする機能性を最優先して金位が調整されます。 Genも、「なぜこれが9ct製なのだろうと不思議に思うような、高級な作りの9ctゴールドのジュエリーがたまにある。」と体感しているのですが、本当にごく稀に、9ctゴールド製の凄い宝物が実在します。 左は英国王室御用達コーリンウッド製のペンダント&チェーンです。ヴィクトリア女王が後の英国王ジョージ5世妃メアリーへのウェディング・ギフトとしてオーダーした、ティアラ&ネックレスの制作実績もあるトップ・ブランドです。 左の宝物は1893年のジョージ5世の結婚式と同時期に作られており、上流階級がこぞってオーダーした、ブランドとしての全盛期と言えます。 9ctゴールド製ですが、オリジナルケースもハート型というこだわりようです。ヘビーローテーションしたくて、耐久性のある9ctで制作したのでしょう。 |
| 9ctゴールドの高級なジュエリー | |
『WILDLIFES』ゴールド・ペンダント イギリス 1900年頃 SOLD |
『薔薇』オパールセント・エナメル&天然真珠 ブローチ イギリス 1900年頃 SOLD |
基本的には、高級品が15ct以上の金位で制作されることは間違いありません。9ct製の特注品は滅多にありませんが、見つかった場合は間違いなく何らかの意図があります。だから通常の高級品以上にこだわってあり、強い魅力を発するものばかりです。 耐久性がある9ctだからこそできる"限界に迫った作り"は、15ctや18ctのジュエリーでは見ることのできない凄さがあります。細工に加えて、安物には絶対にあり得ない上質な宝石が使われていたりするので、分かる人にはすぐに判別できます。Genも私も単純な金位ではなく作りとデザインで判断するので、ルネサンスやHERITAGEならではの特別ジャンルと言えます♪ |
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色が良く変色なども感じられないので、9ctギリギリではなく金位がもっと高い可能性はあります。 不要と判断して金属検査はしていませんが、9ctの刻印でも12ctほどあったり、18ctの刻印でも22ct近くある宝物も過去にありました。アンティークのゴールドジュエリーは本当に面白いです。 |
2. オリオンのベルトのデザイン
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9ctゴールドの高級ジュエリーは、美意識が高い上流階級だけが特別オーダーします。 だから、デザインも強いこだわりがあるのが大きな特徴です。 この宝物も、読み解くと上流階級らしい教養と知性が詰まっていて、実に面白いです♪ |
2-1. 青と白の宝石が輝く3つ星のデザイン
2-1-1. 彫金と組み合わせた宝石のセッティング
今回の宝物 |
万年カレンダー ペンダントイギリス 1890年頃 SOLD |
![]() 『幸せな日 』 カボッション・ルビー メダル フランス 1900年頃 SOLD |
宝石を本体に埋め込むセッティングの場合、右の2つのように、宝石そのものの美しさに没入できるよう、爪などの気配を限界まで消すデザインが1つの方向性です。今回の宝物の場合、彫金と組み合わせてセッティングしています。 |
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| エメラルド&ダイヤモンド 2カラー・ゴールド プチブローチ フランス 1880年頃 SOLD |
彫金と組み合わせたセッティングは、宝石で何かを表現したい場合に用いられます。 |
| ハーフパールの鈴蘭の表現 | |
『鈴蘭』天然真珠 ロケット ペンダント フランス 1900年頃 SOLD |
『A Lily of the Valley』鈴蘭のブローチ ヨーロッパ 1880年頃 SOLD |
宝石で表現するのは困難な形状でも、工夫すればいくらでも表現できます。アイデアと技術次第ですね。埋め込みと彫金で組み合わせると、本体との一体感があります。独立したフレームで表現すると、造形が際立ちます。 |
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2-1-2. 天体モチーフの宝物
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この宝物は明らかに3つ星を表現しています。 寺子屋が発達した日本と違い、ヨーロッパで誰もが一定の教育を受けるようになったのは最近です。 王侯貴族が世界を主導したアンティークの時代は、学術的な教養も上流階級のものでした。 好き嫌いや得意不得意はあったはずで、全てのジュエリーにそのような教養が込められたわけではありませんが、案外、宇宙関連の宝物は多いです。 |
2-1-2-1. 太陽の宝物
1859年に世界規模で太陽関連のビッグ・イベントがあり、イギリス人の天文学者リチャード・キャリントンが太陽フレアを初観測するなど、知的階層が集う社交界で大きな話題となりました。これを受け、太陽モチーフの荘厳な宝物も作られました。楽しくて贅沢ですね〜♪ |
『太陽の沈まぬ帝国』バンデッドアゲート ブローチ イギリス 1860年頃 SOLD |
『古代の太陽』エトラスカン・スタイル ブローチ イタリア(FASORI) 1850〜1870年代 SOLD |
2-1-2-2. 月の宝物
クレッセント ブローチフランス 19世紀中期 SOLD |
クレッセント ブローチイギリス 1880〜1890年頃 SOLD |
![]() ![]() マン・インザムーン 両面ペンダント イギリス 1880年 SOLD |
ジャスパー・インタリオローマ帝国東部 3〜5世紀 SOLD |
月の宝物は、説明するまでもないですね。 左のインタリオに関しては蟹座の可能性と、月の可能性の両方があります。日本人は月と言えばウサギですが、ヨーロッパの特定地域では蟹に見えるとされています。 このような円形のインタリオ自体が見ないものです。楕円形でも四角形でもないのは、月の形を表しているからかもしれません♪ |
2-1-2-3. ハレー彗星の宝物
![]() ![]() ![]() 『ハレー彗星の回帰を発見したエドモンド・ハレー』 コーネリアン インタリオ ヨーロッパ 18世紀 SOLD |
『ハレー彗星』ダイヤモンド ブローチ イギリス 1835年 SOLD |
75.32年周期で地球に接近するハレー彗星をモチーフにした宝物もあります。同じモチーフでも、王侯貴族のオーダー品は表現方法に多様な個性があって楽しいです。 |
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![]() ![]() 『ハレー彗星の回帰を発見したエドモンド・ハレー』 コーネリアン インタリオ イギリス 1835年 SOLD |
![]() 『ハレー彗星』 ダイヤモンド ブローチ ドイツ or オーストリア 1835年 SOLD |
ジョージアン ハレー彗星 ブローチヨーロッパ 1835年 SOLD |
1910年の再来時も制作されてはいるものの、社交界での目新しさはなくなっていたせいか、上流階級がオーダーした上質なものはジョージアンに作られています。 当時から宇宙に意識が向いていた知的な上流階級が存在したという、行き証人ですね。 |
2-1-2-4. 星座の宝物
| 古代ペルシャ | 後期バビロニア |
『占星術を司る王』紀元前1,000年頃 SOLD |
『神への捧げ物』紀元前6世紀頃 SOLD |
古代は、驚くほど天文学が発達していたようです。祭政一致で、統治者が司祭の役割を兼ねるのも一般的でした。王族や高貴な人々が占星術に長けているのは当たり前でした。古代の宝物を眺めていると、かなり古い時代から星座も身近だったことが感じられます。 |
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| 双子座 | 山羊座 | 蟹座 or 月? |
ブロンド・アゲート インタリオ古代ローマ 1世紀 SOLD |
コーネリアン インタリオ古代ローマ 2世紀頃 SOLD |
ジャスパー・インタリオローマ帝国東部 3〜5世紀 SOLD |
| 獅子座 | 蠍座 | 魚座 |
ジャスパー インタリオ古代ローマ 2世紀 ¥2,800,000-(税込10%) |
カルセドニー インタリオ古代ローマ 1〜2世紀 SOLD |
ガーネット インタリオ古代ローマ 2世紀 SOLD |
12星座のモチーフは分かりやすいですね。ヨーロッパの上流階級にとって、ヨーロッパ美術の原点とされる古代ギリシャやローマの教養は必須でした。だからギリシャ神話に精通していますし、それにまつわる星座も詳しい人が多かったでしょう。このような古代の宝物を手に入れたら、リングやペンダント、フォブシールにして楽しんでいました。 |
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2-1-2-5. ヴィクトリアンに流行した星モチーフ
【参考】ミッド・ヴィクトリアンのピアス |
ミッド・ヴィクトリアンからレイト・ヴィクトリアンにかけて、星のモチーフが流行しました。 |
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ヴィクトリアンに大流行したイカやタコのようなジュエリーには、星がよくデザインされています。宇宙人というか、まるで火星人のような姿です。 |
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『宇宙戦争』H・G・ウェルズ 1898年発表火星人の死体とトライポッド(1927年) |
タコ型の火星人のイメージは、1898年に発表されたH・G・ウェルズによるSF小説『宇宙戦争』によるものとされています。 でも、それ以前から火星に宇宙人が住む可能性や、火星人の姿の議論はなされていました。 だから知的なものが大好きな上流階級に、宇宙関連のモチーフが流行していたのでしょう。 |
ブルーエナメル UFOブローチイギリス 1860年頃 SOLD |
UFOや宇宙人は1947年のロズウェル事件が有名ですが、もっと昔から議論されていた可能性は十分にあります。 このブローチも明らかに円盤型UFOですし、UFOが描かれているとされる絵画も探すと結構あります。 最近もUFO目撃情報が世界各地で相次いでいますが、宇宙に意識が向くタイミングはたびたびあったようです。 それにしてもこんなに豪華な宝石とエナメルのUFOなんて、当時の王侯貴族は贅沢ですね♪ |
2-2. 古今東西の上流階級が特別視したオリオンのベルト
2-2-1. 読み解く力を必要とする宝物
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一見しただけで意味が分かるジュエリーが一般的ですが、深い意味を込められた、まるで暗号のようなジュエリーも王侯貴族の宝物には存在します。 教養が必須だったり、持ち主にしか分からない個人的なものだったりもします。 |
![]() シャンルべ・エナメル ロケット・ブローチイギリス 19世紀後期 SOLD |
このモーニング・ブローチも9ctですが、高度な技術を必要とするシャンルべ・エナメルが施され、ロケットにもなっている作りの良い高級品です。 昔は喪中期間がとても長く、喪中は常時身につけること、ロケットとしての耐久性を考えて9ct製なのでしょう。 この宝物は1つ星のデザインが印象的です。お星様になった故人を想う、ヴィクトリアンらしいロマンチックな宝物ですね♪ |
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山羊座、蠍座、天秤座が表現された古代ギリシャのインタリオは、読み解くために相応の教養が必要です。詳細はGenがご説明していますが、暗黒の力と戦う天の光、マジックスターを表現しています。 |
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この宝物は、「ただの可愛いデザイン」と解釈する人が大半だと思います。 上流階級にとって、シンボルは極めて重要です。知識を身につけ、このような象徴表現を見慣れてくると、至る所で思いがけぬ世界が見えてきます。 おそらく当時の上流階級ならば、一瞬でオリオンのベルトを表現した宝物と気づくはずです。 |
2-2-2. 古今東西で特別視されるオリオン座
オリオン座 "Orion Head to Toe" ©Rogelio Bernal Andreo(23 August 2012)/Adapted/CC BY-SA 3.0 |
オリオン座は見つけやすい星座ですね。星は方向を知る際にも重要なものでした。 北極星は歳差運動によって、約25,800年かけて変化します。北極星がない期間もあり、そのような時はオリオン座が重要な目印となっていました。 形も面白いですね。 |
ウラニアの鏡『オリオン座』(ロンドンで出版 1825年) |
ヨーロッパではギリシャ神話にちなみ、オリオン座の三つ星が『オリオンのベルト』と呼ばれていました。 |
| 鼓星(つづみぼし) | |
オリオン座 "Orion-guide dark* ©Mysid(23 August 2012)/Adapted/CC BY-SA 3.0 |
鼓を打つ婦人(岡田三郎助 1907/明治40年) |
日本でもオリオン座が鼓(つづみ)の形に似ているということで、鼓星とも呼ばれていました。三つ星も三連星(みつらぼし)、唐鋤星(からすきぼし)、福禄寿の三つ星など様々ありました。 |
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| オリオンの三つ星の家紋 | |
毛利家12代当主・毛利元就(1497-1571年) |
一文字三星の軍幟(1550年) |
オリオン座の三つ星は軍神として信仰のあった将軍星を表し、連勝を呼び込む縁起の良い星として家紋にも意匠化されています。吉兆星の考え方は、今では想像できないくらい大事にされていたのでしょう。毛利氏や渡辺氏が有名です。このような視点を用いると、日本の歴史もより深く楽しめそうですね。 |
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ギザの3大ピラミッドと一致するとされるオリオンのベルトの配置 "Orion belt vs giza pyramud complex" ©NASA, Rogelio Bernal Andreo, cmglee(23 August 2012)/Adapted/CC BY-SA 4.0 |
ギザの3大ピラミッドと、オリオンのベルトの配置が一致するとされる話も有名です。 このようなオリオンのベルトと一致する遺跡は、世界各地で発見されています。 古代というだけでもロマンがありますが、宇宙にまで広がる壮大なスケールは、想像が無限に広がりますね♪ |
ピラミッド内部の王の間からシャフトで示された星々【引用】中日新聞WEB / オリオンの三ツ星とピラミッドの深い関係?2 (2014年3月31日) © The Chunichi Shimbun, All Rights Reserved. |
ピラミッドの配置だけでなく、王の間から伸びるシャフトも当時の北極星やオリオン座などを向いているそうです。謎は解明されていませんが、夢がありますね。 探し出すと本当にキリがありませんが、恐らく詳しい知識がある人によって、現代でもエンターテイメントなどで随所に示唆されています。光の国からきたウルトラマンは、M78が故郷とされます。オリオン座の反射星雲です。『メン・イン・ブラック』(1997年)という、宇宙人が出てくるSF映画でも、"オリオンのベルト"が重要な鍵になっています。 |
オリオンのベルト "Orion's belt Panorama" ©Mvln(14 April 2021)/Adapted/CC BY-SA 4.0 |
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星には様々な色彩がありますが、オリオンのベルトの三つ星は青白い高貴な輝きが特徴です。 今回の宝物の宝石は、彫金の特徴から明らかに三つ星です。ダイヤモンド3石ではなく、他の色石でもなく、青のサファイア2石と白のダイヤモンドの組み合わせです。 ベルトの角度と言い、間違いなくオリオンのベルトです!♪ |
ウラニアの鏡『オリオン座』(ロンドンで出版 1825年) |
1825年のイラストでも、三つ星のベルトが青で表現されているのは意図したものでしょう。 |
| オリオン座と六芒星 | ||
オリオン座"Orion-guide dark* ©Mysid(23 August 2012)/Adapted/CC BY-SA 3.0 |
六芒星 |
映画『スターゲイト』のポスター(1994年) "Stargateposter* ©Procuctions Carolco Pictures Le Studio Canal+/ fairuse |
ちなみにオリオン座の上半分が逆三角形▽、下半分が三角形とみなし、六芒星=オリオン座とする話もあります。その他、ピラミッドはスターゲイトで、地球側のスターゲイト△と彼方のスターゲイト▽が重なって、ゲートが開通する様子を示したものが六芒星とも言われます。 六芒星はユダヤ系や秦氏、陰陽道など影の権力者を象徴する図像でもあります。オリオン座には一般人は知らない、宇宙規模の秘密が隠されているのかもしれませんね。 |
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オリオン座に魂の故郷があると感じ、心の中で想っている人もいるそうです。 正確な意味はオーダー主のみが知ることですが、この宝物がオリオンのベルトを表現しているのは間違いないでしょう。 教養と大切な想いが込められた、知的で美しい宝物です♪ |
3. 上流階級が日常用に特注した上質なペンダント
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ハンドメイドのアンティークであっても、量産の安物が多いハート型ペンダントですが、この宝物は一流の職人にオーダーした特注品でしかあり得ない特徴があります。 かなり上質な宝石と、作りの良さです。 |
3-1. 極上の宝石と素晴らしいセッティング
3-1-1. 三つ星のためのブルー・サファイア
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宝石自体は小さいですが、色彩と煌めきが美しいので、しっかりと存在感があります。 |
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サファイアの青の色彩は、眼を見張る美しさです。非常に透明度が高く、澄みきった青です。少ないながらも特徴的なインクリュージョンがあるため、セイロン産と推定できます。 |
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天然のままで極上の色彩を持つ、非加熱サファイアは稀少です。量産品に使えるほどの数はなく、稀少価値も高いので安物には使えません。 |
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青い輝きは、下部ファセットからの反射です。透明度が高いため、下部ファセットの煌めきが効果的に戻ってきます。通常よりも微細なカットが精緻に施されており、オリオンのベルトを表現するために、最高品質のサファイアを一流の職人にカットしてもらったことが分かります。 |
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サファイアは、上部テーブルの面積が広いカットです。これにより表面反射せず、内部に光を取り込みやすくなります。青の色彩を感じやすくするための工夫です。 |
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宝石に大きさがあると、その厚みで濃い色彩が出せます。しかしながらこのサファイアは小さいです。 この大きさで、これだけ鮮やかな青を表現できるのは実は凄いことです。 青白いオリオンの三つ星を表現するために、並々ならぬ情熱をかけて特別なサファイアを選び、最高の職人にカットしてもらったのでしょう!♪ |
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3-1-2. 特殊なカットのダイヤモンド
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サファイアも特殊なカットでしたが、ダイヤモンドも特殊です。一見するとダッチローズカット系に見えるのですが、光学顕微鏡で見ると三角形以外のファセットも存在し、通常の型にはまらないオリジナルのカットだと分かりました。 |
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上等なオールドヨーロピアンカットを彷彿とさせるような、かなり厚みのあるカットです。 |
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透明度も高いです。石の質と共に、磨き仕上げのクオリティの高さの証でもあります。 |
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だから輝きも強いです。ローズカットだと三角形の閃光が繊細な美しさを魅せてくれますが、ローズカットともオールドヨーロピアンカットとも雰囲気は異なります。オールドヨーロピアンカットほどの派手さはなく、その中間という印象です。 |
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厚みのあるドーム形状に、ランダムなファセット・カットが施されてされています。 大小のファセットが組み合わさることで、大胆な煌めきと繊細な煌めきの両方が出てきます。それがこのオリジナルカットのダイヤモンド独特の輝きになっています。 |
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ファイアも複雑です!♪ 内部反射を繰り返すことで出てくるファイアは、透明度の高い石ならではです。インクリュージョンが多いと光が吸収・拡散してしまうからです。 ダイヤモンドとしてのポテンシャルが凄いです! |
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小さな宝石に至るまで、これほどまで徹底的にこだわって作られた宝物はそうはありません! 信じがたいほどの知性と美意識です!!♪ |
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3-1-3. 見事なセッティング
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三つ星は深く埋め込まれています。この奥行きによって、遠い夜空からの輝きを感じられます♪ |
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星を示す、深くてシャープな彫金が見事です。 星の端や溝まで完璧なのは、技術だけでなく特別な道具があってこそです。腕の良くない職人だと、こんなにスパッとした仕上がりは絶対に無理です。 |
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接写レンズの限界画像です。作業する際はここまでの拡大はできませんから、職人は勘を頼りにここまでの仕事をしています。信じがたい精緻さです。少しでも角度と深さがずれれば変な溝やバリができたり、非対称な形になります。人間技ではありません!! |
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宝石を留めた、小さな爪にもご注目ください。 |
エメラルド・リング(ティファニー 現代)合成や処理については記載なし【引用】TIFFANY & CO / Tiffany Soleste Ring ©T&CO |
『エメラルドの深淵』珠玉のエメラルド&ダイヤモンド リング イギリス 1880年頃 SOLD |
アンティークジュエリーが好きな方だと、現代ジュエリーの目立つ爪に違和感を感じる場合も多いようです。コストカットのために爪の数を減らし、その分だけ1つ1つの爪が無骨になります。小さな爪で安全に留めるためには、職人の高度な技術と手間が必要で、それだけコストもかさみます。 美しさが優先なのか、コストが優先なのかの違いです。王侯貴族のために作られたアンティークのハイジュエリーは、美しさのためには費用を惜しみません。そのようなケチな部分や、美意識のなさを感じ取られたら恥です。右のエメラルドは10本もの爪でセットされていますが、全く気配がないので宝石の美しさに没入できます。物凄い技術です!♪ |
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そのような美意識や工夫、高度な技術が見られるのは、アンティークジュエリーでも王侯貴族のために作られた高級品のみです。 この宝物は、12本の放射状の星の輝きに合わせて爪がデザインされています。小さい石ですが、6つの爪で完璧に固定されています。 |
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しかも爪は1つ1つが徹底的に磨き上げられており、繊細な黄金の輝きを放ちます。 マットゴールドの質感の中で、放射状の彫金のシャープな輝きと、磨き上げられた爪の粒状の輝きが組み合わさって、実に美しいです。 大きさを考えると、間違いなく第一級の職人にしか不可能な神技です!!♪ よく考えて作られている宝物です♪ |
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3-2. 高級感と耐久性を兼ね備えた作り
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王侯貴族のために作られたアンティークジュエリーではよくあることですが、この宝物もいま作られたかのように美しく、使用感もほとんど感じられません。 日常用に使うために作られたはずなのに摩耗がほとんどないのは、高級感と耐久性を兼ね備えた設計だからです。 |
3-2-1. 厚みのある立体的なデザイン
| 立体的なハート | 平面的なハート | |
『愛の錠前』パドルロック ペンダント イギリス 19世紀中期 SOLD |
ティファニー 現代(¥302,400-、2018.2時点
【引用】TIFFANY & CO / ©T&CO |
ティファニー 現代 【引用】TIFFANY & CO / ©T&CO |
| アンティークのハイジュエリーは、立体デザインにも非常に気を遣っています。平面的な作りは、チャチな印象を与えるからです。 | ||
【参考】量産のアールヌーヴォー・ペンダント |
使っているゴールドの分量(材料コスト)は同じだったとしても、鋳造で量産するだけならば製造コストが安く済みます。デザイン費も生産数で均等割すれば、1点あたりは安く抑えられます。 そのような工夫がなければ、安い価格設定はできません。 ペラペラでチャチな印象になってしまっても、技術や手間のかかる立体的な作りは、安物では無理なのです。 |
| 構造が異なる立体ハート・ペンダント | ||
| ロケット | 軽い素材 | 中空構造 |
『REGARD』REGARD ロケット・ペンダント イギリス 1820年頃 SOLD |
『乙姫の宝物』白珊瑚&トルコ石 ペンダント イギリス 1880年頃 SOLD |
英国王室御用達コーリンウッド製
ハート型ペンダントイギリス 1890年頃 SOLD |
厚みのある立体的なフォルムにする場合、鋳造はペンダントには向きません。重くなってしまうからです。だから技術と手間をかけて、様々な工夫がなされます。ロケットにしたり、軽い高級素材を使ったり、透かし細工にしたり、中空構造にするなどです。 |
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3-2-2. 高級感を考えられた中空デザイン
『芸術には自由を』セセッション ブローチ オーストリア(ウィーン) 1900年頃 SOLD |
中空構造は鍛造、鋳造のどちらでも可能です。 ただし、鍛造はよほど特殊な場合のみです。耐久性が出せるのと、複雑な構造ができる利点はあるものの、技術と手間がかかり過ぎるので、必要な時のみです。 左の宝物は鍛造です。 鋳造で作る場合は空気穴が必要ですが、鍛造の場合は蝋付して閉じてしまうため、空気穴がないのが特長です。 |
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今回の宝物は鋳造の作りで、空気穴が2箇所にあります。ただ、非常に目立たない場所なので、気づきにくいです。裏側のペンダント金具の根元と、一番した辺りです。 |
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| 英国王室御用達コーリンウッド製のハート・ペンダント | ||
英国王室御用達コーリンウッド製
ハート型ペンダントイギリス 1890年頃 SOLD |
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| 同時代に同じ9ctゴールドで制作されたハート型ペンダントと見比べるのも面白いです。コーリンウッド製の方が、丸みのあるコロンとしたフォルムです。空気穴の場所も違います。 | ||
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今回の宝物は厚みがありながらもフラットなフォルムなので、ペンダントとして着用した際の収まりが良いです。 |
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空気穴は、明らかに意図して目立たない場所に配置しています。傾斜部分かつ非常に小さな穴なので、実物だと殆ど目立ちません。 |
| 光の当たり方によるハート・フォルムの輝きの変化 | ||
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厚みのある立体的なハートなので、光の当たり方で豊かに表情が変わります。スパイラルの彫金、マットゴールドの質感、各宝石もそれぞれの表情が複雑に変化します。それらが調和した美しい姿に、一瞬で虜になります!♪ |
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宝石をセットしたり、深い彫金を施すために、中空でもある程度ゴールドに厚みがあります。しかしながら9ctだからこそ、15ct、18ctより軽くて耐久性があります。 ヘビーローテーションに適した軽量性と耐久性を備えながらも、立体構造や巧みな金細工ならではの高級感がある宝物です♪ |
4. 金細工の魅力
4-1. 第一級の職人の腕を感じる彫金
| 浅い彫金 | 深い彫金 |
『愛の錠前』パドルロック ペンダント イギリス 19世紀中期 SOLD |
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手彫りの美しい彫金は、アンティークジュエリーの魅力の1つです。 模様だけでなく、深さでも雰囲気が変わります。今回の宝物は深い彫金が特長です。 |
4-1-1. アーティスティックなスパイラルの彫金
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彫金の模様は、スパイラルで構成されています。渦巻きの螺旋は宇宙の基本なので、オリオンのベルトに合わせて壮大な宇宙を表現したのでしょう。1つ1つが単純ではない渦巻き模様を、美しく密集させています。高度な技術と共に、作者のアーティスティックな才能が光ります!♪ |
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角度がある複雑な部分にも、辻褄が合う状態で綺麗に彫金されています。職人の手仕事ならではの見事さです。拡大画像だと無骨に見えるかもしれませんが、実物は格調高い輝きとして感じます。 |
4-1-2. 限界に挑んだ微細な点線
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ベルトの境界を表現した、精緻な点線も見事です。等間隔かつ、均等な深さで鑽(タガネ)を打つ作業です。タガネの先端が小さいほど回数が増えますが、繊細な美しさが表現できます。 |
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かなり細かな点なので、ミルグレインのように凸なのか、押し込んで凹状なのか、肉眼ではよく分からないほどです。 作者が限界に挑んだことが分かります♪ |
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![]() ←↑等倍 |
こうして見ると、タガネを押し込んだ表現と分かります。ミルグレインでは不可能な微細さです。とても美しいです!♪ |
4-2. 美しいマットゴールドの質感
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この宝物は正面のオリオンのベルトから外周、裏面までつながるマットゴールドも特長です。 |
| 今回の宝物 | 英国王室御用達コーリンウッド製の宝物 | ||
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ただ鋳造で作っただけでは、このようなマットゴールドにはなりません。表面を加工して質感を出しています。ピカピカに仕上げたコーリンウッド製とは雰囲気が全く異なります。 一言でマットゴールドと言っても、表面の仕上げ方やゴールドの色みの組み合わせによって、少しずつ表情は違います。アンティークのマットゴールドは個性がある、唯一無二の表情を持っています。 今回の宝物は、裏側でも使いたくなるほど高級感があります。オーダー主は、ペンダントが裏返って見えてしまった時でも美しさを求めたのしれません。それほど美意識の高い宝物です。私たちにとっては2wayで使えるペンダントと言えますね♪ |
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全体は同じ素材なのに、細工が異なるだけでこれだけ違って見えます。 マットゴールド部分はベルトに見えますし、密集スパイラルの彫金は背景として宇宙のように見えます。 アンティークジュエリーの魅力が詰まった、小さな宝物です♪♪ |
着用イメージ
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知的な雰囲気や高級感があり、可愛らしくなりすぎずお使いいただける大人かわいいハート・ペンダントです♪ |
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裏側はマットゴールドならではの高級感があり、シンプルなハート・ペンダントとして両面でお楽しみいただけます。 撮影に使用しているアンティーク・チェーンは参考商品です。 |
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シルクコードやリボンを使ったクラシックなコーディネートやチョーカーにしても素敵で、コーディネートの幅が広い宝物です♪ |










『贅沢な小銭入れ』
『ステータス』



15ctゴールド・チェーン
フォブシール
【英国王室御用達コーリンウッド製】
『WILDLIFES』
『薔薇』
万年カレンダー ペンダント

『鈴蘭』
『A Lily of the Valley』
『太陽の沈まぬ帝国』
『古代の太陽』
クレッセント ブローチ
クレッセント ブローチ

ジャスパー・インタリオ


『ハレー彗星』


ジョージアン ハレー彗星 ブローチ
『占星術を司る王』
『神への捧げ物』
ブロンド・アゲート インタリオ
コーネリアン インタリオ
ジャスパー インタリオ
カルセドニー インタリオ
ガーネット インタリオ
【参考】ミッド・ヴィクトリアンのピアス


『宇宙戦争』H・G・ウェルズ 1898年発表
ブルーエナメル UFOブローチ
シャンルべ・エナメル ロケット・ブローチ

オリオン座
ウラニアの鏡『オリオン座』(ロンドンで出版 1825年)
オリオン座
鼓を打つ婦人(岡田三郎助 1907/明治40年)
毛利家12代当主・毛利元就(1497-1571年)
一文字三星の軍幟(1550年)
ギザの3大ピラミッドと一致するとされるオリオンのベルトの配置
ピラミッド内部の王の間からシャフトで示された星々
オリオンのベルト
六芒星
映画『スターゲイト』のポスター(1994年) 










エメラルド・リング(ティファニー 現代)合成や処理については記載なし
『エメラルドの深淵』
『愛の錠前』
ティファニー 現代(¥302,400-、2018.2時点
ティファニー 現代
【参考】量産のアールヌーヴォー・ペンダント
『REGARD』
『乙姫の宝物』
英国王室御用達コーリンウッド製
ハート型ペンダント
『芸術には自由を』





