No.00319 ALL WHITE |
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『ALL WHITE』 |
アンティークのハイジュエリーとしては異例と言える、揺れるタイプのダイヤモンド・ピアスでありながら清楚で小ぶりなピアスです。 画期的な新素材として登場したプラチナを主役にして、複雑に揺れる構造でデザインされており、着用者の僅かな動きに合わせて驚くほど魅力的にプラチナとオールドヨーロピアンカット・ダイヤモンドが白く輝きます。デザインも気が利いており、ダイヤモンドの丁寧かつ高度な石留からも、特別オーダーの高級品として作られたことが分かります。 揺れるタイプのハイクラスのダイヤモンド・ピアスは華やかなものが多く、日本人女性でも日常使いしやすいものは珍しいです。他のアイテムと合わせやすいシンプルさを持ちながら、デザイン性が高くコーディネートの主役にもなれる、滅多にないオシャレなピアスです♪ |
この宝物のポイント
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1. プラチナが登場した時期ならではのデザイン
この宝物は、プラチナが画期的な新素材としてジュエリーの一般市場に出始めた頃に作られた、ハイクラスのピアスです。 しかも上流階級の中でも特に美意識の高い女性のために作られたものであり、随所にその特徴が現れています。 |
1-1. エドワーディアンにおけるプラチナとダイヤモンドの地位
1-1-1. 時代によって変化する素材の地位
【参考】現代カルティエのブローチ ホワイトゴールド、ダイヤモンド ¥3,628,800-(税込)2019.2現在 【引用】Cartier HP / PLUIE DE CARTIER BROOCH |
ダイヤモンドだから高級! ゴールドだから高級! このように単純すぎる認識をするのは経済に興味がない上に、成金的な思考をする一部の庶民です。一部とは言っても、特に日本人女性は株や地金に投資する人の割合が少なく、興味を持たないのでそういう人の数がかなり多いのですが・・(でも、現代ジュエリーの主要購買層はそういう層)。 いつの時代もそれぞれの素材は同じ立ち位置に、不動で存在するわけではなく、需要と供給の変動によって価値は大きく変化してきました。 |
現代の緑の石のリング | |
エメラルド | クリスタルガラス |
【参考】合成や処理については不明 | 【参考】グリーン&ホワイト・ジルコニアのシルバーリング |
着物文化により、長い間、上流階級ですらジュエリーを使ってこなかった日本はジュエリー文化が未熟です。古くから続く名家であっても、代々家に伝わる上質なジュエリーというものはありません。 現代ジュエリーはなぜかデザインがダサいものが多く、アンティークのハイジュエリーをご存知なければ、オシャレなデザインがたくさんあるアクセサリーを選ぶ方が大半ではないでしょうか。それだけでなく、見た目は同じような感じでもアクセサリーの方が圧倒的に安いです。 石コロ主体のジュエリーに限定されますが、物によってはガラスとシルバー(ロジウムメッキ)で作ったアクセサリーの方が、ジュエリーより高そうに見える場合もあります(笑) |
【参考】プラチナの結婚指輪(ブルガリ 現代) 226,800円、2018.9現在 【引用】BLGARI / SPIGA WEDDING RING | そういうわけで、結婚する際にジュエリーを初めて購入するという人も多いです。 本来ならば本当に欲しい人だけが買えば良いはずですが、たくさん売り捌いて儲けたい業界によって、婚約指輪や結婚指輪を購入するのが半ば義務化されています(笑)買わないといけない雰囲気を作って買わせるという、同調圧力的な手法ですね。 今は個人の嗜好性も多様となり、欲しくないし不要だから買わないという選択をする人も多くなりましたが、少し前までは皆が五十歩百歩、同じような物を儀式的に買わされる酷い状況がありました。 |
このように突然ジュエリーを選ぶ状況がやってくるわけですが、それまで選んだことがないからこそ、大多数の人は何を基準にして選べば良いのかが分かりません。一生で一度のお買物をするわけですから、努力して情報を集める人もいるでしょう。でも、雑誌や店員さんを信頼して選ぶ人も多いでしょう。 少し前だと、「ゴールドよりプラチナの方が高級だから、プラチナ製を選ぶべき。」という宣伝文句が出回っていました。その効果あって、2016年のゼクシィ結婚トレンド調査によると、婚約指輪の素材にプラチナを選んだカップルは実に86%にのぼるそうです。確かにもっと前の年代だとプラチナはゴールドより高かったですが、2015年頃から相場は逆転し、2021年の現在ではゴールドの方がプラチナの倍くらい高価な素材となっています。 ジュエリー業界にとっては、過去の文言をコロコロ変えるわけにもいかないので、プラチナの方が高価ですよという宣伝文句はなかったことになっています。言及はしません。 |
1-1-2. エドワーディアンの最高級の宝石
ベルエポック(エドワーディアン) 天然真珠 ブローチ ヨーロッパ 1900〜1910年頃 SOLD |
単純に"宝石の種類"という観点で見るならば、エドワーディアンで最も高い地位にあったのは天然真珠でした。 1869年ころから始まった南アフリカのダイヤモンドラッシュによって、それまで考えられなかった膨大な量のダイヤモンドが入ってきた一方で、天然真珠だけは稀少価値の高い至高の宝石として存在したからです。 |
『Shining White』 エドワーディアン ダイヤモンド ネックレス イギリス又はオーストリア 1910年頃 SOLD |
それならば何故、ダイヤモンドだけを主体にしたエドワーディアンのハイジュエリーがいくつも作られているのでしょうか。 |
1-1-3. エドワーディアンの最高級の金属
『ゴールド・オーガンジー』 エドワーディアン ペリドット&ホワイト・エナメル ネックレス イギリス 1900年頃 ¥1,000,000-(税込10%) |
エドワーディアンは、ジュエリーの一般市場に史上初めてプラチナが登場した時代です。 産出量的、及び技術的な課題がクリアされ、画期的な新素材として市場に出回り始めたのが1905年頃のことでした。 一般市場に出る前、あるいは出始めた直後の最初期のプラチナを使ったジュエリーの場合は、『ゴールド・オーガンジー』のダイヤモンドのセッティングのように、本当にごく一部にだけに使われていたりします。 それまで長年、最高級の金属としてジュエリー市場に君臨したのはゴールドでしたが、プラチナがゴールドを凌ぐ高級素材として登場した瞬間でした。 |
『忘れな草』 ブルー・ギロッシュエナメル ペンダント フランス? 18世紀後期(1780年〜1800年頃) ¥1,400,000-(税込10%) |
プラチナ登場以前は、ダイヤモンドのセッティングには白い金属としてシルバーが使用されていました。 金属は種類によって性質が異なります。 |
『ダイヤモンド・ダスト』 エドワーディアン ブルー・ギロッシュエナメル ペンダント・ウォッチ フランス(パリ) 1910年頃 (ムーヴメントは同時代のスイス製) ¥15,000,000-(税込10%) |
プラチナはシルバー同様ダイヤモンドの色味を邪魔しないというだけでなく、シルバーには不可能な様々な表現を可能としました。 より細かいミルグレインやグレインワークが施せるようになり、それらはダイヤモンドの煌めきに華を添える、繊細な輝きを放つことができました。 また、より細いナイフエッジや繊細な透かし細工も可能となりました。 細かい作業ができることから、より複雑な揺れる構造を実現することも可能となりました。 |
『シンプルイズベスト』 イギリス 1910年頃 SOLD |
これらプラチナの特徴の全ては、天然真珠よりもダイヤモンドに向いていました。 |
だからこそ当時の至高の宝石であった天然真珠を使っておらず、ダイヤモンドだけのハイジュエリーがいくつも存在するのです。 20世紀初頭の美しいダイヤモンド・ジュエリーたちは、プラチナが出てきたお陰なのです♪ |
1-2. プラチナを強調するためのデザイン
このエドワーディアンのピアスは他の時代の揺れるタイプのダイヤモンド・ピアスと比較して、かなりシンプルな印象のデザインが特徴です。 |
1-2-1. 通常の上流階級のための揺れるダイヤモンド・ピアス
1-2-1-1. 19世紀初期
シャンデリア・ピアス フランス 19世紀初期 SOLD |
フクシア ダイヤモンド・ピアス フランス(プロバンス) 19世紀初期 SOLD |
日本は天皇を中心とした貴族文化が存在しながらも、それとは別に、将軍を中心とした武家文化が独立して存在し、長い年月をかけて発展してきました。この世界的に見ても類を見ない特殊な事情によって、日本は世界に先駆けて、かなり早い段階でシンプル・イズ・ベストの境地に辿り着きました。 しかしながら開国によって日本文化から影響を受ける以前のヨーロッパは、ともすれば"装飾過多"とも言えるような華美な装飾が、"お金持ち"且つ"上等品"の証と一般的にはみなされてきました。 故にジュエリーに関しても、ハイクラスのものとして作られた場合はデザインも複雑で華やかなものが通常です。ゴージャスという前提があり、その範囲内で社交界の女性たちはセンスの良さを競っていました。古い時代ほどその傾向は強いです。 |
1-2-1-2. 19世紀中期
ローズカット・ダイヤモンド ピアス ヨーロッパ 19世紀中期 SOLD |
ペアシェイプ・ローズカット・ダイヤモンド ピアス オランダ 1860年頃 SOLD |
19世紀中期もその傾向は強いです。いかにもヨーロッパの王侯貴族らしい、華のある綺羅びやかなデザインです。私は特徴的なデザインのものが好きなので、このくらい華がある方が良いのですが、多くの日本人女性によっては使いこなしが難しく感じるデザインだと思います。 だからこそ人を選ばない、所謂"無難なデザイン"のものと違い、このような唯一無二の宝物は強いご縁で、この人しかいないと思えるような持ち主の元へ旅立って行くのですが・・♪ |
1-2-1-3. 19世紀後期
ダイヤモンド ピアス イギリス 1880年頃 SOLD |
オールドヨーロピアンカット・ダイヤモンド ピアス イギリス 1880年頃 SOLD |
19世紀後期も傾向は同じです。 昔から、欧米に憧れてファッションを参考にする日本人女性が一定割合、存在します。ただ、この"欧米"というのが曲物で、ヨーロッパとアメリカは分けて解釈すべきです。日本も古くから中国文化の影響を強く受けながら、独自文化を醸成してきましたが、"欧米"を一括にするのは"中華帝国とその周辺諸国"として一体に捉えるのと同じようなものです。 さらにはヨーロッパでも国ごとに様々な特色があります。「イギリスとフランスは兄弟みたいな国」として、一緒くたにすべきではない部分に関しても、どうせ似たようなものと乱暴に解釈する人がいますが、それは日本と韓国を「中華帝国の属国同士、兄弟みたいな国」と捉えるのと同じくらい乱暴な解釈です。HERITAGEのマニアックなカタログをご覧くださるような方だと、こんな捉え方をする人はいないですけどね(笑) さて、ざっくりな括り方をすると、アメリカ派だとセレブ、ヨーロッパ派だと上流階級に憧れを抱くのが王道です。ヨーロッパの上流階級は歴史と伝統を持つオーソドックスな存在です。外見の美しさのみならず、教養や知性、マナーなど内面的な美しさも重視するため、TPOは厳密に守ります。一方でセレブは目立てば良いだけの新興成金的な存在です。「ルールを破るのがイケてる」くらいの勢いで、TPOを軽んじます。確かにTPOを守らないことで悪目立ちはできです(笑) |
王侯貴族の華やかな場でのジュエリー | |
日中用 | 夜用 |
『黄金馬車を駆る太陽神アポロン』 シェルカメオ ブローチ&ペンダント シェルカメオ:イタリア 19世紀後期 フレーム: イギリス? 19世紀後期 ¥1,330,000-(税込10%) |
『財宝の守り神』 約2ctのダイヤモンド ブローチ フランス 1870年頃 SOLD |
ヨーロッパの古の王侯貴族は厳密にTPOを守っていました。破って悪目立ちするのは恥ずかしいことです。 現代ではTPOがあやふやになった上に、元々ジュエリー文化がなかった日本では、ジュエリーにもTPOがあること自体ご存知ないという方も多いでしょう。しかしながらジュエリーにもTPOが存在します。 この2つの宝物は、どちらも華やかな場で使う王侯貴族のためのジュエリーです。どちらを選択するのかは"どちらが似合うのか"や、"好み"などではありません。カメオやモザイクなどは日中用、ダイヤモンドなど煌めく宝石が使用されたものは夜会用と決まっています。 現代だとカメオ好きはダイヤモンド・ジュエリーに見向きもせず、ダイヤモンド好きはカメオに興味すら持たない場合が少なくありませんが、古の王侯貴族は様々なジュエリーをTPOに合わせて使いこなしていたのです。HERITAGEの常連のお客様を見ていると、宝石主体の綺羅びやかなジュエリーも、純粋な細工物のジュエリーも別け隔てなくお選びになる方が案外たくさんいらっしゃいます。女性で、ご自身でそれだけ稼ぎ出せる能力も凄いですが、オシャレも楽しいでしょうね。古の優れた王侯貴族がこのような人たちだったのかなと、参考にさせていただいています♪ |
マルチユース 2カラーゴールド&ダイヤモンド ピアス フランス 1890年頃 SOLD |
ダイヤモンドを使ったピアスでも、耳にピッタリとくっつけて使うタイプだと、"正装が必要な夜会"まではいかない場で使うためとみられる、比較的シンプルなものも一部に存在します。 でも、揺れるタイプのダイヤモンド・ピアスの場合は、基本的には華やかな夜会で使う目的で作られるため、王侯貴族のためのハイジュエリーとして作られたものは、デザインも綺羅びやかでゴージャスなものとなるのです。 |
1-2-1-4. アールデコ
『ダイヤモンド・ダスト』 アールデコ ダイヤモンド ピアス イギリス 1920〜1930年頃 SOLD |
『Nouvelle-France』 オールドカット・ダイヤモンド ピアス ヨーロッパ? 1920年頃 SOLD |
エドワーディアンを経て、アールデコの時代もダイヤモンドを使った揺れるタイプのハイクラスのピアスは、華やかなデザインのものが多いです。華やかで複雑なデザインになるほど高い細工技術も必要となり、高価なものとなります。安物はデザインに魅力が感じられないのは、職人の細工技術が足りないのと、安くあげるために手間や時間をかけられないからです。 |
1-2-2. エドワーディアンの上流階級のための揺れるダイヤモンド・ピアス
エドワーディアンは特殊な時代です。 天然真珠の評価が益々高くなり、一方でダイヤモンドは稀少性の低下によって、以前ほど評価されなくなっていきました。 エポックメイキングだったのは、最高級の金属がゴールドからプラチナに変化したことです。 |
揺れるタイプのハイクラスのダイヤモンド・ピアス | ||
ダイヤモンドが最も高く評価された時期 (1860-1870年頃) |
プラチナが最も高く評価された時期 (エドワーディアン初期) |
デザイン重視の時代 (アールデコ前期) |
『ミラーボール』 ローズカット・ダイヤモンド ピアス ヨーロッパ 1860年〜1870年頃 SOLD |
今回の宝物 | ダイヤモンド ピアス フランス 1920-1930年頃 SOLD |
現代のファッションの流行は、業界側が無理やり作ったものですが(だからネタ切れしてしまう)、昔はそれぞれの時代ごとにきちんと理由があり、それを元にデザインが生み出されました。王侯貴族のハイジュエリーほど、それは顕著です。 例えば、ブラジル鉱山の急速な枯渇によってダイヤモンドの稀少価値が劇的に上がった時期に作られた『ミラーボール』だと、とにかくダイヤモンドが大きく目立つようにデザインされています。 ただダイヤモンドというだけでは王侯貴族にとって自慢の宝石とは言えなくなった一方で、プラチナがプラチナというだけで目新しく高価だった時期に作られた今回の宝物だと、とにかくプラチナを強調したデザインになっています。 プラチナがある程度流通して、王侯貴族にとって見慣れた金属になってくると、ジュエリーとしての美しさを優先したデザインへと落ち着きます。プラチナが主役でダイヤモンドは脇役と言える今回の宝物は対象的に、右のアールデコのピアスは明らかにダイヤモンドが主役でプラチナが脇役となっています。一番下の大きなダイヤモンドは、後ろのプラチナが目立つデザインになっていますが、これは実物を見た時に大きなダイヤモンドがより大きく見える視覚効果を狙ったものなので、プラチナのためのデザインではありません。 |
そうは言っても、エドワーディアンのダイヤモンド・ジュエリー全てがプラチナを強調したデザインになっているわけではありません。 本当にプラチナが出始めた頃の、エドワーディアン初期だけです。 |
エドワーディアン ダイヤモンド ピアス イギリス 1900-1910年頃 SOLD |
エドワーディアン ダイヤモンド ピアス オーストリア 1910年頃 SOLD |
プラチナにゴールドバックの作りをしたエドワーディアンのダイヤモンド・ピアスでも、少し後の時代になるとプラチナそのものを強調したデザインではなく、プラチナという特殊な素材のポテンシャルを細工の面で引き出しているものへと変化していきます。それは緻密なミルグレインであったり、グレインワークであったり、繊細な透かし細工だったりします。 特に右のピアスはエドワーディアン後期からアールデコ初期にかけての過渡期のジュエリー(トランジション・ジュエリー)であり、デザインにもアールデコのような特徴が見られます。 |
1-2-3. エドワーディアン初期ならではのプラチナが主役のジュエリー
大英帝国の歴代君主 | ||
ヴィクトリア 在位:1837-1901年 |
エドワード7世 在位:1901-1910年 |
ジョージ5世 在位:1910-1936年 |
エドワーディアンのジュエリーと言うと、いかにもエドワード7世の時代に制作されたジュエリーと同義というイメージがありますが、そういうわけではありません。呼び方自体が、後の時代に便宜的に付けられたものであり、ヴィクトリア女王から国王エドワード7世に君主が変わったからと言って、ガラリとジュエリーのスタイルが不連続に変化したりはしていません。 |
プラチナにゴールドバックで作られたジュエリーが、一般的にはエドワーディアンのジュエリーと呼ばれています。 始まりは、技術的・産出量的な課題がクリアされ、プラチナがジュエリーの一般市場に出始めた1905年頃です。そこからアールデコになり、オール・プラチナの作りがハイジュエリーの主流となった1920年頃までがエドワーディアンです。 ちなみに当時の超高級金属、プラチナに手を出せるほど財力がない人のジュエリーは、この年代に作られたものでもゴールド単体、それ以下だとシルバー単体で作られています。 そのようなジュエリーの場合は正確な年代を特定するのは困難で、海外のディーラーでも「適当なことを言ってるなぁ」と思うケースが多々見られます。ジュエリーを作る職人でもそうですが、良い物を扱えない人はプライドも持てないし、必然的に仕事や顧客に対する責任感も薄いのでしょうね。 |
エドワーディアンのジュエリー | |||
最初期 | 初期 | 中期 | 後期 |
『ゴールド・オーガンジー』 ¥1,000,000-(税込10%) |
今回の宝物 | 『麗しのマデイラ』 SOLD |
『Quadrangle』 SOLD |
さて、64年近くもあるヴィクトリアンと違い、プラチナにゴールドバックのジュエリーが作られたエドワーディアンは僅か15年くらいしかありません。ヴィクトリアンは初期、中期、後期でかなりデザインも変わって来るのですが、実はエドワーディアンでもその短い期間の中で変化を見ることができます。 プラチナが一般市場には出始める前、あるいは出始め直後は本当に使用量が限られていたため、本当の最初期はごく一部にだけプラチナが使われたようです。 それより少し後になると、今回の宝物のように、正面は全てプラチナというジュエリーが登場します。とにかくプラチナを強調した時期です。 エドワーディアン中期になると、プラチナを主張するというよりも、プラチナを使いこなした、細工にこだわったものが主流となります。デザイン的には、いかにもヨーロッパの王侯貴族を思わせるエレガントさと洗練された雰囲気を持つものが多いです。 後期になると、アールデコを思わせるようなスタイリッシュなデザインが出てきます。この後、本格的にアールデコの時代に突入します。 個性を重視する王侯貴族のハイジュエリーは例外も一定数あるのですが、確実にこのような傾向があります。 |
『Transition』 エドワーディアン アクアマリン バー・ブローチ イギリス 1910年頃 SOLD |
プラチナが王侯貴族にとってさえ、ただプラチナと言うだけでステータス・アイテムとして機能できたのはごく僅かな期間だけです。故にプラチナそのものを強調したハイジュエリーはかなり少ないのですが、45年間も専門でハイジュエリーをお取り扱いしているので、いくつかは見たことがあります。 この『Transition』もそうでした。サイドには驚くほど高度な技術で優美な彫金が施された、レイト・ヴィクトリアンからアーリー・エドワーディアンにかけての典型的なトランジション・ジュエリーです。 |
エドワーディアン ダイヤモンド ネグリジェ・ネックレス オーストリア 1910年頃 SOLD |
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これもアーリー・エドワーディアンに制作されたとみられるネグリジェ・ネックレスです。一番上のパーツ外周と、下がったパーツを連結するための2本の棒が、磨き上げただけのシンプルなプラチナのデザインになっています。 磨き上げることで、プラチナ特有の硬質な輝きを強調できます。細かなミルグレインやグレインワークもプラチナの輝きを強調する細工ですが、これだけ大面積だからこそ、主役たる印象的な"面の輝き"を放つことができるのです。 |
エドワーディアン ダイヤモンド ピアス ヨーロッパ 1910年頃 SOLD |
プラチナを強調するためのシンプルなデザイン故に、デザイン的にはアールデコにかけての過渡期のジュエリーとも言える特徴を持つのが、このタイプのアーリー・エドワーディアン・ジュエリーの面白いところの1つです。 このピアスもアールデコにしか見えないくらい、過渡期の特徴が出ているデザインですが、その作りから制作年代としてはアーリー・エドワーディアンと推定します。 注目すべき1つ目の要素が、上下を連結する棒状のパーツです。 |
このパーツは、通常のハイジュエリーであればナイフエッジになっています。しかしながら、これは正面のプラチナ部分も太いままです。 ナイフエッジは金属の存在感を極限まで無くすことで、宝石など他の主役を惹き立たせるための技法です。それを敢えてやっていないというのは、主役であるプラチナを目立たせるために他なりません。左の画像をご覧いただくと、プラチナの長くスタイリッシュな線が美しく輝き、見事な存在感を放っていることに気づいていただけるのではないでしょうか。このようなちょっとしたことにまで気を使うのが、王侯貴族のためのハイジュエリーの中でも、特に優れた作品です。 |
エドワーディアン ネグリジェ・ネックレス オーストリア? 1910年頃 SOLD |
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下がったダイヤモンドのセッティングのデザインが似ていながらも、このネグリジェ・ネックレスの場合はナイフエッジを使ってプラチナの存在感は抑えているのと対象的です。 これは大きさのある3粒のダイヤモンドが主役で作られた、ミッド・エドワーディアンのネグリジェ・ネックレスだからです。 |
このピアスが、プラチナが出始めのアーリー・エドワーディアンに制作されたことは、この極めてプラチナが薄いゴールドバックの作りにも現れています。最初期はプラチナを使える量が少なく、ハイジュエリーであっても前面を全て覆うことはできませんでした。ようやく前面だけでも全てプラチナでデザインできるようになっても、まだまだ贅沢には使用できなかった時代らしい宝物なのです。 |
『ストライプ』 エドワーディアン 天然真珠&ダイヤモンド ペンダント イギリス 1910年頃 SOLD |
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これもプラチナの正方形のフレームが強い輝きを放つ、印象的な宝物でした。 ストライプのデザインもあって、アールデコにかけてのトランジション・ジュエリーと予測していましたが、アーリー・エドワーディアンの可能性も否定できません。 それにしてはプラチナの使い方が贅沢すぎるため、アーリーかレイトかに関しては判別が付かないエドワーディアン・ジュエリーです。 |
1-2-4. プラチナによるフラットラインの技法
磨き上げたフラットな面によって金属を面で光らせて、強い存在感を出すデザインは一見画期的に感じます。 しかしながら、実はエドワーディアンになってから考案されたものではありません。 |
黄金の輝きを放つゴールドのフラットライン | |||
『黄金に輝くアンフォラ』 イギリス 1900年頃 SOLD |
『草花のメロディ』 イギリス 1900年頃 SOLD |
『WILDLIFES』 イギリス 1900年頃 SOLD |
『Samurai Art』 イギリス 1900年〜1910年頃 SOLD |
素材が異なると印象もガラリと変わりますが、実はエドワーディアン以前、19世紀末頃に誕生したモダンスタイルのジュエリーにフラットラインの技法が使われていました。 |
『黄金に輝くアンフォラ』は、アンフォラの取っ手とバチカン部分がフラットラインです。 上下を連結するゴールドのパーツはナイフエッジになっており、明らかに意図して設計されています。 モダンスタイル以前のゴールド・ジュエリーにはなかった、面で光り輝く黄金の神々しいまでの美しさは、間違いなく当時の王侯貴族たちの心をとらえたはずです。 |
『Samurai Art』 イギリス 1900〜1910年頃 SOLD |
モダンスタイルのジュエリーに見ることができる、"線の美"を表現するデザインは、日本美術の影響を受けて生まれたものでした。 19世紀末のグラスゴーで誕生したとみられるモダンスタイルが、エドワーディアンにイギリスを始めとした各国の美術様式に影響を及ぼし、アールデコへとつながっていきました。 |
角度の僅かな変化によって強烈に強い輝きを放ち、使用した金属の存在感を演出することができるフラットラインの技法は、まさに画期的な新素材プラチナにうってつけでした。 |
フラットラインを駆使したピアス | |
プラチナが登場する直前 | プラチナが登場した直後 |
『黄金の雫』 SOLD |
今回の宝物 |
フラットラインの魅力をいち早く知っていた、社交界の中でもとりわけセンスが良い女性が、ゴールドに使用されていたフラットラインをそのままプラチナに適用し、当時最先端のファッションとして身に着けたのです。それがエドワーディアンの中で浸透していったというわけです。 フラットラインは揺れる構造と組み合わさることで、最大限にその魅力が引き出されます。アイテムとして、ピアスほど相性が良いものはないと言えるでしょう。 |
ピアスとしては小ぶりですが、複雑に揺れる構造で作られており、着用者の動きに合わせてかなり揺れ動きます。 その瞬間ごとに、ダイヤモンドのみならずプラチナ自体が存在感のある輝きを放つため、十分に美しさを感じることができます。 小ぶりなピアスは、他のアイテムの惹き立て役にしかなれない無難なデザインのものが大半ですが、これは上品なのに存在感もある稀有なピアスです。 アーリー・エドワーディアンの、センスの良いハイクラスのピアスならではと言えます♪ |
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2. 上流階級らしいダイヤモンドのセッティング
小さなダイヤモンドしか使っていない、小ぶりなピアスは過去45年間でも殆どご紹介していません。 そのような小ぶりなピアスは上品さや清楚さを好む日本人女性には人気が高いのですが、ヨーロッパのアンティークジュエリーの場合、そのようなピアスはほぼ100%と言って良いくらい安物なのです。 日本市場向けの"売れ筋"として仕入れることは物理的には可能ですが、「上流階級のために作られたハイジュエリーのみを専門的に扱う」という創業時の精神をぜ〜ったいに変えるつもりがないからこそ、HERITAGEには日本人好みのピアスのご紹介が少ないのです。 |
2-1. 庶民用の安物とのセッティングとの違い
宝石のセッティングには様々なデザインがあります。 このピアスは小さなダイヤモンドを、きちんと小さく見せるようにセッティングしているのが特徴です。 当たり前のように聞こえるかもしれませんが、これがいかにも上流階級のために特別オーダーされたジュエリーらしい特徴なのです。 |
2-1-1. 庶民用のダイヤモンド・ピアス
【参考】安物のダイヤモンド・ピアス | 庶民と上流階級では教養が全く異なりますが、財力に関してもかなり違います。 お金のない庶民にとっては、ダイヤモンドというだけでも高級品です。ピアスに使えるのは、ダイヤモンド1粒ずつがせいぜいという人も多かったようです。 故に、一般的な日本人女性が好みそうな1粒石のピアスは庶民用の安物だと見つけやすいですが、そういうものは別にアンティークじゃなく新品で良いと思います(笑) |
【参考】安物のダイヤモンド・ピアス(ヴィンテージ) | 大きなダイヤモンドに憧れる一般庶民は、自分が買うことのできる小さなダイヤモンドをなるべく大きく見せたいと願うものです。 だからこそプラチナなり、ホワイトゴールドなり、金属をダイヤモンドの後ろに広い面積でデザインし、後光の効果で大きく見せようとします。 |
【参考】安物のダイヤモンド・ピアス(ヴィンテージ) | プラチナが高価な時代ならばまだしも、こういうものはただ大きなダイヤモンドが買えない人のための安物でしかありません。 でも、小さなダイヤモンドで大きく見せる効果があり、しかもダイヤモンド自体は小さいので安いという特徴は、成金的な思考の庶民にはウケが良いらしく、昔からかなりの数が作られています。 |
【参考】安物のダイヤモンド・ピアス(1950年代) | 現代ジュエリーでもこのタイプは作られています。 庶民の定番という感じです。 |
ダイヤモンド ピアス フランス 1920-1930年頃 SOLD |
後光効果を狙ったセッティングは上流階級のハイジュエリーにも存在はしますが、きちんとしたものであれば全体のバランスを計算し、意味あって使用されているものです。 単品で使うダイヤモンドに極端な後光効果を狙うのは、単なる浅ましいジュエリーでしかありません。 ハイジュエリーであれば、それ以外の箇所にもきちんとデザインが施され、作りも丁寧なのではっきりと区別できます。 |
【参考】安物のダイヤモンド・ピアス | 【参考】安物のダイヤモンド・ピアス |
才能のある人にデザインを頼むのはお金がかかります。一点物として、1からデザインして作られるジュエリーは本当に贅沢な存在です。 安物はそんなことにお金がかけられませんから、デザインは使いまわしのつまらないものです。単純なデザインのジュエリーだと、作るのに技術や手間もかからず安く済みます。 成金的思考の庶民のジュエリーで一番お金がかけられるのが宝石で、デザインと作りは全くと言って良いほど興味を持たれません。右のピアスはダイヤモンドのカットが新しいのでアンティークではありませんが、上下を連結するパーツがナイフエッジにすらなっていません。 ちなみにダイヤモンドのカットが古いタイプだからと言って、アンティークの証にはなりません。今でもインドなどで古いタイプのカットを施したダイヤモンドは販売されていますし、アンティークジュエリーをバラバラに解体したものを寄せ集めて現代人好みのジュエリーに作り直したものも市場にはたくさんあります。宝石に関する知識だけに頼る、頭デッカチな人だと信じてしまうようで、これも市場としては成立しているようです。 |
【参考】安物のダイヤモンド・ピアス(ヴィンテージ) |
それにしても、単純に同じようなパーツを2つ連結しただけのピアスも多いです。ダイヤモンドが2粒ずつというだけで、庶民にとってはステータス・アイテムだったでしょう。1粒ずつのピアスを着けている庶民に対してマウンティングするという、庶民同士の競い合いがあったかもしれませんね。 それにしても、このピアスのダイヤモンドも実際は本当に小さいですね。後光の効果も馬鹿にはできません(笑)庶民同士であれば、「実際は小さくない?」なんてコメントする人もいないでしょうから、これはこれで成立していたのでしょう。 |
ダイヤモンド・ピアス | ||
安物 | 安物 | ハイジュエリー |
【参考】安物のダイヤモンド・ピアス | 【参考】安物のダイヤモンド・ピアス | クッションシェイプカット・ダイヤモンド イヤクリップ イギリス 1920年頃 SOLD |
このタイプの安物は現代でも作ることができるため、アンティークか否か判別できませんが、いずれにせよアンティークのハイジュエリーとはまるで方向性が異なります。特に顕著なのが、後光効果で安上がりながらとにかくダイヤモンドを大きく見せたいという目的に終始しているかどうかです。 |
ダイヤモンド・ピアス | ||
安物 | 安物 | ハイジュエリー |
【参考】安物のダイヤモンド・ピアス | 【参考】安物のダイヤモンド・ピアス | SOLD |
後光効果も、極端になるほど安っぽさが酷くなります。右のハイジュエリーの場合、一見すると類似デザインに見えますが、中央のみならず外周の花びらのようなパーツ全てにダイヤモンドがセットされています。透かしのデザインも手が込んでおり、金属の表面の質感も作り込まれ、とても美しく高級感があります。 たった1粒のダイヤモンドのみに頼ろうとする庶民のための安物と、王侯貴族のハイジュエリーとでは全く別物なのです。ただ、王侯貴族のためのハイジュエリーは煌めくダイヤモンドが印象的な分、日本人女性が普段使い目的で選ぼうとすると華やか過ぎ、作りの違いを見分けられないと「落ち着いていて素敵。上品だわ。」と、安物に手を出してしまうわけです。 |
2-1-2. 石留からも分かる石の価値
覆輪留めでもなく、とにかく爪の気配を一番薄くするための、高さを出した爪留のセッティングになっています。 一点物として作られたアンティークのハイジュエリーは、石留め1つからも真心のこもった気遣いが感じられます。 |
ダイヤモンドの高級ピアス | |
アンティーク | 現代 |
32,615.80 AED(約93万円)2021.2.13現在 | |
現代ジュエリーにピンと来ない方は、宝石を留める爪に違和感を感じる方も多いようです。ありますよね、爪の方がダイヤモンドよりも目立っているヘンテコなジュエリー(笑)高級品か安物かは関係なくて、高級品でも爪が目立つものばかりです。 目立つ爪となる理由は、コストカットを追い求めた製品だからです。アンティークの高級品である今回の宝物と、現代の高級品の爪とでは、以下のポイントが異なります。 1. 今回の宝物は爪の1つ1つが小さい |
いくらでも量産できてしまう、稀少価値のない現代ジュエリーに財産性はあるわけがないですが、アンティークのハイジュエリーは財産としての価値もありました。 ジュエリーに使われている宝石は非常に価値の高いもので、だからこそ使用している間に取れてしまうようなことがあっては困るのです。 故に価値の高い宝石であるほど、高度な技術を持つ職人によって最新の注意を払ってセッティングがされます。 代々受け継がれ、何世代にも渡って愛用されることを想定して制作してあるからこそ、アンティークのハイジュエリーには100年以上の使用に耐える耐久性があるのです。 |
【参考】現代のダイヤモンド・ピアスの石留 | ||
爪3つ | 爪4つ | 爪6つ |
現代のこのタイプのダイヤモンド・ピアスは、爪4つで留めるのが主流です。3つ、6つの場合もあります。爪の数が少ないと手間は省けますが、石が落ちるリスクが高まるので1つずつの爪を大きめにせざるを得ず、どうしてもゴツく目立ちます。 |
【参考】ダイヤモンド・ピアス(現代)$25,900-(約272万円)2021.2.13現在 |
さらに現代ジュエリーの場合、同じプラチナの爪でもアンティークのハイジュエリーとは違う事情があります。このボテッとしてヌルっとした、感覚的に気持ち悪さを感じる爪は鋳造の作りによるものです。叩いて鍛えていない鋳造のジュエリーは強度が低いため、同じ耐久性を持たせようとすると厚く使わざるを得ないのです。 成金的な思考をする人だと、現代ジュエリーはプラチナがたっぷり使ってあって、アンティークより贅沢でお金がかかっているとでも解釈しそうですが、結局は制作する技術や手間の部分に関してコストカットした結果です。 鍛造は叩いて鍛える過程で金属の結晶を整え、気泡などの内部欠陥を圧着させることができるため、粘り強さが生まれます。 |
【参考】設計ソフトCADでジュエリーをデザインする様子 | 熱で融かし、冷やし固めただけの鋳造の場合は内部に気泡ができてしまったり、内部応力が残ったりするため、弱いです。 "鋳造"という技術自体のメリットとされているのは量産できること、形状の自由度が高いということです。 ジュエリーの場合、強度も必要です。十分な強度を持たせるには金属厚く使う必要があり、見た目の美しさとはトレードオフとなっています。 はっきり言ってジュエリーは鋳造向きではありません。 |
【参考】アンティークの安物の量産ジュエリー | ||
アンティークの時代に鋳造の技術が無かったというわけではありません。中産階級の消費意欲に沸く若い女性たちが経済活動を牽引したベルエポックのフランスでは、そのような大衆向けの安物ジュエリーが鋳造の技術によって大量生産されています。 しかしながら美意識の高い上流階級にとっては、これら量産の鋳造ジュエリーには全く魅力がありませんでした。安いことよりも、美しいことを重視する上流階級にとって、美しいのに安いのであれば魅力はあったことでしょう。でも、美しくないのです。こんな物で着飾っても魅力的な女性には見えませんし、手元で眺めて心の豊かさを得ることも無理です。 |
『MODERN STYLE』 モダンスタイル ダイヤモンド ゴールド ブローチ イギリス 1890年頃 ¥794,000-(税込10%) |
故に、価格の安さよりも唯一無二の美しさが求められる王侯貴族のハイジュエリーは、相変わらず鍛造で作られたのです。 但し、複雑な造形を鍛造で作るにはかなりの高い技術と手間が必要でしたが・・。 ちなみに一点物の特別な鋳造品も存在します。知識だけでは判断できないのがアンティークのハイジュエリーの面白さだったりします。どれだけ勉強しても、美的感覚が備わっていなければ理解できない世界です。 |
【参考】約2ctずつのダイヤモンド・ピアス(現代)$25,900-(約272万円)2021.2.13現在 | それにしても、300万円近くするならせめて6点留めくらいすれば良いのにと思ってしまいます。 石が大きいから高いようですが、本当に価値ある宝石に相応しい扱いとは感じられず、ついつい「合成石だったりして(笑)」と邪推しちゃいます。 |
【参考】ダイヤモンド・ピアス(現代) | 現代ジュエリーの適当な石留は石に価値がない証です。紛失しても、同じものがいくらでも安く手に入るからこその雑さです。 作りに手間をかけるより、落っこちたら修理のために同じ石を用意するほうが安くつくというわけです(笑) |
2-1-3. 驚異的な石留
今回の宝物のダイヤモンドは8つの爪で留めてあります。 そもそもこの小ささで、覆輪留めではなく、持ち上げて高さを出した爪留になっているダイヤモンド自体が殆ど見た記憶がありません。 |
『天空のオルゴールメリー』 アールデコ 天然真珠&サファイア ネックレス イギリス 1920年頃 ¥1,230,000-(税込10%) |
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例えば『天空のオルゴールメリー』に使われているダイヤモンドが、大体同じくらいの大きさのオールドヨーロピアンカット・ダイヤモンドですが、全て覆輪留めです。 |
この超細かい爪留は、どんなに高度な技術を持つ職人であってもシルバーでは不可能で、粘り気と強靭さを併せ持つプラチナだから実現できたことです。 |
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しかしながら、もう少し後の時代になると覆輪留めが主流となります。 プラチナの性質は繊細なミルグレインを作るのにも向いており、ダイヤモンドのダイナミックな煌めきと、ミルグレインから放たれるプラチナの繊細な輝きは相性が良く、好まれた結果でしょう。 |
『MODERN STYLE』 モダンスタイル ダイヤモンド ゴールド ブローチ イギリス 1890年頃 ¥794,000-(税込10%) |
『エメラルド・グリーン』 アールヌーヴォー ブローチ&ペンダント フランス 1905〜1910年頃 SOLD |
せいぜい6点で留めるのが限界の現代ジュエリーと異なり、アンティークのハイジュエリーであれば8つの爪で留めるというのは普通です。これくらいあれば、大切な宝石も安心できます。但し、このような留め方はメインストーンクラスの大きさがある石にするのが通常です。 |
アンティークで2ctクラスのダイヤモンドともなれば、爪を10つ使ってガッチリ留めるのは当たり前です。 今では想像できないくらい高い価値があったことは、爪の留め方からも明らかです。 |
【参考】2ctずつのダイヤモンド・ピアス(現代)$25,900-(約272万円) | |
これらのダイヤモンドは全て約2ctですが、4点留めで爪が目立つ現代ジュエリーと違い、10点留めの『財宝の守り神』は1つ1つの爪が小さく目立ちません。 だからこそ当時極めて稀少価値の高かった、特別な大きさを持つダイヤモンドの美しさに没入できます。 爪はプラチナではなくシルバーですが、当時の第一級の職人にかかればこれくらいできるということですし、これこそが古の王侯貴族の美意識です。 |
今回の宝物 | 【参考】安物のダイヤモンド・ピアス |
ヴィンテージの安物あるいは現代のリプロダクションだと、やはり6点留めがせいぜいです。今回のダイヤモンドの8点留めには本当に驚きます。 |
ダイヤモンド ピアス フランス 1920-1930年頃 SOLD |
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例えばこのピアスであれば、メインのダイヤモンドは8つの爪で留めてあります。 それぞれがクリーンで、さらに約0.5ctもの大きさがある高価な石なので理解しやすいです。 |
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今回のピアスの小さなダイヤモンドは、1粒1粒がその0.5ctほどもあるダイヤモンドと同じ扱いを受けているのです。 |
そうは言っても、小さいからこそより爪留の難易度は高かったはずです。 小さい石なのに、よくここまで綺麗に8つもの爪を使って留めたものだと驚きます。 |
この石が、絶対に落として紛失するわけにはいかない、価値の高いものとして扱われていることは明らかです。 |
小さな石に対する高い技術の石留からも、この宝物が間違いなく特別な身分の王侯貴族のため作られた特別オーダー品であると判断できるのです。 |
2-2. 成金的なジュエリーとは真逆の方向性
小さな石だけしか使っておらず、後光効果を得るための技法が確立されているのに、大きく見せようとする気持ちが微塵も感じられないこの宝物は、明らかに上流階級のために作られたものです。 そうは言っても、上流階級のために作られたピアスの中でもかなり変わっています。 |
【参考】ヴィクトリアンのガーネットピアス | ||
高級品 | 中の上程度の品 | 中産階級向け |
できる限り自分を良く見せたい、本来の自分以上に大きく見られたいと思うのは、人間の性のようなものです。そう思わないのは、自分の中に確固たる評価基準を持ち、自分に自身がある特別な人だけです。 上流階級の全てがセンスが良く、美意識が高かったわけではありません。それぞれのレベルに合わせて、自分を良く見せようとする意識はジュエリーに反映されているものです。ジュエリーは自分を良く見せるための重要なアイテムですしね。 質が同じならば、大きいほど宝石は高価です。財力を持つ王侯貴族や、莫大な富を得た新興成金ならば大きな宝石を選ぶものですし、小さな宝石しか買えない人はガーネット・ジュエリーのように寄せ集めたり、先の後光効果を使うなどして大きく見せようとするものです。 |
【参考】ヴィクトリアンの大衆向けガーネットジュエリー | ||
とにかく大きく見せようとするのが、どの階層にも一般的に共通する意識なのです。 |
1粒も大きなダイヤモンドを使っておらず、メインストーンも設定していない王侯貴族のためのハイクラスのダイヤモンド・ピアスというのは大変極めて珍しいのです。 |
SOLD |
←↑等倍 | ||
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同じプラチナが主役としてデザインされたピアスでも、メインストーンと脇石の大小のダイヤモンドで構成される、もう1つのピアスとは異なります。 |
ダイヤモンドにメインとなる石を設定すると、どうしてもプラチナよりダイヤモンドに目が行ってしまいます。 それを防ぎ、とにかく主役であるプラチナを目立たせるための配慮でしょう。 |
そうは言っても、ダイヤモンドのカットは敢えて存在感のあるオールドヨーロピアンカットを選んでいます。 透明感が魅力の1つであるローズカットは、オールドヨーロピアンカット・ダイヤモンドほどダイナミックに輝きを放つことはありません。 故に、ダイヤモンドの存在感をもっと薄くする方法としてはローズカットを選ぶ手もあったはずです。 でもそうはせず、左右4つずつのダイヤモンドは同じ大きさながらも上質なオールドヨーロピアンカットを選んでいます。 この辺りはもはや好みや感覚の問題と言ったところですが、これで正解だったと感じます。 |
ここで同じ大きさの小さなローズカット・ダイヤモンドを使うと地味過ぎますし、いまいち高級感が出なかったでしょう。 ダイヤモンドのカット技術が近代化され、エドワーディアンの期間にダイヤモンドの形状は急速に精緻になっていきました。しかしながら、エドワーディアン初期に制作されたこのピアスのオールドヨーロピアンカット・ダイヤモンドにはまだ職人によるハンド・カットならではのラフさが見られ、肉眼で見ると、より印象的で美しいと感じる煌めきがあるのです。 工業製品のように整い過ぎていると、人間の眼は、なぜか芸術性や美しさという観点からは"つまらなさ"を感じるようにできているんですよね。 |
厚みがあり、ラフさもあるオールドヨーロピアンカット・ダイヤモンドが放つダイナミックなシンチレーションは本当に美しいです。 カットが近代化される以前、19世紀までのハイジュエリーであれば、このような煌めき自体は見ることができるのですが、当時の白い金属としてはシルバー一択です。 |
プラチナの時代になると、ダイヤモンド1粒1粒の個性があっという間になくなっていくので、このように魅力的な輝きを持つダイヤモンドを使ったプラチナ・ジュエリーは極めて数が少ないです。 シンプルながらも、実に全体のバランスに気を使ったデザインと素材選びになっているのです。 ダイヤモンドもしっかり魅力を放つけれど、4つとも同じ大きさと形状にすることでダイヤモンドに意識が集中することを防ぎ、主役のプラチナを惹き立てる。作者は驚くほど頭が良いですね〜。 |
プリズム "Light dispersion of a mercury-vapor lamp with a flint glass prism IPNr0125" ©D-Kuru(18 June 2009)/Adapted/CC BY-SA 3.0 at | |
小さくても質の良いダイヤモンドに優れたカットが施されているため、虹色のファイアも現れます。ファイアはプリズム現象の一種で、光が波長分散することで現れます。屈折率が高いダイヤモンドの内部を進む距離が長いほど、光はそれぞれの波長(色)ごとに分散されます。 底面の全反射だけを気にして設計された現代のブリリアンカットは、上部のクラウンが薄く上面はあまり反射しません。このため内部で複雑な反射は起きず、ダイヤモンドの中で光が進む距離が稼げないため、ファイアは殆ど現れません。 「光が進む距離が長いほどファイアが出やすくなるので、やはりダイヤモンドは大きいほうがオススメです。」なんて謳う現代ジュエリーの業者もいますが、サイズに関係なく厚みのある適切な形状で上面と下面がカットされていれば、小さくても何度も内部反射して進む距離を稼ぐことで美しいファイアを魅せることができるのです。 この場合、内部にインクリュージョンが多い低品質の石だと、内部で光が拡散してしまうので、クリアな石であることが前提です。4Cのクラリティ(透明度)は、10倍ルーペを使って判定します。画像では通常はやらない大きさまで拡大しているので、多少インクリュージョンがあるように見えますが、実際は無処理であるにも関わらずクリアで上質な石ということなのです。 |
ちなみに4Cの中にファイアの項目はありません。 ファイアは厚みがあるカットでないと殆ど出てきません。 ブリリアンカットは薄っぺらくカットして、コストを抑えて高く売ることが目的のカットであり、「光が底面で全て射するので、輝きが一番美しい理想的なカット」というのは、そこから目を逸らせるための詭弁でしかありません。 ファイアの真実は、現代ジュエリー業界にとっては都合が良いものではないため、4Cの項目にもないのです。 業界が定めた基準なんて、業界のためのものでしかありませんから当然ですね(笑) |
成金ジュエリーだと、質は気にせずとにかく大きなダイヤモンドを使おうとするものです。 この小ささを重要なポイントとしながら、質に関してもしっかりと選び抜いた良いダイヤモンドを使う。 お金がなくて、小さい上に質も悪いダイヤモンドを使うしかない安物ジュエリーとも異なります。 尋常ではない美意識を持つ、上流階級の中でも超特別な人物だからこそオーダーできた、異例の宝物なのです。 |
3. 王侯貴族のためのハイクラスのピアスらしい作り
3-1. 複雑に揺れる構造
このピアスは3箇所ずつ、前後左右に揺れる構造となっています。下にいくほど揺れが増幅され、複雑かつ大きく揺れるデザインです。 |
ジュエリーのデザインとは奥が深いもので、平面でしか考えられない人には魅力的なジュエリーをデザインするのは不可能です。 現実世界で、正面からだけ人を見るなんてことはありません。むしろド正面で人を見るなんて、瞬間的な時間程度です。 だからこそ三次元的に考えて、立体感をデザインできる頭が必要です。ただ、それは必要条件であって、必要十分条件ではありません。 現実世界で、人は写真のように静止してはいません。動くということ、すなわち時間軸まで考えてデザインすべきなのです。 言い方がちょっと硬いですが(笑)、結局、ジュエリー自体の揺れや輝きなど、時間による変化を計算すべきということです。 |
美意識の高い王侯貴族のために作られていたアンティークのハイジュエリーは、当然のように立体デザイン、さらには揺れや輝きなどのデザインもしっかりと考えて作られていました。だからこそ印象的な美しさを放つことができるわけですし、私達がどれだけ頑張っても、その美しさをお伝えするには画像や動画では限界があり、お客様から「実物は想像していた以上に美しい。」と仰っていただけるのです。私達の力不足と言うより、お伝えするためのツール的な限界なのでしょうがないです。 それにしても一番下のダイヤモンドも、1粒が独立して揺れる構造になっているのが魅力的です。 |
揺れることによる『輝きの大幅増幅』という概念がないと、下の3粒のダイヤモンド部分はこの静止画通りの形状で固まった1つのパーツとして作ったでしょう。 その方が楽ですし、人件費や技術費という点でコスト的にも安くつきます。 お金や手間がかかるにも関わらず、わざわざ独立させて揺れる構造にしたのは、この構造だからこそ放つことのできる輝きにお金をかけるだけの十分な価値と魅力を感じていたからこそです。 |
【参考】現代の高級ダイヤモンド・ピアス | |
デビアス £56,000-(約813万6千円)2021.2.14現在 【引用】DE BEERS / ©DE BEERS |
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現代の成金は既製品を買うだけで、オーダーやカスタマイズという概念自体が存在しません。口うるさく要求するとしたら値下げ交渉くらいで、「お金はかかって良いから、美しく見えるようにもっとここをこうして。」などと、抜群のセンスを持っていた古の王侯貴族のようにレベルの高い要求や、面白い提案をすることはありません。 高級ブランドであっても、勧められるがまま既製品を買うのが成金ですが、それは"店側が売りたいもの"でしかありません。すなわち"安く作れて、でも成金には高そうに見えて、高く売れるもの"です。 美意識のない成金は大きな石ころさえ付いていればOKです。揺れる構造なんて付けてもその美しさは理解できず、コストがかかった結果高くなったことに不満を言うだけです。だから、揺れる構造がないロングデザインのピアスを平気で店側は作るわけです。 左のピアスは、このデザインで揺れないなんてと驚いてしまいました。800万円以上もするのですから、せめてそれくらいは手間をかけても良さそうなものなんですけどね。右は長い棒の一番下に下がった、ペアシェイプのダイヤモンドだけが揺れるようです。想像するだけでヘンテコです。 こういう成金ジュエリーには安っぽさしか感じられず、ダイヤモンドの輝きの魅力も殆ど引き出せていません。でも、結局ジュエリー業界を駄目にしたのは客側の問題なのです。アクセサリーの方が、デザイン的にまだマシなものがたくさんある気がします。現代では才能あるデザイナーが頑張ろうとしても、買い叩こうとする成金によってまともな創作活動ができないのか、あるいはジュエリー業界が才能あるデザイナーにとって魅力的に映らないのか・・。 |
この宝物は、徹底して作られる高度な手仕事による真に価値あるものを理解し、それを作るために必要なお金を気持ち良く支払ってくれる王侯貴族が存在した時代だからこそ作り出されたものです。才能あるデザイナー兼職人はその力を存分に発揮し、やる気を持って楽しく仕事ができた時代です。 とにかく美しさを追い求めて徹底して作られているからこそ、この小さな宝物は今の私達にも、心を揺り動かす美しさを感じさせてくれるのです。 |
上質なダイヤモンドはもちろんこと、主役のプラチナも物凄く存在感のある美しい輝きを放ってくれます。 綺麗に揺れる構造というのは、本当に大事ですね。 |
3-2. 金具の細部までの気遣い
この宝物は、どれだけ高額になっても良いから、とにかく徹底して美しいものにしたいという意図で制作されています。 それは金具1つにも現れています。 このピアスは、ようやくプラチナが正面全体に使えるようになった頃のものです。 見える部分全ての金属がプラチナというのはそれだけで超高級品の証であり、インパクトのあるものでした。 |
さすがにオールプラチナはまだ無理なので、それぞれのパーツはゴールドバックの作りですが、パーツを連結するための金具はオールプラチナです。 |
エドワーディアン ダイヤモンド ピアス オーストリア 1910年頃 SOLD |
このエドワーディアンのピアスのように、連結する金具だけはゴールドで作る手もあったはずですが、美意識の観点から、高価になろうとも敢えて金具にプラチナを使っているのです。 ちなみに左のピアスの金具がゴールドになっているのは、プラチナ代をケチったからではありません。 アールデコ的な特徴からも分かる通り、これはレイト・エドワーディアンに作られたものです。この時期は王侯貴族にとって、プラチナは高いからというよりも、戦時的な理由で使える量に制限がありました。 |
重要戦略物資である、プラチナ無くして戦争には勝てない。ヨーロッパにとっては、『あの戦争』と言えば第二次世界大戦ではなく第一次世界大戦というくらい、1914-1918年までの戦争は苛烈でした。 流行の最先端のハイジュエリーであるにも関わらず、こうした特徴が見られるのも、時代を繊細かつ如実に反映してのことなのです。 |
どうせ影になってよく分からないのだから、一番下のダイヤモンドを下げるパーツくらいはゴールドでも良いのではと思ってしまいますが、ここもプラチナ製です。 |
本当に、古の美意識の高い王侯貴族たちは徹底していますよね。 「細部にまで注意が払えないなんて恥だわ!」ということなのでしょう。 気が払えないならば美的感覚が鈍い証ですし、ケチったならばその程度の財力しか持たない証です。どちらにしても、上流階級にとっては恥ずかしいことです。 |
エドワーディアン ダイヤモンド ピアス フランス 1900-1910年頃 SOLD |
ちなみにそのような古の王侯貴族の美意識の高さは、この宝物にも現れています。 現代人にも使いやすいシンプルかつ定番デザインですが、それ故にこのタイプは市場の大半が偽物ではないかと思えるくらい、リプロダクションが出回っているのもこのタイプです。 |
さすがGenですよね!♪ でも、このタイプはその後10年、お取り扱いしていません。 このデザインは年代を問わず誰にでも使いやすいため、普通は持ち主が手放さないので、市場には出てこないのです。 先の安物もしくはリプロダクションと異なり、このピアスのメイン・ダイヤモンドはもちろん丁寧な8点留めです。 10年前にこれをお求めになった方は、とてもラッキーですね♪ |
この宝物の場合、定番とは全く異なる特徴的なデザインでありながら、日本人女性にとても使いやすい雰囲気となっています。適度に華やかさがありながらも、主張はし過ぎず、ダイヤモンドが小ぶりだからこそ成金臭も皆無です。 揺れが増幅されるデザインだからこそ、着用者が動いていない時でも、僅かな振動を拾ってプラチナとダイヤモンドがキラキラと魅力的に輝き続けます。 あらゆる瞬間に美しいジュエリー・・。 |
ピアスの金具
ピアスの金具は前から通して、後ろ側で閉じるタイプです。 |
裏側
裏側もスッキリとした綺麗な作りです。 |
着用イメージ
揺れるタイプのハイクラスのピアスは、日本人女性には日常使いしにくいものが多いですが、これは小ぶりなので、様々なシーンでお使いいただきやすいと思います。 他のアイテムとも合わせやすいデザインながら、地味にならず洒落ていて存在感もあるので、オシャレが好きな方にはきっと楽しくお使いいただける、オススメの宝物です♪♪ |
本当に小ぶりで、他には見ないピアスです。 莫大な財力を持ち、ハイジュエリーをいくつも所有することを誰もが知っているような、特別な身分の女性がオーダーしたものだと思います。 大きなダイヤモンドで敢えて主張する必要がない、特別な女性。 さりげないながらも、気の利いたオシャレ。 このピアスからは、そんな知的でセンスのある高貴な女性像が伝わってくるのです・・。 |