No.00376 オーベルジーヌ

茄子のようなブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

【引用】THE MET MUSEUM / Eveniing dress ©The Metropolitan Museum of Art./Adapted.

 

 

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

濃くなく淡すぎない、絶妙な色彩のアメジスト・イヤリングです!♪

 

 

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

 

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

360度が見所♪ ブリオレットカットの贅沢で華やかな煌めき♪

 

 

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

特殊なナイフエッジで実現した、

宝石が点線のごとく宙に浮いて見える視覚設計♪

 

 

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

トップクラスの緻密で精緻なミルが放つ黄金の微粒子の輝き♪

 

 

天然ホワイトカルセドニーの幻想的なドロップ型ピアス コーネリアン イヤリング アンティーク ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

明らかなこだわりが見える茄子のような黄金の傘♪♪

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

 

 

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング
←実物大
ブラウザによって大きさが違いますが、1円玉(直径2cm)を置いてみれば実物との大小比が分かります

『オーベルジーヌ』
ブリオレットカット・アメジスト イヤリング

イギリス 1900年頃
アメジスト、15ctゴールド(刻印あり)
サイズ:3.0×0.5cm
重量:2.4g
¥360,000-(税込10%)

 アンティークジュエリーでも比較的珍しい、宝石物の揺れるイヤリングです。ゴールドの色味を反映してピンク色を帯びた、ライラック系の優しい色彩が美しいアメジストです。360度が見所のブリオレットカット・アメジストの煌めきは上品さと共に華やかさも強く感じられ、揺れに合わせてダイナミックに表情が変化します♪

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

 天然のカラーストーンは色彩を揃えるのが難しく、他の宝石と組み合わせてデザインするのが常套ですが、敢えてアメジストのみの8石で構成しているのも大きな特徴です。奥行を持たせた特殊なナイフエッジでセットしたアメジストは、まるで点線のように宙に浮いて見えます。この不思議な感覚は、人を惹きつける引力となります。
 セッティングも見事です。覆輪のミルは最高クラスに微細で密度が高く、そこから放たれる黄金の微粒子の輝きはひたすら上品で高貴です。ブリオレットカット・アメジストを覆う傘は、まるで茄子のヘタのようにデザインされています。宝石のフォルムにフィットする精緻な作りは、第一級の職人の証です。放たれる黄金光は微細なミルとは異なる神々しさがあり、ブリオレットカット・アメジストの煌めきとのコラボレーションに魅了されます。

 重くなりがちな宝石物の揺れる耳飾りは、脱落リスクを考慮してピアスの場合が殆どです。小ぶりながら上質なアメジストと、シンプル・イズ・ベストのデザインによって軽量化し、イヤリングとしての使いやすさを実現しています。アンティークのオリジナル金具も貴重です。

※※今後アンティークのイヤリングは失われて入手困難になる一方ですので、2025年8月28日(金)まではイヤリングとしてお使いいただける方を優先にご案内いたします。それ以降は別途費用にて、ピアス金具への変更のご希望もお受けいたします。お問い合わせ順にご案内いたしますので、ピアスをご希望の方も仮予約はぜひお早めにご連絡くださいませ。

 

 

この宝物のポイント

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング
  1. 魅力的なのに稀少なブリオレットカット・アメジスト
    1. 360度が美しいブリオレットカットの魅力
    2. アメジストの稀少価値が大きく変化した19世紀
  2. 知られざるハイジュエリーとしてのアメジスト
    1. 縦長フォルムと透明度の高さは贅沢の証
    2. 小さくても美しい色彩を持つ稀少性と価値
  3. 高級品ならではの素晴らしい作り
    1. ナイフエッジの気が利いた立体デザイン
    2. 黄金の繊細な輝きを放つ上質なミルグレイン
    3. 茄子のヘタのような美しい金具

 

 

1. 魅力的なのに稀少なブリオレットカット・アメジスト

1-1. 360度が美しいブリオレットカットの魅力

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

ブリオレットカットは360度が見どころです。

ファセットの数が多く、1つ1つのファセットに面積があるため、あらゆる角度から放たれる大胆な煌めきが魅力的なカットです♪

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

1-2. アメジストの稀少価値が大きく変化した19世紀

1-2-1. ブリオレットカットの課題

宝石商/カット職人ローデウィック・ファン・ベルケン(15世紀半ば〜後半)
"Antwerpen - Lodewijk van Bercken" ©Fred Romero from Paris, France(28 September 2015, 15:17)/Adapted/CC BY 2.0

 ブリオレットカットを考案したのはフランドル人の宝石商/カット職人ローデウィック・ファン・ベルケンです。画期的なダイヤモンドのカット装置スカイフを発明したことでも有名です。その新技術を駆使し、1475年に世界初のブリオレットカット・ダイヤモンドが発明されました。

ブリオレットカット・ダイヤモンドと天然真珠がきらびやかなアールデコのブローチ『雫の芸術』
ブリオレットカット・ダイヤモンド&天然真珠 ブローチ
フランス 1920年頃
SOLD

しかしながらブリオレットカット・ダイヤモンドは最高級品でも古い年代では見かけません。

当時はあくまでも新装置の性能や職人としての技術をデモンストレーションするために、採算度外視でトライしたものと推測できます。

ブリオレットカットは無駄が多い上に、対称性の高いフォルムのためのカットの正確性を要すること、さらに加えて面数の多さも特徴です。

だから現実的にトライが可能となるのは南アフリカのダイヤモンドラッシュによって供給が激増し、さらにダイヤモンドソウと電動研磨機が発明されて以降の最高級品ということになります。

スカイフでファセット・カットするスリランカの職人
"Sri Lanka-Gem cutting(1)" ©Ji-Ekke(19 January 2013, 06:54:06)/Adapted/CC BY-SA 3.0
人力によるダイヤモンドのカット(18世紀)

スカイフはオリーブオイルとダイヤモンド粒子の混合物を回転盤に浸漬させた、回転研磨盤です。今でこそ電動モーターが使用できますが、1870年代はじめに蒸気機関を使った研磨機が発明される以前は人力でした。カットは2人1組みで行い、一人は回転盤を均一な速度で延々と回し続ける動力です。家畜を使用する取り組みもありましたが、均一に動かす必要性から、やはり人力が必要とされました。

ダイヤモンドを削るには途方も無い時間がかかりますから、人件費だけでもとんでもない金額になります。だからダイヤモンドは高級でした。決して石コロそのもの(原材料費)の単独価値ではありませんでした。

最も大きな9つのラフカットされたカリナン
宝石として仕上げられた9つのカリナン

1908年にカットされたカリナンは電動モーター導入後の時代ですが、ラフカットされた9石は3人で1日14時間、8ヶ月作業してようやく宝石の形に磨き上げられました。1日14時間労働だなんて、工場の2交代制よりヤバいですね。

1852年に英国王室がアムステルダムの一流の職人にコ・イヌールのリカットを依頼した際、8,000ポンドを支払っています。2025年8月13日時点で1ポンドは約200円です。物価も合わせて現在の貨幣価値に換算すると6,400万円です。モノではなく加工賃です。そこまでしてこそダイヤモンドはポテンシャルを惹き出されて美しく輝きますし、価値を持つのです。

初期のシャンデリア(パリ 1700年頃)ゲッティ美術館

人力の時代は硬い宝石でのブリオレットカットは現実的ではなく、主な活躍場所は、量産が可能となったクリスタルグラスを使うシャンデリアなどだったようです。

アモルファスな溶融ガラスは、結晶構造を持つロッククリスタル(石英)より柔らかく、カットそのものも楽で早いです。

アンティークのシャンデリアHERITAGEのアンティーク・シャンデリア
アンティークのシャンデリアの美しい光と影の模様

HERITAGEのアトリエにもアンティーク・シャンデリアがあります。

Genが特に自慢なのは、夜の天井へ描き出される、Genが大好きな『光と影の芸術』です。日中も透明感と煌めくファセットが美しいです。ブリオレットカット自体はとても魅力が強いです♪

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

実現すれば美しいことは社交界の誰もが分かっていながら、貴重で硬い宝石ではトライすることが難しい。それが憧れのブリオレットカットでした。

1-2-2. 現代の日本人のアメジストのイメージ

 アメジストのイメージは19世紀に大きく変化していきました。現代はアクセサリーに使用できるほど大量に産出しています。日本人の庶民がジュエリーを買うようになったのは戦後、衣食住が満ち足りて高度経済成長を経た1970年代以降です。

【参考】現代の低品質のアメジスト・アクセサリー

アメジストアメジストの寄せ集めネックレスの拡大

貴金属を使う高価なジュエリーと異なり、素材に価値のないアクセサリーは気軽です。アクセサリーやパワーストーン市場でアメジストはお馴染みなので、ジュエリー品質のアメジストに馴染みのない一般の日本人には安いイメージがついているようです。ただ、そのような市場のアメジストは、あくまでもアクセサリーやパワーストーン用の低品質な石です。

【参考】現代のダイヤモンド原石のリング

ダイヤモンドならば高級宝石と短絡的に捉える人もいます。だからこそ、このようなヘンテコな物体がダイヤモンド・リングとして仰々しく販売されているわけですが、ダイヤモンドは本来、高品質なものしか『宝石』とは言いません。

ダイヤモンドのグレードと稀少性

産出される天然ダイヤモンドの多くは工業用途の品質です。極めて硬い性質が、様々な場所で役立ちます。ちなみにニアージェムの石は強酸でインクリュージョンを除去したり、亀裂などにガラス充填などの人工処理を施してお安いジュエリーとして販売されます。お得だと煽って販売されますが、安物が安く売られているだけなので全くお得ではありませんし、誤魔化した分だけ割高な価格が設定されているのでむしろ損です。表面的な見た目は誤魔化せても光学特性は誤魔化せませんから、本物の高品質なダイヤモンドならではの美しい煌めきやファイアは出てきません。そんな金儲け至上主義の心なきものに、人の心を満たすなんてできるはずもありません。

宝石とその他の違い

一般的な天然石の場合、特に品質が良いものは宝石となり、低品質なものはアクセサリーやパワーストーン市場に流れます。鉱物によっては、現代宝飾業界では合成石も活用されています。天然石では需要と供給のバランスが取れませんし、安く抑えるにも品質の安定化にも合成石は必須です。

【参考】現代宝飾市場のアメジスト

天然石 不明 合成石
【参考】ペンダント 【参考】ティファニー リング(¥363,000- 2021.7現在)
【引用】TIFFANY & CO / パロマ スタジオ ヘキサゴン リング ©T&CO
【参考】合成アメジスト(¥11,035- 2024.5.2現在)【引用】isiya / 合成アメジスト 44.14ct No90872宝石ルースいしや © 2019 ISIYA Co., Ltd. All rights reserved.

現代のアクセサリーと高級ブランド・ジュエリーを比較すれば、その品質の違いは明らかです。石の種類だけで判断するのは、ジュエリーをよく分かっていない人です。品質によって石の価値は全く変わりますし、高品質な石は稀少価値が高いので数は極めて少なく、そして高価です。

【参考】ティファニー アメジスト・リング ¥363,000-(2021.7現在)
【引用】TIFFANY & CO / パロマ スタジオ ヘキサゴン リング ©T&CO

そう考えると、同じ規格のジュエリーを全世界で販売できるほど量産できるのも奇妙ではあります。天然石でこの品質、世界販売できる数、この価格は無理だと思います。天然か合成かの記載はなく、価格的にも合成の可能性が高いと感じます。水晶の合成技術は確立されてはいますが、結晶を成長させるのに専用設備や時間が必要となるため、合成水晶でもそこまで安くはありません。紫水晶(アメジスト)も合成石でもそれなりの価格はします。

【参考】合成アメジスト(¥11,035- 2024.5.2現在)【引用】isiya / 合成アメジスト 44.14ct No90872宝石ルースいしや © 2019 ISIYA Co., Ltd. All rights reserved.

合成アメジストも、高品質なものはルースの状態で1万円を超えてきます。パワーストーンやアクセサリーに1万円以上を出す人は少数派でしょう。

ジュエリーにデザイン&加工したり、ゴールドやプラチナなど地金代を含めた製造コスト、チヤホヤ要員代、各種流通コストや店舗費、広告宣伝費、ブランド代などを考えると、ティファニーのリングも妥当な価格と見ることができます。身売りしたりもしているので、ブランドがぼったくり価格でボロ儲けしているとも言いきれないのです。

【参考】アメジスト リング(ティファニー ¥891,000- 2025.8現在)
【引用】TIFFANY & CO / エルサ・ペレッティ ファンシー カラー リング ©T&CO

ただ、日本人にはアメジストはアクセサリーのイメージが強いため、ダイヤモンド・リングに90万円くらい出せても、アメジスト・リングに90万円くらい出す人は恐らく少ないでしょう。

基本的には欧米市場向けかなぁと感じます。

1-2-3. 高い稀少価値があったアメジスト

 アメジストは元々は『枢機卿の宝石』の一翼を担うほど珍重された宝石でした。政教一致が通常だったキリスト教世界のヨーロッパに於いて司教クラス、すなわち一国の王たる存在が身に着けるステータス・リングの宝石に相応しい、高貴な宝石とされたのがアメジストでした。

枢機卿の宝石
 "Cardinal Gems" ©Mario Sarto, Robert M. Lavinsky, Humanfeather, JJ Harrison, GeeJo(11 April 2010, 21:36)/Adapted/CC BY-SA 3.0
司教のリング(18世紀)

紫色の美しい宝石は他にはなく、この色彩自体も大きな魅力がありました。稀少価値の高さもあり、高貴な人々から愛されてきました。

1-2-4. ヨーロッパ王侯貴族のアメジストのイメージ

 アメジストは20世紀に入っても、ヨーロッパの王侯貴族から愛されてきました。自身の心を満たすプライベートなジュエリーのみならず、富と権力を象徴する王族の仕事用ジュエリーにも使用されるほどの宝石でした。その印象があるので、ヨーロッパでは一般人でもアメジストにジュエリーのイメージがあります。

英国王ジョージ5世妃メアリー(1867-1953年)のアメジスト・パリュール
【引用】Tiara Mania ©Tiara Mania

女王エリザベス2世の祖母で、宝石好きで有名なメアリー王妃も豪華なアメジストのパリュールを所有していました。

アメジスト・ジュエリーを着けたエリザベス女王(1926-2022年)【出典】TOWN&COUNRY© 2024 Hearst Magazine Media, Inc. / TIM GRAHAM/GETTY IMAGES

孫の女王エリザベス2世も様々なシーンで、様々なアメジスト・ジュエリーを着用しています。

アメジスト・ジュエリーを着けたカミラ王妃(1947年-)【出典】THE COURT JEWELLER © 2024 THE COURT JEWELLER LLC/ KIRSTY WIGGLESWORTH/AFP via Getty Images カミラ王妃のアメジスト・ネックレス  【出典】THE COURT JEWELLER © 2024 THE COURT JEWELLER LLC/ KIRSTY WIGGLESWORTH/AFP via Getty Images

これは複数のイベントで着用が目撃されている、カミラ王妃のお気に入りとみられるアメジスト・ネックレスです。HERITAGEの仕入元のディーラーたちは英国王室や貴族とも、仕入元や納入先としてコネクションがあるので、当たり前ですがHERITAGEでは王侯貴族と同格のジュエリーをお取り扱いしています。

アメジスト・ジュエリーを着けたカミラ王妃(1947年-)2008年、60歳 【出典】THE COURT JEWELLER © 2024 THE COURT JEWELLER LLC/ Chris Jackson/Getty Images

2008年のロイヤル・フィルム・プレミアで、カクテルドレスの正装に合わせたネックレスです。

カクテルドレスに合わせるには控えめな印象ですが、これは恐らく王族らしい配慮です。

カミラ王妃と女優(ロイヤル・フィルム・プレミア 2008年)
【出典】THE COURT JEWELLER © 2024 THE COURT JEWELLER LLC/ SHAUN CURRY/AFP via Getty Images

プレミアの主役は俳優や女優など映画関係者です。女優は華やかな存在ですが、貴族や大富豪とは異なります。ゴージャスな衣装やジュエリーはブランドがPRのために提供したり、レンタルするのが通常です。代々続く王侯貴族や、巨万の富を持つ大富豪だけが買えるようなジュエリーは自らの意思で着けることができません。そのような場に王族の正装用の豪勢なジュエリーを着けていくのはエレガントではありません。

貴族が一般庶民に競争心を露わにしたり、マウンティングするのはダサさの極みです。持っているけれど主役である女優たちを惹き立てるために敢えて着用しない、しかし全く何も着けないのも失礼であり、ほどよく華やかに魅せるジュエリーとしての選択だったのでしょう。

シーンが異なる場でのアメジストを使った正装
アメジスト・ジュエリーを着けたカミラ王妃(1947年-)【出典】THE COURT JEWELLER © 2024 THE COURT JEWELLER LLC/ KIRSTY WIGGLESWORTH/AFP via Getty Images アメジスト・ジュエリーを着けたカミラ王妃(1947年-) 【出典】TOWN&COUNRY© 2024 Hearst Magazine Media, Inc. / TIM GRAHAM/GETTY IMAGES

アメジスト・ピアスは同じものです。王族としての正装が必要なシーンでは、右のような豪華なアメジスト・ネックレスをコーディネートしています。TPOに合わせることができるのは、それだけ選択肢を多く持つからこそですが、このように言葉で説明するのではなく、身につけるジュエリーで礼を示すのは王侯貴族らしい知的でエレガントな振る舞いですね。

外交用のブラックタイでの装い
王太子時代のチャールズ国王とダイアナ妃 【出典】25ans ラヴァーズノット・ティアラの知られざるロイヤル・ヒストリー ©2025 HEARST FUJINGAHO / Getty Images From TOWN&COUNTRY チャールズ王太子夫妻&ロナルド・レーガン大統領夫妻(ホワイトハウス 1985年)

同様の配慮は故ダイアナ妃にも見られます。ロナルド・レーガン大統領夫妻がホワイトハウスにチャールズ王太子夫妻を招いた際は、ブラックタイの正装でしたがダイアナ妃はティアラを着用していませんでした。元俳優の夫同様、妻ナンシー・レーガンもアメリカの女優なので美しく華やかでしたが、貴族ではないのでティアラを着用しないことは容易に予想できます。だから王侯貴族の通常のドレスコードとは違い、ダイアナ妃はティアラを着用しなかったのでしょう。

「貴族の既婚女性だからティアラを絶対に着ける!」という柔軟性のなさ、文化の異なる人への自国ルールの押し付けは貴族らしい振る舞いではありません。TPOや周囲に合わせ、常に最善を考えます。王侯貴族は美しい心と知性、確固たる自信によってエレガントを纏うのです。だから尊敬と憧れを抱かれる対象となり得ます。

「目立ったが勝ち!」と言わんばかりの成金やセレブは何かを勘違いしているのだろうと思いますが、残念な感じです。真似しても、たぶん良いことはありません(笑)

1-2-5. アメジスト産出量の変化とデザインの変化

王太子妃アレクサンドラ(1844-1925年)1889年、44歳頃

 イギリス王太子妃アレクサンドラが写真で着用しているのはアメジストのティアラです。アレクサンドラ妃はアメジスト好きだったそうです。ヨーロッパの王族らしい気品と美しさで知られており、紫色の宝石はいかにもお似合いになりそうです。

義兄であるロシア皇帝アレクサンドル3世から贈られたティアラで、子孫に引き継がれたものの、曾孫となる第3代ファイフ公爵が売却したそうです。

今時では主要王族でもなければ、ティアラは正式な使い道などありません。現代の貴族は城の維持費だけでも苦労するケースが多いので、優先して売却対象となり得るのでしょう。

アレクサンドラ王妃のアメジスト・ティアラ(カルティエ 1900年頃)
【引用】GEM VOYAGER ©Christies

これは別のティアラですが、やはりアレクサンドラ妃の元だったとされます。このような大きさのあるアメジストを贅沢に使ったジュエリーは、19世紀後期以降に多く作られた傾向があります。

19世紀初期の王侯貴族のアメジスト・リング

 アメジストは古くはルビーやダイヤモンドより高額で取引されることもあるほど、稀少価値の高い宝石でした。しかし19世紀初頭にブラジルで巨大鉱脈が発見され、その後も周辺各地で鉱脈の発見が相次いだことで、アメジストの稀少価値は大きく変化していきました。

19世紀初期のフランスのアメジストのリングアメジスト&エメラルド リング
フランス 19世紀初期
SOLD
アーリー・ヴィクトリアンのアメジスト&ガーネットの彫金リングアメジスト & ガーネット リング
イギリス 1840年頃
SOLD
英国王室所蔵の髪の毛入りスネーク・リング(1840年頃)【出典】Royal Collection Trust / Ring © His Majesty King Charles III 2024 粒金が見事なヴィクトリアンのアメジスト一文字リング『La Dame pourpre』
一文字リング
英国 1840-1850年頃
¥950,000-(税込10%)

稀少価値の高い時代は、小さくても高級な宝石でした。エメラルド同様に色彩が最も重視され、小さくても濃い色彩を持つアメジストならば、インクリュージョンは許容されていたことが英国王室所蔵のスネーク・リングからも分かります。

アメジストの結晶
 "Amethyst. Magaliesburg, South Africa" ©JJ Harrison(18 July 2009)/Adapted/CC BY-SA 3.0
英国王室所蔵の髪の毛入りスネーク・リング(1840年頃)
【出典】Royal Collection Trust / Ring © His Majesty King Charles III 2024

現代ではアメジストの原石は容易に手に入ります。お持ちの方は実際にご覧いただくと分かりやすいと思います。ジュエリー用にカットしようとすると、色彩とインクリュージョン、そして大きさのバランスに苦慮されるのではないでしょうか。

スウェーデン王妃シルビア(1943年-)1983年、39歳
【出典】THE SWEDISH ROYAL FAMILY$S REGAL AMETHYST TIARA © 2024 THE COURT JEWELLER LLC / Roger Tllberg/Alamy
スウェーデン王太子ヴィクトリア王女(1977年-)2002年、24歳 【出典】THE SWEDISH ROYAL FAMILY$S REGAL AMETHYST TIARA © 2024 THE COURT JEWELLER LLC / Sion Tojhig/Getty images

スウェーデン王室が所有する『ナポレオンのアメジスト・パリュール』のオリジナルは、19世紀初期にフランス皇帝ナポレオンが皇后ジョゼフィーヌのために作られたとされます。このクラスは侵略戦争で他国の王族クラスの代々の宝物も強奪してくるほどでなければ手に入らぬ代物でした。

サイベリアン・アメジスト ジョージアン ペンダント&ブローチ シベリア産 最高級アメジスト アンティークジュエリーサイベリアン・アメジスト ブローチ
イギリス 1820年頃
SOLD

Genが自身の権威づけを嫌い、このような宝物も自然体でご紹介するので「普通にあるもの」と感じる方も少なくないと思います。

しかし、このような宝物は目にする機会があれば超幸運と言えるほど例外的な存在であり、超貴重な知られざる最高級品だったのです。

19世紀後期以降のアメジスト・ジュエリー
アメジストにフェズを冠ったムーア人を彫刻したアンティークのクラバット・ピン『フェズを被った男』
アメジスト彫刻ピン
イタリア? 1870年頃
SOLD

 石そのものの稀少価値が高い時代は、無駄が多いカットはできません。美しさと大きさを両立するバランスの中で、最も無駄の出ない大きなカットが施されます。

しかし、大きさそのものがもはや稀少価値を持たなくなると、そのサイズで富と権力を示すことは困難となります。そうなってきた時に現れるのが、大胆なカットを施したアーティスティックな宝物です。

石そのものは依然として高い価値を持ちつつ、それを大胆にカットしてしまうラグジュアリーさ、そして詰め込まれた知的教養と美意識を競うことになります。

そのような芸術性を競うジュエリーの方が、個性豊かで贅沢さもあり、通常のステータス・ジュエリーより遥かに魅力的で面白かったりします。

 

非加熱シトリン&アメジストの蝶のブローチ アンティークジュエリー『美しき魂の化身』
蝶のブローチ
イギリス(推定) 1870年頃
¥1,600,000-(税込10%)
愛犬の黄金の首輪付きのアメジスト彫刻のクラバットピン『愛犬』
アメジスト・カメオ クラバットピン
イギリス 1880年頃
SOLD
ハートカット・アメジストのヴィクトリアンのペンダント『慈愛の心』
アメジスト ペンダント
イギリス 1880〜1900年
SOLD

金属系の細工物は失敗してもある程度やり直しができますが、石の細工物は失敗してもやり直しができません。トライできるほどの産出量があったからこそです。しかし、芸術作品として昇華させるのには第一級の技術を必要としますし、大きさより芸術性を喜ぶことのできる感性を持つ人もごく少数派です。Genも私もこのような宝物を好むので集まっているものの、市場に於いて、数そのものはとても少ないです。

アメジスト・ジュエリーを着けたカミラ王妃(1947年-) 【出典】TOWN&COUNRY© 2024 Hearst Magazine Media, Inc. / TIM GRAHAM/GETTY IMAGES 天然真珠 ブレスレット アンティークジュエリー『華奢×強靱』
極小天然真珠&プラチナ ブレスレット
イギリス? 1910年〜1920年頃
SOLD

カミラ王妃のハートカット・アメジストも、贅沢なカットが可能となった時代ならではと言えます。

ネックレスの連結は当時流行した極小天然真珠&プラチナ・チェーンによるものとみられ、1910年から1920年頃の制作と推定できます。

英国王ジョージ5世妃メアリー(1867-1953年)のアメジスト・パリュール
【引用】Tiara Mania ©Tiara Mania

一般庶民が通常、王族のジュエリーとして目にできるのはこのようなスタイルのジュエリーです。遠目でも目立つこと、教養や知識、美的感覚がなくても凄そうに見えることを重視したデザインです。広く万人に分かりやすく、最大数を目指そうとするとこうなります。王侯貴族しかいない席では殆ど意味のないジュエリーです。

ハートカット・アメジストの王冠ペンダント
ハートカット・アメジスト 王冠ペンダント
イギリス 1880年頃
SOLD

全員が一定を超える莫大な富と権力を持つ社交界で、お金を出せば手に入る程度の高級宝石は高く評価されません。

教養やセンスなど、『人そのものの才能』こそが最も評価される世界ですから、知られざる社交界で王侯貴族が身につけていたのはこのようなジュエリーです。

成金を含む大衆が主要顧客である現代ジュエリーの基準で、王侯貴族のために作られたアンティークジュエリーを判断しようとする人がいますが、頓珍漢なコメントしか出てきません。

真の想像力と共感力を備え、深い思考ができる人に限り、現代人でも王侯貴族の知られざる宝物を理解することができます。

煌めきが美しいブリオレットカット・アメジストのアンティーク・ネックレス『慈愛の泪』
ブリオレットカット・アメジスト ネックレス
アメリカ 1900年頃
SOLD
ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング今回の宝物
イギリス 1900年頃

産出量的な課題が解決され、電動研磨機の発明によってカットの技術的課題も解決され、ようやく王侯貴族にとっても憧れだった、ブリオレットカット・アメジストのジュエリーを作ることができる時代が到来したのです。

2. 知られざるハイジュエリーとしてのアメジスト

2-1. 縦長フォルムと透明度の高さは贅沢の証

 ブリオレットカットは決まった統一規格はありません。縦横の比率、どこに最大幅を持たせるか、曲率の設定、ファセットの面数など、パラメータ(変数)は無限にあります。

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

丸みの強いコロンとしたカットにもできますし、Genお気に入りのシャンデリアのように超縦長でひたすらスタイリッシュさを追うこともできます。このブリオレットカットは、レイト・ヴィクトリアンの上流階級の女性らしい絶妙なフォルムと言えます。

2-1-1. 日本人独特の『アンティークジュエリー』の一般イメージ

 カワイイ系、キレイ系、カッコイイ系。それぞれ好みはありますが、ノブレスオブリージュの精神が根付いた上流階級の世界では早々に精神的や能力的に大人となることが是とされました。カワイイ系は表現によっては包み込むような慈愛を表現できる一方で、幼稚さにもつながります。だから上流階級のデザインはキレイ系やカッコイイ系が好まれる傾向がありました。

ジョージアンの天然ルビー&ペルシャ産トルコ石&天然真珠リング『永遠に咲く花』
リージェンシー クラスター・リング
イギリス 摂政王太子時代(1811〜1820年頃)
¥580,000-(税込10%)

パイオニアのGenがそうでなかったのが何ともはやですが、日本に於けるアンティークジュエリーの一般市場では、ヴィクトリア女王を軸にプロモーションが行われてきました。

時代柄、その方が金儲けしやすかったからです。そこまで古くなく、数が多く残っていたことがあります。

Genが始めた頃、レイト・ヴィクトリアンは100年経過しておらず、本場イギリスでは真面目なディーラーにとってアンティークの扱いではありませんでした。アンティークはジョージアン以前だよと言われたそうです。

ストーンカメオ エンジェル ブローチ アンティーク『ハッピー・エンジェル』
ストーンカメオ&フェザーパール ブローチ
フランス? 1870〜1880年代
¥1,200,000-(税込10%)

Genがヨーロッパでアンティークジュエリーに出逢い、この仕事を始めたのは1977年、29歳の時です。

成田空港の開港以前。為替レートが今より遥かに円安で舶来品信仰が根強く、一般人がヨーロッパに行くこと自体が特別だった時代です。

当時は珍しい若い日本人、しかも骨董に特別な興味をみせるGenに、ロンドンのベテランの古いディーラーが親切に教えてくれたのでした。「ヴィクトリアン?そんなのおばあちゃんが使っていた最近のものだよ。」

啓蒙時代のカンティーユ&ペルシャ産トルコ石のリュミエール・ジュエリー『ソフィア』
リュミエール・アゲート カンティーユ ペンダント&ブローチ
フランス or イギリス 1820年頃
¥880,000-(税込10%)

今でも古くからやってるロンドンのディーラーにとっては『ジョージアン』は別格という意識があり、特別な響きを持ちます。

Genや私にとってもそうです。

ヴィクトリア女王のミッドヴィクトリアン・ジュエリー
ヴィクトリア女王のフリンジ・ダイヤモンド・ブローチ(R&S ガラード 1856年)【引用】Royal Collection Trust / Queen Victoria's Diamond Fringe Broosh 1856 © Her Majesty Queen Elizabeth II 2020 母ヴィクトリアがヴィクトリア女王に贈った宝石のピアス
【引用】ABC News / Royal opals worn by Queen Victoria sent to Adelaide for SA Museum exhibition (24 September 2015, 5:57)

長いヨーロッパの歴史に於いて、ヴィクトリアンはかなり特殊な時代です。産業革命によって台頭した中産階級が財を成し、衣食住が満ち足り、新興成金としてジュエリーに手を出し始めたのがミッド・ヴィクトリアンです。また、通常の女性のトップは夫(君主)を立てる立場の王妃でしたが、ヴィクトリア女王は世界に君臨する大英帝国の君主として国内外に強く主張しなければならない立場でした。それがデザインに反映されます。

ヴィクトリアンのファッションリーダー
ヴィクトリア女王
即位(1837年)〜服喪(1861年)
アレクサンドラ王太子妃/王妃
女王の服喪(1861年)〜エドワーディアン
英国君主ヴィクトリア女王(1819-1901年)1859年、40歳頃 アレクサンドラ王妃(1844-1925年)1905年、61歳頃

強い自己主張が必要な女王と、君主である夫を立てる王妃では立場がまるで違います。また、ヴィクトリア女王は肥満体質を気にする(当時としては)ポテっとした体型でした。そういう女性には可愛くてボリュームもあるジュエリーの方が似合います。

『本来のヨーロッパの王族らしい貴婦人』とされたのは、長男エドワード7世の妻としてデンマークから迎えたアレクサンドラ妃でした。高貴な雰囲気、スタイルの良さ、抜群のセンス、明るい性格は社交界の花として王侯貴族の世界でも大人気だったそうです。

アレクサンドラ妃がファッションリーダーの時代
アレクサンドラ王太子妃(1844-1925年)1880年初期、30代後半 ペリドット&ホワイトエナメル ネックレス アンティークジュエリー『ゴールド・オーガンジー』
エドワーディアン ペリドット&ホワイト・エナメル ネックレス
イギリス 1900年頃
¥1,000,000-(税込10%)

年子を6人も産んでこのスタイルだそうです。「洗練された雰囲気」と称されるエドワーディアン・ジュエリーは、王妃としてファッションリーダーとなったアレクサンドラ妃を反映してのものです。ヴィクトリア女王が1861年にアルバート王配を亡くし、残りの生涯を喪服で過ごすようになったことからファッションリーダーはアレクサンドラ妃に移りました。レイトヴィクトリアン以降はデザインが急速に洗練されていきます。

ミッド・ヴィクトリアンの典型的な成金ジュエリー

アンティークジュエリーの一般市場で多く見かけるのは、中産階級の需要が激増したミッドヴィクトリアン以降の小金持ち中産階級用のジュエリーです。現代のように流行サイクルは短くなく、レイトヴィクトリアンも引き続き庶民用の安物は、一見すると凄そうに見えるハリボテ的な成金デザインです。

多く楽に安く買い付けられること、ちょうど高度経済成長期からバブル期にかけての時代を謳歌していた日本人の嗜好に合ったこともあり、金儲けが目的で市場に参入した後発のアンティークジュエリー・ディーラーたちはこぞってヴィクトリア女王とヴィクトリアン・ジュエリーをプロモーションしたのでした。

典型的なミッドヴィクトリアンの成金ジュエリー

このようなデザインは本来ヨーロッパの王侯貴族の好みではなく、特殊な時代ならではのものと言えます。それにも関わらず、恐らくは自身も理解していないディーラーたちが金儲けだけを目的に、さもヨーロッパの上流階級のジュエリーとして日本で売りまくったため、Genに出逢うことのなかったアンティークジュエリー好きの人は誤認していることが多いのです。知識などなくとも、ゼロから始めたGen同様、絶対的な美的感覚と素直な感性でみることができる人ならば、何だかおかしいと気づくことはできますよね。

2-1-2. フォルムで激変するブリオレットカットの雰囲気

アアメジストのティアラ着用のアレクサンドラ王太子妃(1844-1925年)1889年、44歳頃  アメジストを好んだとされるアレクサンドラ妃ですが、高貴な雰囲気に紫色はとても似合いそうですね。
英国王妃のアメジスト・ティアラ
アレクサンドラ王妃
エドワード7世妃:在位1901-1910年
メアリー王妃
ジョージ5世妃:在位1910-1936年
アレクサンドラ王妃のアメジスト・ティアラ(カルティエ 1900年頃)【引用】GEM VOYAGER ©Christies
メアリー王妃のアメジスト・パリュール→
【引用】Tiara Mania ©Tiara Mania

ところで連続する英国王室のアレクサンドラ王妃とメアリー王妃ですが、同じ『アメジスト・ティアラ』でも好みや個性がはっきり現れていることにお気づきいただけるでしょうか。後続のメアリー王妃の時代の方がアメジストは手に入れやすかったはずですが、無駄の多いカットとデザインを楽しむのではなく、むしろ美しさやセンスの良さより巨大さを追っているのが特徴的です。

アレクサンドラ王妃の個性
イギリス王太子妃&ロシア皇太子妃の美人姉妹
11歳頃のアレクサンドラ王女と8歳頃のダウマー(マリア・フョードロヴナ)王女(1856年) マリア・フョードロヴナ&アレクサンドラ・オブ・デンマーク(1873年頃)

アレクサンドラ妃、メアリー妃共に外国から嫁いできた王族です。どちらも王族ながら裕福でない環境で育ちましたが、家庭環境が大きく違いました。デンマーク王室のアレクサンドラ妃は6人兄弟ですが、幼少期は家の召使は6人しかいませんでした。このため、子供時代はコペンハーゲンの街を自由に歩き回り、市場やカフェに行くことも許されていました。後にロシア皇后となる妹ダウマーとは屋根裏部屋を共有し、特に仲良しでした。それぞれが嫁いだ後もパリで落ち合い、衣服やジュエリー、小物などをお揃いで仕立て、社交界で双子ファッションを披露して大いに評判でした。美人の仲良し姉妹です。

親戚関係のイギリス王室とロシア皇室
デンマーク王室出身の姉妹 その息子たち
ロシア皇太子妃マリア・フョードロヴナ&イギリス王太子妃アレクサンドラ・オブ・デンマーク(1875年頃) イギリス国王ジョージ5世(48歳頃)&ロシア皇帝ニコライ2世(45歳頃)1913年

環境によっては美人姉妹同士、競争関係や嫉妬で関係が激悪になることもあり得ますが、息子たちも仲良しとなるほどの関係だったようです。英国王室の仲良しの従兄弟を真似し、ニコライ2世もロシア皇太子としての世界視察旅行では、日本で龍の刺青を彫っています。

動物好きで有名なアレクサンドラ妃
王太子妃アレクサンドラ・オブ・デンマーク(1844-1925年) ペットの犬とイギリスのアレクサンドラ王妃

アレクサンドラ妃は動物好きでも有名です。犬もたくさん飼っており、愛犬たちと写したブロマイドも数多くあります。夜食のサンドウィッチをこっそりベッドで食べさせていたという話も残っています。

動物好きで有名なアレクサンドラ妃
馬に乗った王太子妃アレクサンドラ・オブ・デンマーク(1844-1925年)1886-1888年、41-44歳頃
【出典】Royal Collection Trust / The Princess of Wales (1844-1925), Later Queen Alexandra, on horsebacl, c. 1886 © Her Majesty Queen Elizabeth II 2022
『牡馬のマーシャル』(1907年)英国王エドワード7世から妻アレクサンドラ王妃への動物園コレクション
【引用】THE ART OF FABERGE ©JOHN BOOTH / WELLFLEET PRESS p.156
そんな動物好きの妻のために、エドワード7世はファベルジェ商会に動物園コレクションもオーダーしています。宝石や半貴石で作る愛らしい動物たちのオブジェは大いに評判を呼び、ティファニーなど他のブランドでも作られました。

実際に動物そのものを贈られることも多々あったそうです。アレクサンドラ妃は社交界の人気者だったため、喜ばせようとたくさんの動物が贈られ、動物園で飼いきれないほど集まったそうです。

ソールズベリー総合病院での『アレクサンドラのバラの日』の募金活動(1930年頃)
【引用】ArtCare / Alexandra Rose Day ©COPYRIGHT ARTCARE 2020

嫁いで50周年を迎えた王太后としてのアレクサンドラ妃が1912年に考案したチャリティー・イベント、『アレクサンドラのバラの日』のために選んだバラも象徴的です。『アレクサンドラのバラの日』のイメージビジュアルに使用されているお花は、バラと言われなければ「桜?」と思う方もいらっしゃると思います。

ノイバラ(野バラ) "Rosa multiflora(200705) ©E-190(May 2007)/Adapted/CC BY-SA 3.0

品種改良によって当時も盛り盛りの華やかなバラは存在しましたが、アレクサンドラ妃の好みなのか、可憐で控えめなノイバラを選んだようです。

アレクサンドラ王妃のバラを販売するチャリティーの女性たち(イングランド 1928年) "Selling Queen Alexandra roses for charity in Seaford, southern England in 1928" ©User:Pinterest(31 July 2016)/Adapted/CC BY-SA 4.0

販売用の造花として作りやすい意図もあったと想像できますが、自身を象徴するバラとして、このバラを選べるのはよほどの人格と感じます。

育種家 ジョセフ・ペルネ=デュシェ(1859-1928年)66歳頃、1925年 マダム・キャロライン・テストゥ(ジョセフ・ペルネ=デュシェ 1890年発表)"Rosa 'Mme Caroline Testout" ©A. Barra(May 1988)/Adapted/CC BY-SA 3.0

王族より下の身分の貴婦人でも、このような盛り盛りのバラが当てられているくらいです。

PDアレクサンドラ(レディ・オギルヴィ)(1936-) アレクサンドラ・オブ・ケント王女
"Rose Princess Alexandra of Kent バラ プリンセス アレクサンドラ オブ ケント (6306276998) " ©T/Kiya from Japan(2 November 2011, 11:27)/Adapted/CC BY-SA 2.0

ケント公爵ジョージ王子の長女で、エリザベス女王の従姉妹アレクサンドラ・オブ・ケント王女のバラも華やかです。これは西洋バラが入ってくる以前に日本で百花の王とされた、牡丹にも似た印象ですね。

女王エリザベス2世のバラ
PDイギリス国花の紅薔薇を背景にしたエリザベス女王(タイム誌 1953年11月5日号) クイーン・エリザベス(ジャーメインズ社 1951年以前に作出)
"Rose 'Queen Elizabeth' 1954" ©Arashiyama(16 May 2013, 11:11:52)/Adapted/CC BY-SA 3.0

アメリカのジャーメインズ社で1951年以前に作出され、1952年のエリザベス女王の即位を祝して1954年に『クイーン・エリザベス』の名で品種登録されたこのバラも、即位当時25歳の若さだったフレッシュな女王らしい佇まいです。バラとしては控えめで清楚な印象ですが、アレクサンドラ・ローズはその比ではありません。

アレクサンドラ・ローズ
"Rose, The Alexandra Rose, バラ, ジ アレクサンドラ ローズ, (12531495853)" ©T.Kiya from Japan(27 May 2013, 08:21)/Adapted/CC BY-SA 2.0

『アレクサンドラのバラの日』は現代でも続けられています。そのアレクサンドラ妃に捧げるために、1992年にイギリスの薔薇の育種家デヴィッド・オースティンが生み出したバラに『アレクサンドラ・ローズ』が名付けられました。

イギリス王太子妃アレクサンドラ・オブ・デンマークとその家族(1880年)
【出典】Royal Collection Trust / The Prince and Princess of Wales with their shildren, 1880 [in Portraits of Royal Children Vol.26 1880] / © Her Majesty Queen Elizabeth II 2020 / Adapted

女性として最も高い地位に就き、それを傘に国民や周囲の王侯貴族に権力をひけらかすのではなく、むしろ控えめに徹しました。

それでいて卑下することなく、必要以上に地味にするわけでもなく、高潔な気品を保ちました。威厳を保ちながら、プライベートでは愛情深く明るい性格として好かれていました。

当然の如く嫉妬の対象にもなっていますが、多くの国民に好かれ、その美しい佇まいは憧れとなり、多くの女性が真似をしたそうです。

出産後の合併症で足が不自由になり、足を引きずるようになりましたが、その姿すらもアレクサンドラ妃への憧れのあまり真似する人がいたそうです。杖を使用すれば杖を真似、杖の代わりにパラソルを使用するようになると社交界でパラソルが流行しました。

これが本物の『人としての引力』ですね。『北風と太陽』。見せびらかし、権威で脅し、マウンティングで強制しようとしても、他者に真の心からの憧れを抱かせることはできません。まあでも普通の人は主張しないと『平凡』で埋もれてしまうので、満たせない承認欲求を抱えている人はどうしてもドヤりたくなるのでしょうね。やってもやっても、誰の心にも真の羨望は生じません。表面的に褒めてくれることはあっても、想像以上に私たちは無意識の領域で知覚する能力を持っています。空虚な賞賛をいくつ重ねても心が満たされるわけもなく、残念ながら食べても食べても満たされぬ餓鬼状態に陥ります。

メアリー王妃の個性
メアリー王妃と両親(1867年)

 メアリー王妃はドイツのヴュルテンベルク王家傍系テック家の出身でした。

娘の性格に大きな影響を与える母親メアリー・アデレードは、英国王ジョージ3世の7男アドルファスの末子でした。アドルファスはハノーファー王国副王を務めていました。

メアリーは食べるのが大好きで肥満体となり、幼少期に「ふとっちょメアリー(Fat Mary)」のあだ名を付けられたほどです。

ヴィクトリア女王も若い頃から肥満体質を気にしていましたが、メルバーン子爵が「ハノーファー家はもともと太りやすい体質なのです。」と慰めた通りのようですね。

メアリー王妃の母・テック公妃メアリー・アデレード(1833-1897年)1860年、26歳頃

Wikipediaの表現を拝借すると、「彼女自身の魅力のなさ」と、収入の少なさもあり、結婚適齢期を逃して30歳を過ぎても独身だったそうです。

貴賤結婚もしない時代、王族としての生まれが選択肢を狭くしていたこともあったようです。

しかし妥協し和える相手に巡り合い、1866年にヴュルテンベルク王家のテック公フランツ。パウルと結婚しました。

メアリー王妃の母・テック公妃メアリー・アデレード(1833-1897年)1885年、26歳頃

ヴィクトリア女王は従姉妹であるメアリー・アデレード一家のために住居としてケンジントン宮殿の数室、別荘としてホワイト・ロッジ、さらに王族としての年金も与えいましたが、派手好みのメアリーには全く足りませんでした。

パーティや高価な食事、衣類やジュエリーの購入、海外でのバカンスなど浪費しまくり、たちまち借金が膨れ上がりました。

ミッド・ヴィクトリアンは王侯貴族のジュエリーでも自己顕示欲の強い成金趣味の傾向が強く、Genも私も好みではないので殆どお取り扱いしていません。ファッションリーダーとなる高位の王族がこういう感じだったと考慮すれば、知識的にもご納得いただけると思います。

ミッド・ヴィクトリアンのスペイン女王
スペイン女王イザベル2世(1830-1904年)1860年、30歳頃 スペイン女王イザベル2世(在位:1833-1868年)とフランシスコ・デ・アシス・デ・ボルボン王配

ちなみにミッド・ヴィクトリアンのスペイン王室も女王の時代でした。イザベル女王は3歳で即位し、母マリア・クリスティーナ・デ・ボルボンが摂政王太后を務めました。この母親もかなり野心家で強烈な人物でした。ミッド・ヴィクトリアンの迫力あるジュエリーは各国で女性が(少なくとも表面上)最高権力を持った時代、なるべくしてあのようになったと言えます。

ケント公エドワード・オーガスタス(1767-1820年)51歳頃

さて、贅沢し放題の借金まみれもハノーファー家の伝統でしょうか。メアリーの伯父、ヴィクトリア女王の父ケント公エドワード・オーガスタス王子も借金まみれの自堕落生活で知られています。

借金地獄から逃れるために、27年も連れ添ったフランス人の愛人マダム・ド・サン=ローラン男爵夫人を捨てて王族と結婚しましたが、物価の高いロンドンには住めなかったそうです。

テック公妃メアリー・アデレードと子供達(1833-1897年)1885年、メアリー王妃は18歳頃

 

メアリー・アデレード一家も債権者から逃れるため1883年に出国し、各国を転々としました。

最初はホーエンシュタイン伯爵家という偽名で滞在しましたが、より良いサービスを受けたいがためにメアリー・アデレードは王族の身分を明かしていたそうです。

「もっと欲しい、もっと贅沢をしたい。もっと見せびらかしたい。もっともっと。」

しかし借金まみれで、欲しいのに買えない。メアリー王妃はそのような環境で育ちました。

母メアリー・アデレード公妃 娘メアリー英国王妃
先祖のハノーファー選帝候妃ゾフィー・フォン・デア・プファルツに扮するメアリー・アデレード公妃(1833-1897年)1897年、66歳頃 王太子妃メアリー・オブ・テック(1867-1953年)1901年、24歳頃

母の姿を見て、メアリー王妃も同じような価値観と性格に育ったようです。ノブレスオブリージュではなく、権力だけ私用する感じです。左はヴィクトリア女王のダイヤモンド・ジュビリーを祝う1897年の大仮装舞踏会での姿ですが、この母娘の写真や肖像画は上から見下す構図が多いです。王族としての威厳を保ち、絶えず下々を見下すというタイプの王族だったのかもしれません。

リメイクされたラヴァーズ・ノット・ティアラ
1913年作のオリジナル
上部の天然真珠を取り外し後

英国王ジョージ5世の妻となったメアリー・オブ・テックはジュエリーが大好きで、しょっちゅうリメイクも行っていたことで知られます。王室の宝石リストを制作させたり、貴族の家を尋ねた際は家宝を褒めちぎり無理やり献上させていました。「良く言っても強盗の一歩手前のような方。」と悪評が立つほどで、大事なものはメアリー妃には知られないようにすることも貴族にとって重要だったそうです。

イギリスに亡命したロマノフ家の人々もメアリー妃に見つからぬよう必死に隠しましたが、結局取り上げられたというエピソードも残っています。

結婚式のメアリー妃と後の英国王ジョージ5世(1893年)

臣民に良くするのではなく、臣民から強奪したものを着けて自慢するなんて意味不明の極みで、誰からも尊敬も羨望もされません。

それどころか眉をひそめられ、こうして悪評は歴史として後世まで残り続けるわけです。

でも、欲しくても買えなかった未婚時代から一転、王太子妃、王妃としての権力を手に入れたら増長してしまうのでしょう。

本人の資質だけとは言えず、母親の影響は本当に大きいです。

ただ、悪いことばかりとも言えません。先の慈愛に満ちたアレクサンドラ妃に育てられたジョージ5世は次男で、もともと国王になる予定ではなかった上に、人柄も良さげです。

王太后メアリー・オブ・テック(1867-1953年)と孫のマーガレット王女、後の女王エリザベス2世(1939年) 帝国主義が渦巻き、第一次世界大戦から第二次世界大戦を英国王室として乗り切るために、推しの強いメアリー妃の性格は大きく貢献したとも言われています。
英国王ジョージ5世妃メアリー(1867-1953年)のアメジスト・パリュール
【引用】Tiara Mania ©Tiara Mania

そのようなタイプの王族だったため、メアリー妃のアメジスト・ティアラはセンスの良さや清楚さ、気品、知性や美しさなど全く追う気配がなく、ひたすら大きくて目立つことに徹したデザインになっています。

アレクサンドラ王妃
エドワード7世妃:在位1901-1910年
メアリー王妃
ジョージ5世妃:在位1910-1936年
弟ヴァルデマー王子とイギリス王太子妃アレクサンドラ(1844-1925年)1874-1875年、30歳頃 王太子妃メアリー・オブ・テック(1867-1953年)1901年、24歳頃

老いるほどに顔相にも現れるものですが、20代30代でも分かりやすく現れるものですね。『英国王室』として十把一絡げに見る人もいますが、『ロマノフ家の財宝を強奪した英国王室』は右のメアリー妃です(笑)

アレクサンドラ王妃
エドワード7世妃:在位1901-1910年
メアリー王妃
ジョージ5世妃:在位1910-1936年
アレクサンドラ王妃(1844-1925年)1905年、61歳頃 メアリー・オブ・テック王妃(1867-1953年)1911年、44歳頃

肖像画はオーダー通りに盛って描いてもらえますが、やはりメアリー王妃は見下す目線が好みのようです。本人の外見のみならず、このような肖像画からジュエリーのデザインにまで個性は反映されます。それをどれだけ感じ取れるかは大きな個人差がありますが、分かる人には言葉の説明など必要ないほど如実に伝えてくれます。

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

だから本当に良いもの、好きだと心から思えるものを身につけるのは大切なことなのです。

2-1-3. 色石ならではのサイズと色彩と美しさのバランス

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

 この宝物が制作された1900年頃は、アレクサンドラ妃がファッションリーダーだった時代です。

1901年にヴィクトリア女王が崩御するので、アレクサンドラ妃は王太子妃から王妃になるタイミングです。

60歳頃なので通常ならばファッションリーダーは若い世代に移るのですが、アレクサンドラ妃は50代でも30代にしか見えないとされるほどの美貌を保ち、王侯貴族を始め世界中の憧れの貴婦人で在り続けました。

イギリス王妃アレクサンドラ・オブ・デンマーク(1844−1925年)1904年、60歳頃
【引用】Britanica / Alexandra ©2021 Encyclopædia Britannica, Inc.
アレクサンドラ王妃のアメジスト・ティアラ(カルティエ 1900年頃)【引用】GEM VOYAGER ©Christies

マッケイ・エメラルド・ネックレス(カルティエ・フレール 1931年)
 "Cartier 3526707735 f4583fda9a" ©thisisbossi(12 May 2009)/Adapted/CC BY-SA 2.0

右はどちらもカルティエ製ですが、オーダー主と時代が異なります。現代宝飾業界は成金セレブとそれに憧れる庶民御用達です。創業者一族の手からはとっくに離れている現代の自称『カルティエ』もヨーロッパ王侯貴族のネーム・ブランドを使いつつ、成金用に制作した品のない派手なジュエリーをPRします。カルティエ3兄弟の最後の一人が亡くなったことで1964年に創業者一族の手を離れており、日本上陸時の1974年時点のカルティエは商標権を買っただけの金儲けのための会社です。何の精神も残っていませんし、プライドを持ちようがありません。

20世紀に入り、王侯貴族が力を失っていく一方で、生き残るには主要顧客となっていく成金の嗜好に合わせる必要がありました。巨大さを追った結果、至極バランスの悪いマッケイ・エメラルド・ネックレスも、アメリカの金融家マッケイが後妻のアメリカのソプラノ歌手のために購入したものです。

アレクサンドラ王妃のアメジスト・ティアラ(カルティエ 1900年頃)
【引用】GEM VOYAGER ©Christies

後続メアリー王妃の分量だけを追ったアメジスト・ティアラからもお分かりいただける通り、アレクサンドラ王妃のティアラはより贅沢なアメジストの使い方がなされています。他に見ないドロップ型の縦長のカットは、無駄の多い贅沢なカットの証です。

アメジスト原石 "Amethyst Geode" ©Jan Schaumann(28 May 2023)/Adapted/CC BY 4.0

アメジストという鉱物自体はたくさん手に入るようなっても、質はまた別です。

膨大な産出量を誇る現代のダイヤモンドも、質と共に1ctを超える大きさのある天然ダイヤモンドは稀少価値があるのと同様です。

アメジスト原石の拡大
"Geode Reference -25" ©claralieu(17 April 2022, 17:26:44)/Adapted/CC BY 2.0

合成アメジストやイミテーションと異なり、天然アメジストは色彩、インクリュージョン、形状が不均一です。だから加工だけでも相当な人件費がかかります。透明度が高くて綺麗な色彩を持ち、大きさもあるアメジストを得ようとすると、膨大な原石の中でもごく一部からしか得られません。だからそのような稀少な石に限り、宝石としての価値があるのです。

2-1-4. 高品質の縦長ブリオレットカット・アメジストが貴重な理由

 現代だと、パワーストーンやアクセサリー市場のインクリュージョンの多い石だと天然アメジストと推測できますが、小綺麗なアメジストは記載がないと天然か合成石か分かりません。

ブリオレットカットの天然アメジスト
ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング約11×5mm 【参考】現代:約8×5mm

右は『天然アメジスト』と称されていたブリリアンカットの石です。天然だからこそ色彩も個性豊かです。色味だけでなく濃度も様々です。ご紹介の宝物は120年ほどは前のものなので、上質な天然アメジストを得るのは現代と比べると遥かに大変でした。この大きさで綺麗な色彩と透明度を備えるのは特別なことであり、だからこそ15ctゴールドを使った上質な作りのハイジュエリーとして扱われています。

これらブリリアンカット・アメジストの幅はいずれも約5mmです。長さが違っており、ご紹介のブリリアンカットは約11mm、右の現代のカットは約8mmです。今回の宝物のフォルムだとエレガント、現代品はポテっとした印象です。

アメジスト原石の拡大
"Geode Reference -25" ©claralieu(17 April 2022, 17:26:44)/Adapted/CC BY 2.0

アメジストの原石は根本に行くほどインクリュージョンが多くなり、色彩も薄くなる傾向があります。だから、透明度と色彩を保った縦長フォルムは非常に贅沢なカットなのです。

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

オーダー・ジュエリーが当たり前だった当時の王侯貴族であれば、これを見ただけでいかに高価な宝石か一目瞭然ですが、アメジストそのものの稀少価値が低下し、合成石やイミテーションまで氾濫し、既製品しか買わない現代の庶民にはその価値が理解しにくいです。

2-1-5. 絶妙なフォルムのブリリアンカット

 縦長のブリリアンカットは無駄の多い贅沢なカットです。持ち主の強いこだわりとセンスが感じられます。

ブリオレットカットのフォルム
ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング アクリルのイミテーション

右の2つはイミテーションのブリリアンカットです。アクリルなのでフォルムは如何様にも可能ですが、現代の"カワイイ好き"の日本人向けの好みでしょうか、ポテっと丸みを帯びたナシ型です。それに比べると、今回の宝物の縦長フォルムは大人っぽさと知性が漂います。

ブリオレットカットのアンティークのクリスタルグラスGenのお気に入りのアンティーク・シャンデリア

私の好みとしてはこれくらい縦長でスタイリッシュさ、カッコ良さを目指しても良いのですが、このデザインは一般にはアールデコを待つこととなります。

アールデコのマニッシュな女性
モノ来るを着用したルース・ゴードン(1896-1985年)1919年 ロニエットを持つ女性(ハフィントンポスト 1920年代)

女性の社会進出が進み、ヘアスタイルもスカート丈も短いものが最先端となり、マニッシュやパワフルな雰囲気が好まれた時代です。

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

アレクサンドラ妃がファッションリーダーだったレイト・ヴィクトリアンからエドワーディアンにかけては、オーソドックスなヨーロッパ貴族らしさがある最後の時代だったと言えます。

大人っぽさや知的な雰囲気が是とされ、シュッとしたフォルムが好まれた一方で、男性らしさが出てくるアールデコとは一線を画す、女性らしいエレガントで優しさを感じるフォルム。

その絶妙さが、このブリオレットカット・アメジストの色彩とフォルムのバランスに象徴されているのです。

イギリス王妃アレクサンドラ・オブ・デンマーク(1844−1925年)
ウィッチーズハート(魔女のハート)のヴィクトリアンのペンダント&ブローチ ウィッチズハート(魔女のハート) ペンダント&ブローチ アンティークジュエリー マザーオブパール ルビー 黄金の花と天然真珠のウィッチズハートのアンティーク・ブローチ

これは60歳前後のアレクサンドラ妃です。首元に、ハート型を捻ったウィッチズハートのブローチを着用しています。稚拙な可愛さとは異なる、"大人カワイイ"です。また独立心や大人っぽいのと、ツンツンして近づきがたい感じ、男らしい感じとも違います。女性だからこそ、女性ならではの可愛らしさ、慈愛に満ちた雰囲気は尊く美しいものです。

メアリー妃は王室の慣例だからと幼い子供達をほったらかし、エドワード7世とアレクサンドラ妃に任せて夫に帯同し、何ヶ月も外遊しました。子供達が可哀想と憂うアレクサンドラ妃とは折り合いが悪かったそうです。子供達が育ったともアレクサンドラ妃は孫や動物たちをとても可愛がったようで、母性としても愛に満ちていたのでしょう。

ヴィクトリア女王(1899年)80歳頃

「王室の慣例だから。」
「王室の決まりだから。」
その決まりを作った人物はいつの時代の誰で、目的は何だったでしょう。

『決まり』は人を強要し、不自由や不幸にさせるためのものであはりません。時代に合わなくなれば革新していく必要があります。

但しその権限が与えられているのは君主だけです。そのために君主が存在します。王族自らが思考停止で古い慣例を厳守するのは頓珍漢です。

気分的に永遠に喪に服したかったヴィクトリア女王は、周囲にもそれを強要しました。

王室の喪のポートレート(1862年3月)
ヴィクトリア女王夫妻の5人娘アリス、ヘレナ、ベアトリス、ヴィクトリア、ルイーズ

既に最愛の人と出逢い、孫もいるヴィクトリア女王は年齢的にも喪服だけで過ごして満足できるでしょう。しかし特に幼少から若い時代にかけては一瞬です。1日1日がかけがえのないものです。20歳を越えれば行き遅れのように扱われ得る当時の上流階級社会に於いて、若い未亡人も含めて年単位で喪を強要されたら大変です。

しかしながら逸脱すると、必ずルールを振りかざして強要しようとする『不謹慎警察』は現れます。ルールは個人の支配欲を満たすために在るのではないにも関わらず、手段が目的となってしまうケースは時代や民族を超越して顕現する現象です。

アレクサンドラ王妃の時代(エドワーディアン)の喪のドレス
【引用】THE MET MUSEUM / Eveniing dress ©The Metropolitan Museum of Art./Adapted. PD【引用】THE MET MUSEUM / Eveniing dress ©The Metropolitan Museum of Art./Adapted. 【引用】THE MET MUSEUM / Eveniing dress ©The Metropolitan Museum of Art./Adapted.

若い時間は限られています。特に自由に着飾りたい若い女性たちは、重すぎる喪のルールに強い不満を抱いていました。既にルールが人を幸せではなく、不幸の原因となっていたのです。多くがガチガチすぎる喪のルールに嫌気が差していた時代、アレクサンドラ妃は王妃として皆の望みを汲み、最大数が納得あるいは妥協できるよう改訂しました。全ての人の望みを100%叶えることはできません。あくまでも最大公約数を目指すことになります。膨大な知識や知性と共に、人々の感情面も理解できなければ実現できないことです。

PDアレクサンドラ王妃(58歳)&国王エドワード7世(61歳)(1903年)

革新は反対勢力がつきものですから、思考停止で従来のルールを守る方が楽です。

しかし王族にしかできないことがあり、そのための存在です。アレクサンドラ妃は王妃としてノブレスオブリージュを元に、茨の道を選びました。

優しさと強さは表裏一体ですね。

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

まさにそのような王妃の時代を反映した宝物です。濃すぎず、高貴さを湛えつつ、慈愛に満ちた色彩がこのアメジストにはあります。持ち主はさらに、たとえ無駄が多くなっても、この気品あるエレガントな雰囲気と女性らしさを実現したかったということでしょう。そのような心の余裕と強いこだわりこそが、この宝物独特の高潔なる美となっているのです。

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング
ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング
ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

透明度の高い紫色の水晶は、クリスタルの中に不思議な無限世界を魅せてくれます♪

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

ブリオレットカットは見る角度によって石の厚みが変化します。だからこそ色彩の濃淡も豊かに変化します。

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング
ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

本当に美しいフォルムです。肉眼では左右で同じ色彩に感じますが、厳密に比較するとそれぞれ個性があるのも良いですね。やはり合成石にはない魅力が、天然石には宿っています。整った環境が安定して長く続かなければ、美しいロッククリスタルは生まれません。早くても100年で1mm程度しか成長しないそうです。2つとも長さは約11mmあり、カットした分を除いても千年以上もかけて成長した宝石です。敬意が持てるからこそ、このような美しいジュエリーにしようと、依頼主や職人の心も動かすのでしょう・・♪

2-2. 小さくても美しい色彩を持つ稀少性と価値

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

 このイヤリングは左右4粒ずつ、計8粒ものアメジストを使っているのも特徴です。均質な合成石を利用できる現代の感覚だと想像しにくいですが、天然石で、サイズの異なる色石を均一な見た目に揃えるのは実はとても難しいことです。

2-2-1. 実は質を揃えるのが難しいアメジスト

ブリオレットカット・アメジスト&天然真珠のフランスのアンティーク・ピアスアメジスト&天然真珠 ピアス
フランス 19世紀後期
SOLD

これは16年前にご紹介したブリオレットカット・アメジストのピアスです。お客様はこの宝物をきっかけにピアス穴を開けられたそうです。

現代のピアスだと耳に穴を開けてまで着けたいと思えなくても、アンティークジュエリーにはそれだけの力がありますよね♪

ブリオレットカット・アメジスト&ダイヤモンドのエドワーディアン・ネックレス

エドワーディアン ブリオレットカット・アメジスト ネックレス
オーストリア or ドイツ 1905〜1915年頃
SOLD

これは9年前にご紹介したブリオレットカット・アメジストのネックレスです。ブリオレットカット・アメジスト自体が、市場に滅多に出てこない貴重な宝石です。
ブリオレットカット・アメジスト&ダイヤモンドのエドワーディアン・ネックレス ブリオレットカット・アメジスト&ダイヤモンドのエドワーディアン・ネックレス

天然アメジストなので、色彩に表情があります。1粒を主役としたペンダントなので、大きさも重視したことが感じ取れます。この表情も天然の本物の宝石の魅力の1つですね。

ブリオレットカット・アメジスト&天然真珠のフランスのアンティーク・ピアス ブリオレットカット・アメジスト&天然真珠のフランスのアンティーク・ピアス

ブリオレット・カットのアメジスト・ピアス(イヤリング)は、実に16年ぶりです。左右で均質な石を揃える必要があり、ピアスやイヤリングはペンダントより遥かに宝石の制約があります。

大きさと美しさは兼ね合いでバランスが取られますが、このピアスも大きさを比較的重視しています。意識してよく見ないと認識できない程度ですが、思いのほか色彩にムラと表情があることが分かります。ここにさらにアメジストを脇石で使おうとすると、困難さは極みとなります。

『紫色』と言っても色の濃さに加え、赤みや青みのバランスによって印象が変わります。デザイン性を高めようと考えた場合、このピアスのように天然真珠やローズカット・ダイヤモンドなどの異なる宝石を組み合わせる方が遥かに容易です。もちろんこのピアスのように天然真珠も特別クラスを使う場合、その質も揃えなくてはなりませんから、大変なことには変わりありません。どこに注力するのか、要は持ち主の好みです。

煌めきが美しいブリオレットカット・アメジストのアンティーク・ネックレス『慈愛の泪』
ブリオレットカット・アメジスト ネックレス
アメリカ 1900年頃
SOLD
ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング今回の宝物
イギリス 1900年頃

その点で、7年前にご紹介した左のネックレスもかなりチャレンジングな宝物でした。画像だと天然石ならではの個性を感じますが、実物は均質な印象でした。今回の宝物はさらに均質に感じられます。アメジストの透明度が高く、光の当たり方でかなり表情が変わりますが、小さなアメジストも含めて実物は均質に感じられます。また、ブリオレットカット・アメジストの石全体もグラデーションやインクリュージョンが感じられず均質です。よほど石の良い部分だけを使ったのでしょう。贅沢なカットです。

2-2-2. 明確な色彩を持つ小さなアメジストの魅力

【参考】安物のアメジストのシルバー・ブローチ(1910年代)サイズ不明 ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング
←実物大
ブラウザによって大きさが違いますが、1円玉(直径2cm)を置いてみれば実物との大小比が分かります

 左はシルバーの作りの安物ブローチです。このクラスでもアメジストが使用できるようになった時代を反映しています。

但し大きさの割に色が薄いです。小さくカットしたら色は分からなくなるような石です。アメジストという石の種類、そして大きさだけで判断する層のためのものです。

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

この宝物は小さなアメジストも綺麗な紫色の色彩があり、赤い光を放つ瞬間もあります。透明度が高く、色も濃すぎないので光の強さや背景色でかなり印象が変わるアメジストです。日中だと、ピンク色を帯びた優しいライラック・カラーの印象があります。

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

小さな石もしっかりと色を持っています。これは色石として、とても価値があります。

アレクサンドラ王妃のアメジスト・ティアラ(カルティエ 1900年頃)
【引用】GEM VOYAGER ©Christies

このティアラも、名脇役としての小さなアメジストがデザインされています。これだけ小さいにも関わらず、はっきりとした色彩を湛えています。ポイントごとにあしらわれた高貴な紫がセンスの良さと、大英帝国の王妃らしい高貴な雰囲気を表現しています。

ちなみに小さなアメジストが一箇所、脱落していますね。

ブリオレットカットのアンティークのクリスタルグラスアメジストの紛失箇所

クリスティーズに出品された際の画像ですが、気づいていないのか、気づいても修理しないのでしょうか。

買付でも、石が落ちたまま販売されている物を多々目にします。販売者側は気づいていないので完品としての価格設定です。

英国王室のためにカルティエが制作した最高級品でも、アレクサンドラ王妃の名前を使ってクリスティーズで高額で取引する場合でも、石が落ちたままだったりするのですね。

アンティークジュエリーは世代を超えて楽しめますが、メンテナンスフリーという意味ではありません。適切なメンテナンスは必要です。正面の目立つ部分なのに・・。


【参考】安物のアーツ&クラフツのアメジストのシルバー・ネックレス(1900年頃)
【参考】安物のアメジストのシルバー・ブローチ(1910年代)

庶民にとってはそれなりの高級品だったであろうこれらシルバー・ジュエリーも、石の大きさで高く売りたい意志が透けて見えます。

これだけの薄い色彩だと、小さくカットしたら何の宝石か分からなくなるでしょう。

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング
ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング ←等倍↑
メインストーンのブリオレットカットは目を惹きます。でも、ぜひ小さなアメジストも意識して頂きたいです。質の揃った小さく美しいアメジストを6粒も揃えているのは、ハリボテを望まぬ美意識の高い王侯貴族の宝物の証なのです。
オーダーメイドのゴールド ロケット・ペンダント アンティークジュエリー 『真心』
オーダーメイドのロケット・ペンダント
イギリス 1880年頃
SOLD
ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング
ちなみに左もアメジストの宝物です。色石はゴールドの色味を反映することで一層鮮やかに見えますが、上質なアメジストは赤みが惹き出される傾向があります。ガーネットにも見えるほどです。今回の宝物も同様の傾向がみられます。
ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

ピンク色を帯びた、優しく女性らしいライラック系のアメジストに感じられるのは、たっぷりと使ったゴールドのセッティングがあってこそです。この色彩もシルバーでは不可能な、高級品ならではの美しさと言えます。

3. 高級品ならではの素晴らしい作り

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

 シンプルなデザインなので、一見すると他にもありそうに見えます。しかしながら美意識の高い高級品にしかできない気遣いと、上質な作りとが随所に施されています。それがこの宝物に出せない美しさとして昇華しています。コストカットのための簡素なシンプルではなく、シンプル・イズ・ベストの最上級の作りを備えた宝物です。

3-1. ナイフエッジの気が利いた立体デザイン

3-1-1. 宙に浮いて見える視覚効果

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング  ナイフエッジを駆使したこのイヤリングは、アメジストが点線状に宙に浮いて見えます。不思議な感覚が、見る者を強く惹きつけます。
ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

安物はナイフエッジではなくただの棒でしかなかったり、仕上げが甘かったりします。高度な技術によって細く仕上げたナイフエッジは、まるで幅を持たぬ『線』のようです。ジュエリーとしての100年以上の使用に耐える強度を保ちつつ、極限まで気配を消します。

最高級品のナイフエッジ 棒でしかない安物
ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

右2つの安物のは、どちらもフリンジは『棒』です。アクアマリンのネックレスは三つ葉の茎の部分のみナイフエッジです。宝石やパッと見の外見にしか目がいかない人は、これで十分に満足するでしょう。しかし、優れた美的感覚を持つ人にとっては『印象』や『雰囲気』がまるで違うと感じられるはずです。

右2つもゴールド・ジュエリーですし、ペリドットのネックレスも覆輪にそれなりにミルを施しているなど、庶民にとってはそれなりに高価だったはずです。

王侯貴族のための最高級品は別格の存在です。美意識の高い王侯貴族は物質的な部分ではなく、『雰囲気』のような部分に大きな違いを見出しお金をかけ、職人も持てる技術を詰め込むのです。

3-1-2. より気配を消失させるためのアイデアと技術

 今回の宝物と同様の思想でデザインされたピアスを以前、1点ご紹介したことがあります。人間の視覚特性を熟知して設計しており、実物でなければその美しさに感激するのは難しいです。

アクアマリン&シードパール ピアス アンティークジュエリー『清楚な花』
アクアマリン&シードパール ピアス
イギリス 1900年頃
SOLD
アクアマリン&シードパール ピアス アンティークジュエリー
これも天然真珠が宙に浮いた点線に見える、見事な宝物でした。横から見ると、ナイフエッジと天然真珠のセッティングにかなりの高低差があることが分かります。

人間が物を見る際、全てに焦点が合っているわけではありません。合成画像的に脳内で補完しているからピントが全てにあっているように見えますが、焦点深度によって、意識した部分以外はボヤけて見えています。

アクアマリン&シードパール ピアス アンティークジュエリー

高低差を大きくすることで、奥側のナイフエッジは陰になり暗くなります。

さらに手前の天然真珠に目がピントを合わせると、奥のナイフエッジ部分はボヤけて気配がより薄くなります。

これにより、肉眼では点線のように感じられます。

絞りなどを調整し、全体から強いライトを当て、なるべく全ての箇所に焦点が合うよう撮影した掲載画像とは見え方が異なるのです。

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

この宝物も案の定、ナイフエッジとアメジストのセッティングにかなりの高低差を設計していました。

だから小さくてもポイントごとのアメジストが際立ち、印象的に見えるのです。

アクアマリン&シードパール ピアス アンティークジュエリー ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

ただ、その手法がそれぞれ異なるのがアンティークジュエリーの面白いところです。今回の宝物は、ナイフエッジと覆輪の奥の位置がずらしてあります。これも明確な理由があります。

ナイフエッジの気配をなるべく消したい場合、奥行が長い方が有利です。ナイフエッジは鋭角三角形に整える技法です。なるべく鋭角な方が、サイドが影になるからです。裏側の幅を薄くしてしまう方法もありますが、それでは耐久性が出せません。

アクアマリン&シードパール ピアス アンティークジュエリー ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング ←等倍

しかしそれならばアクアマリンのピアスのように、覆輪を高くして裏側は揃えて作れば良いだけのようにも思えます。

なぜ手間と技術をかけて、わざわざこのような複雑なことをしたのでしょうか。

ゴールドをケチったのでしょうか?違います。分量はたかが知れており、手間賃の方がかかります。

天然真珠 透明度の高いアメジスト
アクアマリン&シードパール ピアス アンティークジュエリー アクアマリン&シードパール ピアス アンティークジュエリー ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

今回の宝物が覆輪の高さを出す手法を使わなかったのは、使う宝石の特性が理由です。左のピアスの場合、天然真珠は裏側からの光はほぼ関係ありません。オープンセッティングももちろん可能ですが、ゴールドに窓を開けて強度を低下させるよりクローズドセッティングの方が強度的にメリットがあります。覆輪に高さを出しても、天然真珠の見た目の印象は変わりません。

一方、透明度の高い色石の場合、裏側から取り込む光の分量によって印象は大きく変わります。持ち主は暗い色彩は好まず、優しいライラックの雰囲気を持つアメジストを尊重したかったのです。

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング
←実物大
ブラウザによって大きさが違いますが、1円玉(直径2cm)を置いてみれば実物との大小比が分かります

小さなアメジストも厚みがあり、だからこそ小さくてもしっかりと色彩を感じることができます。

底部キューレットは僅かに飛び出しており、存分に裏側からも光が取り込めるよう設計されていることが分かります。

これが、このアメジストの表情の豊かさの原因にもなっています。光の強さ、角度、背景によってダイナミックに雰囲気が変わります。

アメジストの覆輪にナイフエッジの厚みを合わせると、"持ち主や作者が納得いくほど"十分にナイフエッジの気配を消すことができません。

アメジストそのものの美しさと共に、ナイフエッジの視覚効果を最大限に発揮させるための設計というわけです。なんと欲張りで贅沢で、天才的な閃きを感じる素晴らしい設計ではありませんか!♪

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング
←実物大
ブラウザによって大きさが違いますが、1円玉(直径2cm)を置いてみれば実物との大小比が分かります

角度によってはナイフエッジが頼りなく感じられるかも知れませんが、実際は十分にゴールドを使った堅牢な作りです。

叩いて鍛えた鍛造のゴールドを削って作っています。蝋付ではなく一体化した作りなので、耐久性が高いです。

柔らかいとされるゴールドですが、それはインゴットや鋳造(キャスト)で作る場合の話です。割金や鍛造などの製法を駆使したゴールドは、実は鋼鉄やステンレス以上の硬度が出せます。

15ctゴールドを使いこなした、アンティークならではの美しいイヤリングです♪

3-2. 黄金の繊細な輝きを放つ上質なミルグレイン

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

 買付は時間勝負でもあるので、細部まで事細かにチェックすることは困難です。

このようなシンプルなデザインの場合、安物と高級品の見分けがデザインでは判別しにくいです。そのような時に確認するのが、作りの完成度です。

小さなアメジストの覆輪に施された黄金のミルグレインの完成度が非常に高く、高級品と確信して選ぶことができました。

3-2-1. 細く繊細な輝きのミルグレイン

 実はミルグレインも奥が深い細工です。何も考えず、ただ半球状に仕上げるわけではありません。

ターコイズ&パール ブレスレット アンティーク『ターコイズ・ブルー』
ターコイズ&パール ブレスレット
フランス 1880年頃
SOLD
ターコイズ&パール ブレスレット アンティーク

ミルグレインは大きさや形で印象が大きく変化します。

肉眼で形状を明確に視認はできませんが、輝きが変わってきます。

大きな粒に整えることで、格調高い雰囲気の黄金の輝きとなります。

ターコイズ&パール ブレスレット アンティーク

半球状に粒が際立っています。周囲の黄金のパーツもゴールドのボリュームがあるため、これくらい粒立っている方がバランスが良いです。

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング
ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング ←等倍↑
今回の宝物のミルグレインは半球ではなく、蒲鉾の薄切のような形状です。しかもアンティークのハイジュエリーの中でも屈指と言えるレベルの、間隔が狭い緻密なミルグレインです。それでいて精緻で完成度が高いです!♪
ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング
ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング ←等倍↑

ふんわりと包み込む覆輪のフチは、半円の薄い板状に完璧に磨き上げられています。その1つ1つから黄金の繊細な輝きが放たれます。レンズ性能の限界まで拡大しても、驚くほど粗が感じられません!

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

まさに神技です!!

あり得ないような微細なミルグレインです!

エドワーディアン アーミーバッジ アンティークジュエリー
エドワーディアン アーミーバッジ アンティークジュエリー『スコットランドの騎士』
エドワーディアン ミニチュア勲章(替章)
イギリス 1910年頃
SOLD

男性用の勲章ブローチだと、格調高い雰囲気や力強さを演出するのに、半球ドーム状の粒立ったミルグレインが効果的でした。

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

女性らしい繊細でエレガントな雰囲気を醸し出すために、この極小のミルグレインが効果を発揮しています。

神技の職人だからこそ創り出すことができる、繊細な黄金の微粒子が放つ輝きは高貴な女性の神々しさを演出してくれます。『雰囲気』までデザインする。それができるのが、王侯貴族のためのハイジュエリーです♪

3-2-2. ハンドメイドの鍛造ジュエリーの魅力

【参考】現代ジュエリー

 アンティークジュエリーのデザインに向き合うと、天才の仕事と思えるものにいくつも巡り会えます。天才たちが集まり、才能を存分に発揮できる時代だったのだと想いを馳せます。

現代ジュエリー業界はデザインなんてあったものではありませんが、そもそもミルグレインが何のためにあるのかも分かっていないのだろうと感じます。

明確に異なるミルグレイン
鍛造のハンドメイド キャスト(鋳造)の工業生産
ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

ブツブツがあれば良いとでも解釈しているようです。キャスト(鋳造)は量産によってコストを抑えることができますが、型離れの観点から微細な形状には不向きです。キャストで可能なレベルでミルグレインを作ろうとすると、人によってはブツブツ恐怖症を刺激されるような大きさになります。『輝き』ではなく、『形状』として認識することになります。石の大きさに対しても目立つため、宝石を引き立てるどころか、悪目立ちしています。

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

このような宝石を惹き立てる神技のミルグレインも、アンティークの最高級ならではの美です。

美しい天然宝石と共に、人の手が成せる至極の芸術として愛し、楽しんでいただきたいです♪

3-3. 茄子のヘタのような美しい金具

3-3-1. 360度が見どころの作り

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

 ブリオレットカット・アメジストのセッティングもシンプルなデザインながら、職人の腕の良さが分かる上質な作りが魅力です。360度が見どころであるカットの特徴を活かしています♪

3-3-2. ブリオレットカットのセッティング

ブリオレットカット・アメジストの宝物
ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング ブリオレットカット・アメジスト&天然真珠のフランスのアンティーク・ピアス ブリオレットカット・アメジスト&ダイヤモンドのエドワーディアン・ネックレス

天然石を使うこと、持ち主やデザイナーの好みもあって、ブリオレットカットそのものものフォルムも様々です。それをどうセットするのかも、個性が大きく反映されます。右の2つは上方のファセットが縦長でシュッとした印象ですが、今回の宝物は上部までコロンとした形に仕上げているのが印象的です。それを覆う、茄子のヘタのようなゴールドの金具が何とも愛らしいです。

右2つは金具にローズカット・ダイヤモンドをセットし、豪華な雰囲気を強調しています。今回のイヤリングはアメジストを8粒も使った、アメジストが主役のジュエリーです。そこにローズカット・ダイヤモンドなどの華やかな装飾を施すと、蛇足と感じたのでしょう。

煌めきが美しいブリオレットカット・アメジストのアンティーク・ネックレス『慈愛の泪』
ブリオレットカット・アメジスト ネックレス
アメリカ 1900年頃
SOLD

一方でこれくらいシンプルにすると、今回の宝物には簡素すぎます。

これは9粒ものブリオレットカット・アメジストを使用し、宝石そのものの華やかさが主役だからこそのバランスです。

3-3-3. 奥の深い金具デザイン

ピケ ピアス ドロップ アンティークジュエリー『知性の雫』
ドロップシェイプ ピケ ピアス
イギリス 1860年頃
SOLD
ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング
一方で、左のピケのように金具を挿しただけだと、シンプル・イズ・ベストではなく簡素になってしまいます。ピケのように、ピケそのものに華やかな装飾があってこそです。
個性豊かなヘタ形の金具
天然ホワイトカルセドニーの幻想的なドロップ型ピアス『朝霧』
カルセドニー ドロップ型ピアス
イギリス 19世紀後期
SOLD
コーネリアン イヤリング アンティーク『CHIC』
コーネリアン イヤリング
イギリス 19世紀後期
SOLD
ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング今回の宝物
イギリス 1900年頃

Genも私もスタイリッシュなドロップ型のデザインは大好きです。ファセットがないカボション系のカットは、宝石そのものの色彩の美しさに没入するためです。ドロップ型の宝石を使ったイヤリング&ピアスを並べてみると、高価なゴールドを余分に必要とする茄子のヘタのような金具は、やはり高級品の定番の1つと言えます。主役の宝石を邪魔することなく、美しさを名脇役として上品に惹き立ててくれます。

興味深いのが、やはりそれぞれ金具もフォルムが異なることです。気配を小さくすることもできますが、今回の宝物は、茄子のヘタがなかなか主張していることが分かります♪♪

3-3-4. デザインされた美しい黄金のフォルム

 黄金をたっぷりと使った贅沢な傘です。覆う面積が広いということは、アメジストの独特のフォルムにフィットさせるために、精密さを要求する高度な技術が必要です。コスト的にも技術的にも、明確な意思がなければこのような傘にはなりません。

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング
ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング ←等倍↑
茄子のヘタのようなギザギザは、絶妙な曲率を以って表現されています。360度の作りで、黄金の輝きを放ちます。アメジストのブリオレットカットの煌めきと相まって、イヤリング全体が魅惑の輝きを魅せてくれます♪
農書『成形図説』(薩摩藩 1804年初版)
©http://hdl.handle.net/1887.1/item:938292/Adapted/CC BY 4.0

茄子を意識した可能性は十分にあると思います。開国により、19世紀後半は日本美術がヨーロッパ美術に大きく影響しました。様式や技法だけでなく、モチーフもその1つです。従来のヨーロッパは、人工的で完璧なものを『理想の美』として追求してきました。しかしアーツ&クラフツ運動など、身近にある、ありのままのごく自然なモチーフに意識が向くようになりました。

『畑のお化け』(小川芋銭 1929/昭和4年)

日本人にとっては、野菜と芸術は昔から親和性が高いですね。お正月の一富士二鷹三茄子、お盆の精霊馬。小川芋銭のこのような作品もあります。小川芋銭は豊臣氏の家臣として大阪の陣でも活躍した武将・木村重成の子孫で、牛久藩士の家系に生まれました。父は大目付で、藩によっては将軍を代理する立場にもあった役職です。

1868年に江戸赤坂溜池の牛久藩邸に生まれましたが、1871年の廃藩置県で父が農業を始め、芋銭も生涯の殆どを牛久沼の畔で農業を営みながら暮らしました。画業は「自分の絵が芋を買うくらいの銭になれば。」という気持ちで嗜んだもので、これが画号の由来にもなっています。

農業と聞くと、現代では農民や百姓と思いこむ人も多いですが、藩邸や敷地で武士が家庭菜園をするのは普通でした。生粋の農民ではなく、士族の身分に基づく特別な教養に加え、1人の人間として豊かな感性と心を持つ人だっただからこそ描けた絵かもしれませんね。

10歳頃のマリー・テレーズ王女と4歳頃の弟ルイ17世(1789年) セセッション館(分離派会館)(1897-1898年)
"Secession Vienna June 2006 005" ©Gryffindor(June 2006)/Adapted/CC BY-SA 3.0

ちなみにヨーロッパだと、フランス王妃マリー・アントワネットは愛息ルイ17世を『愛しいキャベツ』とも呼んでいたそうです。また、1898年に建築家ヨゼフ・マリア・オルブリッヒの設計で建設されたセセッション館の正面上部にある、象徴的な月桂樹ドームは『金のキャベツ』と呼ばれています。茄子はどういうイメージか分かりませんが、野菜にポジティブな意味を込める文化も存在したようですね。

Eggplant(茄子)

"Solanum melongena 24 08 2012(1)" ©Joydeep(24 August 2012)/Adapted/CC BY-SA 3.0

"Eggplant with chicken eggs" ©Horticulturalist RJ(6 April 2016)/Adapted/CC BY-SA 4.0

茄子はフランス語だとオーベルジーヌ(aubergine)、イギリス英語だと主にオーバァジーン(Aubergine)、アメリカだとエッグプラント(Eggplant)と呼ばれます。栽培の歴史が長い茄子は種類豊富で日本では約70種類、世界では1,000種類ほどもあるとされます。

白くて丸っこい茄子が鶏の卵と並べてありますが、ヘタを取るとまさに卵みたいになりそうですね。イースターエッグ然り、卵はヨーロッパ文化にとって特別な響きを持ちます。

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

持ち主にとって何らかの特別な意味があった可能性もありますし、ブリオレットカット・アメジストを見て、純粋に「茄子のようで愛らしい!♪」と感じてデザインした可能性も考えられます。いずれにせよ、強いこだわりを以ってこの黄金の傘は作られています。

『茄子』鼈甲の帯留(明治〜昭和初期)HERITAGEコレクション 丸茄子
"Solanum melongena Maru nasu-1" ©Togabi(16 Augustl 2017)/Adapted/CC BY-SA 4.0
『実もの』も『花』も、主役の果実や花しか意識できないと稚拙な作品となります。左はアンティークの『茄子』の鼈甲です。ヘタが全体に占める割合が大きく、ヘタの質感を表現するために彫金のような細工まで施しています。
アンティークの茄子の鼈甲帯留の裏側『茄子』鼈甲の帯留(明治〜昭和初期)HERITAGEコレクション

鼈甲にこのような模様が彫られた作品は他に見たことがありません。ヘタだけでなく茎の端も、手折った時のリアルな姿を再現したような彫刻が施されています。磨き上げたツヤツヤの実との対比が見事です。実よりもヘタの方が気合いが入っていると言っても過言ではありません♪

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

この黄金のヘタにはそのような、昔の日本人の美意識に通ずるような真心を感じます。

ヨーロッパでも上流階級の限られた人は、日本人の美意識と共鳴できる稀有な美意識と感性を持っていました。

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

日本の上流階級がアンティークの時代にハイジュエリーをオーダーすることはほぼありませんでした。

でも、響き合える感性でヨーロッパの上流階級によってこのような美しい宝物が作られ、今の私たちが楽しむことができるのは何とも幸運なことですね♪

裏側

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

裏側も美しい作りです。

イヤリングのネジの裏側に15CTの刻印があります。

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリング

イヤリング金具の内側にも刻印があります。貴重なアンティークのオリジナル金具です。このイヤリングは片側1.2gと軽量です。持ち主がどうしてもイヤリングとして使いたくて、脱落のリスクも考慮し、重量を抑えた作りにしたとみられます。別途費用で金具をピアスにお取り替えも可能ですが、宝石物の揺れるイヤリング自体が貴重な上に、今後ますます入手困難となっていくので、オリジナルの状態でお使いいただけると嬉しいです。

着用イメージ

  スマホカメラは人物にピントを合わせる性質があるのと、揺れが特徴のイヤリングなので、イヤリングにピントが合わないことはご容赦くださいませ。サイズ感をご参照ください。

ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリングの着用イメージ ブリオレットカット・アメジスト&ナイフエッジのイヤリングの着用イメージ

濃くなく淡すぎず、優しいピンク色を帯びた絶妙な色彩が美しい天然アメジストです。揺れながらブリオレットカットやゴールドの傘がダイナミックに輝きます。ヨーロッパの王侯貴族らしい気品と上品さを携えながら、華やかさもあります。日本人女性がコーディネートしやすい小ぶりなサイズも魅力ですね♪