No.00295 森の賢者 |
『森の妖怪とフクロウ』
『森の賢者』 イギリス(ロンドン) 1903年 |
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ステーショナリーや贅沢な小物では世界一と定評のある、イギリスのS.モーダン社のフクロウのホイッスルです♪! 世界で初めてシャープペンシルの特許を取った、動作機構にも強いメーカーだけあってさすがに良い音がします。 完全に立体的な作りで、巧みな彫金とガラスの瞳も素晴らしく、使って楽しいオシャレで贅沢な小物です♪ |
この宝物のポイント
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1. フクロウのモチーフ
1-1. 愛される魅力満点のフクロウという鳥
みなさまはフクロウはお好きですか? |
私たちにとって本能的なものなのか、丸っこくてポテッとした生き物は無条件に可愛いと思えてしまいますよね。 |
子供の頃の眠る小元太(Genと小元太のフォト日記より) |
カワイイは正義!!!(笑) これはルネサンスから引き続きヘリテイジでマスコット犬をやってもらっている、トイプードルの小元太です。Genがいつもメロメロで、セミリタイアして時間にある程度自由が利くのを良いことに、愛のこもったお野菜とお肉の特別食も毎日手作りしています(笑) |
2019年のお正月に神楽坂をお散歩(フォト日記「2019年のお正月」より) | お散歩に行けば、至る所で「カワイイ〜」と嬌声が上がります。 たくさんの人から優しくナデナデされて、小元太はいつも嬉しそうです。 |
まるで子犬のような瞳でGenを見つめる小元太12歳(犬としては初老)2020.4.3 | 丸い頭に加えてモコっとしたふわボディ、いかにも不器用そうなポテっとした手足が愛らしさを感じさせるんですよね。 こういう顔で見つめられるので、Genは毎回すぐに甘やかしてしまいます。 私はこの見つめ方を『攻撃』と呼んでいるのですが、この攻撃には勝てる気がしません。 |
小元太の斜め後ろ姿(Genと小元太のフォト日記「黄昏の小元太」より) | フクロウのホイッスルの斜め後ろ |
小元太は後ろ姿がどうしてもトイプードルに見えない、猿みたいと言う人もいますが、このポテっとした特有の可愛らしさはフクロウと共通するものがあるのです。笑。 |
1-2. 1900年前後に流行したフクロウのモチーフ
1-2-1. アーツ&クラフツ運動による自然界への注目
フクロウ クラバットピン イギリス 1880年頃 SOLD |
フクロウのモチーフは1880年頃から流行しています。 |
『WILDLIFES』 アーツ&クラフツ×モダンスタイル ゴールド・ペンダント イギリス 1900年頃 SOLD |
『二羽の小鳥』 ブローチ イギリス 1870年頃 SOLD |
だから同じ生き物をモチーフにしたものでも、以前は見られなかったような構図でデザインされたものが出てきます。 これらの宝物も、いかにもありのままの自然の営みを切り取ってきたようなデザインですよね。 |
『Tweet Basket』 小鳥たちとバスケットのブローチ イギリス 1880年頃 SOLD |
その他、自然のありのままの姿を起源に、作者の理想の姿をデザインした作品なども作り出されています。 |
その流れの中で、フクロウという鳥にフォーカスされたのが画期的なことでした。 |
1-2-2. 都会の鳥と森のフクロウ
英国王室御用達 Goldsmiths & Silversmiths社 フクロウのバーブローチ イギリス 1910年頃 SOLD |
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他には変えがたい魅力ある鳥『フクロウ』ですが、19世紀後期に流行する以前は、ジュエリーの単独モチーフとしては殆ど見たことがありません。 |
『愛と平和の精霊』 サンテスプリ ペンダント フランス 1840年頃 ¥693,000-(税込10%) |
『平和のしるし』 ローマンモザイク デミパリュール イタリア 1860年頃 ¥2,030,000-(税込10%) |
アンティークジュエリーで単独モチーフとして一番目にするのが多い鳥と言えば、キリスト教における精霊の『鳩』です。 |
『噴水と二羽の鳥』 マイクロパール ブローチ イギリス 1800年頃 SOLD |
『勿忘草をくわえる鳩』 鳩 ゴールド ブローチ イギリス 1830〜1840年頃 SOLD |
しかしながら、その愛らしい姿はキリスト教とは関係なくても高い人気があります。荒々しい鷲などとは異なり、鳩は愛や平和の象徴として女性のジュエリーにも雰囲気が合いますしね。 |
『プリニウスの鳩』 カーブドアイボリー ブローチ ドイツ 1860年頃 SOLD |
また、キリスト教以前、古代ギリシャのモザイクにまで遡る『プリニウスの鳩』としても人気がありました。 人工の器から水を飲む姿や、噴水に留まる姿からも想像できる通り、鳩は古代より人間のごく身近に存在する謂わば『都会の鳥』というイメージですよね。 |
コンサバトリーでのティー・パーティ(The ILLUSTRATED LONDON NEWS 1881.8.20号) | 『ダイヤモンドのオーム』 イギリス 19世紀後期 SOLD |
それ以外だと、莫大なお金をかけてコンサバトリーで飼う、南国の珍しい鳥も王侯貴族のハイジュエリーのモチーフになることはありました。 |
『幸福な王子のツバメ』 ダブルピン・ブローチ イギリス 1880〜1900年頃 SOLD |
スワロー・ブローチ イギリス 1880〜1900年頃 SOLD |
1888年に出版されたイギリスの作家オスカー・ワイルドの短編集『幸福な王子』の影響で、ツバメのモチーフが大流行した時もありました。 ツバメも軒下に巣を作るような、人間に身近なイメージがありますね。 |
フクロウ" Barking Owl at Australia Zoo-1 (18153155841) " ©Sheba_Also 43,000 phots(27 May 2015, 12:42:59)/Adapted/CC BY-SA 2.0 | その点で、森に住み夜行性で、通常は人目に触れることがあまりないフクロウはある意味マイナーな存在でした。 それが突如として注目されたのは、ありのままの自然にデザインを求めたアーツ&クラフツの影響が間違いなくあったと言えるでしょう。 |
フクロウ バーブローチ イギリス 1910年頃 SOLD |
フクロウ バーブローチ イギリス 1910年頃 SOLD |
そして、本来持っていたフクロウならではの"愛らしさと猛禽類としての知性を共存させた不思議な魅力"によって、人気が火がついたということでしょう。 |
2. 高級小物としての魅力
2-1. ジュエリーよりもさらに贅沢と言える"高級な小物"
これは身につけて楽しむことができるオシャレな宝物ですが、単なるジュエリーではなく吹けば音の出る、機能性のあるホイッスルとして作られていることがポイントです。 高級なジュエリーレベルの細工が施されたハンドメイドの高級な小物は、ある意味高級ジュエリー以上に贅沢なものと言えます。 |
『優雅な白鳥』 ロッククリスタルの傘の柄 ロシア(ファベルジェ) 1890〜1900年頃 SOLD |
「アンティークジュエリーの店」と言うと、通常はジュエリーしかお取り扱いしないのですが、Genはアンティークならではの高級な小物も積極的にお取り扱いしていたことが特徴です。 |
ロンドンで現代の照明器具店を視察するGen(1977年、29歳頃) | ロンドンでアンティーク・ショップを視察するGen(1977年、29歳頃) |
米沢で骨董屋の三代目として父親を手伝ったり、米沢箪笥の企画・製造・販売をやっていた青年Genですが、何か自分でやってみたいという強い思いがありました。元々ヨーロッパに興味があり、なんとなく輸入に関わる仕事をしたいと考えていたGenは、商工会議所主催の弾丸ヨーロッパ視察ツアーに参加したのでした。これが45年も前の当時の写真です。アンティークジュエリーなんて日本人は誰も存在すら知らない頃です。当然、西洋骨董もまだ知られていない時代です。 |
『勝利のナポレオン』 ベルリン・アイアン ゴールド ネックレス フランス 1800〜1810年頃 SOLD |
その後、いくつかの出逢いがあってアンティークジュエリー専門で扱うことになりました。 |
ヨーロッパのとある場所に買い付けに来たGen(Genと小元太のフォト日記『昨日見た夢』より) | とある場所で買い付けた『この世で最も贅沢な虫籠』 カーブドアイボリー 虫籠 フランス 1770〜1780年頃 SOLD |
でも、ジュエリーという枠に縛られることなく、美術工芸品として優れた価値があると判断したものは様々扱ってきたのは、元々がジュエリー屋さんとして始めたわけではないからです。 ちなみに左は先ほどとは別人に見えますが、約30年後のGenです。どえらい変わりよう(笑) |
チャールズ・ルイス・ティファニー(1812-1902年) | さて、高級な小物は実に男性らしい志向と言えます。 一部には高級な小物の価値が分かり、こよなく愛する女性も存在しますが、そういう女性は一般的ではありません。 ジュエリーで有名なティファニーですが、1837年にチャールズ・ルイス・ティファニーとジョン・B・ヤングが創業した当初は、高級な文房具や装飾品などを扱うお店でした。 |
『英雄ヘラクレス』 エレクトラム インタリオ・リング 古代ギリシャ 紀元前5世紀 SOLD |
また、あくまでも"傾向"ですが、女性は他者に褒められるためにジュエリーを着けるのに対し、男性は自己満足のために着ける場合が多いです。 故に女性は見栄えのするジュエリーを好む傾向にありますが、男性は自分だけが価値が分かるような、一見しただけでは価値が分かりにくい、マニアックで上質なものを好む傾向にあります。 |
『4 FACES』 フォーウェイ ウォッチキィ・ペンダント イギリス 1830〜1840年頃 ¥255,000-(税込10%) |
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女性よりも持ち物の点数が少ない分、1つ1つのアイテムに女性物ではやらないような徹底したこだわりやお金のかけ方が見られるのがメンズアイテムです。 しかも一見すると価値が分かりにくい、でも分かる人にはビックリするような価値があるという・・(笑) |
『ジョージアン カルセドニー ペン』 イギリス 1820年頃 カルセドニー、15〜18ctゴールド 全長 7,5cm SOLD |
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このように、女性と比べてアイテム数が少ない男性が特にこだわるのが、文房具などの小物です。ジュエリー同様、最高級の素材を惜しみなく使い、時には普通の女性用高級ジュエリーでは敵わないような、徹底したこだわりの細工やデザインが施されてあったりもします。 |
『黄金の羽根ペン』 イギリス 1830年頃 ローズカットダイヤモンド、18ctゴールド 長さ19cm(本体のみ) 重量14,6g SOLD |
ただ、この、時には通常のジュエリー以上にお金や高い技術を必要とするというのが曲者です。 圧倒的な財力と教養を持つ美意識の高い王侯貴族といえども、なかなか全ての小物に到るまで全力で情熱とお金を注ぎ込むことはできません。 |
『音楽の捧げ物』 エナメルの楽譜のゴールド ペン イギリス 1820年頃 SOLD |
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だからデザインまで全てフルオーダーで作られた最高級の贅沢な小物は、せいぜいジョージアン頃までの古い時代にしか存在できません。 |
『白鷺の舞』 舞踏会の手帳(兼名刺入れ)&コインパース セット イギリス 1870年頃 SOLD |
もちろん後の時代でも、明らかに1点物としてお金と技術と手間をかけて作られた小物もゼロではありません。 |
S.モダーン社 プロペリング・ペンシル フランス 1850〜1870年頃 シルバー、ゴールド、アメジスト SOLD |
しかしながら市場全体で見れば高級既製品の方が多くなっていきます。 そうは言っても現代の安っぽいチャチな量産品とは全く違います。 これは1822年に世界で初めて動作機構を持つシャープペンシルの特許を申請したS.モダーン社のプロペリング・ペンシルです。 |
S.モダーン社はこの類の高級既製品メーカーとしては圧倒的にナンバーワンの会社です。 シャープペンシルとして必要な動作機構が備わっていることはもちろん、シルバーやゴールド、アメジストを使い、美しい彫金が施されており、同時代の中途半端なジュエリーよりよっぽどお金と手間のかかった贅沢な作りになっています。 |
S.モダーン社 プロペリング・ペンシル |
『既製品』といえども、アンティークの時代の高級小物は現代の高級小物とは全く違うのです。 ジュエリー同様の高級素材と、優れた職人によるハンドメイドの作りは非常に贅沢なもので、既製品とは言っても量産して多売するような安っぽい代物ではないのです。 |
プロペリング・ペンシル |
下手なジュエリーより高価な高級小物は非常に贅沢なものであり、ジュエリーなどを十分に持っている人でなければ通常は手が出せないものです。 この宝物も手彫りで持ち主の名前が彫金されているのが何とも愛おしく感じます。 |
機能さえ備わっていれば事足りるとも言える小物に、ジュエリーと同じ高級素材と手仕事による優れた細工が施された、"使うための贅沢な小物"はある意味ジュエリー以上に贅沢なものであり、優雅の極みとも言えるような存在なのです。 |
2-2. 現代では存在し得ないジュエリークラスの高級小物
同じクラスで比較した場合、ジュエリー以上に贅沢なのが高級小物です。 |
2-2-1. 王侯貴族がオーダーするファッションアイテム
ボビンレースのドレス フランドル地方 19世紀後期 価格はお問合せください |
古の庶民はそもそも衣服しか買えませんが(もしくは自作や古着)、王侯貴族は衣服以外にジュエリーや小物をオーダーメイドします。 贅沢品は衣食住が満ち足りてこそ。 食・住が満ち足り、普段着も十分に持ち、その上でさらに十分な余裕資金があってようやく、華やかな場でしか使えない贅沢なドレスが新調できます。 |
ウォルトのメゾンのドレスを纏ったフランス皇后ウジェニー(1826-1920年) | また、ドレスは一着で済むわけではありません。 毎回同じドレスを着て社交に出るわけにはいきませんし、特に注目を浴びる人物はどんなにお金をかけたドレスでも、いえ、一度で人々の記憶に残るような素晴らしいドレスだからこそ"一度しか着られない贅沢品"となるのです。 フランスのウジェニー皇后も、1868年にパリでオートクチュール組合を設立したイギリス人デザイナー、シャルル・フレデリック・ウォルトにスエズ運河が開通する1869年までに250点もの服を発注したという記録が残っています。 |
オートクチュールの父シャルル・フレデリック・ウォルト(1825-1895年)1895年、69歳頃 | 現代だと、オートクチュールはシンプルなスーツで一着で300万円程度からで、手の込んだドレスなどになってくると数千万円はします。 ウォルトのメゾンはフランス皇后御用達で、ヨーロッパの各国の王室や上流階級、金ピカ時代に湧くアメリカの大富豪たちがわざわざオーダーしに来る有名店でした。 それ故に、小金持ち程度では到底買えない代物でしたし、ドレスは目眩のするような高価なものだったと言われています。 |
イブニング・ドレス(シャルル・フレデリック・ウォルトのメゾン 1882年頃)メトロポリタン美術館 |
このクラスのドレスが取っ替え引っ替えできるようになって、ようやく次はジュエリーでのオシャレに手を出すことができます。 しかしながら恐ろしいのが、ジュエリーはドレスなど比較にならぬほどさらに高価なことです。どれだけ高価な材料を使ったとしてもドレスはたかが知れています。 |
【参考】合成サファイア(現代) |
【参考】合成サファイア・シルバー・リング(現代) | |
現代ジュエリーのせいで、宝石のイメージは完全に地に落ちています。価値のないものを『宝石』と呼んでしまっているからです。宝石はその稀少性と美しさによって高い価値が認められているからこそ『宝石』なのです。現代の人工的な合成石や加熱石には稀少性など存在せず、本来は『宝石』と呼ぶべきではありません。 |
『愛の誓い』 ダブルハート リング(エンゲージメント・リング) イギリス 1870年頃 SOLD |
当たり前のことですが、天然のままで美しい、稀少価値の高い宝石を使ったジュエリーはドレスなど比較にならぬほど高価です。 また、ドレスを作る以上にジュエリー制作は特殊で高度な技術を必要とします。 つまり人件費や技術費も圧倒的に高価なものとなります。 ジュエリーとは、アンティークの時代のお金持ちでもさすがに容易には買えない、超高額なものだったということです。 |
ロシアの皇族用の宮廷服(ウォルトのメゾン 1888年)インディアナポリス美術館 【引用】wikimedia commons ©Indianapolis Museum of Art | 『黄金の花畑を舞う蝶』 色とりどりの宝石と黄金のブローチ イギリス 1840年頃 SOLD |
それなのになぜお金をかけることができるのかと言えば、財産性があるからです。宝石の稀少性が保たれていれば、その価値は下がることがありません。ドレスは使うと容易に消耗していきますし、流行遅れになったら高価な布地やレースを回収してリメイクするというのも現実的ではありません。サイズの問題もあるため、誰かに売り渡したり子や孫に譲り渡したりということも簡単ではありません。謂わば消耗品です。 一方で、ジュエリーは適切な扱い方をすれば何世代にも渡って使うことができます。デザインが流行遅れになってしまった場合は、人件費や技術料だけはかかるものの、高価な宝石や貴金属は再利用してリメイクすることも可能です。小さなものなので一大事の時は簡単に持ち運びでき、換金するのも容易です。ジュエリーは消耗品ではなく、『財産』とみなすことができるからこそ大金をかけることができたわけです。 |
デイ&ナイト・ブレスレット | |
『摩天楼』 アールデコ ロッククリスタル&ダイヤモンド ブローチ イギリス 1930年頃 SOLD |
でも、同じオシャレをするにも知っているか知らないのかでは大きな違いがあります。 それに、現代でも本物のヨーロッパの社交の場に参加する機会があった場合は、ぜひTPOも厳密に守り、現代ジュエリーでは足下にも及ばない、素晴らしいアンティークジュエリーを身に着けて楽しんできて下さいね♪ |
『妖精のささやき』 ダイヤモンド・ピアス イギリス 1880年頃 SOLD |
そういうわけで、社交界に出入りする古の王侯貴族たちはジュエリーに関しても様々なアイテムを数揃える必要があります。 普段着用、社交の各シーン用、昼用、夜用、様々です。 しかもリング、ピアス、ブローチ、ネックレス、ブレスレット、ティアラなどの髪飾りなど、アイテムも多岐に渡ります。 |
『愛のメロディ』 ジョージアン 竪琴 ブローチ イギリス 1826年 SOLD |
一度に全てを第一級品で揃えるなんて到底不可能な話で、だからこそ代々受け継がれたジュエリーも大切に使うのです。 イギリス貴族はより古くから続く家ほど畏敬の念で見られるのですが、長く続いているほど歴史があるだけでなく、代々受け継がれてきた古き良きものをより多く持っているのです。 |
『大自然のアート』 デンドライトアゲート プレート(9,5cm×12,2cm) イギリス 19世紀後期 ¥387,000-(税込10%) |
そういうわけで、贅沢な小物にまで手を出せるのはジュエリーにも満ち足りた、限りなく少数の人だけです。 『大自然のアート』も初めて見た時は仰天したのですが、脇石に普通のガーネットより遥かに稀少性の高いオレンジ色のヘソナイトガーネットを使っています。 この宝石で豪華なハイ・ジュエリーが複数作れます。 |
2-2-2. 現代のつまらぬ高級小物
アンティークのハイジュエリーならではの稀少性の高い宝石も魅力がありますが、それ以上にアンティークならではの強い魅力を感じられるのが、高度な技術を持つ職人によってのみなされる"優れた細工"です。 これによってのみ、ジュエリーや小物に『美術品』としての高い"芸術性"と"価値"が生まれます。 |
万年カレンダー付きペン&ペンシル フランス 1890年頃 シルバー SOLD |
これは万年カレンダー付きで、しかもペンだけでなくペンシルとしても使えます。 見た目の美しさ以上に、このような高い機能性を出すのは大変です。ごまかしが一切利かないからです。 |
【参考】現代のイギリス製の高級ホイッスル | ||
真鍮製ホイッスル¥5,390- | シルバー製ホイッスル£31.69- | 金めっき製ホイッスル£19.99- |
文房具、特にペンは現代でも男性のステータス・アイテムの1つなのでまだマシな方です。ホイッスルなんて高級品でもこの程度です。完全に音と耐久性という、機能性だけと言えるでしょう。 |
高級な小物というだけでも特殊で珍し存在ですが、ホイッスルでハンドメイドのアーティスティックな高級品というのはアンティークの時代でもかなり珍しい贅沢なものと言えるのです。 |
3. 120年近く前の音を楽しめる"ホイッスル"としての魅力
この宝物には「見た目だけでも十分!」と思ってしまえるほどデザイン的に魅力がありますが、ホイッスルとしてしっかりと音が出せます。 120年ほども前のものなので音はどうかなと思ったのですが、しっかり息を込めて吹くと「ピーッ!!」と力強い音が出ます。 (納品の際は、きちんとアルコールで消毒してお渡し致します。) この、音が出るというのがとっても楽しくて良いんです♪♪ |
岡山の日生「みなとの見える丘公園」(2014.2.23) | ところで、サラリーマン時代に岡山に住んでいた時期がありました。 これは瀬戸内海に面する岡山の港町、日生の「みなとの見える丘公園」からの眺望です。 B級グルメ『カキオコ』が有名な、美味しい牡蠣が獲れる町で、年に一度の『ひなせかき祭』をお目当てに同僚の女性4人で訪れました。 左はそこで『幸せの鐘』なる鐘を見つけ、「それはたくさん鳴らしておかねば!」と調子に乗ったバカ(私)です(笑) |
ひなせかき祭の牡蠣小屋でバーベキュー(2014.2.23) | 今年2020年は残念ながらコロナの影響でこのお祭りは中止になったそうですが、例年だと潮風を感じながら、牡蠣小屋でバーベキューが楽しめます。 |
食い散らかし(笑)(2014.2.23) | 日生の牡蠣は身がしっかり入っているのが有名で、加熱後ですがこれだけ大きさがあります。 日生はオススメです。 なぜならば牡蠣があるだけではないからです。 |
BIZEN中南米美術館 "130131 BIZEN America Latin Museum01bs5" ©Photo by 663highland(31 January 2013)/Adapted/CC BY-SA 4.0 |
女子たちを食べ物で誘惑して連れてきたわけですが、私の本命はこれです。BIZEN中南米美術館です。さすが岡山、備前焼の陶板を16,000枚以上使っているという建物も見応えがあります。 |
BIZEN中南米美術館(2014.2.23) | この謎のオブジェも不思議な強い魅力を放っています。 BIZEN中南米美術館は中南米を専門とする日本唯一の考古美術館です。 1904(明治37)年にこの地に生まれた森下精一氏が、漁網を始めとする様々な事業で財をなし、65歳の時に偶然巡り合った古代アメリカの美術品に魅了され、コレクションしたものです。 蒐集品は中南米10カ国の紀元前2,500年から紀元1,500年までの貴重な文化遺産で、研究期間や美術館に貸し出したりもするような世界的に見ても価値あるものだそうです。 アンティーク&エンシェントジュエリーなんて存在も知らない頃でしたが、もともとこういう美術品には強い興味があり、「欲しい!!」とヨダレを垂らしながら展示品を見たものでした(笑) |
タイノ族の翡翠のペンダント |
そんなGenは数は多くはありませんが、中南米の古美術もお取り扱いしたことがあります。 これは14世紀のタイノ族のペンダントです。Genも中南米の古美術にも魅力を感じているそうです。BIZEN中南米美術館にもタイノ族の展示品がありました。 |
BIZEN中南米美術館(2014.8.13) | 不思議な魅力に取り憑かれ、半年後に一人で再訪しました。 かき祭りは2月でしたが、8月で紫陽花が咲いており、謎のオブジェもより良い雰囲気です。 1年4ヶ月の岡山生活では、行き損ねた場所も多々ある中、イベントでもないのに2回も訪れたのはここだけです。 |
ネコが描かれた彩色橋形双注口壺 BIZEN中南米美術館 "BIZEN America Latin Museum pots-s" ©Asturio Cantabrio(2016)/Adapted/CC BY-SA 4.0 |
1969年頃にアメリカの古美術に目覚めた森下精一氏が、1974年に財団法人を設立して施設と全所蔵物を寄贈したものでこの美術館は成り立っています。 アンティークジュエリーもそうですが、まだ誰にも知られていない時期に蒐集するというのはとても大事なことで、だからこそここには今では考えられないような価値ある美術品が揃っているわけです。 単独行動なので好きなだけ展示品に熱中していたら、何やら呼びかけてくる声が・・。 |
BIZEN中南米美術館の展示品 "BIZEN America Latin Museum 1st floor-a" ©Asturio Cantabrio(2016)/Adapted/CC BY-SA 4.0 |
そこには男性が立っており、「500年前の音を聞いてみませんか?」と。 「?????」と思っていたら、男性が突如ガラスケースを開き、中からオカリナを取り出して吹き始めたのです。最初は驚きましたが、ワクワクしながら見るだけだった展示品から、500年も前の人たちも聞いていたであろう音色が奏でられ、500年も前の人たちと同じ音を聞いているのだと思うととても感動しました。 |
BIZEN中南米美術館のゆるキャラにしてカキオコの神『ペッカリー』(2014.8.13) | 実はこの男性は館長さんでした。 あまりにも気さくで優しそうな雰囲気の方だったので、あまり凄い人そうには見えなかったのですが、18企業・1財団法人から成り、海外に現地法人も持つ森下グループの総帥も務めたことがある、森下精一氏のお孫さんでした。 Wikipediaによると、館長の森下矢須之氏は慶應大学卒業後にメキシコ国立自治大学で中南米の歴史と文化を学んでおり、スペイン語が堪能なのだそうです。 エクアドルのペッカリー土偶を元に左のようなゆるキャラを作ったり、クラウドファンディングも使ったりするなど、古代のものを扱いながらも最先端も得意な頭の良い方です。 |
BIZEN中南米美術館の展示品 "BIZEN America Latin Museum 1st fllor-slate" ©Asturio Cantabrio(2016)/Adapted/CC BY-SA 4.0 |
でも全く威張る気配がないという・・。お祖父様の精一氏も、グループが大きくなっても社員にも得意先にも謙虚であり続けたそうです。財を自己満足のためだけに意味なく使うのではなく、蒐集した貴重なコレクションを美術館という形で皆に共有し、日本人全体の知的レベルの向上に貢献しようとしてくれるとは、日本にも昔はこういう人格的にも優れたお金持ちがいたのだなと感動しました。それこそ古のイギリス貴族にも通ずるような素晴らしさを感じますが、このような行いは、最初から大金持ちのイギリス貴族より遥かに難しいことです。とても凄いことで、自然に尊敬の念が湧いてきます。 |
500年前の音色を聞かせてくれる古のオカリナ。 その感動の思い出があったからこそ、120年前の音を同じように聞くことができる、このシルバーのホイッスルをご紹介できることに、私はより感動と嬉しさを感じます。 |
4. 360度の見事な立体造形
このフクロウは360度の立体造形が見事です。 |
さすがこの手の高級小物では圧倒的にナンバーワン・メーカー、S.モーダン社のものです。 イギリスの銀細工師サンプソン・モーダン(1790-1843年)によって1823年に製造・販売が始まった会社で、息子たちが会社を相続し、1941年までシルバー製品を作り続けました。 残念ながら第二次世界大戦中に『ブリッツ』と呼ばれるドイツ軍のイギリスへの爆撃作戦により、1941年に工場が破壊されてS.モーダンの歴史は終わってしまいました。 |
アンティークの時代の終焉と共にS.モーダン社の歴史も途絶えたため、S.モーダン社製のものはアンティークの時代ならではのハンドメイドの優れたものしか残っていません。 |
4-1. 愛らしい顔
さすがだと思えるのが、どの角度から見ても愛らしい顔です。 人間にとって顔の認識能力は非常に大事なものです。 このため、お花やリボンなどと違い、顔は少しでもバランスが変わると印象がガラリと変化します。 『顔』を表現するのは想像以上に難しいことなのです。 |
【参考】フクロウのシルバー・チャーム | フクロウは人気モチーフであるが故に、現代でもたくさんのシルバーのペンダントやチャームが作られています。 |
【参考】フクロウのシルバー・チャーム | この際、作りの稚拙さは目を瞑るにしても、どれも顔が可愛くありません。 猛禽類ならではの鋭いカッコ良さももちろんありません。 案外、上手にフクロウを立体的に造形しようとすると、顔だけでもかなり難しいのです。 |
4-2. 素晴らしいボディ
いかにもフクロウらしい顔だけでなく、ボディの造形も見事です。 広げると驚くほど立派なフクロウの翼ですが、後ろ姿を見ると、木の枝などに留まった時の翼をたたんで小さく収まった雰囲気がよく表現されています。 |
【参考】フクロウのシルバー・チャーム(現代) | 後ろ姿 |
これだと後ろ姿を見たら、一体何なのか全く分かる自信がありません。それ以上に鋳造ならではの、ヌメッとした気持ち悪さを感じます。後ろ姿は脳みそか何かを見たようなグロテスク感すらあります。今回の宝物のような、羽毛の柔らかさは微塵も感じられません。 |
5. ハンドメイドの素晴らしい彫金細工
フクロウは大人気モチーフなので、S.モダーンでも定番として長年に渡ってフクロウ・モチーフで様々なアイテムが作られていたようです。 もちろん高い技術とかなりの手間を必要とする、当時でも最高級のハンドメイドなので量産はできませんし、たくさんは作られていません。 これまでの44年間で、お取り扱いしたのは今回が3点目で、およそ7年ぶりのご紹介です。 |
フクロウ シャープペンシル イギリス 1890年頃 SOLD |
フクロウ ブックマーカー(栞) イギリス(ロンドン) 1893年 SOLD |
しかも全て違うアイテムです。今回はホイッルスですが、左はシャープペンシル、右はブックマーカーです。 |
後ろの作りも比較してみたかったのですが、ブックマーカーなので平たい作りでした。 |
シャープペンシルとホイッスルとでは後ろ姿もかなり違います。 シャープペンシルはより野生らしさを感じる表現で、シュッとした尾羽が印象的です。後ろから触ったら怒られそうです。一方でホイッスルのフクロウさんはポテッとフワッとしており、好きなだけナデナデさせてくれそうな雰囲気です。 |
横のフォルムもこれだけ違いますし、羽毛の質感を出すための彫金の模様が全然違います。 ホイッスルの方が年代が新しい分、より実際の羽毛に近い模様になっているようです。 時代が下っても、手抜きではなく、より美しさを追求する方向になっていることが嬉しいです。アンティークの時代にしかないモノづくりの良さと、世界一の高級メーカーのプライドを感じます♪ |
【参考】鋳造だけのフクロウ(現代) | 【参考】フクロウ(現代) | 今回の宝物 |
同じシルバーのフクロウと言えども、鋳造だけの量産品や、多少彫金を加えていてもろくな仕事をしていない手抜きの量産品とでは全く違います。 高度な技術を持つ職人が手間をかけ、心を込めて作った小物は、単なる小物と言うよりは、もはや見ていて心癒される1つの芸術作品と言えると思うのです。 |
6. 思わず惹き込まれるガラスの瞳
このフクロウはガラスの瞳もポイントです。 ヴィンテージ以降だと、もしこういうものを作ろうとした場合は瞳は樹脂かガラスになると思います。 樹脂は安さが魅力です。買ったばかりの時は見た目もそれほどガラスとは違ったように見えないので、安い理由をあまり考えない人は「見た目が同じならば安い方が良い。科学の勝利であり、素晴らしいことだ!」と思うでしょう。 世の中の大半はそのように考えるので、優れたモノづくりが終わってしまったわけですが、樹脂はかなり寿命が早いです。 |
6-1. 樹脂製の瞳との違い
最初は綺麗だった樹脂製品が、しばらく見ない間に黄変したり透明感がなくなっていたということは経験がある方も多いのではないでしょうか。 樹脂によっては酸化や紫外線などによる加水分解などの劣化現象でベタベタしたり、ボロボロになっていたということもあると思います。 |
チョーキング現象にて粉を吹く塗装樹脂表面 | 樹脂は性能を出すために様々な添加剤を混ぜるので、それが表面に出てきて白く粉をふいた状態になることもあります。 また、ガラスに比べて遥かに柔らかいため、磨耗によっても曇ります。 |
チョーキング現象で白化した自動車のボディ(右側は板金修理後) | 樹脂の寿命は置かれた環境にも依りますが、一般的には最長でも10年程度と言われています。 最高クラスの耐久性を必要とする車ですら、短い期間で劣化します。 |
樹脂製品はアンティークのように耐用年数が100年を超えることはあり得ません。一代もたないどころか、数年で使えなくなります。 結局は安物買いの銭失いですが、優れたモノづくりが失われ、その存在すら知らない世代が殆どとなった今となっては大抵の人が「これで当たり前。」と許容してしまうので改善される方向にはいきません。 より安く、より低品質になり、モノづくりも文化も退化している状況です。 |
ハンドメイドのガラスの瞳だからこそ、100年以上経った今でもクリアな瞳で見つめてくれるのです。 もし瞳が樹脂で作られていたら、今頃は恐怖の物体になっていたはずです。 もしこのフクロウの目が白く濁っていたら不気味な雰囲気だったでしょう。 死んだ魚の目と言うか、何と言うか・・。 想像するだけで恐ろしい。 |
6-2. 現代のガラスの瞳
【現代】フクロウのシルバー・ペンダント | 【現代】フクロウのシルバー・チャーム |
これはアクリル樹脂の可能性もありますが、そこまでケチっていなければスワロフスキーのガラスくらいは使っていることでしょう。正直、変です。「女子はキラキラしたものが好きだから、とりあえず多面カットしたガラスを入れておけば喜ぶだろう。」くらいに考えたのかもしれませんが、こんな目玉のフクロウはいません。違和感タップリです。 |
6-3. 超絶技巧の瞳のセッティング
不思議なのが、爪が見えないガラスの瞳のセッティングです。 |
現代のような接着剤を使った留め方だと、100年も持たずに落っこちてしまうはずですが、どのフクロウもしっかりと留まっているのです。 |
ハンドメイドのカエルのオブジェ(現代) |
これはサラリーマン時代、つくばに住んでいた頃にアジアン雑貨で購入したカエルのオブジェです。ハンドメイドだからこそのそれぞれの個性が気に入っていたのですが、10年経たずに目が取れました・・。 |
【現代】ガラスの瞳 | 【現代】ハンドメイドのカエルのオブジェ |
目玉はガラスだったのですが、接着剤をタップリ使って金属に留めていただけなので、ただの置物で室内使用だったにも関わらず10年もたなかったようです。現代物なんてこの程度でしょう。目玉は何かおめでたいことがあった時にでも、接着剤でくっつけてあげる予定です。ダルマ的な使用です(笑) |
光学顕微鏡でかなり拡大して見てもはっきりと留め方が分からず、Genと2人で不思議がったのですが、可能性としては瞳の周囲のを少し薄めの銀の板で作り、そこにガラスの瞳をグッと押し入れ、銀が元の形に戻ろうとする復元力、つまりバネの力で留めていると推測します。 思いついた人は凄いですし、こんな高度な職人芸をやってしまえる職人も凄いです。 |
フクロウ シャープペンシル イギリス 1890年頃 SOLD |
S.モーダンは世界で初めてシャープペンシルの特許を取得したメーカーであり、長年イギリスで支持されてきたトップメーカーでした。 |
だからこそこのような特殊なセッティングを考案したり、それを実現できるトップクラスの職人も抱えることができたということなのでしょう。 |
7. 使う小物なのにグッドコンディション
7-1. 磨耗のなさ
この宝物は使う小物であるにも関わらず、極めてコンディションが良いです。 120年ほども経っていると、普通は使用によるダメージがあるものです。 また、磨き過ぎてすり減っていることも少なくありません。 シルバー製品をピカピカに磨き上げるのは楽しかったりするのですが、こういう繊細な彫金が魅力のシルバー製品はすり減ると彫金が失われていきます。 長期に渡り磨き続けられ、彫金が部分的に失われてしまい、魅力が激減してしまっているものも市場にはあります。 磨くのはよほど見た目が汚らしくなってしまった時だけにすべきで、こういうものは新品よりも少し黒ずんできたものが良いのです。 彫金などの凹凸が、よりはっきりしてくるからです。 |
下げるための輪もオリジナルですが、驚くほど磨耗がありません。 |
【参考】金具の摩耗が激しいフォブシール | この業界では気にする人がいないのと、そもそも気づかない人が多いようで、明らかに金具が磨耗して危険な状態なのにそのまま販売されている場合が多いです。 |
【参考】金具の摩耗が激しい9ctのフォブシール | これは9ctなので、18ctゴールドより遥かに耐久性はあるはずですが、100年以上の使用によってすっかり金具が磨耗しています。 安物ほどヘビーローテーションされ、金具がすり減っている確率が高くなります。 莫大な財力を持つ王侯貴族の場合、先述の通り様々なアイテムを持ち、TPOによって使い分けるのでヘビーユーズしません。だから、時には新品と思えるレベルのコンディションで手に入ることもあります。 |
【参考】金具の摩耗が激しいフォブシール | ペンダントトップや、本体と連結させるために使う金具は特に使う際に磨耗が起きる場所なので、100年も経てば少しはすり減っていておかしくないのです。 ゴールドやシルバーより耐久性が遥かに高そうなスチールですら磨耗は起きます。 |
この磨耗のなさは驚くべきことで、ほとんど使われず歴代の持ち主に大切にされてきたということなのでしょう。 |
7-2. パティナの魅力
新品同様のコンディションだと、アンティークの場合は実は古いものではなくて新しいものではないのかということが心配だったりもします。 この宝物の場合は制作された年を示す刻印があるので問題ありませんが、もう1つのポイントとしてパティナがあります。 |
彫金やホールマークの隙間に詰まったゴミが見えると思います。これは古さの証、謂わばアンティークの証なので取るべきではありません。長い年月をかけ、詰まったゴミが硬化したのがパティナです。長い年月をかけないとパティナは生まれません。パティナによって感じられる、歴史のある雰囲気はアンティークならではの魅力の1つなのです。 |
ホールマーク
後ろ側に刻印があります。 |
イギリスの銀器はしっかりとホールマークが付いているので、ロンドンで1903年に作られたことが分かるのです。 |
S.モーダン社はイギリスでは有名な高級銀器メーカーです。 |
特徴的な見た目や、機能性の高さ、美しさがあり、さらに1941年になくなるまでの年月に一定数が制作されています。 コレクターが発生するにはパーフェクトと言える条件が揃っており、コンディションが良くないものでも高い値段で取引されていたり、なかなか市場に出てくることもありません。 今回この宝物がご紹介できたのはとてもラッキーだと思います。 幸せの鐘をゴンゴン鳴らしてきたご利益かもしれません(笑) |
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シルクコードをご希望の場合はサービス致します。 | ||
音が出せて、見た目もオシャレな小物はとっても楽しいですね♪ |